「不登校で学校にいけていない」「子どもの将来を考えた時に何がベストなんだろう」など、子どもの進路についてどうすればいいのか悩まれる方は多いのではないかと思います。
子どもの進路は、状況にあわせて、様々な選択肢を検討する必要があります。その選択肢のひとつとして通信制高校があります。
しかし、「通信制高校で大丈夫なのだろうか?」「学費はどれくらい?」とわからないことも多いと思います。
この記事では、通信制高校について情報をまとめています。子どもの進路選択の参考にしてみてください。
通信制高校とはどんな学校?
通信制高校とは、通信手段を通じておこなう高等学校教育です。
通信制高校は、教育の機会を提供するひとつとして戦後に制度化されました。全日制高校や定時制高校と違って、通信手段を主体として、自宅でも学習を進められることが特徴です。
現在では、対人関係に問題を抱えて不登校になったり、障害や病気によって通学することが困難など、様々な理由で通信制高校に通っている子どもがいます。
通信制高校とは?
通信制高校とは基本的に通信を用いて遠隔で授業を進める高校ですが、その多くが1~3年などの学年制ではなく、単位制を採用しています。
個人個人で卒業までに必要な単位を取得すればいいため、自分のペースで学習を進めていくことが出来るという特徴があります。
通信制高校の授業スタイル
通信制高校では登校して授業を受けることはほとんどなく、配信される授業を元に学習を進めていき、レポート・スクーリング・テストなどの結果で単位を取得していくというスタイルを取っています。
レポートの提出方法は学校によってさまざまで、郵送や通学した際に提出するなど紙ベースの方法もありますが、最近は通信制高校の専用Webサイトで提出するスタイルも増えてきています。
レポートを提出するにあたっては、教科書や動画などで配信される授業で学習をしていくことが求められますので、まずはしっかり勉強していくことが大切です。
こういった授業スタイルは通信制高校の大きな特徴となっています。自分で学習を進めていくことが得意な方にはメリットといえますし、一人では進めづらいという方にはデメリットと言えるでしょう。
また、登校することは少ないですが、スクーリングと呼ばれる校舎に登校して学習を進める機会もあります。
スクーリングの頻度は通信制高校によって様々ですが、インターネットなどの多様なメディアを活用した場合にはスクーリングを一部免除出来ることとなっているため、インターネットなどを駆使している通信制高校の方がスクーリングの回数は少ない可能性があります。
レポート、スクーリングともに科目毎に最低限必要な回数が高等学校学習指導要領によって定められています。
レポートとスクーリングをクリアすると最後にテストがあります。全日制高校のように学期毎に中間テスト、期末テストはありませんが、学習した内容が身についているかどうか、年に1〜2回のテストがあります。
テストは現状ではスクーリング同様に、学校に登校して受けることが多いようです。
しかし、文部科学省が出している「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」では、以下のように記載があります。
コンピュータやタブレ ット端末等を用いてオンラインでの試験等を実施する場合であっても、確実な本人確認や不正行為防止の仕組みを構築するなど、実施校の適切な監督下で実施すること
引用:文部科学省「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」
つまり今後、自宅でテストを受けられるようになっていく可能性もあると考えられます。
通信制高校の受験方法
通信制高校の受験方法は公立と私立で異なることが多いようです。
公立でいうと、例えば東京都の通信制高校では、入学願書を提出し国英数の3教科の試験を受ける必要があります。
私立の通信制高校の受験方法は学校によって違いがあります。ある学校では試験はなく、入学願書とともに提出した作文によって合否を決めています。ほかにも、面接で合否を決める学校があるなど多種多様です。
試験に不安がある場合などにも受験する方法はありますので、やりやすいと思える受験方法の通信制高校を探してみるといいでしょう。
通信制高校にはどんな生徒がいる?
