「 【成長の様子】ADHD(注意欠如多動症)の子ども(7歳/小学生) 「 気持ちのコントロールが苦手 」ADHDの特徴やチェックリストもご紹介 」
お子さまが「気持ちのコントロールができない」「イライラするとものにあたってしまう」などというお悩みをもつ方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
小学校2年生(7歳)のゆうきくん(仮名)は、6歳のときにADHD(注意欠如多動症)の診断をうけています。
LITALICOジュニアに通う前は、イライラするとものを蹴ったり殴ったりする様子がありましたが、LITALICOジュニアの授業をとおして、「衝動的にものを叩く」という行動が減り、ご家庭でも言葉で伝えられるようになってきたそうです。
本記事では、ADHD(注意欠如多動症)の子どもによくみられる困りごとチェックリストとゆうきくんの指導の様子をご紹介します。
ADHD(注意欠如多動症)の特徴とは?
ゆうきくんの事例をご紹介する前に、ADHD(注意欠如多動症)の特徴をご紹介します。
ADHDは、注意欠如多動症とも呼ばれ、話を集中して聞けない、作業が不正確、なくしものが多いなどの「不注意」、体を絶えず動かしたり離席する、おしゃべり、順番を待てないなどの「多動性」「衝動性」の特性がみられる発達障害の一つです。
ADHD(注意欠如多動症)のあるお子さまによく見られる困りごとチェックリスト
ADHD(注意欠如多動症)のあるお子さまによく見られる困りごとをご紹介します。このチェックリストは目安であり、ADHD(注意欠如多動症)の診断を確定するものではありません。
ただ、もし下記のチェックリストの特性や困りごとに当てはまるものが多く、長期にわたって日常生活や学校生活に支障が出ている場合は、相談機関に相談をしてみるのがいいでしょう。
- なくし物や忘れ物をしやすい
- 外からの刺激に反応して注意がそがれやすい
- 約束を守るなど日々の活動を忘れてしまうことがたびたびある
- 授業中集中し続けることが難しい
- 課題または遊びの活動で、注意を持続することが難しいことがたびたびある
- 話しかけられたときに聞いていないようにみえることがたびたびある
- 指示に従えず、学業や用事などの義務をやり遂げることができないことがたびたびある
- 課題や活動を順序立てることが困難なことがたびたびある
- 学業や宿題のような精神的努力の継続が必要な課題に従事することをさける、嫌う、またはいやいやおこなうことがたびたびある
- 椅子に座っていても手足を動かすなどそわそわする様子がある
- 席についていなくてはいけない場面で、席を離れることがたびたびある
- 不適切な状況で走り回ったり高いところへ登ることがたびたびある
- 静かに遊んだり余暇活動につくことが難しい
- じっとしていない、またはまるでエンジンで動かされるように行動することがたびたびある
- しゃべりすぎることがたびたびある
- 質問が終わる前に答えることがたびたびある
- 順番を待つことが難しいことがたびたびある
- 他人を妨害し、邪魔することがたびたびある
現れる特性や困りごとは年齢や環境によっても異なるので、サポートもお子さま一人ひとりに合わせておこなうことが大切です。
また、特定の困りごとがあっても、困りごとが困りごとにならない、もしくは強みになるような環境を整えることができるかもしれません。
LITALICOジュニアでは、お子さまの感覚や行動の特徴、獲得スキルなどを専門のスタッフが分析するアセスメントを実施しています。感覚の特徴を知ることで、お子さまへの接し方や環境調整の仕方が分かるため、スムーズに生活するためのサポートがしやすくなります。
ゆうきくん(ADHD/小学2年生)の困りごと
ゆうきくんの困りごと:イライラしたときに衝動的にものにあたってしまう
例えば・・・
・ゲームの点数がとれないときやゲームをやめないといけないときに、ドアを蹴ったり殴ったりしてしまう
・解けない問題があると問題用紙をぐしゃぐしゃにしたり鉛筆を折ってしまう
ほかにも、できなさそうなゲームは黙って参加するのを拒否することもありました。
そうした行動を周りから注意され、ゆうきくんもどうしていいか分からず自信をなくしている様子がみられました。
LITALICOジュニアの指導の内容をご紹介!
