中学生の不登校|原因や対応、進路や相談先などを解説します

子どもが「中学に入学してから不登校になった」「理由を聞いても答えてくれない」という状況の保護者の方もいるのではないでしょうか?

 

不登校の中学生は文部科学省の調査によると約13万人いるとされ、小学生の約6万人と比べても多くなっています。

 

原因がはっきりしていることもあれば、不登校になっている本人にもわからないという場合もあり、対応で悩んでいる方もいると思います。

 

この記事では中学生の不登校について、原因や家庭での対応、進路先や相談できる窓口について紹介します。

中学生の不登校の原因や理由は?

ここでは中学生の不登校の原因や理由について紹介します。

不登校の定義は?

中学生の不登校の原因の前に、まず不登校の定義について紹介します。

平成13年の文部科学省の資料において不登校は「不登校児童生徒」とされ、

 


何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの

 

出典:文部科学省「不登校の現状に対する認識」

 

と定義されています。

明確に病気や経済的な理由で登校できない生徒は、文部科学省の定義では不登校とはみなされません。

不登校の人数は?

令和2年度の文部科学省の調査によると、不登校の人数は小学生・中学生・高校生を合わせて「約24万人」いるとされています。

 

内訳としては

  • 小学生:63,350人
  • 中学生:132,777人
  • 高校生:43,051人

となっています。

 

中学校3学年の不登校の人数が小学校6学年の約2倍となっており、全体としても割合が一番多くなっています。

 

中学生の生徒数が3,244,958人なので、中学生全体の約4%の生徒が不登校になっていることがわかります。

 

また、学年別に見ると中学生のうち2年生が一番多くなっており、次に3年生となっていて、この中学生の2学年を合わせて全体の約4割を占めています。

 

不登校の人数は?

 

出典:文部科学省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」71ページ

中学生の不登校の原因は?

中学生の不登校の原因として最も多いのが「無気力・不安(47.1%)」です。続いて「いじめを除く友人関係をめぐる問題(12.5%)」、「生活リズムの乱れ・あそび・非行(11.0%)」となっています。


原因としては大きく分けて「学校」「家庭」「本人」に関係するものがあり、それぞれが細分化しています。

 

中学生の不登校の原因は?

中学生の不登校の原因は?

 

出典:文部科学省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」82ページ

 

また、小学生では「不安など情緒的混乱」による不登校が多く、中学生と比べて家庭を原因とした回答が多くあります。

 

中学生では「無気力・不安」が最も多いという結果になっており、「生活リズムの乱れ・あそび・非行」と合わせて本人を原因とするものが多くなる傾向が見られます。

 

また、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」や「学業の不振」「入学・転編入学・進級時の不適応」なども小学校よりも多くなっており、中学校に進学したことによる環境や勉強内容の変化などが不登校の原因と考えられます。

 

社会情勢による影響

また社会情勢による影響も考えられており、令和4年の「不登校に関する調査研究協力者会議報告書」によると、コロナ禍による生活環境の変化で、生活リズムが乱れやすい状況や、制限のある学校生活の中でうまく交友関係がきずけないなど、登校する意欲がわきづらい状況にあった可能性も指摘されています。

中学生の不登校の原因として以上のような調査結果が出ていますが、不登校の原因はひとそれぞれ異なっており、本人もわかっていないという場合も多くあります。

 

「無気力・不安」になる原因も個人個人で異なるため、こういった原因が傾向として考えられると捉えておくといいでしょう。

不登校の中学生への対応はどうすればいい?

中学生の子どもが不登校になった場合にどう対応したらいいのかと悩むこともあると思います。

 

まず大事なのは「無理に学校に通わせない」ということです。子ども自身もなぜ不登校になっているのかわからないということもよくあります。

 

そういったときに「将来のために学校に復帰した方がいい」「勉強の遅れを取り戻させよう」と登校を強制してしまうと、中学生の子どもにとってはストレスとなってしまうことがあります。

 

その結果さらに学校にいかなくなるといったことも考えられるため、子どもに寄り添った対応をしていけるといいでしょう。

 

不登校の中学生へは以下のような対応があります。

  • 心を支える
  • 医療機関に相談する
  • スクールカウンセラーを利用する
  • フリースクールなどを活用する

心を支える

不登校になったことで子どももつらい思いをしています。まずはその気持ちに寄り添って、心を支えていくことが大事です。

 

