お役立ちコラム
思春期とはいつから?年齢や特徴、接し方を解説します
2024.01.05公開 / 2024.08.11更新

思春期は「子ども」から「大人」への移行期であるとされています。心身共に大きな変化が起こり、子どもの様子や言動が以前とは大きく変わることもあるため、接し方に悩んでいる保護者の方も多いかもしれません。
この記事では、思春期とはどういう時期なのか、思春期の年齢や特徴、思春期の子どもへの接し方などで悩んだときに利用できる相談先について説明します。


この記事を書いている会社:
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思春期とは

思春期とは、「子どもから大人への移行期」を指して使われることの多い言葉です。
心身共に大きな変化が起こる時期であるため、本人も周囲の大人も、その変化にとまどうことがあります。
子どものそれまでとの言動の違いに驚いたり、対応に悩んだりしている保護者の方もいるかもしれません。
しかし、思春期に入ったということは「自立への段階を迎えている」ということであり、順調に成長している証であるといえます。
思春期の子どもの複雑な言動には、さまざまな要因が関係しています。
思春期の子どもに対応するには、言動の背景にある以下のような要因を理解することが役立つでしょう。
自分を確立する時期
赤ちゃんとして誕生してから子ども時代には、保護者をはじめとする家族などの身近な人への信頼を深め、身近な人たちを「よりどころ」として成長していきます。
一方思春期に入ると、家族のほかにも社会や学校、仲間などからの影響を受けながら、「ひとりの大人としての自分」を確立していきます。
態度の両価性(アンビバレンツ)
「態度の両価性」とは社会心理学における概念で、同じ対象に対して正の評価と負の評価を同時に持つという心の状態のことです。
思春期には「保護者から自立したい」という気持ちが高まる一方で、同時に保護者から離れることへの不安も感じます。
そのため、保護者に反抗的な言動をとった直後に保護者に甘えてきたりと、矛盾しているように見える態度をとることがあります。
保護者の方はとまどうかもしれませんが、これは子どもの心が「保護者からの自立」と「保護者への依存」の間で揺れているために起こる言動です。
仲間関係の重要性
この時期には、仲間の影響を強く受けます。
仲間と一緒にいることで安心感が得られ、同時に保護者から自立した行動をとることができるためです。
思春期の年齢は?

子どもの言動が以前とは変わってきたとき、その理由が何か悩みを抱えているからなのか、それとも思春期に入ったからなのか、判断がつきにくい場合もあるかもしれません。
また「そもそも、思春期とはいつからなのだろう?」と迷う保護者の方もいるかもしれません。
しかし、思春期の年齢については、統一された定義はありません。
医学的な側面、また社会文化的な側面など、思春期をどの側面から捉えるかによりさまざまな年齢の定義があります。
一例として、内閣府が子ども・若者育成支援推進法に基づいて推進している施策「子ども・若者ビジョン」では、思春期は「中学生からおおむね18歳まで」と定義されています。
しかし、思春期に明確な始まりと終わりがあるわけではなく、またその時期は一人ひとり違うでしょう。
いずれにせよ、思春期は数年間にわたって続く時期であるといえます。
思春期の特徴

思春期の子どもの変化に対応するには、まず思春期の特徴を理解しておくことが役に立ちます。
子どもによっても異なりますが、思春期に訪れる変化には一般的に以下のような特徴があるとされています。
急激な身体的成長
「第二次性徴」と呼ばれる体の変化が起こることで、子どもの体から大人の体へと急激に変化していきます。
性ホルモンや成長ホルモンが活発に分泌され、男女の体型に以下のような違いが現れます。
感情的に不安定になりやすい
思春期には体が非常に速いスピードで変化しますが、心がその変化のスピードに追いつかず、自分の体の変化にとまどいを覚えることがあります。
また「大人の体」とは生殖が可能な体であり、異性への関心が高まることや、子どもの頃にはなかった「性欲」を感じるようになることでも、感情が不安定になりやすい傾向があるとされます。
対人関係の変化
思春期には、対人関係が大きく変化します。
「保護者から自立したい」という気持ちが高まるため、保護者との関係の距離が物理的にも心理的にも広がります。
そして友人、とくに同性で同じ趣味や興味などを持つ「仲間」との関係が親密になります。
思春期の仲間関係では前述のように、保護者から自立した行動をとることができ、同時に感じる「保護者から離れることの不安」は仲間と一緒にいることで払拭することができます。
また子どもの世界から大人の世界に移行する過程で、「社会性を身につける」という重要な意味を持ちます。
第二反抗期
思春期の子どもの保護者に対する態度がよそよそしくなったり、批判的な言動をするようになることがあります。
子どものこのような変化に悩む保護者の方もいるかもしれませんが、これは子どもの成長過程の一部です。
人間の成長過程で、反抗が強く現れる時期は2回あるとする考え方があります。
第一反抗期は「イヤイヤ期」とも呼ばれる時期で、1歳半頃から3歳頃まで続くことが多いとされます。
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そして、第二反抗期が思春期であるとされます。
子どもはそれまで、主に保護者の価値観に従って生きてきました。
思春期に入り、対人関係が仲間などにも広がると保護者以外の意見も聞くようになり、保護者の価値観から抜け出し始めます。
自分の意見についても自信を持ち始めるため、保護者に対し反抗的な言動がみられるようになることもあります。
思春期の子どもへの接し方

