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メルマガバックナンバー

LeafMagazine vol.8
2015.12.1

(この内容は2015年11月30日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

インクルーシブ教育に関する最新の事例・情報をお伝えします

秋もいよいよ終わり、冬の気配が色濃くなってきました。年末に向けくれぐれもお体お気をつけください。今回は、インクルーシブな教育を実現するためのご家庭との連携方法例、実際にクラス内でインクルーシブ教育を推進されている先生のストーリーをお送りします。

【連載】今日からできるインクルーシブ教育推進プログラムーLeafの実践共有―

このコーナーではLeafの実践を紹介しています。
ほとんどの子どもたちは週に1回Leafに来ています。週に1回50分授業を受けますが、その中だけでその子をサポートするには限界があります。そのため、Leafは多様な学校やその他機関と連携をしています。

インクルーシブ教育を実践に移すためには、各関係機関との連携が必要です。
「連携」と一言で言っても、どのようにしてそれを進めていけばよいでしょうか。
今回はLeafと学校と保護者で連携をする際のポイントを紹介します。

個別の指導計画を共に策定するー事前準備

学校では特別支援教育の対象となる子どもに対して個別の指導計画を策定することが推奨されています。Leafでは一人ひとりに個別の指導計画を策定していますが、可能であれば、この個別の指導計画を関係機関と共に策定することができると連携が進みます。

個別の指導計画を策定する会議において、関係者を集めます。
事前に準備するものは

・個別の指導計画のフォーマット(自治体や学校によって異なります)
・付箋
・会議の時間を決めておく(終了時間に必ず終了するようにする!)

です。

この際に大切なのが付箋。視覚支援は子どもだけでなく、大人にも有効なのです。
ホワイトボードや黒板でも良いでしょう。

また、このほかにも事前に関係者に「○○さんの個別の指導計画の策定会議までに、①今の課題 ②それに対して今後やっていきたい支援 を考えておいてください!」などと声かけをしておくのも有効です。

個別の指導計画を共に策定するー実際の会議

実際に会議を開催する時には、必ず時間を守るようにしましょう。
例えば1時間と決めたら必ず1時間で終わるように進行します。
以下は進め方の例です。

①保護者と子どもの願いを聞く
対象の子どもについて、その子の願いと保護者の願いを聞きましょう。それは長期的なものである方が良いです。これは抽象的であっても構いません。付箋に書きましょう。
例:自立してほしい、仕事についてほしい、自分で生活できるようになってほしい など

②長期目標を立てる
その後に、その願いを実現する上で現状難しいと考える課題や、この1年(ないしは半年)でできそうなこと、試してみたいことを書きましょう。多くても良いです。付箋に一つずつアイディアを書いて、そのあとに優先順位を決めます。大体の場合、3つぐらいの長期目標の設定がちょうどよいでしょう。(子どもや状況に合わせて多くても少なくても良いです)

③短期目標を立てる
長期目標を決めたら、その長期目標を実現するための短期目標を立てましょう。大体の場合、長期目標が1年を目安に、短期目標は1学期(3~4カ月)を目安にします。ステップを分けても良いし、ヒントや援助を減らしていく形でも良いです。

④各機関が担える役割(手立て)を考える
短期目標を達成するために、各立場(学校・家庭・関係機関)が担う役割分担をしましょう。それぞれの立場の強みを生かしましょう。例えば、通常学級に在籍する子どもだったら、個別の対応においてPDCAをまわすことがなかなか難しい場合が多いので、まずは家や学校で有効な手立てを見つけたら、学校で実施するなどの役割分担が考えられます。

子どもを中心とした対等な立場

連携をする際に大切なのは、「上下関係」や「依存関係」にならないことです。あくまでも中心は子どもであり、その子にとってのサポートは何が良いのか、全員でアイディアを出し合う必要があります。大人たちが責め合いや対立になってしまったら、一番迷惑がかかるのは子どもです。そうならないためにも、お互いの思いを尊重し合い、対等な立場として連携を進めましょう。

【連載】先生のインクルーシブ教育実践ストーリー

「インクルーシブ教育は楽しい」

神奈川県茅ヶ崎市立梅田小学校 石井康友

私が考えるインクルーシブ教育の定義はこうです。

「1人1人が幸せ・笑顔になる教育」

こんな適当で抽象的な文にしてしまって、インクルーシブ教育について一生懸命研究している方々には大変申し訳ないと思います。しかし、学校教育の主役はあくまで子どもです。どんなに崇高な考えも「目の前」の子どもが幸せ・笑顔にならなければ全く意味がありません。教師や研究者だけが「私の考えすごいでしょ」と自己満足するのではなく、子どもたち自身がインクルーシブ教育というものを考えたときにイメージしやすい定義は何なのか? そう考えた結果がこの定義なのです。

さて、この定義によるインクルーシブ教育を、私自身どのような実践で追い求めたということをこれから紹介したいと思いますが、その前にもう1つ伝えたいことがあります。

インクルーシブ教育にはゴールも正解もない、ということです。

このことをよく「インクルーシブ教育はプロセスである」と表現されます。
はじめてこの言葉を聞いたとき、なんともインクルーシブ教育とは「永遠に終わりのない茨の道」のようなものだと思っていました。しかし、今は違います。ゴールや正解がないということは、むしろどこまでも「成長・進化し続けられる」という、ポジティブな意味で捉えられるようになりました。私はこの発想の転換ができてから、目の前の子どもたちに合わせて柔軟に実践を変えることができ、日々の教育実践がとても楽しくなっていきました。