通信制高校はどんな生徒が多いのでしょうか。文部科学省の資料によると、一番多いのは不登校経験がある生徒とされています。
不登校経験のある生徒は、小中学校や前の高校で不登校を経験したのちに通信制高校に進学や転入しているようです。
ほかにも、ひとり親の生徒や支援が必要な生徒、心療内科などに通院している生徒などが通っています。
通信制高校と全日制・定時制高校の違い
高等学校には、通信制以外に全日制と定時制があります。ここでは、それぞれの違いについて解説します。
全日制高校
全日制高校とは、日中に登校して授業など教育を受ける形式の高校です。小中学校と同じ通い方なので、イメージしやすい人も多いかと思います。
全日制は小中学校とほぼ同じ授業体制になりますので、変化が少ないという意味では小中学校に問題なく通えていた子どもにとっては、いい選択肢のひとつと言えます。
定時制高校
次に定時制高校とは、全日制のように全員が同じ時間に通うのではなく、複数の時間帯の設定がある高校のことです。
夕方や夜間の通学が可能であったり、全日制よりも1日の授業時間も短いので、働きながらでも通いやすい高校です。
通信制高校
そして、今回の記事で紹介している通信制高校とは通信手段を用いて、授業を受けることを基本とした高校です。
そのため、自分のペースで勉強したい人やコミュニケーションが苦手と感じている人にとっては、通いやすい高校となっています。しかし、全く通わなくてもいいというわけではなく、スクーリングと呼ばれる登校日には学校に行く必要があります。
スクーリングの頻度は通信制高校によって違いますので、検討している通信制高校があれば、事前に確認しておくといいでしょう。
ここでは、全日制・定時制・通信制高校のそれぞれの違いを見てきました。それぞれ違いはありますが、共通することとして、高校卒業資格を得られることがあげられます。
学校教育法では「高等学校の修業年限は、全日制の課程については、三年とし、定時制の課程及び通信制の課程については、三年以上とする」と記載されています。
定時制、通信制高校においては、卒業まで3年以上必要である学校もありますが、条文からも同様の高校卒業資格が得られることがわかります。
通信制高校の学費
進路選択するうえで学費は非常に気になるポイントだと思います。ここでは、学費の補助制度についても解説します。
通信制高校の学費の目安
通信制高校にも公立と私立が存在します。全日制高校と同様に、私立よりも公立の方が学費は安いのが一般的です。
文部科学省の調査だと、全日制高校では、公立で年間45万7380円、私立だと96万9911円かかるとされています。通信制高校では、効率で年間4~6万円、私立だと25万円程度とされており、通信制高校のほうが割安であることがわかります。
学費は私立の方が高いですが、スクーリングの頻度やサポート体制の違いを理由に私立を選ばれる方が多いようです。とはいえ、学校によって内容も様々なので、子どもに合った学校を選ぶことが大事です。
通信制高校の学費の補助制度
ここでは、学費を抑えるための3つの制度についてご紹介します。
1.学費の無償化
就学支援金は所得に応じて学費に充てるお金が支給される制度で、多くの方は実質的に授業料が無料になると文部科学省のサイトにも記載があります。4月に学校へ入学すると学校からお知らせがあります。
2.奨学金
通信制高校でも奨学金を利用することが出来ます。
無利子のものや卒業することで返済が免除されるものもあります。
3.特待生
スポーツや学業で優秀な成績を残した実績があれば、特待生として受け入れてもらえる可能性があります。
特待生であれば、学費の一部が免除されるなどの優遇があります。
通信制高校によって違いがありますので、学校に問い合わせてみてください。
通信制高校の転入について
「今の学校の勉強についていけない」「不登校になってしまって…」など様々な事情で今通っている高校に不安を覚えることがあると思います。
そのようなときの選択肢として通信制高校への転入を検討される方もいらっしゃるかもしれません。また、似た制度で編入と呼ばれるものもあります。
通信制高校の転入と編入の違い
まず、通信制高校への転入・編入について、それぞれの違いや抑えておくべきポイントをお伝えします。
通信制高校の転入とは?
転入学は、転校とも言われます。学校を辞めずに他の学校に変わることを言います。
自分の在籍している学校に転校生がやってきたということは誰しもが経験のあることだと思うので、イメージはしやすいかもしれません。
多くの場合は親の転勤などで引っ越してきて学校が変わる場合だと思いますが、引っ越さなければ転入できないわけではありません。
全日制高校から通信制高校への転入も可能です。単位や出席日数なども引き継がれるので、転入したとしても同じ時期に卒業することも可能です。
通信制高校の編入とは?
