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メルマガバックナンバー

LeafMagazine vol.5
2015.9.1

(この内容は2015年8月24日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

インクルーシブ教育に関する最新の事例・情報をお伝えします

まだまだ暑さは残りますが、夜の風には少し秋の気配が感じられる季節になりました。
いよいよ新学期スタートの学校も多いのではないでしょうか。今回は、これからの学級経営の視点でこれからホットトピックとなりそうな「合理的配慮」について、最新号をお届します。

【連載】インクルーシブ教育を考える 第5回目「教育における合理的配慮とは」

※本記事は筆者のブログhttp://theoryofakina.blogspot.jp/をリライトしています。

本連載では、インクルーシブ教育の定義を

1.全ての学習者には多様なニーズがあることを前提とする
2.多様なニーズに対応することができる質の高い教育システム
3.そのシステムを構築するプロセス

とし、通常の教育そのものを多様性を前提としたものに変えていく必要があるとしています。

これまでインクルーシブ教育の定義や世界的動向、日本における動向について紹介してきました。海外の動向についてお伝えする予定でしたが、ちょうど今月「障害者差別解消法」の対応方針のパブリックコメントの受付が始まったため、「障害者差別解消法」と「合理的配慮」についてお伝えします。

【合理的配慮の否定は差別】
来年度4月から、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が施行されます。この法律では、障害を理由とした差別を禁じ、また、一人ひとりに合わせた合理的配慮を否定することは差別と捉えられます。
日本が2014年1月に批准した障害のある人の権利に関する条約には、人間の多様性を尊重すること、排除のない社会のためにインクルーシブ教育システムを構築すること、そして「合理的配慮」をすることなどについて書かれています。

同条約によると、

「合理的配慮」とは、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」

と定義されています。(文科省のサイトから)
来年度(2016年4月)に施行される障害者差別解消法では

「障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定」(障害者差別解消法 基本方針)されています。

つまり、障害のある人が、
「こういう工夫があれば、障害のない人と同じように機会が得られます!」と伝えた時、伝えられた側は「それは無理!」とただ否定することは「差別」とみなされます。

障害のある方(子どもの場合は保護者も)から意思表明があった時、

・本当にその工夫が「合理的」か
・「合理的」で必要であるのであればどんな場面で必要か、どうやって工夫するか
・どうしてもその工夫ができないのであればその理由は何か、そして代わりにどんな工夫ができそうか

などを関係者で合意形成をはかり、実際に工夫をした後もPDCAを回していくことが必要です。
その一連のプロセスこそが「合理的配慮」なのです。

合理的配慮は極めて個別性が高いです。
どの場面でどのような工夫が必要か。また、その工夫がどのように実行できるか。
何を「合理的」とするかは、その人の特性や年齢にもよるし、どれだけ環境が整備されているか、資源がどれだけあるかにもよります。

【教育における合理的配慮】
教育においても「合理的配慮」は必要です。

例えば読み書き困難のある子どもが、タブレットを使うことで学びにアクセスできるとします。
ノートが書けないので普段は学校でただ座ってるだけ。
その子どもと保護者から
「タブレット使えば授業内容にアクセスできるので、使わせてください!」
と意思表明がされたとします。

その時に
「この子だけ特別扱いできないので無理です。」
とただ否定することは実質差別となります。

例えば「この子にはタブレットを使用した学びは不適切である」のであれば、その理由を本人保護者に伝え合意形成をはかる必要があります。
もしかしたら特定の場面ではそれが「合理的」な配慮となり、特定の場面ではならないかもしれません。

例えば自分のタブレットをもっていなくて、更に予算もないのであれば、
その児童が学びへアクセスできるように、別の工夫を共に考えて合意形成し、その工夫を実施した後も継続的にPDCAをまわしていく必要があります。

つまり、教育における合理的配慮は
学びへアクセスするための権利」とも言えるでしょう。

そのためには、
保護者や教員が「合理的配慮」を正しく理解するのみでなく、
子ども自身が自分の特性を他者に伝え、いろんなものへアクセスするためには自分にはどんな工夫が必要か伝え、その上で合意形成をできるようにしていくことが大切です。

「合理的配慮」の原語はreasonable accomodation。
accomodationは、直訳すると「調整」「調和」「和解」といった意味がありますが、日本では「配慮」となっていて、その語感から「してあげるもの」と誤解されがちです。
本当は、周りの人が勝手にその人に必要な工夫を決めるのではなく、その人自身が自分に必要な工夫を知って、それを他者に伝える当然の権利を保障するもの。そしてその上で、周りの人と調整を図っていくものなのです。

