この記事では、放課後等デイサービスの利用を検討されている保護者さまや、そもそも放課後等デイサービスがどんなところか分からないといった保護者さまから寄せられたお悩みについて、鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授である井上雅彦先生にご回答いただきました。
放課後等デイサービスとは
放課後等デイサービスとは、障害のある就学児のお子さまを対象とした障害福祉サービスです。
事業所に通って、日常生活動作のトレーニングや、集団生活への適応訓練、コミュニケーションの円滑化など、一人ひとりの状態や課題に合わせたサポートを受けることができます。
放課後等デイサービスの通い方は、毎日放課後に通う場合と、週に数回通う場合があります。どれくらい通うかはお子さまの発達状況やニーズによって変わります。
放課後等デイサービスについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
児童発達支援と放課後等デイサービスの違い
放課後等デイサービスも児童発達支援と同様、2012年度から開始された事業で、どちらも障害のあるお子さまのための通所型の支援です。
児童発達支援は6歳までの未就学児が対象であるのに対し、放課後等デイサービスは小学校に入学する6歳から18歳までの就学児が対象です。必要とされた場合には20歳まで利用が認められます。
放課後等デイサービスに通うには受給者証が必要?活動内容は?放課後等デイサービスにまつわる質問について専門家が回答!
ここからは子どもの発達に詳しい鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授である井上雅彦先生に、放課後等デイサービスにまつわる質問にお答えいただきます。
Q:小学生の子どもが学校生活で困っているようです。受給者証を使って通う放課後等デイサービスという場所があると聞き、利用を考えています。通うには受給者証が必要なのでしょうか?
A.
放課後等デイサービスに通うためには、通所受給者証が必要です。
(受給者証について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。)
自治体によって多少扱いが異なりますが、一般的には診断や手帳がなくても必要性が認められた場合、利用の対象となります。
窓口は行政の福祉窓口なので、気になる場合は相談してください。
Q:放課後等デイサービスに通うにはどれくらいの料金がかかりますか?
A.
市区町村が発行する受給者証があれば9割が自治体負担となり、1割が自己負担となります。自治体ごとに利用料金が定められており、全国一律ではありません。
月あたりの上限額が世帯所得に応じて定められています。
非課税世帯(生活保護受給世帯やや低所得世帯など)のご家庭 0円
世帯所得約900万円までのご家庭 4,600円
世帯所得約900万円以上のご家庭 37,200円
別途おやつ代などがかかる場合もあります。
Q:放課後等デイサービスの利用までの流れが知りたいです。なるべく早く通わせたいと考えていますが、すぐに通えるのでしょうか?
A.
利用までの流れは以下の通りです。(自治体によって一部異なる場合があります。)
(1)お住まいの市区町村の窓口に利用相談
(2)通いたい施設の見学
(3)市区町村で申請
(4)自治体の調査員による調査・審査
(5)通所支援受給者証の発行
(6)事業所との契約
(7)サービスの利用開始
申請の際に、各種手帳や医師などの意見書など、発達に支援が必要なことが分かる書類が必要になる場合があります。
申請から受給者証の発行までに2週間ほどで発行される自治体もありますが、東京都では1ヶ月半~2ヶ月程度かかるとされているので、すぐに通うことは難しい場合が多いです。
気になる場合はお住まいの市区町村で相談してみてください。
利用までの流れについて詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
Q:わが子は発達障害の診断はなく、いわゆるグレーゾーンに該当するのではないかと思っています。うちの子でも通えるのでしょうか?放課後等デイサービスの利用条件はあるのでしょうか?
A.
放課後等デイサービスは、就学している障害のあるお子さまが対象です。
一般的には、診断がなくても必要性が認められた場合に利用の対象となります。
自治体によって条件や基準が異なりますので、気になる場合はお住まいの自治体の窓口でご相談ください。
Q:放課後等デイサービスでは具体的にどんな支援を受けることができますか?
A.
放課後等デイサービスでは、次の4つにおける支援をおこない、障害のあるお子さまの発達をサポートしています。
①自立した日常生活を営むために必要な訓練
学習のサポートや、時間・持ち物の管理など日常的な生活スキル、基本的なコミュニケ-ションなどを習得できるようサポートします。
②創作的活動・作業活動
工作やゲームなどといったプログラムを通じ、学習とは異なる創作的な活動やほかの子どもたちとの関わる場を提供します。
③地域交流の機会の提供
事業所の中だけでの支援だけではなく、地域のイベントに参加する、事業所内でイベントをおこなうなど、地域の中でさまざまな人と交流できるような機会を提供します。
④余暇の提供
休日や長期休暇などを利用して、事業所に通う子どもたちと外出したり、イベントを催したりします。これらのイベントを通じて、学校や家庭では経験できないような余暇活動の機会を作り、家庭や学校外でもさまざまな経験を重ねていけるように支援をおこないます。
LITALICOジュニアの放課後等デイサービスの指導例
LITALICOジュニアの児童発達支援の指導例をご紹介します。
中学3年生のTくんは、相手の気持ちを考えて発言することが難しくトラブルになるということがありました。そこでLITALICOジュニアでは「アサーティブ」な伝え方の練習をしました。アサーティブな伝え方とは「相手を尊重しつつ、自分の意見を伝えるコミュニケーション方法」のことです。
Tくんは相手の気持ちになって考えることが難しいため、「そういう言葉を聞いた友だちってどう思う?」と問いかけても「別にどうも思わない。」と答えることが多くありましたが、「自分にそういう言葉を言ってきたらどう思う?」と聞き方を変えると、「嫌だ」と答えるなど、自分の立場で考えることはできるようでした。
そこでLITALICOジュニアでは「自分で言われて嫌じゃない言葉にしよう」という形で指導をおこなっていきました。
その結果「そんなことも知らないのかよ~!」から「それって難しいよね、でもおれ知ってるから教えてあげるよ!」に、「そのスマホは使う価値ないよ!」から「そのスマホ、形はいいよね。でも性能的にこっちのほうがいいみたいだよ!」と相手を尊重した伝え方ができるようになっていきました。
ただ言葉を変えようとしても必要性を感じられないこともあります。相手の立場に立つのが難しくても、自分のことに置き換えるなどその子が実感しやすいようにしたうえで、伝え方を変えていくことも大切です。
発達が気になるお子さまが通える教室「LITALICOジュニア」
LITALICOジュニアは児童発達支援・放課後等デイサービスを各地で運営しています。
学習やコミュニケーションスキルなど、幅広くお子さま一人ひとりに合わせてサポートしています。
学習やコミュニケーションスキルなど、お子さまに合わせて授業を組み立てて支援をしています。無料相談もおこなっているので、気になったらお気軽にお問い合わせください。
※LITALICOジュニアの放課後等デイサービスは4月からの報酬改定により、通い方に変更点があります。詳しくはこちらをご覧ください。
また、通所受給者証を取得しなくても利用できるパーソナルコースもご用意しております。こちらも放課後等デイサービスと同様に、お子さま一人ひとりに合わせた支援をおこなうコースで、マンツーマン指導をおこなっております。
気になる方は体験授業もおこなっておりますので、まずはお問い合わせください。
まとめ
この記事では、放課後等デイサービスにまつわる質問に回答しました。
お住まいの地域によって利用までの流れなど詳細が異なる場合があるので、気になる場合はお住まいの自治体の福祉窓口でご相談ください。
LITALICOジュニアでも無料相談をおこなっているので、子どもの発達など気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。