編入学は、すでに高校を中退してしまった人が再び高校に入学することを言います。
編入の場合も以前に通っていた高校の単位を引き継ぐことは可能ですが、1年生時に中退した場合など、単位として認められる前に中退した場合には、最初から単位を取得していく必要があります。
以前に在籍していた高校の在籍証明書などの提出を求められることもありますので、前の高校に連絡を取る必要がでてくる場合もあります。
通信制高校の転入の流れ
ここでは、転入と編入の流れを説明します。
まず時期ですが、転入に関しては、ほとんどの通信制高校で、随時募集しています。
学校や選択するコースによっては転入出来る時期を限定している場合もありますので、行きたい通信制高校があれば確認してみてください。
逆に編入に関しては、随時受け入れしている学校は多くありません。4月・10月に受け入れをしていることが一般的で、募集時期は1〜3月・7〜9月となります。
そのため、時期によっては編入を待たなければいけないこともありますので、編入時期に関してはよく検討する必要があります。
次に、転入・編入をする際は以下のような流れとなります。
- 資料請求・学校説明会などで学校を決める
- 出願する
- 入試を受ける
- 入学手続き
順番に見ていきましょう。
まずは、転入・編入する通信制高校を決めるために資料請求をしたり、学校説明会やオープンキャンパスに行ってみましょう。
そして、行きたい通信制高校が決まったら出願書類を作成していきます。
出願書類には、入学願書以外にも複数の書類を準備する必要があり、また書類の発行に時間のかかるものもありますので、時間に余裕を持って準備していきましょう。
パンフレットやホームページを確認すれば願書提出方法や必要書類など記載されていますので、確認しながら準備を進めましょう。
その後は入試を受けます。先ほど紹介したように通信制高校では、書類審査や面接試験だけで終わる学校が多く、学力を測るような試験は基本的にありません。
ただし、一部コースでは学力を測る試験をおこなう場合もありますので、願書を出す前によく確認しましょう。
無事入試に合格したら入学手続きに入ります。合格した通信制高校から案内がありますので、指示に従って手続きを進めてください。入学金の支払いも必要になりますので、事前に準備しておきましょう。
通信制高校の進路について
「通信制高校だと将来が心配」と感じる保護者さまもいらっしゃるのではないかと思います。
結論としては全日制高校も通信制高校も大きな違いはありません。全日制・定時制と同じように大学進学や就職をしている人もいます。
ここでは、通信制高校卒業後の進路についてご紹介します。
通信制高校からの大学進学
通信制高校からの大学進学率は17.6%となっています。これは全日制高校の56.5%と比べると低い数値となっていますが、5人に1人程度は大学に進学していることがわかります。
ほかの進学先として、専門学校への進学率は23.3%で、こちらは全日制高校の16.9%と比べて上回っています。通信制高校卒業後は大学進学よりも専門学校進学の方が多いという結果になっています。
また、大学と専門学校への進学を合わせると、通信制高校卒業後は40%以上の生徒が何らかの学校へ進学していることがわかります。
通信制高校からの就職
次に通信制高校からの就職率を見ていきます。通信制高校卒業後の進路として就職を選んだ方は23.1%でした。全日制高校の17.2%よりも高い数値になっています。
通信制高校を卒業後は5人に1人が企業などへの就職を果たしているということになります。
こういった調査結果から、通信制高校に通っていたからと言って進学や就職に不利になるということはないといえるでしょう。
通信制高校の中には、大学進学率や進学実績、就職へのサポートなどを掲げている学校もありますので卒業後も見据えて選んでいくことが大事です。
通信制高校についてまとめ
今回は、通信制高校について解説しました。
通信制高校に行くことでデメリットを感じることよりも、人によってはメリットの方が大きく感じられると思います。
高校には、全日制、定時制、通信制と選択肢がありますし、それ以外の選択肢もあります。大切なことは子どもに合った環境を選ぶことです。
高校は、将来に結びつく大事な選択になってくるため、どういった環境がいいのか、子どもと一緒に考えてみてください。