赤ちゃんの指さしはいつから?種類や意味、促し方を解説します

赤ちゃんは、言葉を話しはじめるより前に「指さし」をしはじめることが知られています。しかし、「赤ちゃんがなかなか指さしをしない」と心配されている保護者の方もいるのではないでしょうか。

 

赤ちゃんの指さしは、言葉を話しはじめる前のコミュニケーション手段の一つであるとされます。赤ちゃんが指さしをしはじめるようになっても、その意味は常に同じではなく、赤ちゃんの成長とともに指さしの持つ意味が変わっていくと考えられています。

 

この記事では、赤ちゃんが指さしをはじめる時期の目安や、指さしの種類、指さしを促す方法、なかなか指さしが出ないときの相談先など、赤ちゃんの指さしにまつわる疑問について解説していきます。

赤ちゃんの指さしはいつから?

赤ちゃんの指さしはいつから?

赤ちゃんは、生まれて間もないころはほとんどの時間、手を握って過ごします。

 

個人差はありますが、やがて生後9〜15週ぐらいから、人差し指のみを立てる「指さし」のような動きをすることがあります。この時期の「指さし」には、まだコミュニケーションとしての意味はなく、人差し指を伸ばす「指立て」とも言えるような行為だと考えられています。

 

自分の興味のあるものを指で差し示す「コミュニケーション」としての意味をもつ指さしは、一般的に生後10ヶ月ごろからみられるとされています。

 

ただし、赤ちゃんが指さしをはじめる時期には個人差があり、一般に言われている時期とは違う時期に指さしをはじめる赤ちゃんもいます。

赤ちゃんの指さしには種類がある

赤ちゃんの指さしには種類がある

赤ちゃんが言葉を話しはじめる前の1歳半ごろまでの時期には、ノンバーバル(非言語)な社会性の土台がどんどん発達していくといわれています。

 

例えば、生後10ヶ月前の時期に赤ちゃんに微笑みかけると微笑み返したり、11ヶ月〜12ヶ月ごろの時期であれば大人の注意をさかんに引こうとするなどの行為が現れてくると考えられています。

 

そして指さしも、ノンバーバルな社会性の土台の発達の過程で現れてくる行為のひとつです。さらに指さしは、成長に応じて、コミュニケーションとしての意味や目的が変わっていくとされています。

 

ここでは、赤ちゃんがする指さしの意味や目的を、月齢別に説明します。ただし、ここで示されている指さしの月齢はあくまでも目安であり、赤ちゃんによって異なる場合があります。

指さしの理解(10ヶ月ごろ)

この時期には、大人の指さした方向や視線の方向を追って、同じ方向を見ることができるようになってきます。まだ大まかな方向ぐらいですが、12ヶ月を過ぎてくると、視野内であれば指差されたものと同じものを見ることができるようになります。

 

このように、注意を向ける対象を大人と赤ちゃんで共有できることを「共同注意」と呼びます。

 

それまでは「自分と他者」または「自分と対象物」という、二者のみの交流関係である「二項関係」の中にいた赤ちゃんは、この時期に、他者と関心を共有する対象物にも注意が向くようになります。自分と他人と対象物の3つの間の関係になるので「三項関係」と呼ばれます。

 

例えば、母親が車を指さして「あそこにブーブーがいるよ」と言うと、赤ちゃんは母親が指さした方向を見たり、自分も車の方向を指さしたりします。このとき、「母親」「赤ちゃん」「車」という三者の関係の認識が、母親と赤ちゃんの間で共有されていることになります。

叙述の指さし(12ヶ月ごろ)

自分が見つけた物を身近な大人に知らせて、共感してもらうためにおこなう指さしです。「場所を定める」という意味で「定位の指さし」と呼ばれたり、「共感の指さし」「感動の指さし」などと呼ばれることもあります。

 

「声を出して、指さしをする」など、複数の伝達手段を組み合わせて使いはじめるのもこの時期です。

要求の指さし(1歳2ヶ月ごろ)

自分の欲しい物や、行きたい方向などを指さして、相手に知らせる行動です。言葉を話す代わりに、指さしをして自分の要求を伝えようとします。

 

また、指を差しながら声を出して要求するなどの行為も見られます。

応答の指さし(1歳6ヶ月ごろ)

大人からの質問に対し、物や方向などを指さして答える行動で、指さし行動の完成形であると考えられています。母親が「ママのお鼻はどれ?」と聞くと、赤ちゃんが母親の鼻を指差すような場合です。

 

この指さしは、赤ちゃんと大人との間で、双方向のコミュニケーションが基本的に成立していることを意味します。

赤ちゃんの指さしを促す方法は?

