発語とは?赤ちゃんはいつから話し始めるの?発語を促すためにできることも解説します

子どもの言葉の発達が気になるという方は多いのではないでしょうか。

 

子どもが「あー」「うー」といった声を出し始めたら、言葉はいつ話すようになるのだろうと待ち遠しい気持ちになりますよね。

 

同時に、他の子どもと比べて、言葉が少なかったり、言葉がでていないと感じると「うちの子は成長が遅いのでは?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

子どもの発達は個人差がありますが、本記事では一般的な発語のタイミングや発語を促すポイントについてご紹介します。

発語とは?

発語とは「言いはじめること、言語を発すること」という意味です。

 

赤ちゃんの発語にはいくつかの段階があります。

 

赤ちゃんの身体の機能が発達していくことで、段階をふみながら言葉でコミュニケーションがとれるようになっていきます。

 

では、発語はいつからどのように始まるのか説明していきます。

赤ちゃんの発語はいつから?

赤ちゃんの発語はいつから?

ここでは、月齢別に赤ちゃんの発語の段階をご紹介します。

 

ただし、発語の発達は個人差が大きいので、必ずしも決まった時期に同じことができるようになるわけではありません。

 

あくまでも一般的な目安なので、参考程度にご覧ください。

生後2~3ヶ月頃:クーイング

生後2〜3ヶ月頃になると、赤ちゃんは、「うー」や「あー」などクーイングと呼ばれる柔らかい母音の発声をするようになります。

 

これは、身体の成長に伴って、口腔(こうくう)内が発達したことで出るようになった音です。

生後4ヶ月頃:子音が混じった音声

生後4ヶ月ごろになると、母音だけでなく、子音を含む「ぶー」のような音を発するようになります。

生後5~6ヶ月頃:喃語

生後5〜6ヶ月以降には、規準喃語と呼ばれる、子音+母音が連続する「ばばば」「ままま」などの音声が見られるようになります。

 

生後8〜9ヶ月頃を過ぎた頃には、音の調節や肺から出る空気の調節ができるようになることで、発音もはっきりしてきます。

1歳頃:一語文

1歳を過ぎる頃になると、「まんま」(ごはん)や「わんわん」(犬)といった、意味を持つ単語を発するようになります。

1歳半頃〜2歳半頃:二語文

1歳半頃〜2歳半頃になると、「まんま、ちょうだい」「わんわん、いる」のように、意味のある言葉が2つ続く二語文を話し始めます。

発語が遅いと感じたときは?

発語が遅いと感じたときは?

上記で説明した発語の発達段階は、あくまで一般的な目安であり、発語の発達は個人差が大きいものです。

 

周りの子どもと比べて発語が遅いと不安になりますが、おしゃべりが好きな子もいれば、大人しくおしゃべりはしないけど、言葉はしっかり理解している子もいます。

 

子どもによって性格も発達のスピードもさまざまなので、過度に心配しないで、焦らずゆっくり成長を見守ることも大切です。

 

とはいえ、何かできることはないか知りたいという方もいらっしゃると思います。

 

そこで、子どもがおしゃべりに興味を持てるような関わり方や発語を促すポイントについて、後ほど詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。

発語と障害について

発語が遅い原因として、なんらかの障害が関係している場合があります。

 

言葉の発達の遅れについては、知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、聴覚障害などその背景に何らかの発達の遅れや偏りなどが関係していることがあります。

 

症状や困りごとは人それぞれですが、発語の遅れの他に、「こだわりの強さ」、「変化が苦手」、「周囲とのコミュニケーションが苦手」などの特性により、社会生活で困難が生じることがあります。

 

このような困難さは、環境を調整したり、子どもの特性に合ったサポートを受けることで、軽減されると言われています。

 

もし心配な場合には、発達相談のできる専門機関や保健センターなどで相談してみると、アドバイスや支援機関などを紹介してもらえることがあります。

 

子どもの発達をサポートする場所として幼児教室・学習塾もあります。

 

LITALICOジュニアの幼児教室・学習塾では、さまざまな子どもの特性や興味にあったプログラムを選択できるようにこれまで約1万点以上の教材を開発しています。

 

子ども一人ひとりに合わせた教材やプログラムを通して、子ども自身が自発的に「やりたい!」「知りたい!」と思えるように授業を進めていきます。

 

LITALICOジュニアでは言葉の発達がゆっくりな子どもの指導実績も豊富にあります。

「言葉がなかなか出ない」「子どもの発達が遅い気がする」などお悩みのある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

発達障害の診断については、発語の遅れだけで発達障害かどうかを判断することは難しく、他の面も含めて総合的に判断する必要があるので、気になる場合は、専門の医療機関を受診しましょう。

発語を促すためにできることは?

発語を促すためにできることは?