つくば市・NTT・マイクロソフト・LITALICOの合理的配慮に関する実証研究
Windowsクラスルーム協議会/「合理的配慮へのICT活用」推進プロジェクトを発足
http://ict-enews.net/2015/07/27windows/

【連載】今日からできるインクルーシブ教育推進プログラム 第5回目「絵本「つながろ!~にがてをかえるまほうのくふう~」

本連載では、多様性が当たり前な学級づくりをするためのプログラムについて紹介してきました。4回連続で「自分を知る」をテーマに書いてきました。
今回は絵本の紹介です。

絵本「つながろ!~にがてをかえるまほうのくふう~」
しまだようこ 著
井上雅彦 監修

この本にはちょっと変わった女の子「まいちゃん」がでてきます。
まいちゃんはどうしてちょっと変わった行動をしているのか。子ども目線で分かりやすく書いています。
その上で、どうしたらまいちゃんも心地よく学級ですごせるのか、みんなで考えてみよう、といった問いかけがあります。

私たちはどうしても「どの子も過ごしやすい学級」を自分(教師)だけの力でつくろうとしてしまいます。
一方で、多様な子どもがいて、その中で何か問題や困難さが生じた時、その問題を子どもたちと共に解決する姿勢が大切なのではないでしょうか。

多様な人とコミュニケーションをとり、多様な人とともに問題解決をしていく力が今後の社会では求められます。この絵本でいうところの「まほうのくふう」を考える力です。
それを低学年にも分かりやすく伝えてくれる絵本です。
ぜひ参考にしてみてください。

【連載】一人ひとりに合わせた学びを―Leafの実践共有― 第5回目「行動の選択肢を増やしていくこと」

このコーナーではLeafの実践を紹介しています。
「うちの子お友達のことをすぐ叩いてしまうのです」や「すぐにかんしゃくをおこすのです」といったお悩みをよく聞きます。

以前、このようなお悩みに対して「なぜ」をとことん追求する大切さをお伝えしました。
「なぜ」が明らかになったあとにどうするかを紹介します。

例えば、ある子どもがかんしゃくをおこす理由が「人のことを叩けば思い通りになるから」の場合、みなさんはどう対応されますか。
「たたいても思い通りにさせない」ようにしますか。

Leafでは、このような行動に対して、「他に選択肢がないからこのような行動をしている」という風に捉えています。つまり、いわゆる「問題行動」をおこすことでしか、相手にうまく伝えられない、ということです。

そのため、まずは相手に伝えるための手段、それもその子どもに合っている手段を探します。どんな手段があったら、その子は問題行動を起こさずに相手に伝えたいことを伝えられるのでしょうか。

言葉で伝えるのであれば、それを伝える練習をし、さらに忘れそうな時用に視覚的に思い出せるツールを用意します。
言葉で伝えるのが苦手であれば、絵カードや文字カードなどを使って伝える練習をします。

そして、「問題行動」をおこすよりも、言葉や絵カードを使った方が楽じゃないかな?と提案するていで、その行動がおこる前に、言葉や絵カードを復習しておきます。

問題行動はその子自身が困っている場合が多いです。お互いに辛い思いをしてしまいます。
別の行動の選択肢をたくさん増やすことにより、その子がより自分に合った手段で相手に伝えられるようになることが大切です。

第2回インクルーシブ教育中級者養成研修の日程とテーマ

2015年8月30日(日) 13:30~16:30(受付 13:00~)

「行動面に困難さのある子どもへの支援」
行動面により焦点を当て、Leafでの実践例を通して知識やスキルを習得いただく研修です

詳細・お申し込みはこちら
第1回研修のレポートはこちら

第4回インクルーシブ教育リーダー養成研修の日程とテーマ

2015年9月6日(日) 10:00~17:00(受付 9:30~)

理想を実現するための現状把握
各受講者の現在の学校の実態把握をする

※本会終了後、講師と任意参加者で、懇親会を行います。
詳細・参加希望有無は、講習お申込み後にご連絡いたしますので、お気軽にお申し込みください。

詳細・お申し込みはこちら
第1回研修のレポートはこちら

(この内容は2015年8月24日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

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