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メルマガバックナンバー

LeafMagazine vol.6
2015.10.5

(この内容は2015年9月30日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

インクルーシブ教育に関する最新の事例・情報をお伝えします

いよいよ、日中も秋風を感じる季節になりました。
みなさんはどんな秋を満喫していますか?
今回は、海外でのインクルーシブ教育の背景紹介と国内でのインクルーシブ教育実践事例について、最新号をお届します。

【連載】インクルーシブ教育を考える 第6回目「アメリカにおけるインクルーシブ教育~その①~」

本連載ではインクルーシブ教育の定義、日本におけるインクルーシブ教育システムの構築の現状と課題、合理的配慮について、などについてご紹介してきました。

今回は、アメリカにおけるインクルーシブ教育について紹介をします。
アメリカでは、「インクルーシブ教育」と言った時、こちらでいつもご紹介しているユネスコの定義(障害のみでなく、排除のない、多様性を前提とした教育システムを作っていくプロセス)ではなく、「障害」に限定した定義が使われることが多いですが、仕組みとして多様な子どもたちを前提とした仕組みづくりが目指されています。

【無償で適切な公教育と個別の指導計画の策定】
アメリカでは1975年にできた「障害者教育法(当時は全障害児教育法)」によって障害のある子どもたちへの教育の仕組みが整ってきました。日本と大きく異なる点は、障害のある子どもの場合3歳~21歳まで無償で適切な公教育(Free and Appropriate Public Education)を受ける対象となります。この法律では個別の教育プログラム(Individualized Education Program) の策定も合わせて義務付けられました。

【「最少制約環境」における教育の提供】
また、障害のある子どもは「最少制約環境」(Least Restrictive Environment)で学ぶべきとされました。「最少制約環境」とは、障害のある子どもにとって制約が一番少ない場所、つまり通常学級です。基本的には可能な限り通常学級で学ぶことを前提としながらも、多様な教育の場の連続体を用意し、その時その子どもが学ぶべきことが学べる場を選択する仕組みになっています。

どのような子どもがどの場で学んでいるかについては、州や学校区によって異なります。学区よっては、「フル・インクルージョン」、つまりすべての子どもの籍が通常学級にある状態の学区もあります。一方で、たくさんの教育の場に細分化されている学区もあります。

【フル・インクルージョンと部分インクルージョン】
アメリカでは、1980年頃~1990年頃にかけて、インクルーシブ教育の議論が盛んにおこなわれました。それまでは、通常教育と特別教育(Special Education)が異なるものとして議論されがちたった点について、「学習に困難さを持つ子どもについて特別教育のみでなく、通常教育も責任を分かち合う形で改革を進めるべき」と議論がなされました。

その中で大きな論点となったのは、「フル・インクルージョン」と「部分インクルージョン」の考え方です。フル・インクルージョン派の人たちはどんなに重度の障害のある子どもも原則地域の学校に通うべき、と主張しました。異なる場での特別教育は認めず、通常学級におけるサポートのみを認めました。一方で、部分インクルージョン派は、通常学級におけるサポートつき教育を原点としながらも、通常学級以外の在籍も認め、漸次的にインクルーシブ教育は推進されるべき、との考え方でした。

いずれにしても、通常教育自体を改革することは必須とされました。その結果、通常教育で学ぶ障害のある児童生徒の割合は2011年時点で95%。通常学級で1日の80%以上を過ごす障害のある児童生徒の割合は61%となりました(National Center on Education Statistics, 2011)。

日本における「インクルーシブ教育システム」は、アメリカにおける「部分インクルージョン」を参考にしているとも捉えられるでしょう。すなわち、多様な教育の場の連続体を基本とし、可能な限り同じ場で過ごすことを追求しつつも、その子に必要な力を身につけられる場を選択できるといった考え方です。しかし、大きく異なる点は、アメリカでは「最少制約環境」として原則通常学級に在籍することが掲げられている一方、日本では「原則通常学級」との言葉はない点でしょう。

次回は現在のアメリカにおける「インクルーシブ教育」についてご紹介します。

参考文献:
洪淨淑(2005) A. がートナーとD.K.リプスキーにおける特殊教育批判とフル・インクルージョンの提唱. 心身障害学研究, 29, 79-97.
清水貞夫(1997)新たなメインストリーミング解釈としてのインクルージョンー合衆国でのインクルージョンー. 発達障害研究, 19(1), 1-11.
清水貞夫(1999) REI論争からインクルージョンへ 『転換期の障害児教育第6巻・世界の障害児教育/特別なニーズ教育』, 39-72.