これから伝えることは、私自身が目の前の子どもたちと日々真剣に向き合う中で生まれた実践です。しかし、それこそ「まだまだ成長段階」の実践です。たくさんのご意見をいただけたら幸いです。

と言いつつ、私の実践は何も特別なことをしているわけではありません。『学び合い』、プロジェクト・アドベンチャー(以下PA)、振り返りジャーナルなど、熱心な先生方なら既にご存知で、また実践されている方も多いかと思います。教材もほぼ教科書で、授業の進度も学年に揃えます。一斉授業もやります。1人1台iPadがあるわけでもありません。つまり、どこにでもある普通のクラスなのです。
しかし、強いて言えば、ほんの少しだけ「もの、時間、場所、ヒト」という「学びのインフラ」が充実しているのではないかと思います。そして、これらの充実が私が考えるインクルーシブ教育の「源」なのです。

数ヶ月前、クラスの子どもたちからこんな声が出てきました。

「学級文庫の本を借りたい人が多い。でも、勝手に借りたら誰が何の本を借りたのかわからなくなってしまう。だから、借りた本をみんながわかるように、本の貸出表を作ろう!」

自分たちで課題を見つけ、自分たちで解決していく。ここ最近、このような場面がたくさん生まれてきています。教師の想像を超え始め、自分たちでクラスをよくしよう・盛り上げよう・楽しくしようと意識が高まっています。1人1人が幸せ・笑顔になるために一生懸命頑張っています。
しかし、先ほどの学級文庫の貸出表を作る件において、

もし、せっかく作ろうと思っても、教室に「紙」や「ペン」がなかったらどうでしょうか?
もし、アイデアが浮かび、作る道具もあるのに「時間」がなかったらどうでしょうか?
もし、貸出表が完成したのにそれを貼る「場所」がなかったらどうでしょうか?
もし、完成した貸出表に対して「そんなの勝手に作るなよ!」という雰囲気がクラスにあったらでしょうでしょうか?

このように「もの、時間、場所、ヒト」という「学びのインフラ」が充実していないと、せっかく生まれた子どもたちの情熱やイノベーションの炎は消えていきます。逆に、これらを充実させることによって、子どもたちは安心してどこまでも創造性を膨らませ、活躍する場が増えていきます。

私のクラスでは画用紙やペンなどをいつでも自由に使えるようにしています。そして、「毎日最低10分」は子どもたちが自由に使える時間(基本は朝自習の時間)をとっています。教室の壁は子どもたちが自由に使えるスペースを多くとっています。日々の授業では『学び合い』やPAでお互いを認め合い、豊かな人間関係を築いていきます。もちろん、豊かな人間関係は子どもたち同士だけではありません。教師と子どもたちとの関係もとても大切にしています。

私自身は「どのような存在」として、子どもたちと接するのかを大切にしています。具体的には、子どもたちのよきパートナーとして「どんなアイデア」でも一緒に楽しみ、とことん付き合うことを心掛けています。正直、くだらないと思えるアイデアも時にはあります。でも、その場合は自分の価値観の方を疑い、絶対に否定しません。もっとよくするにはどうすればいいのか一緒に考えます。また「先生、◯◯してください」と頼まれたときには、「後でね」と言わず、どんなに面倒くさいと思ってもすぐにやってあげます。(私たちもある書類を管理職に提出し、すぐチェックしてくれると「忙しいのに、わざわざ自分に対する優先順位を高くしてくれた」と、その管理職を信頼しようと思うものです。子どもたちも同じだと思います)子どもたちは、自分のアイデアを先生は大切にしてくれていると思ったときに担任を信頼し、今後もどんどん新たなアイデアを生み出していくのだと思います。

ほんの数日前に、掃除の時間に教室担当の子が全部ほうきを使ってしまい、廊下のほうきが1つもないというトラブルが起きてしまいました。でも、公平に使えるように、その後、教室用・廊下用と分けて印を付けてくれた子がいました。
算数が苦手な子に解き方を教えてあげるために、休み時間や宿題で教科書の先のページを予習している子がいました。
福祉体験で講師をしてくれた目が見えない方に「お礼を点字で贈ってあげよう!」と、一生懸命点字を学び、実際にメッセージを贈ることができました。
現在は社会と総合で学んだ環境問題について、「地域で取り組めることはないのか」「もっと校内や校外へ発信できないか」と計画中です。

このように、はじめは本の貸出票のような小さなことでも、教師と子どもたちで協力し継続していけば、クラスを超え、学校を超え、地域を超え、多くの人を幸せ・笑顔にできる実践が生まれていきます。もちろん、子どもたちのアイデアは時には沈没し、時には失敗します。しかし、失敗をみんなで振り返ることによって、より磨きがかかり、常に成長し続けることができます。このような経験をした子どもたちは将来大人になったときにどのような社会を築いてくれるのか?今からとてもワクワクしています。本当にインクルーシブな社会を築いてくれるのかもしれません。確認しますが、その一歩としては教室のほんの少しのアイデアから始まり、さらにそれを生み出すためには、「もの、時間、場所、ヒト」という「学びのインフラ」を充実させることが大切だと私は思います。

(この内容は2015年11月30日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

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