小4から不登校だった娘が、毎日「楽しい」と言えるようになりました
2023年05月19日公開 | LITALICOジュニア編集部
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Iちゃんのお母さまに、LITALICOジュニアを利用されるまでの経緯と通い始めてからの変化を伺いました。
プロフィール
Iちゃん
年齢:9歳
困りごと
- 予定の変更を受け入れられない
- 思ったことをそのまま口に出してしまう
- 気持ちの切り替えが苦手
通ってからの変化
- 予定が変わったときは別の選択ができるようになった
- 相手の気持ちを考えて発言できるようになった
- 相手の行動が気になっても、少し許せるようになった
学校に行かなくなり、途方に暮れていた
LITALICOジュニアに通い始めたのは、Iちゃんが小学校4年生のときでしたよね。どのような経緯で通われることになったのでしょうか。
小学校2年生の頃の担任の先生からは、「苦手な授業の前になるとお腹が痛くなる傾向がありますね」と言われたことがあります。その先生は、娘が不安になるタイミングをわかってくれていて、「保健室に行って良くなったら戻っておいで」と声をかけてくれていたようです。その後もストレスを感じると、それに伴ってお腹が痛くなることが増えていきました。小学校3年生くらいからは、朝に「お腹が痛い」「頭が痛い」と言うようになって学校を休むことが増えていきました。
授業中に手を挙げて先生に体調不良を伝えることは勇気がいると思うので、それも負担だったのではないかなと思います。ただ、そのときはまだ私自身が真剣に受け止めていなくて。授業中は許可をもらってトイレに行くことは学校のルールですし、自由に行けないのは仕方がないことだと思っていました。
4年生の4月から、学校にはまったく行かなくなりました。どうしたらいいかわからない状態で、メンタルヘルスを専門とした病院に連れていったことがあります。主治医の先生からは「この子は学校に行けないかもしれないので、覚悟しておいてください」と言われました。娘がそこまでつらい状態だったことに、そのとき初めて気づいたんです。
その後もメンタルヘルスを専門とした病院に通われたのでしょうか?
いいえ、行ったのは1回だけでした。いい先生だったのですが、娘は「もう絶対行かない」って。「あなたは病気です」と言われたような気がしてしまったのかなと思います。私はその後も病院に連れて行ってあげたいと思っていましたが、どうしたらいいのかわからなくなってしまって…。何かできることはないかと思って、不登校についてネットで調べていたときに、LITALICOジュニアのことを知りました。
LITALICOジュニアに通い始めた頃、Iちゃんの様子はいかがでしたか。
娘を連れて行こうとしたのですが、怖がって行きたがりませんでした。私がLITALICOジュニアを「学校」と表現してしまったこともあり、「また学校に連れて行かれる!」と思わせてしまったようです。そもそも新しい場所に行くことにも抵抗感があるんですよね。
ここは、先生に褒めてもらえる安心できる場所
最初はLITALICOジュニアに通うことにも抵抗があったのですね。それからどのようなきっかけで通えるようになったのでしょうか?
先生に「うちの子、行けないです」と話したら、状況をわかってくれて別の方法を提案してくれました。「Iちゃんには『ママの学校に行く』と言ってください。Iちゃんは家にいたままでもいいし、『一緒に行きたい』と言ったら連れてきてもらえばいいですよ」と言ってくれたんです。
実際に娘にそう言ってみたら「ついて行く」と言うので、LITALICOジュニアでは私が1時間くらい個室で先生にいろんな相談をさせてもらっている間、娘は別室で過ごしてもらいました。その間に、別の先生が声をかけてくださったんです。娘が描いたイラストを先生が褒めてくれたり、工作を見せると「すごい!」と言ってもらえたり。
通い始めてから2、3回目くらいのときに、「ママ、今度いつ行くの?」と聞いてくるようになりました。「来週の金曜日だよ」と言うと、「私も行きたい」と言うんです。LITALICOジュニアは安心できる場所だと感じていたからではないかなと思います。
LITALICOジュニアで過ごすことに慣れてきた頃に「子どもの学校もあるみたいだよ」と娘に言うと、「行きたい」と。その後は、娘が授業を受けるようになりました。
授業では、どのようなことを目標にして取り組まれましたか?
日常生活の中では急な予定の変更を受け入れるのが苦手で、一緒にいる私も困ってしまうことがよくありました。例えば、行こうと思っていたお店が閉まっているとわかったときは、別のところに行ってみようとはせず、「もう帰る!」と不機嫌になってしまうんです。
あとは、正義感の強さからか自分が「良くない」と思ったことをそのまま相手に言ってしまうこともあって。赤信号のときに横断歩道を渡っている人を見ると、指差しをして「あの人、ルールを守ってない」と口に出してしまうこともありました。
なので、授業の中では日常生活で起こりそうな場面を設定して、「どう行動するか?」を考えるトレーニングをしてくれました。例えば、「何度も同じことを話す友達がいたとき、なんて言う?」という問いを先生が投げかけてくれます。それに対して、「うるさいって言う」と答えたとしたら、「Iちゃんがそういう風に言われたらどう思うかな?」と、また問いを投げかけてくれるんです。
先生が答えを教えるのではなく、娘に問いかけながら一緒に考えていくようなアプローチをしてくれました。親だとどうしても「それはダメだよ」「こうした方がいいよ」などと答えを教えがちなので、先生の関わり方を見て学ぶことは多くありました。
気持ちを切り替え、「ま、いっか」ができるように
日常生活の中で、Iちゃんの変化を感じる場面はありましたか?