保護者としては子どもの将来を考えて登校してほしいという気持ちもあると思いますが、「不登校=よくないこと」としてしまうと、子どもは「自分は駄目な人間なんだ」と精神的に孤立してしまいます。まずは子どもの心の安定を目指すようにしましょう。

 

場合によっては反抗的になったり、無気力で答えてくれないときもあると思います。中学生は思春期と呼ばれる時期で、本人も自分の気持ちをコントロールできないことも多くあります。そういった気持ちに寄り添うようにしていきましょう。

 

子どもが何かしたいと発信してきたときも過剰に反応せず、気持ちを尊重した対応を心がけていきましょう。

スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーに相談する

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは全国の小中学校に配置され、不登校の子どもに関する相談をすることが可能です。

 

言葉が似ていますが、スクールカウンセラーは「児童生徒の心理に関して専門的な知識・経験を有する者」として公認心理師、臨床心理士などの資格を持っている方が就いています。スクールカウンセラーは、不登校になった子どもの対応として、本人や保護者にカウンセリングをおこない、心のケアをしていきます。

 

スクールソーシャルワーカーは、「福祉に関して専門的な知識・経験を有する者」として社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持っている方が就いています。

スクールソーシャルワーカーは学校や地域、医療機関などと連携して、子どもを取り巻く環境に働きかけていきます。

 

スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーも協力して支援をしていくため、まずは担任や学年主任など身近な方に相談をするといいでしょう。

 

近年では対面のほか、電話やオンラインでカウンセリングなどの支援をおこなっている場合もあります。

医療機関に相談する

中学生の不登校の原因として、頭痛や微熱が続くなど身体症状が現れることもあります。

また、うつ病や発達障害が不登校の背景となっている場合もあります。「無気力・不安」や「友人関係」といった理由の背景として障害などが影響していることもあるため、医療機関に相談することも大事です。

 

中学生の場合は受診先は小児科や児童精神科、小児神経科などになります。何科を受診したらいいのかわからない、という場合はスクールソーシャルワーカーに相談しながら検討していくことも一つの方法です。

不登校の中学生の勉強・学習はどうすればいい?

不登校の中学生の勉強・学習はどうすればいい?

子どもが不登校になった場合、学校の出席日数や学習の遅れを気にする保護者も多いと思います。

 

不登校の子どもの学習については、公的な教育支援センターや不登校特例校、民間のフリースクールや家庭教師などを活用する方法があります。

教育支援センター

教育支援センターは主に学校を長期で休んでいる小中学生に対して、在籍している学校以外で学習の機会などを提供する場所です。一部では高校生も受け入れている場合もあります。

 

教育支援センターは以前は「適応指導教室」と呼ばれていましたが、役割や機能を鑑みて、現在は「教育支援センター」の名称が使われることが多いです。

 

教育支援センターには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理、福祉の専門家がいる場合もあり、子どもの状況に合わせた対応がおこなわれるという利点があります。

 

学校と同じく一日のスケジュールが決まっている場合が多いですが、午前のみ・午後のみといったように子どもに合わせて調整することもできます。

 

勉強は個別でおこなわれることが多く、対人不安がある子どもにも集中しやすくなっています。

 

また、勉強のほかにも、社会体験、自然体験、調理やスポーツなどの社会性を学べる活動をおこなっている場合があります。

 

こういった活動は子どもや保護者と相談しながら、無理なく参加できるように調整しながら通っていきます。

 

教育支援センターでの活動は、文部科学省が定める「出席扱い等の要件」を満たす場合、在籍校での出席扱いとすることができます。

 

また、在籍校とも連携をし情報共有や復帰へ向けての協力などをおこなっています。

教育支援センターを利用する場合は在籍校からの紹介や、地域の教育センター(あるいは教育委員会)に相談することが必要です。

不登校特例校

不登校特例校は不登校の子どもの状況にあわせて、授業時間や教育内容を柔軟に調整して実施する場所のことです。

 

教育機会確保法によって、国や地方公共団体に努力義務として設置を求められていて、令和4年4月時点で全国に21校設置されています。

 

