怒りや不安からパニックを起こすことが多かった息子ーネガティブな感情とうまく向き合い、新しい環境にも適応できるように!
2024年06月10日公開 | LITALICOジュニア編集部
スタンダードコース
児童発達支援
放課後等デイサービス
パーソナルコース
パーソナル
そんなTくんは、小学6年生の夏からLITALICOジュニアの利用を開始。約2年が経過した今では、ネガティブな感情とうまく向き合えるようになっただけではなく、周りの変化にも柔軟に適応できるようになりました。
今回はそんなTくんのお母さまに、LITALICOジュニアに通わせることを決めた理由や、お子さまの変化、通わせてみてよかったと感じていることなどを伺いました。
目次
プロフィール
Tくん
年齢:13歳
ジュニア歴:2年9ヶ月
困りごと
- 感情のコントロールが難しい
- 不安なことや初めてのことに対して拒否感が強い
- 自分の気持ちを言葉にして伝えるのが苦手
通ってからの変化
- 不安や怒りの感情とうまく向き合えるように
- 新しい環境に適応できるように
- 周囲の人に対して優しさや気遣いを見せることが増えた
怒りや不安から、パニックを起こすことが多かった息子
Tくんにはどのようなお困りごとがあったのでしょうか?
息子は、何かうまくいかないことが起こると、激しく怒って物に当たることがありました。本人がやりたくないドリルの問題を解いてみようと声をかければ「分からない」と言ってドリルを投げたり、大きな声で騒いだり……。そんなことが日常茶飯事だったんです。とにかくちょっとでも気に入らないことがあると、すぐに乱暴な行動に出てしまうので、学校でも友だちとトラブルになることがありました。
また、初めてのことに対する拒否感も強かったので、新しい環境に適応するのも苦手でしたね。とくに、学校行事の前には不安な気持ちが強くなるようで、いつも「俺はやりたくない」と文句を言っていました。
感情のコントロールが苦手だったのですね。LITALICOジュニアを知ったきっかけはありますか?
息子は小学校で特別支援学級に通っていたのですが、小学6年生の時、担任の先生との関係性に悩んだことをきっかけに、学校に行けなくなったんです。本人は「行かなきゃ」と頭では分かっているものの、登校時間が近づくとお腹が痛くなるようで、よく泣いていました。
学校に行けなくなってから1か月くらいの間、息子は家でずっとテレビを見たりゲームをしたりして過ごしていました。私はその様子を見て「このままずっと学校に行けなかったら、将来どうなってしまうんだろう」と心配で仕方なかったんです。
何かできることがないかインターネットで調べていた時にたまたま見つけたのがLITALICOジュニアで。自転車や徒歩でも通える場所に教室があることを知り、すぐに見学に行くことを決めました。
教室に通うことにした決め手があれば教えてください。
大きな決め手になったのは、体験授業の後に息子が「ここだったら行きたい」と言ってくれたことですね。私は「息子が安心して通える場所があれば」と考えていたので、この言葉を聞いて、すぐに通わせる決断ができました。
息子が「1人で教室に通いたい」と言った日
授業ではどんなことに取り組みましたか?
最初は、怒りの感情をコントロールする練習から始めました。先生は、どんな時に怒りがわいてくるのか、怒りが爆発しそうな時にはどう対処すればよいのかを、日常生活の中でも実践しやすいよう、具体的に教えてくださいました。感情のコントロールに慣れてきたら、次に言葉で自分の気持ちを相手に伝える練習もしました。
通い始めた当初、Tくんが教室に通うのを嫌がる様子はありましたか?
最初から楽しんで授業に参加している様子でした。LITALICOジュニアの先生が、息子の好きな工作あそびを交えつつ、息子のペースに合わせて授業を進めてくださったおかげだと思います。
授業の中で初めてできたことがあればたくさん褒めてくださり、反対にできなかった時には優しく寄り添ってくださったのも大きかったですね。
最初から拒否感なく通えたのですね!Tくんは現在1人で教室に通えるようになったそうですね。
そうなんです。通い始めてからしばらくの間は私が送り迎えをしていたのですが、ある日息子が「お母さん、もう送り迎えはいいよ。俺、1人でLITALICOジュニアに行きたい」と言ったんですよ。安心して通えている証拠ですよね。この言葉を聞いた時は本当に感動しました。
それ以来、息子は雨の日を除いて1人で教室に通うようになりました。私はこれまで送迎に使っていた時間を夕飯の準備にあてられるようになったので、すごく助かっています。
苦手だった学校行事も、前向きな気持ちで参加できるように!
お母さまから見て、TくんがLITALICOジュニアに通ってから一番成長したと思うのはどんなところですか?
感情のコントロールが上手になったことです。怒って物に当たったりパニックを起こしたりすることはほとんどなくなりました。
また、初めてのことに強く不安を感じるタイプだった息子が学校行事を楽しめるようになったのも、大きな成長だと思います。以前、学校で2泊3日のスキー教室があったのですが、出発の日が近づくにつれて息子はいつものように不安を漏らすようになったんです。LITALICOジュニアの先生にも「俺はスキーなんかやったことないから嫌だ」とお話ししていたようで。
その時に先生は「何でそんなに嫌なのかな?」と不安な気持ちを一緒に整理してくださったうえで、息子が気持ちを前向きに切り替えるためのサポートをしてくださったんです。実際にスキー教室に行ってみたら想像以上に楽しかったようで、帰宅してすぐに「もう1回行きたいから、家族でスキーに行こう!」なんて言い出すほどでした。(笑)
スキー教室に参加してからは、先のことをあれこれ不安に思ったり、文句を言ったりすることが減って「やってみないと分からないよね」と、初めてのことでも前向きに考えられるようになりました。それまでは、何をするにしてもまず否定から入っていたので、すごい変化だと感じます。
先生と一緒に不安を乗り越えられた経験が、Tくんの自信につながったのでしょうか。
そうだと思います。親の立場からは「大丈夫だよ、行ってみよう」くらいしか言えないじゃないですか。でも、LITALICOジュニアの先生は「何が心配なのかな?」と息子の不安な気持ちを丁寧に引き出してくださり、一緒に具体的な対策を考えてくださったんです。そのおかげで、息子の中で「頑張ってみようかな」という前向きな気持ちが生まれたのだと思います。これは、先生との信頼関係があってこそできたことなんだろうなと。
周囲の人に対して、気遣いや優しさを見せることが増えた
TくんをLITALICOジュニアに通わせるようになってから、お母さまご自身に何か変化はありましたか?
