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メルマガバックナンバー

LeafMagazine vol.9
2016.5.27

(この内容は2015年12月24日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

インクルーシブ教育に関する最新の事例・情報をお伝えします

今年も残すところあとわずかとなりました。さまざまな機会が一段と増えるこの時期、体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。本稿では、好評いただいているLeafでの実践共有・インクルーシブ実践、推進いただいている先生方のストーリー共有をお届けします。

【連載】今日からできるインクルーシブ教育実践―Leafの実践共有―

8回にわたり、Leafにおける基本的なアプローチ方法についてご紹介をしてきました。
今回から、具体的な事例を基に、より具体的なアプローチ方法をご紹介します。
※個人情報保護のため、一部情報を加工しています。

【子どもの様子】
・小学校3年生 男児
・特別支援学級在籍
・抽象的な概念の理解が困難
・パターンで学習することが得意
とてもシャイなAくん。決してお話をすることが嫌いではなく、慣れるとどんどんお話をしてくれますが、とっさに言葉を探して伝えることが難しいため、視覚的な補助が非常に有効です。ひらがなを読むことができ、保護者とのお話の中では、「自分で時間を見て行動できるようになってほしい」「基本的な読み書き算の力を身につけてほしい」とのニーズがありました。

【長期目標】
・スケジュールを見て行動することができる。
・困った時に自分から他者に助けを求めることができる。
・生活に必要な読み書き算数の力を身につけることができる。(時計・お金を中心に)
【指導の様子】
・スケジュールを見て行動することができる
スケジュールを一緒に組み立て、スケジュールを見ながら活動することを学びます。
活動内容のみ事前に決めておき、どの順番で授業を進めたいか、一緒に決めた後に、そのスケジュールをホワイトボードに書いておきます。一つ活動が終わると一緒にホワイトボードを見て、「次はなんだろう?」と聞きます。
これができるようになったら、自立学習の時間を作り、自らスケジュール通りに活動をする練習をします。さらにこれができるようになったら、お家での自立学習を実施します。

・困った時に自分から他者に助けを求めることができる
困った時用にリマインダーとして「手伝って」カードを用意しました。
事前に「困った時は手つだってと言うんだよ」と確認をし、授業の際に机の上に置き、Aくんが困った表情の時にそのカードを指さし、「手伝って」の言葉を促します。
できるようになった後は、お家でも同じように「手つだって」の言葉を促していただきます。今では困った時にカードがなくても自発的に「手つだって」を言えるようになりました。

・生活に必要な読み書き算の力を身につけることができる。
まずは「時計」の読み方を覚えるところから授業が始まりました。
概念と一緒に時計を学ぶことは困難であるため、まずはパターンで時計を読めるようにします。
Aくんは視覚的な手掛かりをもとにパターンで覚えることが得意なので、ある時間を示している時計の絵カードを使い、そこに短いはり、長い針の順に指をさす動作と連動させ、時間を言う練習をしました。すると、「○時ちょうど」はすぐに覚えることができました。
短い針が間に来る時間は難しいため、色分けした時計の絵を活用し、同じように動作と音声と時間を結び付けて覚えることを繰り返し実施しました。
また、時計の概念を覚えることはとても難しいため、Leaf・家両方でまずは時計を毎回意識するような環境を整えました。Leafについたら必ず先生が動作と一緒に「Aくん、今は○時○分だね」と確認をしました。おなじように保護者の方にも協力をいただき、朝ごはんの時、学校に行く時、学校から帰る時、おやつの時、夜ごはんの時、などの際に、「はじめは分からなくてもよいので一緒に時計を確認してください」とお願いをしました。
このような指導を半年実施した結果、A君は1分単位で読めるようになり、毎日時計を見て活動をすることができるようになりました。
今ではLeafに来るたびに自発的に時計を見て、「○時○分」と確認し、活動の合間にも時計を見ながら活動をすることができるようになりました。

