カッとなることが減り、自分の気持ちを言葉にして伝えられるように
2023年03月10日公開 | LITALICOジュニア編集部
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お母様とRちゃんに、LITALICOジュニアを利用されるまでの経緯とこれまでの変化を伺いました。
目次
プロフィール
Rちゃん
年齢:12歳3ヶ月
ジュニア歴:1年6ヶ月
診断名:自閉スペクトラム症
困りごと
- 怒りや不安な気持ちを上手く言葉で表現できない
- やりたくないことを避けてしまいがち
- 時間の感覚が上手くつかめない
通ってからの変化
- 自分の気持ちを言葉で伝えられるようになった
- さまざまなことに挑戦できるようになった
- 計画的に取り組めるようになった
気持ちがコントロールできず、泣いてしまうことも
LITALICOジュニアを利用することになったきっかけを教えてください。
幼少期からよく本を読むような子どもだったので、理解力はあるのかなと思っていました。でも、小学生になってからも相手に言われたことを勘違いして受け取ってしまうことがあったんです。最初はなぜそんなことが起こるのかがわかりませんでした。あるとき、かかりつけの内科医の先生に相談したところ、発達や知能の検査を受けてみることをすすめられました。
ただ、病院だと順番待ちをしている方が多く、検査を受けるまで時間がかかりそうだったので、LITALICOジュニアの心理検査を受けることにしました。当時、息子(Rちゃんの兄)が通っていたので心理検査を受けられることは知っていたんです。その結果を持って病院を受診したところ、自閉スペクトラム症という診断を受けました。LITALICOジュニアに通うことを考え始めたのはそれがきっかけです。
具体的にはどのような困りごとがあったのでしょうか?
怒りや不安な気持ちを上手く言葉で表現できないことで、乱暴な言い方になってしまうことがありました。宿題でわからない問題があったり、自転車の練習が思ったようにできなかったりするとカッとなってしまうんです。友達とのコミュニケーションが上手く取れないことで、家に帰ってきてから泣いてしまうこともありました。
時間に対する思い込みも強くて、出発時間まで余裕があったとしても焦ってしまうことがありました。出かける予定があったときは、出発する30分前にはリュックを背負って玄関で待っていることもあったんです。「まだ大丈夫だよ」と言っても「もう30分しかない!」と言って、すごく慌てていました。
そんな様子を見て、私自身も困ってしまうことが多くありました。悩んでいる娘に対して、私がわかってあげられなかったんです。「お母さんに私の気持ちはわからないよ」と言われてしまうこともありました。
Rちゃんが初めてLITALICOジュニアに来られたときは、どのような様子でしたか?
新しい場所に行くことやスケジュールが増えることには戸惑いを感じてしまうようで、最初は「行くのは嫌だ」と言っていました。でも、実際に行ってみると初回から「楽しかった!」と言うのでLITALICOジュニアに通うことになりました。
先生と話をする中で「自分のことをわかってくれる」と感じたようです。一緒に遊んだりする時間があり、楽しい場所だと感じたのではないかなと思います。
自分の気持ちを知り、言葉にして相手に伝えられるように
授業ではどのようなことに取り組んでいたのでしょうか?
授業の中では、モヤモヤや怒りを感じたときに、気持ちをコントロールしたり相手に説明したりする方法を練習してくれました。
娘の話を聞いた先生が、「Rちゃんはそう考えているんだね」と返してくれるんです。そうすると、自分が話したことが受け入れてもらえている感じがして安心するわけですよね。また、先生の言葉の使い方を学んで、自分でいいなと思う表現を吸収して日常で使うようにもなりました。
LITALICOジュニアに通い始めてから、Rちゃんが変化したと感じたことはありますか?
LITALICOジュニアに通い始めてから、嫌なことをきちんと言葉にして相手に伝えられるようになったなと思います。以前は自分が嫌だと感じている認識もあまりなく、「何かそわそわするな」くらいに感じていたようです。自分の気持ちが整理できないときは、2時間くらい泣き続けることもありました。今はそのそわそわ感を「自分が嫌だと感じているということだな」と受け止められるようになったようです。
物事に対する適応能力が上がったなとも感じます。今までは抵抗感のあることだったら全て拒否するような感じだったのですが、「やってみることでこんなメリットもある」といろいろな視点で考えられるようになりました。LITALICOジュニアに通う中で、「こうやってみたら?」とアドバイスをもらって、実際にやってみて成功体験を積み重ねられたのも大きかったのではないかなと。
また、先生が「次までにこれをやってきてね」と宿題を出してくれることもあって、物事に計画的に取り組めるようになったと思います。家で勉強するときは、「◯日までにこれを終わらせる」と自分で決めてやっていますね。
カウンセリングルームのような、何でも相談できる場所
お母さまにとっては、LITALICOジュニアはどのような場所でしょうか?