息子をこちらに通わせてから、何よりも安心感を得られました。
LITALICOジュニアの先生には、日常生活の中で生じる息子の困りごとについて、相談させていただくことも多いんです。そんな時、先生は私の話に共感を示しながら、丁寧に相談に乗ってくださるので、何でも話せてしまうんですよね。
きっと息子も同じように先生方の温かい心に触れているのだと思うと、LITALICOジュニアにお任せしてよかったと感じます。
お母さまにとっても安心して相談できる場所になっているのですね。Tくんとご家族の関係性についてはいかがでしょうか?
お兄ちゃんとの関係性がよりよい方向に変わったと思います。お兄ちゃんって、弟に対して理不尽を言ったりするものじゃないですか。昔だったら、何かいじわるなことを言われるたびに怒っていた息子ですが、最近は違います。私が息子に「言い返していいんだよ」と言うと、息子は「いいんだ、俺はもう鋼のメンタルだから」なんて返してくるんですよ。(笑)
それは大人でもなかなかできないことですよね!
そうなんですよ。最近の息子の様子を見ていると、周りの人に気遣いを見せたり、優しい声をかけてあげたりすることが増えたと思います。中学校では、新しく入学してきた後輩たちや新任の先生に学校のことを教えてあげたいという意識も働いているようです。
LITALICOジュニアに通い始めてからは、息子のよいところがぐんぐん伸びている感じがします。 もちろん、まだできないこともたくさんあるんですけど、私も息子に対して自信を持って「これがあなたのいいところだよ」と褒められる機会が増えました。
素晴らしいです!小学校から中学校に進学した時には大きな環境の変化があったと思うのですが、Tくんは学校に楽しく通えているのですね。
以前と比べて環境の変化に適応できるようになっていて、学校でも落ち着いた様子で過ごしているようです。
「学校で何か嫌なことが起きても、LITALICOジュニアに行けば居場所がある」という事実が、息子にとって心の糧になっているのだと思います。
LITALICOジュニアは安心と成長を実感できる場所
Tくんにとって、LITALICOジュニアはどんな場所なのでしょうか。
「自分を受け入れてくれる、楽しい場所」ではないでしょうか。
学校に行く時は「今日はめんどくさい」と言うこともある息子ですが、LITALICOジュニアに通う日は毎回「行ってきます」と楽しそうに出かけていきます。家に帰ってきた時も「今日も楽しかったよ」「先生がこんなことを言ってたよ」「先生が、近所でおすすめのお店を教えてくれたよ」など、LITALICOジュニアでの出来事をうれしそうに話してくれるんです。
LITALICOジュニアに行くと、安心できるし自分の成長を実感できる。だから、息子はいつも「LITALICOが大好き」と言っています。
これからのTくんの成長について、お母さまが望んでいることがあれば教えてください。
親がいなくても生きていけるように、今のうちから自立に向けて必要な知識を身につけたり、さまざまなことを経験したりしてほしいです。
たとえば、家の中で1人で過ごすことが多い息子にとっては、お友だちと遊ぶ約束をして、それを実行するというのも自立に向けた第一歩だと思うんです。「〇〇に行きたいから、あの子を誘おう」と考えること。友だちを誘って、一緒に遊ぶ計画を立てること。電車に乗って移動すること。こういった小さなチャレンジを続けながら、自分で生きていくための力をつけていってもらえるとうれしいですね。
LITALICOジュニアに興味はあるけれど、通わせるかどうか迷っている保護者の方々も多くいらっしゃるようです。そういった方々に何かメッセージはありますか?
以前の私のように、お子さまの将来に不安を感じている方がいれば、ぜひ思い切って一歩踏み出してみることをおすすめします。
息子は、LITALICOジュニアに通うことで、たくさんの成功体験を積み重ねて、自分に自信を持てるようになりました。通えば、きっとお子さんは自分自身の成長を実感できる機会を得られると思います。それに「ここなら大丈夫」と感じられる、自分の居場所を見つけられるはずです。
先生からのコメント
感情のコントロールや集団参加が苦手で、初めてのことに強い不安を感じやすかったTくん。授業では、自分のネガティブな感情と向き合い、前向きに気持ちを切り替えることや、気持ちを言葉で伝えること、不安を感じる場面に対して見通しと対策を立てることを一緒に学んでいきました。初めてのスキー教室に参加した際には、教室で事前に不安な気持ちを整理することで、楽しい経験につなげられました。
最近では、自己理解が深まってきた様子のTくん。過去の自分を受け止めつつ、前向きに自分の力を認められるようになったり、適切な状況認知と対処ができるようになったりと、大きな成長が感じられます。
Tくん自身の努力、ご家族の温かいサポートがあったからこそ、Tくんはここまで変わることができました。今後も成長していく過程で何か困りごとが出てきた時には、それを乗り越えるためのサポートをしていきたいです。