1人で身の回りのことができなかった娘が急成長!短期間で食事や靴の着脱ができるように
2024年03月13日公開 | LITALICOジュニア編集部
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そんなYちゃんは、就学準備のために5歳でLITALICOジュニアの利用を開始。遊びを取り入れたトレーニングを続けた結果、1人で食事や靴の着脱ができるようになりました。さらに、保育園では、先生やお友だちとのコミュニケーションを楽しめるようになったといいます。
今回はYちゃんのお父さまとお母さまに、利用開始からこれまでの変化について伺いました。
目次
プロフィール
Yちゃん
年齢:6歳
ジュニア歴:1年3ヶ月
困りごと
- 1人で着替えや食事ができなかった
- 1人でトイレに行けず、おむつが取れなかった
- 語彙が少なく、家の外ではしゃべることがあまりなかった
- 身の回りのものへの関心が薄かった
通ってからの変化
- 1人で靴や靴下の着脱ができるように
- 自分で食事が取れるように
- トイレに行けるようになり、おむつが取れた
- 言葉の数が増え、周りの人との関わりを楽しめるように
- 周りの人や物に興味を持つように
自分の身の回りのことができなかった娘
Yちゃんには、どのような困りごとがあったのでしょうか?
お母さま:着替え・食事・排泄といった動作が1人ではまったくできず、介助が必要な状況でした。私たち親も家でやり方を教えてはみるものの、なかなかできるようにはならなくて。発語に関しても、少しの単語しか話さないことが気になっていました。
お父さま:娘は保育園に通っているのですが、夫婦で話し合った結果、卒園後は特別支援学級への進学を目指そうという結論に至りました。ただ、特別支援学級に進学するにはある程度の身辺自立が必要です。以前から通っていた療育施設でも、身辺自立を目標としてさまざまなことに取り組んだのですが、集団生活の中で求められる動作は獲得できないままでした。
そうだったのですね。LITALICOジュニアのことはどのように知りましたか?
お父さま:就学までに残された期間は限られていたので、通っている療育施設のほかにも、短期間で必要な動作を身に付けられるようなトレーニングを実施している施設を探すことにしたんです。LITALICOジュニアを最初に見つけてくれたのは妻でした。
お母さま:インターネットの検索エンジンで「身辺自立 やり方」「特別支援学級 トレーニング」と調べた時に、最初にヒットしたのがLITALICOジュニアだったんです。期間が9ヶ月間に設定されているパーソナルコースは、私たちが求めている集中的なトレーニングに近いのではないかと思い、体験授業に行きました。
体験授業にお越しいただいた際の第一印象はいかがでしたか?
お母さま:スタッフの皆さんがすぐに娘の名前を覚えてくださったり、明るく声をかけてくださったりしたのが好印象でした。堅苦しい雰囲気ではなかったので、娘も楽しそうでしたね。「ここなら、娘の持っている力を引き出してくれそうだな」と思いました。
お父さま:うちの子は人見知りや場所見知りをするほうなので、初めての場所に行くと、普段は声も出さないんです。でも、LITALICOジュニアでは最初から楽しそうに声を出していたのが印象的でした。きっと先生方のスキルが高いのだろうと感じたので、体験授業を受けた後、その場で申込みをしました。
遊びを取り入れながら、食事や着替えの動作を習得
身辺自立という目標に向けて、教室ではどのようなことに取り組んだのでしょうか?
お父さま:食事に関しては、まず食具を持つ練習から始め、ねんどやビーズを使った遊びの中で、実際の食事場面を想定したトレーニングに取り組みました。服の着脱については、まず洋服を首のあたりまでかぶせた状態から腕を通すなど、服を着るまでの手順を細かく分けたうえで一つひとつの動作を練習しました。
お母さま:これまで自宅ではそこまで細かく工程を分けて教えていなかったのですが、授業の様子を見て、スモールステップで取り組むことが大切なのだという新たな気付きがありました。
遊びの要素を取り入れながら、少しずつステップアップしていったのですね。その後、食事や着替えは1人でできるようになりましたか?
お母さま:まだ食べこぼしはするものの、自分でスプーンとフォークを持って食事ができるようになりました。ズボンの上げ下ろしや靴下・靴の着脱も1人でできます。今は上の服を着る練習や、洋服の前後をちゃんと認識する練習をしています。
通い始めて2ヶ月程度で、家でできなかったことがLITALICOジュニアの教室でできるということが増えてきました。その後も、私たちが想像していた以上のペースでいろいろな動作ができるようになっているので驚いています。
興味やコミュニケーションの幅に広がりも
お父さま・お母さまからみて、動作の習得以外にYちゃんが成長したと思うポイントはありますか?
お母さま:LITALICOジュニアに通い始めてから、娘の興味の幅がとても広がったと感じます。以前は、好きなものがまったくなくて、おもちゃにさえも興味を示さない子だったので、周りから「何のおもちゃが好きですか?」という質問をされると困ってしまっていたんです。でも、今は身の回りのものに対して興味を持つようになりました。
先生が楽しそうに授業に取り組んでくださるおかげで、娘も身の回りのものを使って何かをすることの楽しさに気が付いたようです。「実際にやってみたら楽しかった」という経験の積み重ねが今につながっているのだと思います。
お父さま:これまで家の外ではほとんどしゃべらなかった娘がよくしゃべるようになったとも思います。以前は言葉の数も限られていて、何かを要求する時は「ちょうだい」としか言わなかったのですが、今は「取って」「開けて」など、場面に応じた言葉の使い分けもできるようになってきました。
興味やコミュニケーションの幅も広がっているのですね。通っている保育園でのご様子に変化はありましたか?