授業形式も少人数・個別指導がおこなわれるなど、不登校の子どもが学びやすい環境となっています。

 

現在は数が限られていますが、今後設置が進んでいく可能性があります。

フリースクール

フリースクールは、不登校の中学生などに学習支援、教育相談、体験活動などをおこなっている民間の施設のことです。NPO法人や営利法人などが運営している場合や、個人やボランティア団体が運営している場合もあり、教育理念なども施設によって異なっています。

 

特定非営利活動法人フリースクール全国ネットワークによると、不登校の課題解決には「子ども中心」の発想が必要であるとの考えのもと、子どもが来やすい・相談しやすい環境をつくることが重要としています。

 

フリースクールは「学校への復帰を前提としない」「学校への復帰を目的とする」「発達障害のある子ども向け」「オンラインを活用する」など、施設ごとの特色があるため、子どもの希望や状況にあわせて選んでいくことが大切です。

 

フリースクールでの活動も一定の状況を満たせば在籍校の出席扱いとすることが可能です。

不登校の中学生の進路・高校進学について

不登校の中学生が卒業した後の進路や高校進学について紹介します。

文部科学省のおこなった「不登校に関する実態調査」によると、中学卒業後の高校などへの進学率は「85.1%」となっています。

 

また、中学生の進学後のよかった点として「自分の力や性格に合った学校にめぐり会えた(70.9%)」「自分の望み通りの学校に出会った60.7%」、「学校で信頼できる人に出会えた(68.0%)」と肯定的な意見も目立ちました。

 

高校などへの進学以外では「高等学校等に進学せずに就職した(6.0%)」「高等学校等に進学もせず、就職もしなかった(8.4%)」となっていることからも、不登校の中学生は卒業後に進学している割合が高いことがわかります。

不登校の中学生の進学先は?

不登校の中学生の進学先には以下のような選択肢があります。それぞれ特徴が異なりますので、子どもが通いやすいと思える進学先を選んでいくといいでしょう。

 

私立高校

中学校で不登校だった場合は、内申書(出席日数や定期テストの成績)が高校の合否に影響することがあります。

傾向として公立高校は内申書を重視することが多く、私立高校はそれぞれの方針で重視する学校も重視しない高校もあります。

 

その他にも私立高校は学校によって方針が異なるので、子どもに合った学校が選びやすいという特徴があります。

 

通信制高校

通信制高校は基本的には校舎に通わず、自宅で学習を進め、課題を提出することで単位を得ていく学校のことです。自分のペースで学習を進められるため、対人関係が苦手などで不登校になった子どもにあっているといえるでしょう。

 

課題はインターネットや郵送でやりとりしながら、単位を取得していき、最短で3年間で卒業が可能です。

 

学校によっては校舎への出席日数が「月に〇回」と決まっている学校もありますので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。

 

定時制高校

定時制高校は一般的に夕方や夜間に校舎へ通って授業を受ける学校のことです。一日の授業時間が少ないため、4年かけて卒業する学校も多くありますが、単位制と組み合わせて、3年で卒業できる学校もあります。

 

通信制高校と異なり校舎へ通うため人との関わりは多くなりますが、子どもが「朝起きるのが難しい」場合や、「昼間働きながら働きたい」といった場合には選択肢として考えてみてもいいでしょう。

 

チャレンジスクール

チャレンジスクールは中学生のときに不登校だった子どもなどに向けた定時制高校のことです。チャレンジスクールは東京都の名称で、クリエイティブスクールなどの名称で設置している都道府県もあります。

 

午前・午後・夜間の3部制の高校で、通常は4年で卒業となりますが、単位の取得具合によっては3年で卒業が可能です。

不登校の中学生が学校へ復帰する際に大切なこと

不登校の中学生が学校へ復帰する際に大切なこと

不登校の中学生が学校へ復帰する際に大切にしたいのは、段階を踏んでいくということです。

学校の関係者と相談する

不登校からの復帰は非常にエネルギーがいるため、いきなり全日授業に参加しても、心身がついていかないことがあります。

 

中学生の子どもが不登校から復帰することを望んでいる場合は、まずはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談をして、どうすれば無理なく登校できるようになるか計画を立てていきましょう。

保健室など安心できる場所に登校する

不登校の子どもの中には、ほかの生徒がいる教室に入るのに抵抗があることも多くあります。

 

