シャフリングベビーとは?原因や発達を促すためにできること

ハイハイをする代わりに、座ったままで足を使って移動する赤ちゃんは「シャフリングベビー」と呼ばれています。

 

ハイハイをしないことを不安に思う保護者の方もいるかもしれませんが、シャフリングベビーは多くの場合、発達の過程のバリエーションの一つだと考えられています。

 

この記事ではシャフリングベビーの特徴や原因、ハイハイやつかまり立ちなど赤ちゃんの発達を促すためにできることを説明するほか、シャフリングベビーに関する相談先も紹介します。

シャフリングベビーとは?

シャフリングベビーとは?

シャフリングベビーとは、ハイハイをせず、座ったままで移動する赤ちゃんのことです。

足先や手をオールを漕ぐように補助的に使い、お尻を床につけたまま、腰をゆすって前へ進みます。

 

英語では、「shuffling baby」と表記されます。「shuffle(シャッフル)」とは、「足を引きずって歩く」という意味です。

 

赤ちゃんは一般には、以下のような段階を踏んで歩くようになっていくとされています。

ただし、ここで示している月齢はあくまでも目安で、赤ちゃんの発達の時期や順序は個人差が大きいことが知られています。

  • 6ヶ月ごろ 寝返り
  • 7ヶ月ごろ お座り
  • 8ヶ月ごろ ハイハイ
  • 10ヶ月ごろ つかまり立ち
  • 14ヶ月ごろ 一人歩き

しかしシャフリングベビーは、ハイハイをする代わりに、座ったままで移動します。

そして、ハイハイをすることなくつかまり立ちへと移行することが多いようです。

シャフリングベビーの特徴とは?

シャフリングベビーには一般に、以下のような特徴がみられるとされています。

 

うつぶせの姿勢が苦手

うつ伏せの姿勢をとるのが苦手なようで、うつ伏せにしても、すぐに上向きの姿勢やおすわりの姿勢に戻ります。

 

また、寝返りをしはじめる時期が遅かったり、寝返りをすることが少ない場合もあります。これらも、うつ伏せが苦手であることと関係があるのではないかと考えられています。

 

立たせようとしても、足を地面につけない

赤ちゃんの両脇を支えて立たせようとしても、股関節を曲げたままで伸ばさず、足の裏を地面につけようとしません。

 

このような場合、筋肉の緊張が弱い状態である「筋緊張低下」が関係していることがあります。

 

おすわり以降の発達が遅れることがある

脚を突っ張って地面につけようとしないため、つかまり立ちをしたり、一人で歩きはじめる時期が一般の目安とされている時期よりも遅れることがあります。

 

しかし多くの場合、知的発達の遅れはみられません。そして2歳ごろまでには一人で歩き始め、その後は運動機能も順調に発達します。

シャフリングベビーの原因

シャフリングベビーの原因

赤ちゃんがシャフリングをする原因は、はっきりとはわかっていません。

 

シャフリングをする理由には、さまざまな仮説が立てられています。

しかし前述のように、赤ちゃんの発達の時期や順序には個人差が大きいため、多くの場合はシャフリングベビーも発達の過程のバリエーションの一つであろうと考えられています。

 

したがって赤ちゃんがシャフリングをしているとしても、過剰に心配する必要はないとされています。

ただし、中にはASD(自閉スペクトラム症)や脳性麻痺、知的障害(知的発達症)などの疾患が背後に隠れている場合もあります。

 

もし不安に思う場合は、小児科医に相談してみるといいでしょう。

医師に相談する目安としては、前章で挙げた特徴のほかにも、以下のような特徴がみられるかどうかを観察してみてください。

  • ミルクの飲みがよくない
  • 泣き方が弱い
  • 首のすわりが弱く、抱っこすると頭がグラグラする
  • 指差しをしない
  • 視線が合わない
  • 表情の発達がとぼしい、言葉の理解が遅いなど、移動運動だけではなく全体的な発達が遅れている など

赤ちゃんの発達を促すためにできること

赤ちゃんの発達を促すためにできること

赤ちゃんの発達には個性があり、成長の早い赤ちゃんもいれば、ゆっくりな赤ちゃんもいます。

保護者の方がこのことを知っておき、赤ちゃんの自然な発達を見守ることも大切な関わりとなります。

 

また、ハイハイをせずシャフリングをしていることは、赤ちゃんの成長において必ずしも問題となるわけではありません。一方で、「手足の発達を促す関わりをしたい」と思う保護者の方もおられるでしょう。

 

手足の動きを手助けすると、赤ちゃんの自然な発達をサポートすることがあると言われています。

ここでは、手足の動きを手助けする方法の例をお伝えします。無理のない程度に練習してみてください。

 

