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メルマガバックナンバー

インクルーシブ教育マガジン vol.28

(この内容は2017年7月27日配信「インクルーシブ教育マガジン」のバックナンバーになります。)

夏真っ盛りですね!熱中症にはご注意を。
インクルーシブ教育マガジン、登録者が1,000名を超えました。
インクルーシブ教育の実現を目指している方がこんなにたくさんおられるの、心強いです!

【連載】今日からできるインクルーシブ教育実践

このコーナーでは多様な子どもたち8,000名が通うLITALICOジュニアにおける実践についてご紹介します。

今回も前々回、前回に引き続き、多様な子どもたちにとって、その多様性に応える教育を実施していくために「最適なプラン(計画)をつくる」についてお伝えします。

前々回内容で、「なるべく詳しく子どもの情報を得る為のポイント」をお伝えしました。そして前回内容では、「真のニーズをプラン(計画)に反映することの重要性」についてお伝えしました。

今回は、それらを反映した、「具体的なプラン(計画)の立て方」についてお伝えします。

具体的なプランを考える為には、まず、保護者と子どもの「真のニーズ」(前回内容)を叶える為に必要だと思われる、スキルの検討を行います。

例えば、学校で特に算数の勉強についていけず、分からないとそんな自分にイライラしてパニックになってしまう子ども(Aくん)がいるとします。
保護者の話をよく聞いていくと、まずは「分かる」「できた」と思えるような学習体験を通して自分に自信を持ってほしいという「真のニーズ」を持っていました。

そんなAくんのケースで考えてみましょう。

Aくんに必要だと思われるスキルを考えることができたら、つぎに、獲得の優先度が高いものを、三つ程度長期目標(1年後程度)に設定します。
優先度を決めるポイントとしては、
①「子ども自身と周囲の人にとっての危険度」
②「園・学校・家庭での子どもの生活場面での重要度」
③「子どもの生活年齢への配慮」
④「子ども自身の困り度、保護者の困り度」
⑤「進学先で必要なスキルの見通し」
⑥「生活場面、周囲の人的環境が今後変わることへの見通し」
の順番に、子どもの「今」から「未来」の幸せに向けて考えていきます。

Aくんの場合、優先したい長期目標は、
①「イライラしたときに落ち着く方法を学校で実践できる」
②「算数の文章問題に一人で取り組める」
③「困ったときに学校で先生に伝えることができる」
の三つに設定したとします。

長期目標(一年後程度の目標)が設定できたら、子どもが今もっているスキルから、長期目標として設定したスキルまでにできるようにならなければいけないスキルをスモールステップで考えて、その中から「学期終わりにここまでできるようになる」などの学期目標(3カ月程度の目標)を決めます。

Aくんであれば、例えば②「算数の文章問題に一人で取り組める」という長期目標に対して、今もっているスキルが「具体物を使っていくつ増えた、いくつ減ったを答えることができる」であったとしたら、「具体物を使って1~10の合成分解ができる」「数字を見て1~10の合成分解ができる」「くりあがりくり下がりの計算ができる」「文章問題で、キーワードのカードを用いて足し算引き算ができる」と、そこにいきつくために必要なスキルをスモールステップで考え、その中から学期目標は「くりあがりくり下がりの計算ができる」にしようと選択する、といった具合です。

ここまでくると、Aくんが学期終了時や一年後に向けて獲得を目指したいスキルの道筋は見えてくるのですが、具体的なプラン(計画)を立てる上で、もう一つ考えたいことは、それぞれのスキルを獲得していく為の手立てとして、本人の特性にあった学び方は何かということです。

Aくんが、「目で見た情報は認識・処理しやすい」という特性を持っているのであれば、視覚的な補助を多く取り入れながら学べる教材を準備しよう、という学び方を選択することができるかもしれません。前々回の内容(子どもについて知る)ですね。

