児童発達支援の利用を検討しているときに、利用料金が気になる方もいると思います。
児童発達支援の利用料金は正確には「利用者負担」と呼ばれていて、原則9割を国や自治体が負担して家庭では1割を負担することになります。
ただ、この1割負担についても所得による上限や減免措置、年齢によっては無償で利用できるなどいくつかの要素があります。
この記事では、児童発達支援の利用料金(利用者負担)について、基本的な考え方から軽減措置、無償化制度、実際支払う金額などを紹介します。
児童発達支援の利用料金とは?
障害のある子どもへの支援の一つとして、児童発達支援があります。
児童発達支援では基本的に、児童発達支援センターや児童発達支援を運営する事業所に通って、日常生活や集団生活に適応するためのプログラムなどの支援を受けていきます。
児童発達支援の利用料は「利用者負担」と呼ばれていて、原則として国や自治体が9割負担し、家庭では1割負担することになっています。
ただ、場合によっては減免や無償化の対象となる場合があるなど実際に支払う金額は状況によって異なりますので、この後順番に紹介していきます。
児童発達支援とは?
まず児童発達支援とは、障害のある子どもに対してさまざまなプログラムを提供するほか、地域や園、家庭とも連携した支援を提供している福祉サービスの一つです。
利用するには、基本的には障害の診断や障害者手帳は必須でなく、自治体から「通所受給者証」が発行された子どもが対象となります。
通所受給者証は、お住いの自治体の障害福祉窓口へ申請をして支援の必要があると認められた場合に発行されます。
似た福祉サービスに「放課後等デイサービス」がありますが、大きな違いとして児童発達支援は未就学児が利用でき、放課後等デイサービスは小学生から高校生までの就学児が利用できるという点があります。
児童発達支援の利用方法は子どもによって異なり、保育園や幼稚園の代わりに日中通う子どももいれば、習い事のように週に一度通う子どももいます。
支援内容は子どもの特性や困っていることなどによって異なり、発語の練習をする子どももいれば、人とのコミュニケーションの練習をする子どももいるなどなど、さまざまです。
詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
児童発達支援の利用料金の仕組みとは?
児童発達支援を利用するための料金の仕組みは、原則として国や自治体が9割負担し、家庭では1割負担するという形をとっています。
児童発達支援では月ごとに利用した回数などによって負担額が決まっていて、例えば1回利用者負担1,000円の場合に月に10回利用すると1万円という計算になります。
しかし、その額をそのまま支払うのではなく、家庭の所得によって以下の表の通り「利用者負担の上限額」が定められています。
※2023年4月19日時点
先ほどの例でいうと、負担上限月額が4,600円の市町村民税課税世帯の場合は、1万円のうち4,600円を支払うということになります。利用回数がさらに増えたとしても、支払うのは負担上限月額までです。
ここでいう世帯は、「保護者の属する住民基本台帳での世帯」となり、その世帯の前年度の所得によってそれぞれ上限が分けられています。
ただ、利用者負担はあくまでサービス利用にかかる費用であり、おやつ・昼食などの食費や課外活動をした際の交通費などが別途かかる場合があります。
児童発達支援の多子軽減措置とは?
児童発達支援の利用者負担には、多子軽減措置という軽減措置があります。
多子軽減措置とは、児童発達支援を利用している子どもに、保育所、幼稚園、認定こども園、障がい児通所支援などに通う就学前の兄または姉がいる場合、利用している子どもにかかる利用者負担が軽減されるという制度です。
子どもの人数によって負担の割合は変わってきて、
- 利用している子どもが第2子の場合:5/100
- 利用している子どもが第3子以降の場合:無償
となります。
多子軽減措置を受けるには申請が必要になります。また、自治体独自の助成がある場合もありますので、詳しいことはお住いの自治体の障害福祉窓口などにご確認ください。
児童発達支援の無償化とは?
児童発達支援には、年齢によって利用者負担が無償化される制度があります。
2019年の10月から開始された制度で、3歳から5歳までの子どもにかかる利用者負担が無償化されるというものです。
具体的な期間としては、子どもが満3歳になって初めての4月1日から適用され、小学校に就学するまで継続します。
無償化制度を利用するのに新たな手続きは必要なく、負担上限月額や多子軽減措置の有無にかかわらず適用されます。
ただ、食費や交通費など実費で負担する部分については適用外となっています。
児童発達支援の利用料金の例
児童発達支援の利用料金について紹介してきました。児童発達支援では原則国や自治体が9割を負担し利用者負担は1割となるほか、世帯の所得によっても変わってきます。
表のとおり、生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯では、利用者負担は0円となります。
※2023年4月19日時点
市町村民税課税世帯のうちでも、前年度の所得によって月の利用者負担に違いがあるので、ここでは例を挙げて説明します。
あくまで目安なので、詳しいことを知りたい場合はお住いの自治体の障害福祉窓口などへお問い合わせください。
また。今回の例では多子軽減措置や無償化制度が適用されない場合の利用者負担について紹介します。また、事業所によっては食費や交通費など別途費用がかかることがありますので、ご了承ください。
市町村民税課税世帯(890万まで)
まずは前年度の年間所得が890万円までの世帯の例を紹介します。
2023年4月に、2歳の子どもが1回の利用者負担が1,000円の児童発達支援を8回利用した場合、1,000円×8回=8,000円となります。
しかし、負担上限月額が4,600円のため、実際に支払う費用は負担上限月額の「4,600円」です。
もし、利用回数が3回だった場合は利用者負担は3,000円となり、負担上限月額に達していないため、そのまま「3,000円」を支払うことになります。
市町村民税課税世帯(890万以上)
次に、前年度の年間所得が890万円以上の世帯の例を紹介します。
こちらも2023年4月に、2歳の子どもが1回の利用者負担が1,000円の児童発達支援を8回利用した場合の例です。
利用者負担が8,000円で、負担上限月額の37,200円に達していないため、支払いはそのまま「8,000円」となります。
もし、月の利用者負担が37,200円を超えた場合は、負担上限月である「37,200円」の支払いとなります。
児童発達支援の利用料金のまとめ
児童発達支援の利用料金は、国や自治体の負担と家庭の負担で分けられており、さらに前年度の世帯所得によって上限が定められています。
ほかにも、多子軽減措置や年齢によっては無償化制度が適用されるなど、実際に支払う金額はさまざまな要因によって決定されます。
自治体ごとに独自の助成をしている場合もありますので、詳しく知りたい方はお住いの自治体の障害福祉窓口などで確認するのが確実です。