
発語がなく、園のイベントにも参加できなかった息子ー段階をふんだ楽しい授業で言葉でコミュニケーションがとれるように!
2025年08月02日公開 | LITALICOジュニア編集部
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ご両親が医療機関の受診を予約するも、半年待ち。「すぐ打てる手を打とう」ということで、SくんはLITALICOジュニアのパーソナルコースの利用を開始します。
1年が経った今では3語文が話せるようになり、周りへの興味が出てきて、お友だちともコミュニケーションが取れるようになりました。
今回はそんなSくんのご両親に、LITALICOジュニアに通わせることを決めた理由や、Sくんだけでなく、ご両親にも起こった変化について伺いました。
目次
プロフィール

Sくん
年齢:3歳
ジュニア歴:1年
困りごと
- 声をかけても反応がない
- 発語がなく親子間で言葉のコミュニケーションがない
- 人と遊ぶ様子がない
- 名前を呼んでも返事をしない
- 言葉で「嫌だ」と伝えることができず、泣いてしまう
- ルーティンを外れることがある
- 遊びの幅が狭い
通ってからの変化
- 周りへの興味がでてきて、物事を共有することができた
- 興味の幅が広がった
- 3語文が話せるようになった
- 集団に参加できる機会が増えた
発語がなく、保育園も楽しみきれていない感じがしていた

LITALICOジュニアに通い始めたきっかけを教えてください。
お父さま:当時通っていた保育園の面談で、「Sくんはたぶん、支援が必要ですよ」と言われたことです。それで「どういう支援をしてあげられるだろう?」と考えて、すぐに動き始めました。
正式な診断は公的機関でしかおりないとのことで、受診を予約したんですが、半年後で。それでは遅いので、「すぐ打てる手を打とう」と思ったんです。
1ヶ月ぐらいでLITALICOジュニアを見つけて、「こちらにお世話になりたい」と思いました。
当時のSくんには、どのような困りごとがありましたか?
お父さま:毎日のルーティンは楽しく過ごせるんですが、ルーティンから外れた状況になった時、例えばお誕生日会や運動会などのイベントが受け入れられない。先生によると泣き叫んで、その場に居られないぐらい拒否していたそうです。
お母さま:そもそも、発語がありませんでした。保育園のイベントの写真にもSは一緒に写っているものが少なく、先生に聞くと「別室に行っていました」と言われたりして、保育園を楽しみきれていない感じはしていました。
でも初めての子育てなので、「これも彼の個性だな」ぐらいの印象だったんです。
ただ1歳半健診で「発達が標準水準を超えていないので、また半年後にやりましょう」というお話はありました。半年後の健診でも「また半年後にやりましょう」となり、1年間様子を見続けていました。
本当はその時はやく、何かしたかったんですが、「様子を見ましょう」と言われ続けたので、「『まだ支援を受けるレベルじゃない』という判断なんだな」と思ってしまったんです。
ざっくりとした目標が、体系的な支援計画になって出てきた

LITALICOジュニアに通うことを決めた理由は何でしたか?
お父さま:受給者証を申し込んだものの審査期間が長く、暫定の支給決定にもまた審査があって、結構な期間待つ必要があったので、「受けられるものから受けよう」ということでLITALICOジュニアのパーソナルコースの体験に来ました。
説明を聞いたら、我々が一番気になっていた要素がコースの内容にあって、「いい内容がどんどん出てくるじゃん!もう受けちゃう?受けちゃう?」って妻に言いましたね。
お母さま:保育園の先生から「ここが苦手ですよ」という話を聞いただけで、専門家の判断を受ける機会がなかったんです。
お父さま:それを期待して医師の診察の順番待ちをしたけど、時間がかかる。「Sがどういう状況なのかを細かく知りたい」と思っていたときにLITALICOジュニアのアセスメントが出てきたので、渡りに船でした。
体験の際、印象に残ったことは何でしたか?
お父さま: アセスメントの結果が、我々の感覚とまさに同じだったことです。「そう、そこ問題だよね」という点ばかりが挙がったので 、「このアセスメントは正確だな」とグッときました。
そして、ものすごくたくさんのステップを踏むトレーニング段階があって、徐々にレベルアップしていくやり方を提案してくださったので、「これはもう任せるしかない」と思いました。
彼が保育園などの集団で楽しめるように、「周りの人たちとコミュニケーションが取れるようになる」という、ざっくりとした目標をお伝えしたんです。
それがこんなに細かなステップに分解されて、きちんと体系的に繰み立てられた支援計画として出てきたので、すごいと思いました。
授業の見学やぺアレントトレーニングで学んだことを、家で実践した

