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知的障害とは?特徴や原因、診断について

知的障害とは

知的障害とは、発達期(幼少期から青年期)に生じ、読み書きや数学、論理的思考、知識や問題解決といった概念的領域、対人コミュニケーションや社会的判断、自己制御などの社会的領域、金銭管理や行動の管理などの実用的領域という、3つの領域における知的機能と適応機能の双方に明らかな制約が見られることで特徴づけられる障害です(DSM-5, 2014)。
最新の診断基準である『DSM-5』(精神疾患の診断・統計マニュアル)」では、知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)に診断名が変更されましたが、現在も知的障害という名称が世間一般的によく使われており、また知的障害者福祉法といった法律もあるために、知的障害という表記を用います。
前述のとおり、知的障害という用語は、複数の法律に記載があるのですが、具体的に何をもって知的障害とするのかに関する法的な規定は現時点でありません。そのため前述の医学的な定義が用いられることが多いのですが、例えば教育の分野では、「知的障害とは、記憶、推理、判断などの知的機能の発達に有意な遅れが見られ、社会生活などへの適応が難しい状態」といった定義が用いられています(文部科学省)。
また、発達期や発達の過程で明らかになるために、『DSM-5』などでは、神経発達障害というカテゴリに含まれていますが、法律上の発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(発達障害者支援法)とされており、知的障害は含まれていません。

知的障害の診断と判断基準

知的障害の判断基準

知的障害については、医学的な診断としての知的障害と、療育手帳の交付など福祉的支援の対象としての知的障害の2つがあります。
医学的な基準において知的障害は、全般的知能の障害と、日常の適応機能の障害によって特徴づけられます。
知的機能は、一般的には知能検査により評価され、平均から2標準偏差より低い(IQ得点では65-75)ことが一つの目安となります。従来は、IQの基準が重視されていたのですが、IQが必ずしも社会生活上の困難と結びつかない場合があることから、現在の診断基準(DSM-5)においては、概念的領域(記憶・言語・読字書字・数学的思考・問題解決・新規場面での判断など)、社会的領域(対人的コミュニケーション・社会的な判断など)、および実用的領域(セルフケア、金銭管理、行動管理など)における適応機能が重視されています。
適応機能は臨床評価および標準化された評価尺度により評価され、少なくとも1つの領域での障害が著しく、適切な行動をとるために継続的な支援が必要である場合に診断基準を満たすとされています。また、知的障害の重症度も上記3つの領域の状態によって、軽度・中等度・重度・最重度の4段階で特定されます。ただし、小児期の早期でそれらの評価が難しい場合には、全般性発達遅延と診断される場合もあります。
福祉的な判断については、「療育手帳制度について(昭和48年9月27日厚生省発児第156号厚生事務次官通知)」に基づいて、児童相談所、または知的障害者厚生施設などにおいて判定がなされます。判定がなされたものについては、療育手帳が交付され、障害福祉サービスを受けることができます。その際の判定基準や手帳の名称については、交付する自治体によって異なっています。また、定期的に再判定がおこなわれます。

知的障害と併発しやすい疾患

知的障害においては、ADHDや自閉症などの発達障害や、抑うつや双極性障害、不安障害などの精神疾患を併発しているケースが多いことも報告されています(DSM-5)。しかし、知的障害の特性からそれらの併発に気がつかれにくい場合もあるので、注意が必要です。

知的障害によく見られる行動リスト

  • 学習技能を身につけることが難しい

    学齢期の子どもや成人では、年齢相応に期待される読字・書字・算数などの学習技能の習得が難しく、支援が必要な場合が多くあります。
    ただし、困難が読み書き算数などに限定される場合、学習障害の可能性もありますので、注意が必要です。

  • 柔軟に考え、物事に対処することが難しい

    抽象的思考や実行機能、短期記憶の苦手さにより、計画を立てたり、優先順位をつけることが難しく、問題の解決に固定化された方法でしか対処できないことがあります。

  • コミュニケーションが難しい

    言語的なコミュニケーションが難しかったり、仲間の意図を正確に理解することが難しい場合があります。こちらもコミュニケーション面特定的に困難な場合には、コミュニケーション障害や自閉症スペクトラム障害の可能性もありますので、注意が必要です。

  • 行動のコントロールが難しい

    年齢に応じた方法で気持ちや自分の行動をコントロールすることが難しく、未熟であるように見られる場合があります。こちらも、衝動のコントロール面特定的に困難な場合には、ADHDなどの可能性もありますので、注意が必要です。