Aくんのように、抽象的な概念の理解が難しい方は、パターンで学習するのみでなく、日常生活と結び付けて覚える機会をなるべくたくさん作ることがとても有効です。

【連載】先生のインクルーシブ教育実践ストーリー

今回は先日筆者が訪問してきた北海道札幌公立小学校の通常学級教員である大野先生の実践についてご紹介します。
小学校5年生の学級を、4時間目、お昼、5時間目と見学させていただきました。

大野先生の実践は、学級の子どもたちに合わせた工夫にあふれています。

すべての子どもが学びに、活動にアクセスするための「できる」「わかる」工夫。
それは学びのユニバーサルデザインで言うところの「提示方法の工夫」「表現方法の工夫」「取り組み方の工夫」であり、失敗体験が多くなりすぎないような工夫 (予防的介入)がたくさん実施されています。

例えば、給食の準備や掃除の工夫。
給食準備や掃除の時間は、一人ひとりの役割が可視化されています。
子どもたちはやるべきことが明確なので、迷うことなく取りかかることができます。
「自分でできるようになるべき」と考える方も中にはいるでしょう。
一方で、毎日やるべきことであっても、それを覚えることが困難な子どもたちもいます。
その集団に合わせて提示方法を工夫されていることが分かります。

算数の時間では、やるべき課題のみ提示、あとは個々で自分のスピードで進める授業スタイルです。
はじめに子どもたちが自分でノートに目標設定をした上で進めていきます。
分からない時は他の人に聞くことを当たり前な文化が定着しています。そこに「優劣」はありません。つまり、そもそも誰もが異なるスピードで学ぶこと、得意不得意が誰でもあることが前提となっている学級文化です。
先生は子どもたちの様子を巡回しながら見て、困難さの顕著な人たちのみ集め黒板前で説明したりします。それでも難しい子どもには個々でフォローをします。
40人近くの多様な子どもたちがいる中で、それぞれのニーズに最大限応えられるような授業スタイルです。
「40人いたら個別的なニーズに応えるのは難しい」ということを覆すような実践でした。
最後には一人ひとりが目標に対する振り返りをノートに記述します。

試行錯誤の連続であることが実践を通して見えてきました。
大野先生は子どもたちの反応をみながら、やり方を変えています。
ここは緩めるべきか、伝えるべきか。この子どもたちにはどこまでを求めるか。
一人ひとりの今のコップ(キャパシティ)の大きさはどのくらいだろう。
そして子どもたちがわからないことを絶対子どもたちのせいにしないところがとても素敵です。
ただ「子どもたちに合わせている」だけではなく、大野先生自身の強みやこだわり、教育観が根幹にあることも見てとれます。
例えば、帰りの時間には帰りの会の代わりにみんなの好きな歌を歌います。
良いところを探し合うお手紙を毎週お互いに書き合う実践もされています。

ご自身の強みを生かしながら、かつ葛藤をしながら、毎日子どもと向き合っておられる大野先生の実践は、本当にインクルーシブな実践でした。

次回は高校の先生の実践紹介をします。

※今回以下コラムは休載となっております。
ご愛読いただいております皆さまには申し訳ございません。次回再開予定となります。
【連載】インクルーシブ教育を考える

インクルーシブ教育実践発表会

2016年1月24日(日)
10:00~17:00(受付 9:30~)
今までの実践及び今後のアクションプランについて外部の方を招きプレゼンテーションをおこなう。

インクルーシブ教育実現のアクションプランを考えよう

2016年2月7日(日)
14:00~17:30
インクルーシブ教育に関する基礎知識を共有し、学校現場の先生方からインクルーシブ教育の実践発表をいただきます。その後、参加者ご自身の実践と結び付けながら、共に実践についてのプロセスを考えます。
最終的には、実現のための課題リストを作成し、各参加者が実行できるアクションプランまで共に考えます。

インクルーシブ教育中級者養成研修

2016年2月28日(日)
13:30~16:30(受付 13:00~)
多様な子どもの学びを大切にするインクルーシブ教育とは?

(この内容は2015年12月24日配信メールマガジン「Leafマガジン」のバックナンバーになります。)

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