学校に慣れるために「保健室」「相談室」など、安心できる場所に通うことを目標にしていくといいでしょう。

 

ほかの生徒の登下校時間とずらして、短い時間だけ過ごすなど本人にとって負担にならない範囲ではじめていき、徐々に慣らしていきましょう。

 

校舎の中に入るのが難しい場合は、「学校が見える場所まで行く」「校門まで行く」など状況に合った目標を設定し、段階を踏んで実行していくことが大事です。

受けやすい授業から参加する

学校に行くことに慣れてきたら授業に参加していきましょう。

 

これもすべての授業に参加するのではなく、まずは「休み時間だけ教室で過ごす」「好きな授業だけ受ける」といった段階を得て少しずつ時間を増やしていくことが大事です。

 

こういった段階は子どもの精神状態によっても左右されます。一度授業を受けても、また学校にいくのが難しくなることも少なくありません。子どもの様子を焦らず見守っていくことが大切です。

中学生の不登校に関する相談先

中学生の不登校について相談できる場所を紹介します。

教育支援センター

教育支援センターは市区町村や都道府県の教育委員会が設置している、不登校の子どもへの支援をおこなう機関です。

 

具体的には「集団生活への適応」「情緒の安定」「基礎学力の補充」「基本的生活習慣の改善」のための相談受付や助言などをおこなっています。

児童相談所

児童相談所は児童福祉法にもとづき設置されている機関で、子育てに関するさまざまな相談を受け付けています。

 

児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などの専門的なスタッフがいて、相談に対して助言やほかの関係機関の紹介などをおこなっています。

児童家庭支援センター

児童家庭支援センターは児童福祉法にもとづき設置されており、子どもに関するあらゆる相談を受け付けるほか、ショートステイや一時預かりなどの在宅サービスの提供もおこなっています。

 

ほかにも児童相談所などの関係機関とも連携して子どもの支援にあたります。

児童家庭支援センターは自治体により名称は異なり、東京都では「子供家庭支援センター」と呼ばれています。

精神保健福祉センター

精神保健センターは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にもとづき設置されており、地域の住民の精神的な健康に対する支援をおこなっています。

 

不登校の背景に精神疾患や発達障害があるのではと考えていても、医療機関を受診するか迷う場合などに相談をすると、子どもの状態に適した医療機関や支援機関などの紹介をしてもらえることがあります。

民間の支援機関

民間の支援機関の中にも相談を受け付けている場所があります。

先ほど紹介したフリースクールでも相談窓口があったり、「親子相談会」など不登校の悩みを相談できる機会を設けている場合があります。

 

また民間のカウンセリング機関でも、不登校をはじめとした子どもの相談を専門に受けつけている場所がありますので、一度検討してみるといいでしょう。

 

ほかにも発達障害の特性が不登校に影響している場合は、子ども一人ひとりにあわせたサポートをしている学習塾を活用することもできます。

 

LITALICOジュニアでは人間関係や学習のつまずきで不登校になった子どもに、学習や自立のための学びを提供しています。

 

その子どもにとってより良いコミュニケーション方法を一緒に探し、自分を助ける方法や自ら社会との関わりを築ける力を培えるようにサポートします。

 

また、子どものニーズに合わせて、受験の面接や論文対策や将来の自立に向けた予定管理方法など幅広いスキルの取得をサポートしていきます。

 

「子どもが中学に上がってから不登校になった」「コミュニケーションで悩んでいる様子がある」といった方はぜひ一度ご相談ください。

中学生の不登校についてまとめ

中学生の不登校は約13万人いて、小学生の約2倍となっています。

思春期で気持ちがコントロールできないことや、環境が大きく変わること、受験などの進路で悩むことなど、要因はさまざまです。

 

学習の遅れや将来のことを考えると焦る保護者の方もいると思いますが、不登校になっている本人もつらい思いをしています。

 

まずは子どもの心を支えて、支援機関と連携しながら、子どもに合った方法で段階を踏んで進んでいくことが大事です。

 

不登校の背景に発達障害の特性などが考えられる場合は、医療機関を受診することや、発達障害のある子どもの学習をサポートする支援機関を活用していくことも検討してみてください。

参考文献