小学4年生の課題と指導事例
中学生に進むための土台となる「自主性」を育みます。
学校では自主性に委ねられることが増え、手とり足とり補助をするのではなく、「自分たちで解決しなさい」という関わり方になります。これまでよりさらに難易度が高い単元に取り組むので基礎学力が備わっていないと授業そのものへの意欲が低下しやすくなります。4年生では基礎的なスキルを身につけることに最も時間を使い、できていることをさらに強化することで、意欲や自信を生み、中学生に進むための土台となる「自主性」を育みます。成功体験を大切にし、自信をもって学校生活を送れるようサポートしていきます。
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LITALICOジュニアでの課題別指導例
お子さまは一人ひとりつまづくポイントや得意な学び方がことなります。
お子さまに合わせた方法で指導プランをご提案しています。
課題1
自分の気持ちや考えを伝えるのが苦手
自分の思っていることを上手に伝えられないようで、友だちや先生に誤解されてしまうことが多いようです。
指導事例
パーソナルコースの指導事例
動画を視聴し、そのシーンでは何がよくて何がよくなかったかを指導員と話します。その上で、自分だったらどう発言、行動するかを考えてもらいます。次に実際に指導員とその場面を再現し、自分の伝えたいことをしっかりと伝えられたか、正しく伝わったかを振り返ります。この中で得る成功体験を大切にし、自信をもってもらうことにつなげます。
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- マンツーマン指導/毎週
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・様々な場面を想定し、その場面で、自分ならどう話すか、このような話し方だと他の人はどう思うかを考えてもらいます。
・「アサーティブ(自己主張)メーター」を用い、今の発言は、相手にとって柔らかい表現だったのかトゲトゲしい表現だったのかを可視化し、その場面での上手な伝え方を確認します。
また、動画を視聴したり、場面カードを用いて、そのシーンでは何がよくて何がよくなかったかを話し合います。その上で、自分だったらどう発言、行動するかを考えて発表します。次に、実際に先生とその場面を再現し、自分の伝えたいことをしっかりと伝える練習していきます。最後に正しく伝わったかを、振り返りをおこないます。
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- 家庭での学習
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保護者さまも一緒に、アサーティブメーターを使って、家庭内で会話をすることにチャレンジしていただきます。ご家庭で、ご家族みんなで取り組むことで、お子さまにとってはお手本が身近にいるので、習得しやすくなります。
また、保護者さまご自身も、特にネガティブな気持ちや考えをご家庭の中で出す頻度を増やしていただくことで、お子さまも「ネガティブなことを話してもいいんだ」「自分の気持ちはこうやって伝えるのか」など、多くを学べます。
ポイント
アサーティブな伝え方、という曖昧になりがちなものを、メーターという数値化したものを基準にして、お子さまや保護者さま、教室とで共通で確認できることで、習得の進捗がわかりやすくなったり、改善がしやくすなったりします。
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課題2
自信・やる気・勉強への意欲がない
勉強に対してはもちろん、何においてもやる気がなく、自信も失ってしまっているようで心配です。
指導事例
パーソナルコースの指導事例
できていることを評価し、好きな活動、すでにできることから授業をスタートします。その後、好きな活動を進めていくために出てきた課題を解決するための方法を学んでいくことで、学ぶ意欲を育みます。
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- マンツーマン指導/毎週
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まずは勉強の中で、できていることを見つけたり、勉強の中に、お子さまの好き興味関心のある活動を入れて、意欲を引き出します。「そんな難しい漢字読めるんだ!」「計算早いね、先生まだ計算終わってないよ」「ゲームの取り扱い説明書みたいに、計算方法の説明書作ってみよう。その説明書、好きなキャラクターの絵を描いたりして、デコレーションしよう」などです。
勉強を進める中で、できる実感を積み重なるほど、意欲も高まっていきます。そのためにも、お子さまに合わせて学びやすい教え方を発見し、その方法で学習を進めていきます。
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- 家庭での学習