すごく安心して子どもをお任せできる場所だと思っています。日常生活の中で娘の話を聞こうと思っても、忙しくて十分に聞いてあげられないことはあります。そうすると、娘の中で伝えきれなかったモヤモヤが残ってしまうんですよね。
なので、親以外に話を聞いてくれる大人がいることは大切だなと思います。親に話せなくても、LITALICOの先生には話せることもあるみたいですしね。LITALICOの先生は娘が「親には言わないでほしい」と言ったことをちゃんと秘密にしてくれるんですよね。娘はそれをわかっているようで、信頼関係ができている証拠だと思います。
通い始めの頃はモニターで授業の様子を見ていましたが、どうやら先生と秘密の話もしているようで、最近は娘に「見ないでね」と言われています(笑)なので、最近は見なくなりました。女子トークのような感じでお話しているのかもしれませんね。
また、私自身は以前ペアレントトレーニングを受けたので、子どもの気持ちを想像しながら関われる場面が増えたなと思います。
最後に、お子さまについてお悩みの保護者さまへメッセージをいただけますか。
すべては子どもの個性なので、親が受け止めてあげたら子どもは伸びていくんだと思います。でも、つい「人並みにできるように…」と考えてさまざまなことを気にしてしまうんですよね。それって、すごくもったいないことだと思います。サポートしてあげたら、きっとできるようになることはたくさんあると思います。
私たち夫婦も本当に娘がLITALICOジュニアに通う必要があるのか悩む場面はありました。けれど、結果として成長を実感することができたので、通わせてよかったなと思っています。
Rちゃんへのインタビュー
LITALICOジュニアに通い始めてから、どのような変化がありましたか?
どんどんトラブルが減って、生活が楽になった感じがします。LITALICOジュニアに通う前は、自分の中の理想に引っ張られることが多くて、上手くいかなくてもこだわりを持ちすぎてつらくなってしまうことがありました。でも時には諦めたり、気持ちを切り替えることができるようになったと思います。
LITALICOジュニアの授業で印象に残っていることはありますか?
授業でハーバリウムを作ったことです。LITALICOジュニアでやってみて楽しかったので、家でも作ってみました。以前はやってみたいことがあっても、あんまり口に出して言うことができなかったんです。「失敗したらどうしよう…」と強く思ってしまって。でも「なんでもチャレンジしてみたらいい」と思えるきっかけをもらえた感じがします。
<最近は絵を描くことが好きなRちゃん。海の絵を見せてくれました。>
Rちゃんにとって、LITALICOジュニアはどんな場所ですか?
困っていることや悩んでいることがあったら、なんでも相談できる場所です。学校でイライラしてしまうことがあったら、それも先生に話したりしています。
Rちゃんの目標の変化
LITALICOジュニアのパーソナルコースでは、お子さま一人ひとりに合わせた個別支援計画(IEP)を9か月ごとにたてています。
LITALICOジュニアに毎週通ううちにできることが増え、目標もどんどんレベルアップしていることがわかります。
通所開始時の目標:
困っていることをLITALICOの先生に伝えることができる
困っているそのときに言えずに、家に帰ったタイミングやあとから八つ当たりをしてしまう様子がありました。まずは、嫌なことがあったときにその場で嫌なことを伝えられるように先生相手に伝える練習をしました。
通所から9ヶ月後の目標:
適切な態度や言い方・タイミングで思っていることを伝える
困っていることは困ったときに言えるようになったけれど、言い方が乱暴になってしまうことがあるので、相手の気持ちを考えながら伝える練習をしました。
通所から1年半後の目標:
話を始める時に、話したい内容や目的を最初に伝える(例:「嫌なことの話しなんだけど~」「相談にのってほしいんだけど~」、など)
最近では、LITALICOの先生だけではなく、お母様や学校の先生にも困りごとを伝えられるようになってきました。
そこで次のステップとして、いきなり話だすことで何の話が伝わりづらいという課題感から、何を伝えたかったのかが相手がわかりやすいように最初に目的を伝える練習をしています!
先生からのコメント
LITALICOジュニアにRちゃんが初めて来てくださったときは、その場の状況を見て行動できるお子さんだなと感じました。一見困っていることは少なそうに見えますが、いつも頑張ってしまうからこそ、つらさを感じてしまうことがあるのではないかなと思いました。
授業では学校での悩みを相談してくれて、一緒にそれに対してどうするかを考えていきました。嫌なことがあるとそれを避けてしまいがちなところがあったので、「やってみらどんないいことがあるだろう?」という視点で考えることも意識しました。
お母さまには私からRちゃんとの関わりについてアドバイスをさせてもらったこともあります。その後はすぐに実践してくださって、本当にRちゃんのことを第一に考えてサポートをされていると感じました。春から中学生になるRちゃんには、これから自分のやりたいことに取り組んで、自分の強みを伸ばしていってほしいなと思います。