信頼関係を築く
まずは、ゆうきくんと信頼関係を築くために、好きなゲームについて話してもらったり、一緒にカードゲームをしました。
はじめは、課題の拒否がみられたり、関係のない話を一方的にしたりする様子が見られましたが、信頼関係ができてきたことで、「次はなにするの?」と笑顔で自分から尋ねたり、「もう一回やりたい!」と言葉での要求がみられるなど、安心して指導員とコミュニケーションをとる様子が見られるようになりました。
「気持ちのコントロール」「叩く以外の方法で伝える」練習
次に、本来のねらいであった「気持ちのコントロール」や「叩く以外の方法で伝える」練習に取り組みました。
【気持ちのコントロールの練習】
ゆうきくんと、どんなときに自分の気持ちが高ぶってしまうのか、また今の気持ちがどれくらいなのかを「気持ちの温度計」の教材を使って、一緒に確認していきました。
この教材は、自分の気持ちの高まりや落ち込みを段階的に捉え、表現する練習ができます。
気持ちは目に見えないので、自分の気持ちがどれくらいなのか捉えることが難しいですが、「気持ちの温度計」に当てはめながら、自分の気持ちがどれくらいなのかを理解する練習をしました。
ゆうきくんがイライラする様子が見られたときには、「今、気持ちの温度計どのくらい?」と声をかけ、イライラが爆発する前に気づき、ゆうきくんにあった方法で気持ちを落ち着かせられるようにサポートをしました。
【「叩く以外の方法で伝える」練習】
これまでゆうきくんは、イライラするとものを叩いてしまい、周りから怒られ、自分でも嫌になってしまうという行動パターンがあったそうです。
そこで、LITALICOジュニアでは「ものを叩く」という行動を「自分の気持ちを言葉で伝える」という行動に変えるアプローチをはじめました。
ロールプレイを通して要求を「言葉で伝える」練習をおこないます。言葉で伝えることができたときには、言葉で伝えられたことを褒めたり、一緒にゲームをすることで、「言葉で伝える」行動を引き出しやすくし、定着させていきます。
こうした指導を通して、ゆうきくんは、通い始めた当時のような「衝動的にものを叩く」という行動が減り、ご家庭でも言葉で伝えられるようになってきたそうです。
ご家庭でのアプローチ
ゆうきくんの望ましい行動が増えた背景として、ご家庭でのアプローチも効果的でした。
LITALICOジュニアの指導だけではお子さまにアプローチできる時間に限りがあるため、ゆうきくんの保護者さまに、ペアレントトレーニングを通して、褒めるポイントや伝え方のコツをお伝えしました。
ペアレントトレーニングを受けていただいた後は、ご家庭で学んだ内容を実践いただき、授業のたびに、ご家庭でのアプローチについて指導員と振り返りをおこないました。
その結果、ゆうきくんはご家庭でもLITALICOジュニアでも褒められる場面が増えて、自信をつけられました。
LITALICOジュニアでは保護者さまへのサポートも充実しており、子育てのお悩みについてもご相談いただける時間もあります。
ADHD(注意欠如多動症)の子どもへの指導実績も豊富!LITALICOジュニアとは
LITALICOジュニアでは、これまで発達障害や学習障害、グレーゾーンのお子さまへの指導実績が2万件あります。専門的なノウハウをもとに、そのひとりに合った成長をサポートします。
ゆうきくんのような気持ちのコントロールの仕方や、学習、コミュニケーションスキルなどさまざまな指導をお子さま一人ひとりにあわせておこなっています。
気になる方は体験授業もおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
LITALICOジュニアの授業を体験してみませんか?
LITALICOジュニアのパーソナルコースでは、お子さまの困りごとや好き嫌いなどの情報を事前にお伺いした上で、お子さまに合わせた70分の体験授業をおこなっております。
通所受給者証を使って通うスタンダードコース(未就学のお子さま対象)でも、すぐに体験授業を受けられる教室のご用意がございますので、お子さまの発達でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
【参考資料】
- 文部科学省 特別支援教育について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
文責:井田美沙子
監修者:博士(障害科学) 野口晃菜
お子さまの発達にお悩みの方に
LITALICOジュニアでは、一人ひとりのお子さまの得意や苦手を見つけ、その子にあった教育を実践しています。
対面での指導とオンラインを通じた在宅での指導が選べます。
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