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メルマガバックナンバー

LeafMagazine vol.10
2016.6.17

(この内容は2016年1月29日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

インクルーシブ教育に関する最新の事例・情報をお伝えします

2016年も早いものでもう1カ月が過ぎようとしています。寒い日が続いていりますが、いかがお過ごしでしょうか。本稿では、好評いただいているLeafでのインクルーシブ実践、推進いただいている先生方のストーリーををお届けします。

【連載】今日からできるインクルーシブ教育実践―Leafの実践共有―

本連載ではLeafにおける事例をもとに、具体的なアプローチ方法をご紹介します。
※個人情報保護のため、一部情報を加工しています。
本事例は、合理的配慮として学校にてタブレットを活用した事例です。2016年4月から施行される障害者差別解消法では、子どもが学びにアクセスするために必要な工夫をすること(合理的配慮の提供)が義務付けられます。本児は読み書きに困難さのある児童であり、保護者・学校との同意のもと、学校にてタブレットを導入しました。

●子どもの様子
・小学校4年生
・漢字の読み書きに困難さがある
・学習への抵抗感が強い
・タブレットとの相性が良い

●長期目標
・小学校4年生相当の漢字については、予測変換で出てきた漢字のうち正しい漢字を選択することができる。
・音声入力とタイピングにより、タブレットを活用し板書を取ることができる
・自分の特性について他者に説明をすることができる。

●具体的な手立てと指導の様子
タブレットはもともとゲームが好きでよく触っていたため、抵抗感なく活用しようとするが、音声入力やタイピングについては、モチベーションがあがらないとなかなか取り組むことが難しい様子がみられました。そのため、本人の興味関心と結び付け、パワーポイントにてアニメのプレゼンテーションを作ることを目的とし、入力の練習をすると、徐々に慣れてきました。また、同じ読みで異なる漢字については、カードやプリントを作成し、「今日」「教」「京」のてんきははれです。のように提示をし、本人が選べるようにしました。ポイント制など、ゲーム性を取り入れることで取り組むことができました。
また、タブレットの活用練習と同時に自己認識のプログラムを実施しました。誰もが強み・弱みがあること、そして本児の場合は、お話をすることはとても得意だけれど、どうしても読んだり書いたりすることに困難さがあることを共通理解しました。その上で、誰もが自分に合っている学び方が必要であり、本児に対して「どのような学び方があっているかな?」と一緒に考えました。ノートを書く方が学べる人もいれば、タブレットでメモを取る方が学べる人もいる。のような形で話をしました。
学校においても同じように誰もが異なる学び方をするという話を担任の先生にしていただくことにより、スムーズにタブレットを学級内で活用することができました。