思春期の子どもへの接し方では、以下のような点を心がけることが大切であるとされています。
見守る
思春期の子どもは、適度な距離を保ちながら見守ることが大切です。
子どもの様子の変化にとまどったり、ハラハラしたりすることがあるかもしれませんが、過度な質問や命令、否定的な言葉がけは控えるようにします。
子どもは精神的に自立しようとしているため、 抑えつけようとするとさらに強い反発を招いたり、自分の価値観が持てなくなったりする可能性もあります。
子どもの言動の背後にある気持ちを想像しながら、長い目で見守るようにしましょう。
子どもの「安全基地」になる
思春期の子どもは保護者に反抗的な態度をとることがある一方で、内心では不安や葛藤、心細さなどを抱えていることがあります。
このとき、安心できて信頼できる保護者の存在は思春期の子どもにとって「安全基地」となります。
安全基地とは、「子どもの心のよりどころ」のことです。
例えば、子どもが話しかけてきたときはじっくりと話を聞きます。
子どもは「批判しないで、気持ちを受け止めてくれる人がそばにいる」と感じることで、気持ちが落ち着くこともあります。
子離れする
思春期は子どもが保護者から精神的に自立する時期であり、また保護者も子離れする時期でもあります。
「子どもが保護者から精神的に自立していく」ということを尊重し、生涯にわたって付き合っていける新しい関係をつくっていきましょう。
「新しい関係のあり方」は家庭により異なるかもしれませんが、子どもが自分で考え、行動できる力を育てていくことが基本となるでしょう。
思春期の子どもの様子や接し方に悩んだときの相談先

思春期の子どもの様子や接し方について悩んだときは、以下のような相談先を利用できます。
担任や養護教諭、スクールカウンセラー
学校の担任の教諭や養護教諭、スクールカウンセラーなどに相談することができます。
スクールカウンセラーは心理についての専門的な知識や技術を持っており、学校において、児童・生徒が抱える課題についての助言や指導などを行います。
全ての学校に配置されているわけではありませんが、配置されている場合は、その学校のスクールカウンセラーとの面談の申し込み方法を確認してみてください。
医療機関
思春期は、心身共に不安定になりやすい時期でもあります。
子どもの様子が「ストレスや不安などによる症状なのではないか」と感じる場合は、医療機関に相談してみるのも一つの方法です。
精神科や心療内科、神経内科のほか、「思春期外来」という診療科を設置している医療機関もあります。
【参考】
児童相談所
児童相談所では、子どもと家庭に関するさまざまな問題についての相談に、児童福祉司や児童心理司、保健師などが対応しています。
地域によっては、「こども家庭センター」などの名称である場合もあります。
自治体の相談窓口
思春期についての相談窓口を設けている自治体もあります。
電話や予約制の面談など、相談の形式は自治体により異なるため、お住まいの自治体の情報を確認してみてください。
【参考】
LITALICOジュニアのパーソナルコース
LITALICOジュニアでは、発達が気になる高校生までのお子さまを対象に、放課後等デイサービスや学習塾を運営しています。
中学生・高校生が対象の「パーソナルコース」では、人間関係の築き方や学年相応ではない場合の学習のフォロー、進路や不登校についてなど、幅広い課題に対応しています。
また、保護者の方の関わり方についても手厚いサポートを行っています。
【関連ページ】
さらに、無料オンライン相談も行っています。
思春期の子どもへの接し方や進路などについて相談したいことがある場合は、お気軽にご利用ください。
思春期についてまとめ

思春期は子どもから大人への移行期であり、心身共に大きな変化が起こる時期です。
子ども自身も変化にとまどったり、保護者の方も子どもの以前の言動との違いに悩むことがあるかもしれません。
しかし、思春期に入ったことは、順調に成長している証であるといえます。
思春期の子どもへの対応に悩んだときは、この記事で挙げている接し方や相談先を活用してみてください。
また、LITALICOジュニアでも無料オンライン相談を行っています。
ぜひお気軽にご相談ください。
【参考】
- e-ヘルスネット(厚生労働省 )「思春期のこころの発達と問題行動の理解」
- 女性の健康推進室 ヘルスケアラボWEBサイト「思春期は第二の誕生」
- 茅ヶ崎市公式ホームページ「子どもの反抗期の意味」
- 岐阜県公式ホームページ「反抗期 『反抗期は自立をめざすあらわれ』」
- 奈良県公式ホームページ「親学サポートブック」
- 鹿児島県ホームページ「12 子どもの心(思春期)」
- 岩手県生涯学習情報提供システム まなびネットいわて「子育てQ&A 思春期編」
- 和歌山県「ご相談ください 親の場合 子どもの場合」
- KENJI HIRAISHI, SHOKO KONO, KIYOTO KASAI, TOMOO OKUBO, HIROYUKI YOSHIZAWA AND SEIICHI SAITO「思春期における発達と問題行動 Development and Problem Behavior in Puberty」
- 内閣府「子ども・若者育成支援推進大綱(「子ども・若者ビジョン」)の総点検 報告書」
- さいたま市「こころのホームルーム 思春期の子どものこころと大人の役割」
- 京都市「 思春期のこころを育むためのガイド」
- 文部科学省「成長スパートってなに?」
- 新潟市「『西区子育て情報誌「hug kumi(はぐくみ)』と広報紙『hug kumiだより』
- 石川県「 思春期のここが肝心!」
- 島根県「思春期のこころとからだ」
- 小野 善郎「思春期の心と社会 メンタルヘルス時代の思春期を救え」
- 深尾憲二朗「思春期:少年·少女の不思議のこころ (思春期のこころと身体Q&A)」