LITALICOジュニアの授業が始まって、まず変わったことは何でしたか?
お父さま:当時は、Sに声をかけてもこっちを向かない。関心もない様子で、親子間で言葉のコミュニケーションがありませんでした。
お母さま:自分の名前も、まだわかっていない様子でした。「嫌だ」という意思も伝えられず、癇癪じゃないけど、泣いて倒れちゃう。
お父さま:だけどLITALICOジュニアの先生の話を聞いて、それは言葉で伝えることができないから、態度で表すしかなかったんだと気づいたんです。
ペアレントトレーニングはすごく役に立っていて、この1年で我々もある程度の見立てができるようになってきました。
素晴らしいですね!ペアレントトレーニングでは、どんなことをされましたか?
お父さま:毎回、授業で先生がしていることを見て、我々も勉強するという課題があるんです。だから我々もトレーニングを受けつつ、さらに定期的にマンツーマンのような授業で教えてくださいました。
お母さま:「褒め上手になる」という取り組みでは、大きな気づきがありました。それまではSに対して「できない」ことばかり気になっていましたが、「できないの中にできたことが隠れていた」って。
Sなりに、一歩ずつ階段を登っていたんです。
お父さま:LITALICOジュニアのシステムで、一つの成長のパラメータに20ぐらいの段階が作ってあるのを見たとき、「我々はこういう段階すら踏まずに、彼にいきなり『できること』を求めていた」と気づきました。
褒め方も、先生に「何を言えばいいかわかりません」と言ったら「実況ですよ」と教えてくださいました。
Sがやっていること全部を実況して、魔法の言葉の「できたね」をつけると、褒め言葉になる。以前は「あ、並べた」で終わっていたのを「並べられたね!」と言う。
実況して「これができたね」と言うことが褒めであり、言葉のインプットでもあるから、それをどんどんやればいいですよと具体的に示してくれました。
Sくんは、ご両親から話しかけられる回数がすごく増えましたね。
お父さま:そうだと思います。それで模倣がだいぶ発達してきて、また気づいたことがありました。
僕らが言った言葉がSにインプットされて、Sがアウトプットできているのを見て、「だから話しかけることが重要なんだ!」とわかりました。「話しかけることで、Sの中のデータベースに、言葉がいっぱい溜まっていくんだ」って。
お母さま:「まだ言葉にできていなかった時も、蓄積はどんどんされていたんだな」という実感が、のちほど出てきました。
Sくんは、1年でどんなことができるようになりましたか?
お父さま:発語だと、今は3語に挑戦しています。
言葉は、今年に入ってポコポコと出始めました。「ねえねえ」のほかにも「扉、開けてほしい」「先生、開けて」などの言葉も出てきて、加速度的に伸びていますね。
お母さま:「楽しいことを人と一緒にやりたい」という感覚も出てきました。「ねえねえ、見て見て!」と言うようになり、私たちと一緒にやろうという気持ちが見えてきて、すごく嬉しいです。
お父さま:周りに対する関心が全くない状態からスタートしたんです。
たぶん順番として、周りに興味を持って、「相手と共有したい」という気持ちが芽生えて、「どう共有したらいいんだろう?」ということで「言葉」が育っているんだろうな、と腑に落ちました。
「社会性は、段階を踏んで、こんな風に育てるんですよ」ということを先生が見せてくださいました。
お母さま:興味の幅も広がりましたね。
お父さま:授業で先生が、Sが興味を示すおもちゃを探してくださるんです。それを見ていて「あ、今日はこのおもちゃがヒットしたな」と思ったら、 先生に「それは何ですか?」と聞いて、 すぐ買う。
そうやって、生活におもちゃをどんどん取り入れました。それまでは、おもちゃを並べたり決まった遊び方しかしなかったんです。
ごっこ遊びや誰かと一緒に遊ぶようになり、好きなものがすごく増えました。
イレギュラーな状況の苦手さについては、 今はいかがですか?
お父さま:去年の秋の運動会はダメでしたが、年末の誕生日会は「イヤイヤ」はあったものの、最後まで泣かずに座って出られたんです。
保育園の先生は「大快挙ですよ!LITALICOさんに通った成果が出ていますね」と言ってくださいました。
お母さま:それに、以前は特定のお友だちとしか手が繋げなかったのが、たくさんのお友だちともコミュニケーションがとれたり、保育園の写真でお友だちと遊んだりイベントへ参加しているものが増えました。
子どもにとって「楽しく遊ぶ場所」であり、親も学べる場所