【連載】先生のインクルーシブ教育実践ストーリー

公立高校教師 佐藤美友貴

2016年が始まりましたが、皆さまの今年の抱負はどのようなものでしょうか。私にとっての2016年は、初任者としての1年目が終わり、教師2年目に突入する年です。昨年は、「挑戦・忍耐・吸収」を掲げての1年でしたが、今年は「理想・挑戦・寛容」を自分の軸にしていきたいと思っています。私は高校教員としてスタートを切ったばかりです。特別で、絶対的な効果のある実践を持っているわけではありません。しかし、「子どもたちの可能性を拡げたい」という気持ちを常に心に置いて、子どもたちと関わりたいと思っています。
「子どもたちの可能性を拡げること」
これが、私にとってのインクルーシブ教育を実践する意義なのです。このメルマガでは、初任者としての経験を通して考えた、「インクルーシブ教育を実践していく上で大切なこと」について書いていきたいと思います。
初任者としての1年目、自信も技術もない中で、「今目の前にいる子どもたちは何を思っているのか」、「目の前の子どもたちに伝えるべき内容は何か」、「どのようにしたら伝わるか」を考え、がむしゃらに実践してきました。例えば、3年生への現代社会の授業では、普段は自分から社会の情報を積極的に受信することが少なく、物事を考えることに対して自信がなく、投げやりになってしまいがちな子どもたちに対して、「実際に起こっている社会の出来事を知り」、それに対して「自分の意見を持つこと」、しかし「物事には多様な見方や意見があり」、「対話していく必要があること」の4点を伝えることを軸に授業を進めました。時事問題を教科書(つまりは指導要領)の内容に結びつけ、なるべく子どもたちが自分の考えを持ちやすいように授業展開の工夫や、分かりやすい説明をしたいと思って臨みました。・・・しかし実際は、そんな理想とは程遠く、失敗ばかりの1年でした(笑)
生徒は、授業中に寝ている、やっている内容が把握しきれず困っている、授業の展開に沿えずに話し出す・・・そんな子どもたちの状況に対応しきれず、自分の実践に対する不安が増して、言葉に自信がなくなる。結果として、更に分かりにくくなり、伝わらない。子どもたちの可能性を拡げるどころか、既に獲得している力すら引き出すことができない。そんな苦しい負の連鎖に陥りました。
そんな時、私がしたことは、「人にうまくいかないことを話し、相談すること」でした。もともと、マイナスの感情や失敗を人に話し、相談することが苦手で、今も場面によっては苦手です。しかし、「子どもたちの可能性を拡げる」という原点に戻れば、私が一人で苦しんでいても達成されません。有り難いことに、私の周りには私ができないことを受け止め、励まし、助言をくださる方々がいました。そんなわけで、うまくいかないことに苦しみながらも、無理なく試行錯誤し続けることができています。できないことをできないと言えること、それを受け止めてくれる周りの人がいること、インクルーシブ教育を進める上で大切なことの一つだと思います。また、私の周りには自分の考えを持って、子どもたちに向き合う人がたくさんいました。自らの思いや実践を語る人と対話することは、私自身の新たな活力となり、自分の思いや実践を省みることにつながります。方法は違っても、悩みながらも子どもたちに向きあっている相手を認めることで、一人ひとりの実践が協和的に子どもたちに向かっていくだろうと信じることができます。「こんな力を子どもにつけたい」、「こんな大人になってほしい」、だから「こんな実践をするんだ」という理想を持ち続けることも、インクルーシブ教育を進める上で大切なことだと思っています。更にそれを語れる仲間がいると最高ですね。
でも、もしかしたら今、うまくいかないことが続いて、子どもたちに向き合うことが苦しくなっている人がいるかもしれません。自分の実践に自信が持てないことや、反対に周りの実践を認められないことで苦しんでいる人もいるかもしれません。だからこそ、できないことをできないと、ふと口にできる環境、それを受け止める人がいる環境、手段で対立せずに対話し、お互いの思いと実践を尊重できる環境が大切なのではないかと思うのです。インクルーシブ教育はプロセスです。理想を掲げ、追い求めれば追い求めるほど、壁にぶち当たり、苦しい場面が増えるでしょう。それぞれが理想を掲げれば、お互いが大切に思っていること同士がぶつかるかもしれません。しかし、そこで対立してしまうことは、あまりにも悲しいことです。目の前の子どもたちの可能性を拡げるためには、時に自分の持っている方法から離れる方が良いこともあるかもしれません。反対に、自分の理想を伝えることが良いときもあるかもしれません。ふと一息ついてみると、色々な方法が見えてくるでしょう。理想を持つことで、自分自身が苦しくなってしまっては本末転倒です。どうか自分自身を大切にしてください。そして、目の前の子どもたちのために、周りの思いと実践をもプラスに活かしていくことができればいいなと思います。
最後になりましたが、私が考えるインクルーシブ教育を言葉でまとめるとこうなります。
1.一人ひとりが大切にされる教育(子どもはもちろん、保護者も教師も)
2.子どもに関わるそれぞれが力を発揮して行う教育
3.それぞれの力が協和的に子どもたちに向かっていく教育

繰り返しになりますが、それが目指すのは「子どもたちの可能性を拡げること」です。
子どもたちの可能性を信じ続けたいと思います。そんな「理想」を掲げて、自分自身の可能性を信じて「挑戦」していきます。とは言え、苦しくならないように、子どもたちにも、自分にも、周りにも「寛容」でありたいなと、そんな思いをこめての、2016年の「理想・挑戦・寛容」の抱負です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。皆さまの2016年がわくわくいっぱいの、幸せいっぱいの素敵な1年になりますように。

