ギフテッドって何?特徴や教育方法について解説します

「並外れた集中力を持ち、幼少期から文字の読み書きを教えなくても自分で会得してしまう」「非常に難解な数学の公式を解いたりや難解なパズルを簡単に完成させてしまう」「同世代の子どもと比べて数多くの語彙を持ち、難解な文章を構成することができる」「学校の授業が簡単すぎてつまらないと言う」など、幼い頃から特定の分野で高い能力をもち、それを発揮する人がいます。

 

そのような人は、「ギフテッド」と呼ばれる人々かもしれません。ギフテッドの人は、先天的に顕著に高い能力を持っている反面、生活をするうえで大きな苦手を抱えていることもあります。

また、驚異的な能力を示すことで、周囲から誤解をされ、生きづらさを感じている場合もあります。

 

ここでは、ギフテッドの特徴や診断基準の有無、ギフテッドの教育についてご紹介します。

ギフテッドとは

ギフテッドとは

「ギフテッド」とは、英語のgiftedの単語に由来しています。これは、「天賦の才をもつ人々」という意味で、同世代の子どもよりも先天的に高い能力を持っている人のことを表しています。

 

ギフテッドの人は、特定の学問や芸術性、創造性、言語能力などにおいて高い能力を持っています。ギフテッドの人がもつ能力を最大限発揮させるためには、通常の学校教育に併せて、その他の個人の特性に配慮した支援、特別な教育が必要になると考えられます。

 

ギフテッドの人の一部には、発達障害や学習障害を併せ持つ人もいるほか、感受性の高さなどからくるストレスに大きな悩みを抱える人もいます。ギフテッドだからといってひとくくりにするのではなく個人にあった支援や教育を検討していく必要があります。

ギフテッドの特徴

ギフテッドの特徴

ギフテッドと聞いたとき、漠然と「天才」と思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。ギフテッドの人に多く見られる特徴として、幼少期からの並外れた集中力や記憶力の高さをもっていたり、反復練習をほとんどしなくても運動技能や知識などを習得できることなどがあげられます。

 

一方で、年齢相応な学習課題に対して繰り返し練習や勉強をおこなうことで好成績を上げるような「優秀児」とされる子どもとは異なった、強いこだわりや独特な性質を持っていることも少なくありません。それゆえに、支援が必要とされるケースもあります。

社会性や情緒の発達の遅れ

ギフテッドの子どもの中には、ある特定の分野において突出した才能を示す一方で、社会性や情緒の発達に遅れを示す場合があります。そのため、同年代の集団になじめなかったり、強いこだわりを持つことで周囲とのコミュニケーションが取りづらくなるといった困りごとが生じることがあります。

特性ゆえの生きづらさ

ギフテッドの子どもは、特定の分野の才能が秀でている半面、そのほかの分野の苦手さが目立ったり、それが辛いと感じてしまう場合もあります。周囲から理解を得られにくいことも、本人の辛さの一因となります。

 

このように、高い能力に恵まれる一方で独特な特性ゆえの生きづらさを抱えやすい側面もあり、うつ状態にも陥りやすいことも指摘されています。

過度激動

ギフテッドの人における特徴の一つとして「過度激動」という概念もあります。これは、ポーランドの精神科医で心理学者であったドンブロフスキ(1902-1980)が提唱した概念で、日常の刺激を非常に強く感じることを指します。

 

例えば、味覚や嗅覚、触覚や聴覚といった感覚が過敏で不快感が強かったり、喜怒哀楽などについても人一倍感じてしまったりすることがあります。これは、ギフテッドの高い能力と関わる、刺激への反応の高さに起因していて、感覚的な刺激や精神的な刺激に強く反応してしまうものとされています。

ギフテッドの診断基準はある?

ギフテッドの診断基準はある?

ギフテッドには、医学的な診断基準はありません。

 

ギフテッド教育が発展しているアメリカにおいては1972年に米国議会に提出された「マーランド報告」により「知性、創造性、芸術性、リーダーシップまたは特定の学問分野で高い達成能力を持ち、その能力を発揮させるために通常の学校教育以上の活動や支援を必要としている子ども」と定義づけられていましたが、その後は州によって変更が加えられていったため、アメリカ国内においてもギフテッドの定義は場所によって異なります。

 

また、ギフテッドを知能指数(IQ)から判断する方法などもあるとされますが、現在ではIQのみでは測ることができない芸術性や創造性といった領域における高い能力もギフテッドの一部として理解するため、ギフテッドを一概に判断することは難しいとされています。