以前は、娘と一緒に出かけると喧嘩してしまうことが多かったんです。どうしたら喧嘩せずに帰ってこれるかを先生に相談しました。そのときに、「『もしここが満席で入れなかったらどうする?』と事前にIちゃんに聞いて、出かける前に複数の選択肢を用意しておくといいですよ」と言ってくれました。「なるほど!」と思いましたね。
出かける前に「映画館が満席だったらどうする?」「焼肉屋さんが満席だったらどうする?」などと聞いて、「満席だったら、こっちに行く」と選択肢を増やして出かけるようになりました。授業の中で「ま、いっか」と切り替える練習もしてくれていたおかげか、行きたい場所に行けなくても気持ちを切り替えられる場面が増えたなと思います。
思ったことをそのまま口にしてしまうことは今でも時々ありますが、自分が思う正しさとは違う行動をとっている人を、少し許せるようになったかなと思います。
友達との関係はどのように変化しましたか?
実は、今年度に入ってから「友達に会いたい」と言うようになったんです。あるとき、担任の先生との面談で私が学校に行く用事があったので、「なにか先生に言っておいてほしいことはある?」と聞くと「私も行く」と言うんです。それがきっかけで、今は運動会の練習のために、放課後に学校に通っています。走るのは大好きなので、運動会には出たいみたいで。
他の授業は、オンライン授業であれば少しずつ出られるようになりました。最初の頃はカメラをオフにしていたようですが、最近はカメラをオンにして友達と交流することもあるみたいです。毎日、「楽しい」と言っていますね。
自分のやりたいことをやって、興味を広げてほしい
Iちゃんにとって、LITALICOジュニアはどのような場所だと感じますか?
自分を受け入れてくれる場所なのではないかなと思います。娘のことを、心を込めて褒めてくれるんですよね。絵を描いて見せたときは「この色使いがかわいいね」とか「このキラキラの部分が素敵だね」とか、具体的に褒めてくれるのも嬉しいみたいです。
お母さまにとっては、LITALICOジュニアはどのような場所でしょうか。
なんでも相談できる場所。そして、安心して娘を預けられる場所ですね。実は、私自身も先生に褒めてもらえて嬉しかったことがたくさんあって(笑)娘との普段の関わりをお話ししたときは、「わー!すごい!」とすごくポジティブな反応をしてくれます。大人でも褒めてもらえるとやっぱり嬉しいですよね。なので、LITALICOジュニアに行く日は、いつも気持ちよくその日を終えられる感じがします。
あとは、怒りたくなるときは今でもあるのですが、ペアレントトレーニングを受ける中で、私自身が怒らずに表現を変えて伝えられるようになったなと思います。最近は、「こうしてくれたらママは嬉しいな」と言ったり、ハードルを下げて娘のことを褒められるようになったからか、娘から「ママ、怒らなくなったね」と言われました(笑)
Iちゃんには、これからどんなところを伸ばしていってほしいなと思いますか?
まずは、いろんなことに興味を広げて、自分のやりたいことをやってもらうのが一番だなと思います。学校に行くことや友達と遊ぶこと、お泊まり学習に行くことを楽しんでほしいなと。
勉強にも少しは興味を持ってほしいなとは思いますが、娘の場合は「勉強しなさい」と言われてやるようなタイプではないんですよね。自分の好きなことに取り組む中で、勉強の楽しさも感じてもらえるといいなと思います。
最後に、お子様についてお悩みの保護者さまへメッセージをいただけますか。
病気や障害があるからという理由だけでなく、子育てに困っていたり何か不安に感じていることがあるのであれば、一度LITALICOジュニアに通ってみるといいと思います。自分の子どものことでも、わからないことってあると思うんです。LITALICOジュニアに通って娘の変化を感じますし、私自身、娘との関わり方で勉強になることがたくさんありました。保護者が受けられるペアレントトレーニングもあるので、まずはそこに通ってみるのもいいのではないかなと思います。
ありがとうございました!
先生からのコメント
最初は「行きたくない」という状態からのスタートだったのですが、1ヶ月もたたないうちに意欲的に来てくれるようになりました。1ヶ月目のときに、「こういうことを目標にして、Iちゃんと一緒にやっていきたいと思うんだけど」と伝えて、その目標に向けて授業を進めていくことができました。
目標の一つとして設定していたのは、相手の意見を受け止めた上で発言すること。授業を重ねる中で、自分の中にある思いを相手の立場を考えて発言することがすごく上手くなりました。友達やご家族との関わりの中でもそれが実践できたのは、Iちゃんの自信になったのではないかなと思います。
今はオンライン授業を受けられるようになったり、学校に通える日が増えてきましたよね。それも嬉しい変化です。これからもIちゃんらしく好きなことを広げていってほしいなと思います。