お父さま:保育園のお迎えの時、先生からその日の子どもの様子について話を聞くのですが、以前は「今日はご飯を食べられました」のような、身の回りのことに関する報告が多かったんです。
でも、最近では「お友だちや先生の名前を呼ぶようになりました」「姿が見えなくなった先生を探していました」「お友だちとこんな風に接しています」のように、周りの子や先生とのコミュニケーションに関するエピソードを共有いただくことが増えました。
娘と毎日接していると、なかなか日々の小さな変化に気が付きにくいのですが、こういった話を聞くとあらためて娘の成長を実感できます。
娘の行動に関する「なぜ?」が解消
教室に通い始めてから、お子さまとの関わり方に何か変化はありましたか?
お母さま:教室に通う前は、娘ができないことに対して「何でできないの?」と思ってしまっていました。しかしLITALICOジュニアの先生は娘の行動を分析して、できない理由を教えてくださいます。
「何で?」と思っていた部分が理解できたことで、今までよりも娘の行動を寛容な目で見守ることができるようになりました。何かできるたびに「できたね」とたくさん褒めてくださる先生の姿を見習ううちに、家では怒ることよりも褒めることが多くなりました。
お父さま:ペアトレで行動の理由に関する内容を学んだ後は、娘の行動に対して「今は注目してほしいのかな?ご褒美がほしいのかな?」のように、その目的を考えるようになりました。
目的を意識することで、より客観的に娘の行動を分析できるようになったと思います。また、いきなり最終目標を目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねながら目標の達成を目指す、スモールステップの考え方も日常生活に役立っていますよ。
ご家庭でのお困りごとやお子さまとの関わり方について先生に相談する中で、「参考になった!」と思うアドバイスがあれば教えてください。
お父さま:一時期、娘が保育園のトイレを使うことを嫌がり、朝から夕方まで我慢してしまうことがあったんです。そのことを先生に相談した際に作成いただいた目標シートがとても参考になりました。
シートには、保育園のトイレを使えるようになるまでに必要な取り組みが段階ごとにまとめてありました。まずは、親と一緒に家のトイレに入る。次に、親と一緒に保育園のトイレに入る。それができたら、親は離れたところで見守りながら、先生と保育園のトイレに行く。
このように、場所や親との距離の組み合わせを変えながら少しずつ1人で保育園のトイレに行ける状態を目指します。まさに、ペアトレで教えていただいたスモールステップの考え方を取り入れた方法だと思いました。
お母さま:2ページにわたるシートには必要なステップが細かく書かれていました。このシートがあったおかげで、次に何をすれば良いのか迷うことなく、トレーニングを進められたんです。その甲斐もあり、娘は保育園のトイレを使えるようになって、おむつも取れました。
お父さま:本人はまだ文字がそこまで読めないのですが、これから文字を読めるようになったら、家庭でも一緒に目標シートをつくりながらいろいろなことにチャレンジしていきたいです。
疑問や悩みに対して、具体的なアドバイスがもらえる場所
お子さまにとって、LITALICOジュニアはどんな場所になっていると思いますか?
お母さま:安心できる、楽しい場所になっているんじゃないかなと思います。家を出る時に行き渋りする様子もないですし、教室の近くまで来るとワクワクした表情になります。
娘は先生に褒めてもらいたいようで、家でやらないことでも、先生の前ではきちんとやろうとするんです(笑)。
では、保護者さまにとっては、どんな場所ですか?
お父さま:娘と過ごす中で「こんな時、親はどう接したらいいだろう」「〇〇ができるようにやってほしい時、どんなアプローチができる?」という悩みや疑問が生まれることは少なくありません。
それに対して、これまで具体的なアドバイスをいただける場所がなかったんです。LITALICOジュニアでは、「そんなアドバイスを求めていました!」というお話をたくさん聞けるので、本当にありがたく感じています。
お母さま:子どもだけではなく、親も子どもとの関わり方について学べる場所です。
LITALICOジュニアに通い始めたことをきっかけに、新しい視点を身に付けられたと思いますし、視点や考え方を変えることで子どもとの関わり方も良い方向に変化するのだと気が付かされました。
4月には就学も控えているYちゃんですが、今後どのように成長してほしいと考えていますか?
お父さま:娘が大人になった時、できる範囲で身の回りのことや仕事に取り組めるようになればいいなと考えています。住む場所や働く場所などの環境についても、なるべく本人が望むような選択ができるように、今後も親としてできるサポートをしていきたいです。
お母さま:今後もLITALICOジュニアさんと協力しながら、娘が持っている力を伸ばしていきたいですね。
先生からのコメント
Yちゃんが教室に通い始めた当初の目標は、身辺自立に向けた粗大運動・微細運動をマスターすることと、発語の促進でした。しかし、当時のYちゃんにとって目で見た動作を真似するのはとても難しいこと。また、Yちゃんには好きなもの、興味のあるものがとくになく、楽しい気持ちを引き出しながら授業を進めるためには工夫が必要でした。そこで、教室でYちゃんが楽しく取り組めたボール投げやビー玉転がしの遊びを感覚遊びに発展させていくことで、興味の幅を広げていきました。
動作の模倣については、最初は身体介助をしながら少しずつ見たものを真似することに慣れていきました。いくつかの動作を自分で模倣できるようになると、Yちゃんは「相手の言っていることを真似したらいいんだ!」と理解できたようで、さまざまな動作を真似してくれるように。次第に、靴の着脱などの身辺自立に必要な動作も習得していきました。また、以前はほとんど言葉を発しなかったYちゃんが声を発することも徐々に増え、今では教室で学んだ言葉をすぐに自分の言葉として発してくれるようになっています。
春には就学も控えているYちゃん。できることを認めてもらえるような環境で安心して過ごせるように、引き続きお父さま・お母さまと協力しながらサポートしていきたいです。