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まずは、勉強の学力や学習姿勢(開始時間や正答率など)よりも、学習に向かう意欲を高めることを優先します。
よって、勉強に取り掛かるための事前の声かけ(「いつから始めるの!もう17時過ぎたよ」などの声かけ、など)は極力減らしていただきます。また「自分からプリント出したんだね」「宿題、一人で最後まで取り組めたね、お母さんすごく嬉しい!」などのポジティブな声かけを増やしていただきます。
ポジティブな関わりが増えることで、学習への意欲も高まっていきます。
ポイント
勉強は、意欲が回復すれば、そのあといくらでも取り戻すことができます。まず着眼すべきは、お子さまが勉強を通して「できた実感」や「勉強することによって得られた喜び(メリット)」をたくさん得ることです。
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課題3
我慢ができない、
感情を抑えられず爆発してしまう
自分の思い通りにいかないと、急に黙り込んだり、急に強い言葉で相手を責めたりしてしまうことがあります。また、自身で感情のコントロールが難しいのか、突然怒りを爆発させてしまうこともあります。
指導事例
パーソナルコースの指導事例
根底にあるのは、友だちの考えやルール、トラブルの解決策などが分からないという気持ちです。状況を理解するスキルとともに、自身の気持ちの変化に気づき、沸点に達する手前で抑えられる・発散をする手だてを知ることで、感情をコントロールするスキルを身につけていくことができます。
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- 小集団指導/毎週
※マンツーマン指導9ヶ月受講後 -
感情のコントロールが難しいお子さまの場合は、興奮している・楽しい・普通・モヤモヤしている・爆発など感情の変化を5段階で表し、今の自分がどこに当てはまるかを可視化しながら確認していきます。楽しいから興奮、モヤモヤから爆発に移行するきっかけにはどんなことがあるか、また身体的にどのような変化が現れるのかを、一緒に見つけながら、どのような対処法をとり入れると、感情が移行する前に普通(落ち着いた状態)へ戻れるかを一緒に考え、実践できるようにしていきます。
また、1つの事柄に対して、複数の表現方法ができるようになると、言葉で表出する機会が増えるので、気持ちをため込まず、外に出しながらコントロールできる力が身に付きます。
例えば「バナナ」であれば、黄色い・柔らかい・皮をむくなど、複数の言葉の表現を練習し、物事の捉え方のバリエーションを増やしたり、表現の方法を増やしていきます。
この練習は、語彙を増やすことにも繋がるので、作文や文章問題への理解度も高められます。
- 小集団指導/毎週
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- 家庭での学習
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ご家庭でも感情の変化の5段階を使用して、「今どう?」という問いかけをしながら、こまめに感情の確認をできるようにしていきます。
また、お子さまだけでなく、保護者さまも同様にそのツールを使って、「今、お母さん、興奮しているんだよね!」と伝えることで、保護者さまがお手本になって、よりお子さまが感情を選びやすくなります。
ポイント
保護者さまへのサポートでは、お子さまに合わせた具体的な接し方・声かけを学びます。
自身の感情の変化とリラックス方法を知り、イメージする力を育むことがポイントです。
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まとめ
友だちと自分の関係に意識が向きやすい小学校3・4年生は、自他の違いが浮き彫りとなる時期です。コミュニケーションの幅や言葉のレパートリーが増えていく中で、もともとの苦手分野が表面化して、自分なりの解決策を模索し始めるときでもあります。
スムーズに集団生活を送るためにも、苦手とすることの背景要因を見極めて抽象的な物事への理解を具体化していくとともに、解決策へつなげていく視点をもつことが大切です。
そのためには、まず大人が適切な対処法を提示してお子さま自身が自分に合ったものを選べる環境を設定し、状況に応じた言動のレパートリーを増やしていきましょう。
また、先生や保護者など周囲の大人が情報を共有して、お子さまに気づきを促す言葉がけをするなど、できた・成功したという経験を積み重ねていけるよう導いていきましょう。
小学4年生の発達の目安
・時計を見ながら、時間を逆算して行動に移せる
・わり算の筆算ができる
・自らの体験について200文字程度で書くことができる
・話しあいで、他者の意見を同調したり反対意見を伝えたりできる
・他者の表情やしぐさを見て、相手の言葉に表れない気持ちを読み取る