赤ちゃんの指さしを促す方法は?

赤ちゃんは、月齢が進むにつれて大人とのやりとりが始まり、社会性が発達していく中で指さしをするようになると考えられています。

 

しかし、なかなか子どもが指さしをしなかったり、指さしをすることが少ないということもあるかもしれません。

そのようなときに推奨されている指さしを促すための方法をご紹介します。

親が指さしをしつつ声かけをする

赤ちゃんが指さしをしたくなるような状況を作ってみましょう。

 

例えば、ある物を大人が指さしながら、赤ちゃんに「見てごらん」「きれいだね」などと話しかけ、赤ちゃんの注意が物へと向くように促します。

 

また、赤ちゃんに「選んでもらう」ことも、指さしによる意思表示を促します。例えば、手が届かない場所にリンゴとみかん、レモンを置き、「レモンはどれ?」と物の名前をたずねて、赤ちゃんが指さしで答えるように促します。

 

うまく指さしができなくても、手を伸ばそうとしたら、大人が手を添えて指さしの形をつくり、レモンをツンツンと触らせてあげてください。

指さしをしたときには、大人が積極的に反応する

赤ちゃんが指さしをしたときには、大人が積極的に反応してあげましょう。

 

「本当だね、電車がいるね。よく教えてくれたね」などと褒めたり、指さした物を使ってしばらく一緒に遊ぶなどして、「指さし」という行動と「楽しい経験」とを関連づけます。

 

赤ちゃんの共感能力や「共有したい」という気持ちが高まっていくと、赤ちゃんは要求を伝える方法や、意思を伝える方法として指さしを利用しはじめると考えられています。

 

赤ちゃんの指さし行為を大人が積極的に受けとめ、さらに指さしをするように誘導していくことで、赤ちゃんが、他者とのコミュニケーションを楽しむきっかけをつくっていくといいでしょう。

人とのコミュニケーションを促す

もし赤ちゃんがテレビや動画などを長時間観ているようであれば、視聴時間を減らし、人とのコミュニケーションの機会を増やしてみましょう。

 

赤ちゃんにテレビや動画を観せすぎると、コミュニケーション能力の獲得に影響が出る可能性があるともいわれています。可能な範囲でテレビや動画の視聴は減らし、赤ちゃんとコミュニケーションをとることで、赤ちゃんの「コミュニケーションをとりたい気持ち」をはぐくんでいくことが、指さしを促すことにもつながります。

赤ちゃんの発育に関する相談先

赤ちゃんの発育に関する相談先

赤ちゃんの発育には個人差があり、一般に言われているよりも遅い時期に指さしをはじめる赤ちゃんもいます。しかし、赤ちゃんがなかなか指さしをしないことに不安や悩みがある場合は、以下のような機関に相談してみてもいいでしょう。

保健所・保健センター

乳幼児健診のほか、育児相談もおこなっています。来所相談だけでなく、電話相談や家庭訪問も行っている場合もあります。

地域子育て支援センター

市区町村などが実施している事業で、保育所や認定こども園、児童館や公共施設などが「地域子育て支援ステーション」に指定されています。

 

子育て講座などが開催されているほか、保育士や看護師などによる子育て相談も行っています。

児童相談所

児童福祉法に基づいて設置される行政機関で、18歳未満の子どもに関する相談の総合的な窓口です。医師や保健師などの専門知識を備えたスタッフが相談にのってくれます。

医療機関

医療機関に相談してみたい場合は、まず小児科に相談してみるといいでしょう。

 

「病気でないと、受診してはいけないのでは」と思うかもしれませんが、育児相談を行っている小児科も多くあります。必要な場合は、より専門性の高い機関につないでくれるでしょう。

赤ちゃんの指さしについてまとめ

赤ちゃんの指さしについてまとめ

個人差はありますが、赤ちゃんは一般に、生後9〜10ヶ月ごろから指さしをはじめるとされています。このような指さしを通じて、関心を共有したり、要求したり、何かを伝えたりと、言葉に先立つ、さまざまなコミュニケーションが生じてきます。そして同じ指さしでも、成長に応じてその意味や目的は変わっていきます。

 

指さしを促すには、赤ちゃんが指さしをしたくなるような状況を作ったり、指さしをしたときに大人が積極的に反応することなどが役立つとされています。

 

赤ちゃんがなかなか指さしをしない場合でも、発育には個人差があることを覚えていてください。しかし不安や悩みがある場合は、専門機関に相談して適切なアドバイスを受けるといいでしょう。