ここでは、発語を促すためにできる事をいくつかご紹介します。

 

しかし、先程ご説明した通り、発語の発達は個人差が大きいので、ゆっくり見守ることも大切です。子どもの成長の様子を見ながら無理のない範囲で行うようにしましょう。

子どもが興味を示したものに対して声かけする

赤ちゃんは目で見たものと耳で聞いた言葉を結びつけ、意味のある言葉として使うようになっていくので、周囲にいる人が積極的に話しかけると発語を促すことができます。

 

周囲にいる人は、子どもが興味を示したものや目に入ったものを言葉で説明するように話しかけてみましょう。

 

たとえば、子どもが犬に興味を示したときに「わんわん、かわいいね」と言ったり、車が通ったときに「ぶーぶ、きたね」などと声をかけると良いでしょう。

子どもの言葉に反応する

子どもが言葉を発したら、「そうだね」と反応したり、「うんうん」と相づちをうったり、子どもの言葉をくりかえしたりして、子どもの言葉に反応しましょう。

 

そうしたやりとりを通して、「自分の話を聞いてくれている」「コミュニケーションって楽しい」と子どもが感じるようになり、「もっとおしゃべりしたい」という気持ちにつながっていきます。

言い間違いを指摘しない

言葉を覚えたての子どもは、言い間違いをすることがよくあります。

 

大人からすると、言い間違いが気になって指摘したくなりますが、無理に間違いを直そうとすると、しゃべることに苦手意識を持ってしまい、無口になってしまう可能性もあります。

 

子どもの言い間違いは、ほとんどの場合、成長と共に自然に修正されるので、無理に直そうとせず子どもの成長を見守りましょう。

先回りして話さない

ほしいものがある場所に大人を連れていく、開けてほしい箱を持ってくるなど、子どもの様子や行動から、何をしてほしいのか、ある程度察することはできるのではないでしょうか。

 

しかし、子どもが何かを要求しようとする様子が見られたときには、先回りして予測して要求を満たすのではなく、その時点で子どもができる表現での要求を発信できるよう促してみましょう。

 

ただ「何がほしいの?」と聞いてみて答えにくい子どもに関しては、実際に具体物を示して「おもちゃが欲しいの?」「赤いクレヨンと青いクレヨンとどっちがいい?」というような「うん・ううん」で答えられるような問いかけからはじめて、コミュニケーションが成立する経験をたくさん積むことがとても大切です。

絵本の読み聞かせ

絵本に描かれた絵と、読み聞かせで聞こえてくる言葉を結びつけることで、子どもの語彙力を伸ばすことができると言われています。

 

そのまま読むのも良いですが、絵本の読み聞かせをする際には、ダイアロジックリーディング(dialogic reading)が効果的と言われています。

 

書いてあることを必ずしもそのまま正しく読むだけではなく、読んでいる本の中身について会話をする読み聞かせの手法です。

 

例えば、描かれている絵に子どもが注目している様子があったら敢えて脱線して「わんわんだね、可愛いね」といった会話を盛り込みながら話すことで、子どもの言語発達を促すことができると言われています。

 

お気に入りの絵本で、何度も読んだことがあるものであれば「これは何?」といった質問をするという方法もあります。

LITALICOジュニアでの発語を促す指導事例

LITALICOジュニアでは、発語を促す指導もおこなっています。

 

言葉でコミュニケーションをとれるようになるには、子どもが興味を持ちやすい内容で、話すことが楽しいと思えるような経験を積み重ねていくことが大切です。

 

興味のあるものを用いて要求の言葉を引き出す

子どもが興味のあるものや好きなものを見せ、子どもが「ちょうだい」と言うように促します。

 

すぐに言葉が出ない場合は「ちょ…」と始めの音を言って、ヒントを出します。

もしくは、指導員がお子さまに「ちょうだい」と言い、子どもに真似してもらいます。

 

真似ができたり、言葉が言えたときには、「ちょうだいって上手に言えたね!」など、何がどのようにできたか、具体的に褒めます。

 

褒めてもらえることで、子どもの自己肯定感が高まり、「もっと話したい!」という気持ちにつながります。

 

LITALICOジュニアでの指導とご家庭での働きかけで、発語が増え、通い始めて半年たつ頃には、自分の要求を言葉で伝えることができるようになりました。

 

LITALICOジュニアでは実際の授業を体験することもできます。子どもの言葉の遅れが気になる方は、ぜひ一度お問い合わせください。

発語のまとめ

発語のまとめ

「一般的に発語がみられる時期になったのにしゃべらない」「周りの子どもは話しているのに自分の子どもは話さない」など、子どもの発語の発達に不安を感じる保護者の方は多くいらっしゃいます。

 

しかし、子どもの発達には個人差があります。発語の発達にも個人差があることを理解し、焦らずゆっくり見守ることが大切です。

 

「発語以外にも子どもの発達で気になることがある」「子育てで悩んでいる」など、心配なことがある場合は、保健所やかかりつけ医で相談すると良いでしょう。

  • 監修者

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。