このような手順で、なるべく具体的なプラン(計画)を立てることによって、日々の子どもへの指導目標が明確になり、保護者とも目標の合意形成を図れるようになります。

もちろん、プラン(計画)は、定期的にその進捗を見直し、子どもの様子やスキルの獲得具合に応じて臨機応変に変更していく必要があります。

ぜひ個別の指導計画を立てる際に参考にしてみてください。

【連載】インクルーシブ教育を考える

「持続可能な仕組みづくりに向けて」

私自身が「教育」や「福祉」に関わりはじめて10年以上が経過するが、この分野の課題は「持続可能な仕組みづくり」であると考えている。

例えば現に「障害」に関わる分野の専門家不足はずっと叫ばれており、その課題が解決される兆候はあまり見られない。膨大な予算を割き新しく人を採用するのみでは質は担保されない。

加えてよく聞くのは、
・校長が変わったからやり方が変わった
・先生が変わったから受けられていた支援が受けられなくなった
・支援者によって言うことが全然違う  など…

これらが必ずしもすべて「悪い」わけではない。
支援者や先生も「人」なのだから、人によって支援の仕方が少し異なったり、その人の個性が出るのは仕方ない。

一方で、「たまたま合わない」支援者に出会ったが故に、心を壊してしまった子どもや大人もたくさんいる。逆に、「たまたま合う」支援者に出会ったが故に、自分の人生が変わった子どもや大人もたくさんいる。

その先生にしか、その支援者にしかできないこともたくさんあるだろうが、良い実践はもっともっと継承し続けられるような、そんな仕組みが必要である。

どのようにしたら、インクルーシブな教育が持続可能な仕組みとなるのだろうか?
今回は私の考える持続可能な仕組みをつくるための、それぞれの役割についてお伝えする。

I.専門家の役割

ここで「専門家」とは、各種専門家を指す。
例えば、特別支援教育に精通している現場の教員や大学の教員、医師等の医療の専門家、福祉の専門家、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、作業療法士や言語聴覚士など。

特に「障害」「特別支援」の分野はこれまで上記のような「専門家」でないと教育・支援が難しいと言われてきた。そのため、通常学級の教員が障害のある子どもの支援・指導に関わることに対し抵抗感を感じてきた人の声もよく聞く。

その原因をつくってきた要因の一部は専門家にあるのではないか、と私は思う。

私はインクルーシブ教育を志向する専門家の役割は、自分たちの専門性を自分たちの専門以外の人が実践できるように伝えていったり、サポートをしていったりすることだと考えている。

①直接支援や間接支援により有効な手立てやアプローチ方法を確立すること
②上記の専門的知識を翻訳し、実践できるようにサポートしきること
③実践知を言語化し理論化することで広げること

①を実践している専門家は多いが、②③は少ないのではないだろうか?

既に有効と実証されている指導方法や手立てがあるにも関わらず、それが大学の研究室やクリニックの中のみにとどまっているのは、非常にもったいない。
それをより広げていくためには、現場の支援員や教員に伝わる形で伝えていかなければならない。

II.学校や教育実践現場の教員や支援員の役割

学校や教育実践現場においてよく起こる問題は、「カリスマ教師」依存になってしまうこと。
その教師がその学校にいる間は良いが、転勤してしまった瞬間にまるで別の学校になったかのように変わってしまう。

そのため本当にインクルーシブ教育を学校の中で浸透させていくことを目指す場合、その学校に今現在いる教員を巻き込み、全員でインクルーシブな実践に向けて思いを一つにいかなければ難しい。
一人の素晴らしい実践は目の前の子どもにしか届かない。それも長くても2年ぐらいしか。

今インクルーシブ教育に向けた実践をされている先生は、ぜひまずは同じ学校で仲間を見つけることをおすすめしたい。まずは2人から、そこから、輪を広げていくことがはじめの一歩。

その後の展開については、以前のバックナンバーのこちらをご覧いただきたい。 https://junior.litalico.jp/partner/inclusive-education/magazine/vol21/

また、もっと難しいチャレンジをしたいと思っている方は、上記の「専門家」の方たちの話しを聞きに行き、どうやったらその「専門家」の言っている有効な手立てを自分の実践や自分の学校の実践に取り入れられるか、を考えてみるのも一つの手であろう。

今回はインクルーシブ教育を推進していくにあたっての、専門家と現場の教員・支援の役割についてお伝えした。
何よりも大切なのは、まずはできるところからやってみること。そして、自分だけじゃなく、人と一緒により良い方法を模索し続けること。

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