サヴァン症候群とは?ギフテッドとの違いについて

サヴァン症候群とは?ギフテッドとの違いについて

ギフテッドと似ている概念として「サヴァン症候群」があります。いずれも医学的な診断基準はなく、現在の日本では正式な定義はありません。

 

サヴァン症候群は、知的障害や自閉スペクトラム症などの発達障害、全般的な知的発達に障害が全面的な特性としてありながらも、ある特定の分野において特異的な能力を有している人を示しています。ギフテッドは特異的に高い能力を持つ人々を指す用語ですので、この点が異なります。

 

サヴァン症候群の例としては、「重度の知的障害を持ち、日常生活に常に支援を必要とする一方で、地図を暗記したり、見たものを写真のように覚えたりする」「読み書き障害があるが、一度聞いた音楽は完璧に演奏できる」などの例が挙げられます。

 

またギフテッドは、どちらかと言えば教育用語として用いられる概念とされています。

 

ギフテッドの中には2E(Twice Exceptional=”二重に例外的な”の意)と呼ばれる、発達障害や学習障害を併せ持つ子どももいます。アメリカにおいては、ギフテッド全体の約20%以内が2Eであるとされています。2Eの子どもたちは才能と障害を併せ持っていますので、その両方に個別のニーズに応じた支援が必要な状態ということができます。

ギフテッドの教育について

ギフテッドの教育については、これまでアメリカなどにおいて「全科目で高い教育を行うわけではなく、個人の突出した分野に注力した、領域に依存しない才能を伸長する教育」が考えられてきました。しかし近年では、特定の分野に焦点を当てて注力していくような領域依存的な才能を伸長する教育や、特異な才能と学習困難さとを併せ持つ児童生徒に対する教育も含め考える傾向に変化してきています。

 

具体的には、日本においては令和3年から文部科学省によって「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 」とするギフテッドの学習支援についての検討がおこなわれています。

精神面や社会面に難しさを抱える子どもへの対応

ギフテッドの子どもは、定型発達とは異なり、ある部分は非常に得意とする一方で、大きな苦手分野を併せ持つといった、領域によって発達の程度が異なるケースもあります。このことから、言葉や認知能力が非常に発達している一方で、精神面や社会面に難しさを抱える場合なども見られます。

 

ギフテッドの子どもは、同年代の子どもたちへの溶け込みにくさなどがある場合も少なくなく、学校で理解を得られなかったり不登校になったりすることもしばしばあるとされています。

 

そこで、日本においてもギフテッドの子どもにおける不登校の対応などについても検討がなされています。

個別最適な学び・協働的な学び

文部科学省は、学校におけるギフテッド教育の概要として、特異な才能のある児童生徒も含め、「個別最適な学び」を通してそれぞれの資質や能力を育てていき、「協働的な学び」という観点も大切にしながら子ども同士がお互いの違いを認め、学び合いながら相乗効果を生み出す教育が必要だとしています。

 

ギフテッドの子どもは、定型発達の子どもよりも物事の理解が数段早いために、すでに理解したことを繰り返すことを極端に嫌う傾向があるともされています。

そのため、計算や漢字などのドリルの繰り返しを嫌がったり、すでに分かっている内容について丁寧に記述することをつらく感じたりすることがあります。

 

周囲の大人は、ギフテッドの子どもが持つさまざまな性質について知り、一人ひとり異なる困りごとについて目を向け、理解していくことが大切です。

 

さらに、ギフテッド教育においては通常の学校教育以外にも、能力を伸ばしていくにあたって大学や民間団体などが担う役割が大きいともいわれています。

 

LITALICOジュニアでは子ども一人ひとりに合わせた最適な学びを提供し、子どもの未来の可能性をひろげられるようにサポートしています。発達が気になる場合や困りごとがある場合だけではなく、得意を伸ばす教育もおこなっています。

 

「子どもの得意を伸ばしたい」「日常生活での困りごとを軽減したい」という方はぜひ一度お問い合わせください。

ギフテッドについてまとめ

ギフテッドについてまとめ

ギフテッドの子どもは、高い理解力から本人の困りごとが周囲から見えづらいこともあり、学業成績に反映されない本人の訴えが、些細な問題として見過ごされてしまうことがあります。

 

ギフテッドの子どもは驚異的に高い能力を示す側面から「何も困っていない、何でもできる」と誤解されることもあります。一方でこだわりの強さや完璧主義・理想主義からくる自分自身への失望感や抑うつなど、さまざまな困りごとを抱えている場合があります。

 

そうした子どもの困りごとにも焦点を当て、学校教育に併せて民間団体なども活用しながら、一人ひとりに合わせた対応をしていくことが大切だといえます。また、本人の持つ苦手な分野や領域をサポートしていく周囲の理解や協力が重要です。