小学6年生の課題と指導事例
中学に向けて自立した生活管理と基礎学力の定着をサポートします。
小学校生活最後の年なので、行事も多く、集団活動を初めから終わりまで、自分たちで計画を立てて、実行、振り返りまで行うようになります。
この学年では、中学校生活での自律した生活管理を目指すために、「計画を立て、実行し、振り返りを行う」というサイクルを授業を通じて定着させていきます。
自分の意思も強くなるため、親や友だちと、意見が衝突した時に、自分の意見を相手に分かりやすく丁寧に伝えて、同意を得たり、相手の意見を冷静に受け止めたりする練習もしていきます。
学習においては、順序立てて、根気よく取り組むことで正答を得られるような、複雑な問題がほとんどのため、土台の基礎学力がないと、なかなか理解が定着しません。その際は、遡って、少し簡単な問題程度からスタートして、今のうちに基礎定着を図っていきましょう。
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LITALICOジュニアでの課題別指導例
お子さまは一人ひとりつまづくポイントや得意な学び方がことなります。
お子さまに合わせた方法で指導プランをご提案しています。
課題1
自主学習ができない
自主学習をまったくやらず、このまま中学生になるのが不安です。
指導事例
パーソナルコースの指導事例
まずは、自分で勉強をやらない理由を見つけます。学校の進度についていくことができていないため、どこから手をつけていいのか分からない、一人で勉強をする方法が分からない、家で勉強よりもやりたいことがある、自分の部屋の環境により学習に集中できない、など、人により様々なので、まずはそれに合わせて自分で勉強しやすい手立てを見つけ、練習をしていきます。
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- マンツーマン指導/毎週
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自分の認知特性や、それに合わせた得意な学習方法を見つけていきます。
例えば、漢字が書けないから漢字を書くことをひたすら練習する。これは、苦手を練習する方法です。漢字全体の構成や全体像を捉えるのが得意なお子さまは、漢字の作りを説明してもらったり、似ている文字の形(カタカタなど)や似ている漢字を見つけていったりしながら、覚えていきます。
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- 家庭での学習
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学習の苦手さは、特に「できないことによるモチベーションの低下」に注意する必要があります。親の一方的な叱咤激励は、学習意欲を高めるためには逆効果になるため、ご家庭では、できているところまでを、まずは認めるポジティブな声かけをしていただきます。「分からないと怒られる」と思っているお子さまが多く、その場合は、分からないことを質問する行動が減少しています。分からないところを一緒に考えてもらえる環境を用意することも自主学習の頻度を増やすポイントなので、家庭学習のサポーターとなっていただきます。
ポイント
学習に困りのあるお子さまは、苦手を練習することに集中するよりも、強みや得意をよく理解し、それを活かした学習方法を見つけていくサポートをすることで、学力も伸びやすくなります。
また、学習への苦手さは意欲に直結するので、意欲を高めるポジティブな関わりが特に重要です。
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課題2
反抗期で暴言・暴力がひどい
反抗期になり、暴言や暴力に困っています。
指導事例
パーソナルコースの指導事例
まずは、なぜ暴言暴力がでてしまっているのか、お子さま個人の理由と環境的な理由とそれぞれ観察し分析していきます。
暴言暴力という訴えや対応の仕方を、別の方法に変えていくことを、お子さまの気持ちを尊重しながら進めていきます。
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- マンツーマン指導/毎週
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暴言、暴力が出る場合、そこまでの困りやストレスを抱えていて、それを暴言暴力以外で表現する以外の方法を知らない場合が多いです。
まずは、暴言暴力が出るくらい、ストレスに感じていること、困りを抱えているところを見つけていきます。例えば、勉強がどうしても分からず、学校の授業に置いて行かれるばかりで、学校での授業参加や塾通いがかなりのストレスになり、親に暴力が出る場合があります。
授業中には、お子さまが抱えているストレスを一緒に認知して、対処方法を考えていくことや、お子さまが困りを解決するために欲していること(例えば、勉強を教えてほしい、イライラしたときにどうやって親に説明したらいいか分からない、など)に合わせて、実施をおこない、暴言暴力の要因を直接介入し、解決を進めていきます。