【連載】インクルーシブ教育を考える ―インクルーシブ教育における教師に必要な力―

本投稿は以前「教師教育ネットワークメルマガ」に投稿したものをリライトしたものです

●インクルーシブ教育時代
近年メディアで「インクルーシブ教育」という言葉を聞く機会が増えた。発達障害、不登校、性的マイノリティ、虐待家庭、生活保護家庭、心理的不安定さ、帰国子女、海外から来た子ども・・・子どもたちの多様なニーズに応えていくためには、我が国が伝統的に学ぶ権利を保障するために用いてきた「通常教育」「特殊教育」といった「普通」と「特別」の二分化したシステムや文化から脱却し、どんな教師も多様性に対応できる力をつけていかなければならない。本稿ではそんなインクルーシブ教育時代における教師教育について考えていきたい。今回はインクルーシブ教育の定義を確認し、インクルーシブ教育を推進する上で教師に必要な力を一つ紹介する。
●インクルーシブ教育の定義
インクルーシブ教育は、「障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育をうけること」と解釈されがちであるが、これはインクルーシブ教育の本質的な意味とは異なる。
ユネスコの定義によると、インクルーシブ教育は
・主流からはずされやすい者、排除されやすい者たちを含む全ての子どもたちの多様なニーズに対応することで、全ての子どもたちの学びが最大に引き出される教育システムを構築するプロセスである。
・(特別のニーズを有する)学習者の一部がいかにして主流の教育に統合していくか、ということではなく、教育システム全体をいかにして学習者の多様性に対応するように変容させていくかを模索する方向性である。
・教員と学習者の両方が多様性に対して居心地良く感じ、そして多様性を問題として捉えるのではなく、教育システム・学習環境の質的向上への挑戦としてとらえることを目的とする。
重要なポイントは、障害のある子どものみが対象ではなく、全ての子どもが対象であること。つまり、インクルーシブ教育は特別支援教育のみの改革や、障害のある子どものみに関わることではない。

●教師に必要な力ー違いを肯定的に捉える
インクルーシブ教育では、そもそも子どもたちは多様であることを前提として、個々の違いを問題として捉えるのではなく、質向上のための挑戦としてとらえている。そのためには、まず教師自身が、違いを問題として捉えるのではなく、肯定的に捉える必要がある。例えば一斉指導が苦手で立ち歩きがあるAさんがいるとする。大体の場合は、Aさんを叱ったり指導することによって、Aさんを「一斉指導」に合わせようとする場合が多いだろう。だが、インクルーシブ教育的な考え方だと、「一斉指導が苦手」というAさんと他の子の違いを肯定的に捉え、全員に対して一斉指導ではなくても授業の目標を達成できる質の高い授業ができるように工夫をすることが求められる。例えば、イライラすると暴力をふるってしまうBさん、運動をすることが過度に苦手なCさん、外国から来て日本語が難しいDさん、他の人と一緒に何かをやることが苦手なEさん。この集団で運動会をやるとしたら、どんな工夫ができるだろうか。インクルーシブ教育では、多様な子どもたちを既に決められた「運動会」の型にあてはめるのではなく、集団の多様性に合わせて「運動会」自体を変えて行く必要がある。このように、インクルーシブ教育において教師は、決められたものに個や集団を合わせるといった考え方から、その集団の多様性に合わせて方法や内容を改変していくといった考え方にシフトすることが求められる。その場合に、どんな子どもがいたとしても、子どもを「特別」とラベリングしたり、子ども同士の違いを「問題」として捉え排除するのではなく、全体の活動内容を変えたり方法を工夫することによって、全員の学びを促進できるようにしていく必要がある。

インクルーシブ教育実現のアクションプランを考えよう

2016年2月7日(日)
14:00~17:30
インクルーシブ教育に関する基礎知識を共有し、学校現場の先生方からインクルーシブ教育の実践発表をいただきます。その後、参加者ご自身の実践と結び付けながら、共に実践についてのプロセスを考えます。
最終的には、実現のための課題リストを作成し、各参加者が実行できるアクションプランまで共に考えます。

インクルーシブ教育中級者養成研修

2016年2月28日(日)
13:30~16:30(受付 13:00~)
多様な子どもの学びを大切にするインクルーシブ教育とは?

(この内容は2016年1月29日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

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