  • 食事や身支度など、身の回りのことの自立に時間がかかる

    同年代と比べて、複雑な日常生活上の課題には支援が必要であったり、自立するには長期的な支援が必要である場合があります。

※リストは行動の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。

知的障害の症状と特徴

知的障害の程度

知的障害の程度は、前述のとおり、概念的領域、社会的領域、実用的領域の3つの領域の状態によって、軽度・中等度・重度・最重度の4段階で特定されます。

知的障害の程度別に見られる特徴

軽度の場合、概念的領域では、読み書き計算や、時間、金銭などにおいて、年齢相応の水準を満たすのに支援を必要としたり、抽象的な思考が難しかったりする様子が見られるとされています。そのため、中学年以降授業についていくことが難しくなるケースなどもあります。社会的領域では、コミュニケーションや会話、言語が年齢相応よりも未熟であったり、パターン化されていたり、気持ちや行動のコントロールの苦手さが見られたりします。実用的な領域では、日常生活の複雑な課題において支援を必要とする様子が見られるかもしれませんが、ある程度こなせることも多くそのために周囲からは、怠けている、がんばればできるといった評価をされているケースも見られます。そのような場合、その負担から不登校や無気力などの二次的な障害につながってしまうこともあります。
中等度の場合には、幼児期の早い時期から言葉の遅れが見られたり、就学後も学習についていくことが困難な様子などが見られるとされています。成人後も小学校ぐらいの精神年齢にとどまることから、かなり早い時期から周囲にその困難が気づかれることが多いでしょう。
重度の場合には、発達の初期から、運動面、言語面の発達の遅れから気づかれ、専門家の支援や特別支援教育の必要性が高くなります。成人後の精神年齢も3から6歳相当と見込まれており、生涯を通じて、食事や身支度などの生活上の活動について支援が必要な場合が多いようです。
最重度では、言語、運動面の発達に著しい遅れなどが見られます。生活面のかなり多くの領域で支援を必要とし、重い身体障害やてんかん発作などを伴う場合もあります。

知的障害の原因

出生前に生じる要因と出生後に生じる要因について

知的障害の要因は大きく3つに大別することができます。
1つ目は特に基礎疾患が見られないケースで、突発的要因(本田, 2018)や、生理的要因と呼ばれます。
2つ目は先天的な要因(出生前に生じる要因)で、先天性の代謝異常(フェニルケトン尿症など)や出産前後の感染症、中毒や染色体異常(ダウン症など)といった出産前に生じる先天性の異常が原因になる場合です。先天性の代謝異常の場合には、新生児の時期のスクリーニング検査により早期発見が可能であり、その場合には、投薬(先天性甲状腺機能低下症など)や食事療法(フェニルケトン尿症など)による治療が可能な場合もあります。
3つ目は、後天的な要因(出生後に生じる要因)で、外傷性の脳挫傷やけいれん性疾患、感染症などが挙げられます。例えば日本脳炎や結核性髄膜炎、ポリオ、麻疹、百日咳などに感染し重篤化して脳炎になると知的障害を引き起こす場合があります。これらは、予防接種により感染の危険を減らすことができます。また乳幼児期に栄養不足だったり、不適切な養育環境に置かれることで脳の発達が遅れることもあります。

知的障害は遺伝する?

知的障害が遺伝するのか?については、知的障害の原因はさまざまですので、上記のように遺伝を原因としない場合もあります。まれに脆弱X症候群などの単一遺伝疾患など、原因となる遺伝子が親から子に伝わることで知的障害が発症する場合もあります。
ただ、親が知的障害の素因を持っていたとしても、それが必ず遺伝するわけではありませんし、遺伝しても必ず発現するとも限りません。つまり親が知的障害だからといって必ず子どもが知的障害になるわけではないのです。
また、遺伝子の変異は誰にでも起こりうるものですし、遺伝性疾患のほとんどは正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことによります。

知的障害のあるお子さまとの接し方

  • 1本人の願いや思いを中心にサポートする

    年齢や障害の程度に関わらず、本人の願いや思いを中心に置き、本人の幸せの実現をサポートしましょう。

  • 2わかりやすく伝える

    本人が自分で判断し行動するためには、その人にわかる方法でつたえることが大切です。短く簡単な言葉でゆっくりと伝える、写真や絵を合わせて使いイメージを共有するなどの工夫をしましょう。

  • 3生活に密着した内容を重視する

    抽象的な理解が難しく、経験した内容から理解することのほうが得意です。例えば実生活につながりやすいよう、より生活に密着した内容から学びのサポートをおこないましょう。

  • 4困った行動には予防的な対応を

    困った行動をとらなくて済むように、ルールや対処法をわかりやすく事前に伝えておくなどの予防的な対応をとりましょう。

※リストは接し方の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。

※2013年に改訂されたアメリカ精神医学会の「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」では、知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)に診断名が変更されましたが、現在も知的障害という名称が世間一般的によく使われているため、本記事でも知的障害という名称を使用しています。

【参考資料】

*書籍
『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』日本精神神経学会/監修、医学書院/刊
『DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』日本精神神経学会/監修、医学書院/刊
『ICD-10 精神および行動の障害』医学書院/刊
『標準精神医学第7版』医学書院/刊

監修者:LITALICOジュニア・LITALICO発達ナビ チーフスーパーバイザー/博士(心理学)・公認心理師 菅佐原洋

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