【先生の声】学校の先生が考える「インクルーシブ教育」

学校の先生が考える「インクルーシブ教育」について書いていただきました!
夏にインクルーシブ教育の研修を受けてくださった丸岡先生からです。

【インクルーシブ教育、それは誰もが安心して受けることのできる教育】
大阪市立南恩加島小学校
教育サークルREDS大阪 代表
六甲SFCLUB 所属
丸岡 慎弥

インクルーシブ教育ってなんや!?これが私とインクルーシブ教育との出会いです。自分の所属しているサークル「六甲SFCLUB」で教育についてあれこれと議論している最中に出てきたこの「インクルーシブ教育」という言葉。そして「インクルーシブ教育って何だろう」って話しているうちに出てきた野口晃菜さんという方。

サークル会場の家主であるAさんが「じゃあインクルーシブ教育ってなんなのかまだまだ自分たちも知らないから、それに詳しい人を呼んで教えてもらおうよ」と話を切り出し、探求学習を探求しているBさんも「それいいね。やろうやろう」ってことに。

(おぉ、また新しいことをしれるなぁ)なんてのんきに構えていたら「じゃあマルコ(サークルでの丸岡の呼び名)発表してくれる?」と急に話が飛んできた!!「えぇ!?そもそもインクルーシブ教育この中で一番理解してないと思いますけど…」「それが逆にいいんじゃない。何も知らない人の実践がとれだけインクルーシブなのか聞いてみようよ。」

ということで、インクルーシブ教育を全く知らない私が野口さんの前で話をすることになってしまったのです…。「じゃあ言われた通りやってみよう。きっとたくさんのヒントがもらえるはず。それに参加者の方も同じようにそんなことを意識して実践をしていないかもしれないし。」そう開き直って素の実践を提案することにしました。

当日はあれこれと実践を発表しました。その中で「これすごくインクルーシブ!!」と野口さんにヒットしたものが!!!それは算数での予習でした。私は算数の宿題として予習を出しています。しかし、算数は特に理解に差がある教科なので、ある段階を示していたのです。「誰もが宿題に取り組めるようにするために」です。

宿題には3段階設けていました。
レベル1:絵や図で表す
レベル2:式や数で表す
レベル3:言葉で表す

これは算数ソフトの開発者横山験也先生に習った算数の理解の段階です。レベル1であれば、教科書を写すだけでできます。できる子は、問題を言葉で書いて説明するところまでやってきます。

この「選べる」という状況がインクルーシブだと野口さんは言うのです。自分は「予習っていってもできん子はなんもできんし、どうしよかな…」という気持ちから生まれたものだったのですが…。

当日野口さんから教えていただき「インクルーシブ教育とはだれもが安心して教育を受けることのできることだ」と自分で定義づけをしました。つまり、今までは無意識で学級担任としてやっていたことを、きちんと意識して「ほんまにみんな安心して学習してるかな?教室に入れてるかな?」って考えたらいいんだ!!!その日に野口さんに教えてもらったことでそう考えることができるようになりました。

自分にとってのインクルーシブ教育、それは「誰もが安心して受けることのできる教育」と考えています。2学期が始まり、いろいろなことが教室で起こり始めています。正直、今までは「まぁまぁ」とか言って流したり「やりなさい!!」なんて言って力づくで進めたり…。あったかもしれません。
これからは一人一人の困ったと向き合っていこうと思えた夏の研修会でした。

丸岡先生の実践発表は、本当に一人ひとりの学びを大切にされている発表でした。
子どもたちの能力や特性、学ぶスピードが一人ひとり異なる。40人いたらそんな全員の学びのスピードに合わせるのなんてむり!とよく言われます。もちろん限界はあると思います。が、丸岡先生のように、なるべく一人ひとりの多様な学びに合わせられるように工夫をされている先生もおられます。
既に実践されている素晴らしい実践。それをインクルーシブ教育の視点から言語化していくことは、より多くの子どもたちが過ごしやすい学校をつくっていく上でとても大切だと思います。(野口)
こちらのコーナーにて実践者として声を届けたい方は、ぜひ編集部までご連絡をください!

※今回以下コラムは休載となっております。
ご愛読いただいております皆さまには申し訳ございません。次回再開予定となります。
【連載】今日からできるインクルーシブ教育推進プログラム
【連載】一人ひとりに合わせた学びを―Leafの実践共有―

インクルーシブ教育中級者養成研修

第3回 2015年10月18日(日)
13:30~16:30(受付 13:00~)

学習面に困難さのある子どもへの支援

詳細・お申し込みはこちら

インクルーシブ教育リーダー養成研修

第5回 2015年10月25日(日)
10:00~17:00(受付 9:30~)

実現のために自分自身と向き合う
自分自身の理解をすることで、効果的に周りに働きかけるための力を身につける

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