練習する際は以下のような点を心がけて、安全に十分に配慮してください。

  • 赤ちゃんがケガをしないよう、周囲にある物などを片付けて、赤ちゃんが十分に動き回れる空間をつくる
  • 保護者の方が終始、赤ちゃんのすぐそばでサポートする
  • 特に赤ちゃんがうつ伏せになる場面では、赤ちゃんから目を離さない など

うつ伏せの姿勢の練習

赤ちゃんをうつ伏せに寝かせ、手を伸ばせば届く位置におもちゃなどを置き、手を伸ばして取るよう促します。

四つんばいの姿勢の練習

うつ伏せの姿勢から、腕を立てて上半身を支えることができるようになることを目標にします。

うつ伏せの姿勢から腕立てができるようになったら、赤ちゃんの腰を上方向へ持ち上げて、膝をついた四つんばいの姿勢になるように支えます。

 

この姿勢を、できるだけ長く維持する練習をします。赤ちゃんが仰向けの姿勢に戻ってしまわないよう、赤ちゃんの前方におもちゃなどを置き、赤ちゃんの注意を前方へ促すといいでしょう。

 

赤ちゃんが四つんばいの姿勢に慣れてきたら、赤ちゃんの腰を支えている手をわずかに前後に揺らして「膝つきハイハイ」を促します。

足底に体重をかける練習

足がつく高さの椅子に赤ちゃんを浅く座らせて、足底に体重がかかる状態に慣れるように促します。

つかまり立ちの練習

保護者の方が正座し、膝の上に赤ちゃんを座らせて、赤ちゃんの両足が床につく状態にします。

 

赤ちゃんの両脇の下あたりを両手で支えて、赤ちゃんの重心を徐々に前へ移動させ、赤ちゃんが自然に腰を浮かせて立ち上がってくるのを待ちます。

 

赤ちゃんが立ち上がったら、腰を少し押して下げ、赤ちゃんの足に体重がかかる状態をつくります。

シャフリングベビーに関する相談先

シャフリングベビーに関する相談先

赤ちゃんがシャフリングをしていても、過剰に心配する必要はないとされています。

 

しかし、シャフリングやその他、赤ちゃんの発達などに関して不安や悩みがある場合は、以下のような機関に相談することができます。

小児科

赤ちゃんのシャフリング自体は、病気ではありません。ただ、医療機関である小児科は、病気以外にも発達や育児に関して気になることがあれば受診してもよい、身近な相談先でもあります。

 

多くの小児科では、育児相談もおこなっています。赤ちゃんの様子で気になることなどを相談してみるといいでしょう。

保健センター

保健センターには保健師が在籍しており、母子保健に関する相談を受けつけています。必要な場合は、専門的な機関を紹介してくれます。

 

保健センターは多くの市区町村に設置されており、住所により管轄の保健センターが決まっています。

お住まいの地域の保健センターの所在は、自治体のWebサイトなどで確認できます。

子ども家庭支援センター

子ども家庭支援センターは、18歳未満の子どもや子育て家庭に関するあらゆる相談を受けつけています。

 

自治体により名称が異なる場合があるので、お住まいの自治体のWebサイトを確認してみてください。

自治体の子育て相談窓口

自治体のWebサイトには多くの場合、これまで紹介してきた保健センターや子ども家庭支援センターも含む、地域の子育てに関する相談窓口の一覧が掲載されています。

 

お住まいの自治体のWebサイトを確認してみてください。

児童発達支援センター

シャフリングをする以外にも、発達が気になるような様子が赤ちゃんにみられる場合は、児童発達支援センターに相談することもできます。

 

児童発達支援センターは、障害のある子どもが日常生活や集団生活に適応できるためのプログラムの提供などをおこなっている施設ですが、発達が気になる子どもについての相談も受けつけています。

発達が気になる場合のサポートについて

LITALICOジュニアでは、発達が気になる子どもを対象とする児童発達支援や放課後等デイサービスを提供しています。

 

発達や成長のステップは一人ひとり異なるため、個別の指導計画を作成し、子どもにとって最適な学び方を提供しています。

 

対象年齢は0歳からなので、シャフリングベビーのほか、発達が気になる様子が赤ちゃんにある場合でも、早期から支援をおこなうことができます。

無料相談もおこなっていますので、赤ちゃんに気になる様子がある場合はぜひ一度ご相談ください。

シャフリングベビーについてのまとめ

シャフリングベビーについてのまとめ

シャフリングベビーとは、ハイハイをせず座ったままで移動する赤ちゃんのことです。

 

シャフリングベビーは歩きはじめるのが遅い傾向がありますが、その後は順調に発達していく場合が多いことがわかっています。

このため赤ちゃんがシャフリングをしていても、過剰に心配する必要はないとされます。

 

しかし不安に思う場合は、保健センターなどの地域の専門機関に相談してみてください。