SくんにとってLITALICOジュニアは、どういう場所でしょうか?
お母さま:遊ぶ場所ですね。
お父さま: 先生のことは個人として認識していて、 「先生のとこ行くよ」と言ったら「先生ー!」「ボールやるー!」とか言っています。
お母さま:授業を見ていると、Sはすごく楽しそうに遊んでいる。でもその後のフィードバックで、「実は意図のある遊びだった」とわかるんです。
お父さま:我々が見ていて、Sの反応が悪かったり、特に発見がなくて、「この遊び、今日は調子悪いな」くらいしかわからない週があります。
でもフィードバックの時に「今日、これがダメだったのはなぜでしょうか?」と先生に聞くと、「これがまだ足りていないからです」と、専門家としての意見がバシッと返ってくる。
そして具体的な分析もしっかりしてくれて、「次の1週間はこれをしましょう」と、我々の宿題も出してくれる。腑に落ちた状態で具体的な課題をくれるので、 我々もやりやすいです。
<授業を見ながらご両親が記入されたシート。下半分は先生と相談して決めた次回授業までの宿題。>
お母さま:でもうちは共働きなので、忙しくてその宿題ができない日もあります。
そんな時は「週1回やろうと思ってくださったらいいですよ」と親のハードルを下げてくださるので、気が楽になりました。
「先生が言うことをしっかり実践する」ことを、ご両親も頑張ってくださったんですね。ご両親にとってLITALICOジュニアはどんな場所ですか?
お父さま:療育の先生です、親にとっての。
お母さま:信頼できる場所です。1年経ってSが自分の気持ちを表現できるようになって大満足です。続けてきてよかったです。Sの不自由さや辛いことが軽減できている実感があります。
お父さま:「困っていること」「できないこと」のつながりを、先生が体系的に教えてくださったのがすごく役に立ちました。
「話せない」「癇癪を起こす」などのバラバラに見える困りごとのつながりを理解するのは、素人にはまず無理だとよくわかりました。
お母さま:共働きなどの事情があるので、土曜日に授業が受けられることもよかったです。
先生にメッセージがあればお願いいたします。
お父さま:もう、「感謝」という二文字が純粋に出てきます。子どもにとっても、僕ら親にとっても、本当に指導者です。
お母さま:親だけじゃなく、子どもも先生を信頼する関係が築けてよかったです。親が頑張って通わせるのではなく、「今日も行こっか!」と楽しく行けるのがすごくうれしいです。
子どもにも親にも寄り添っていただいて、本当に感謝です。
先生からのコメント

アイコンタクトが取れず、一人遊びに集中してしまう様子があったSくん。アセスメントで私が気になった部分について、ご両親も「全部気になっていた」とおっしゃったため、「土台作りから始めましょう」ということになりました。指示理解や発語を促すための土台として、まず社会性を伸ばすことを考えました。
最初はおもちゃを出さず、ひたすら体を使って遊びました。「遊ぶ対象が先生しかない状態」を作ることで、「先生と遊ぶのが楽しい」という感覚が育っていきました。
そして少しずつおもちゃを取り入れて、ずっと視界に私の顔がある状態で遊んでもらっているうち、遊びに私を入れてくれるようになりました。
ご両親は一貫して「やってみて何が難しくて、何ができたか」を明確にお話ししてくださいました。それはある程度、指導員目線で見ることができないと難しいことなんです。常に私の行動を通してSくんを見ておられたからこそ、お家でも実践しやすかったのだと思います。
ご両親が勉強熱心で、お伝えしたことをそのまま、できる範囲でやってくださったからこそ、私が想定した以上にSくんのスキルが伸びたのだと思います。
「先生のおかげで」と言ってくださるんですが、私はお父さまとお母さまのおかげだと思います。あらためてお父さま、お母さまに感謝をお伝えしたいです。
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