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- 家庭での学習
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「勉強しないと、学校に遅れて、もっと苦痛になるし、分かればストレスも減るだろう」ということで、なんとか勉強をさせようとすることが多々あります。お子さまへの愛情や心配があってこそ、保護者さまはこのように関わるのは自然なことです。
注目すべきは、抱えている問題に優先順位をつけて、一つずつ対処していくことです。
まずは暴言暴力を減らすことを第一優先とするので、ご家庭では勉強に関する声かけを減らしていただき、場合によっては宿題の難易度を下げたり、量を減らしてもらうことを、学校に交渉していただきます。
お子さまが落ち着き、ご家庭も落ち着いてきた頃に、また学習にチャレンジしても十分に追いつくことができます。
ポイント
暴言暴力は、出れば出るほど、その頻度が増え、家族関係を悪化させていきます。ご家族の健康度も下がっていってしまうリスクがあり、親は暴言暴力への対応に疲弊してしまい、お子さまの問題を解決する気力体力がなくなってしまうことも多々あります。
よって、まずは、何よりも暴言や暴力を出さずに、家庭の中で、家族が落ち着いて過ごせる状態に回復していくことを最優先にサポートします。
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課題3
話し合いに参加しない、
一方的に話してしまう
高学年になり学校での話し合いの場が増えているのですが、自分の意見を言えず黙り込んでしまうようです。また、友だちと遊ぶときは自分の好きなことになると話し過ぎてしまい、友だちから避けられるようになってきてしまっています。
指導事例
パーソナルコースの指導事例
コミュニケーションが苦手なお子さまの場合、意見を発することができず黙ってしまう、場の空気を読めず一方的に話してしまうことがあります。
自分なりの意見を発表・提案できる自信とともに、相手の意見を聞き入れる姿勢や、妥協や交渉、多数決などに従えるように練習していきます。
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- マンツーマン指導/毎週
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「友達とのやりとり」に関するワークブックを進めていきます。そのワークでは、相手も自分も心地がいい会話の仕方や、友達への質問や提案の仕方を練習することができます。
また、会話のいい例、よくない例を、動画教材などを使用したり、先生と自分との会話を録画して見てみることで、客観的に自分の会話の特徴を理解していきます。
そして、授業の中では、相手も自分も心地いい会話の練習を先生とおこないながら、週ごとに親や友達にも実践をしてみて、次の授業でうまくいったことやいかなかったことなど、振り返りながら、会話のスキルアップを進めていきます。
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- 家庭での学習
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家庭での会話場面で、うまくできているところを、具体的に褒めていただく関わりをしていただきます。
うまくお母さんに質問できたときに「自分の話だけじゃなくて、質問してくれたんだね」と声をかけていただいたり、お母さんに提案ができたときには、「○○してほしいんだけど、いい?って優しく聞いてくれて、お母さん嬉しいな」と保護者さまの気持ちを伝えたりしながら、心地の良い会話を家庭場面でも定着していただきます。
ポイント
日常生活の中で自然と身につくことが多い友人関係や社会でのマナーなどは、人との距離感をつかみづらいお子さまにとっては難しい課題の1つです。
周囲からの誤解がもとで鬱などの二次障害に発展するケースもあるので、言葉を使ったコミュニケーションの成り立ちや適切な距離感、サポートの求め方など、自己認知を高めるプログラムを取り入れながら練習していきます。
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まとめ
これまでの経験から得意分野や苦手なことへの自覚を持ち、自分の意思で取捨選択もできるようになる小学校5・6年生。中学校入学を控えている時期だけに、保護者さまはつい周囲の友だちと比べたり、「それじゃあ中学生になれないよ」なとど否定的な言葉をお子さまにかけたりしてしまいがちです。
しかし、苦手に至るまでの理由が必ずどこかにあったはず。そのプロセスに目を向けて、前向きに取り組めるようになる手だてを一緒に考えていきましょう。
お子さまが自身の体験から得た問題を解決していく力は、これから先の学校生活や友人関係を良好なものにし、さらにはいずれ社会に出てからの糧にもなっていくことでしょう。
小学6年生の発達の目安
・1週間の予定の管理をする
・分数のかけ算、わり算ができる
・テーマに沿って自分の意見や考えを書くことができる
・ルールの意義を理解し、明示されていないルールの類推ができる
・他者の意見や会話の順序を踏まえて自分の意見を伝える