「 不登校支援における適応指導教室とフリースクールの役割について 」
不登校の子どもなどを中心に、子どもたちが安心して過ごせる「居場所」を提供しながら勉強もサポートする適応指導教室とフリースクールについてご紹介をします。
適応指導教室とはなにか
適応指導教室は、不登校の子どもの集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善などのための相談・適応指導(学習指導を含む)をおこなうことにより、その学校復帰を支援する役割があります。教育委員会が在籍校以外の施設に設置する教室で、2015年度間に約16,000人の義務教育段階の子どもが支援を受けています。
適応指導教室は以下の役割を持っています。
・学習指導に関しては、在籍校とも連絡をとり、個別の状況に応じて実施される
・指導内容は、個別指導や集団指導、体験活動など
・心理スタッフによるカウンセリングなどの心理的ケア
・家庭訪問による相談・適応指導や、通室困難な子どもについては、学校や他機関との連携した支援の実施
・保護者への不登校の態様に応じた助言・援助
学校復帰を見据えているため、子どもの実態や取り組み状況について学校との連携がおこなわれます。また適応指導教室への出席は、在籍校の出席扱いとなります。
利用方法については、学校からの紹介や、地域の教育センター(もしくは教育委員会)に相談しご利用することができます。
フリースクールとはなにか
フリースクールは、不登校の子どもを受け入れることを主な目的とする団体・施設を指し、「不登校の子どもたちの居場所」という役割を果たしています。
運営主体は個人や民間の企業、NPO法人によって担われており、様々な規模や形態のフリースクールが存在します。
フリースクールには様々な目的を持つものがあります。
・共同生活に慣れ、生活指導をおこなう
・子どもたちに安心して生活できる「居場所」を提供し、社会との接触機会を維持する
・勉強の遅れを取り戻し、学校に戻りやすくするための教育を提供する
・医療機関や専門家と提携し、社会的訓練や学習支援をおこなう
2016年に制定された「教育機会確保法」により、義務教育課程の子どもであれば、もともと通っていた小中学校に籍をおいたままフリースクールに通うことができます。
特徴としては、入学資格を設けていない、異なる年齢・年代の子どもが集まっている、決まったプログラムやカリキュラムを持っていないなどが挙げられます。
子どもの自由や個性を重んじながら、子どもが学び育つ機能をもち、不登校の子どもたちにとって社会との接点をもつ場所となっています。
まとめ
何らかの事情で学校に行けない・行きたくない子どもたちには、学校以外の受け皿が必要であり、心理的なケアやサポートのある環境など個々の子どもの状況に応じた支援が大切です。
学校生活が難しくなってしまった時には、適応指導教室やフリースクールなどを利用する選択肢を持っておくことが、お子さまや保護者さまの安心に繋がるのではないかと思います。
【参考資料】
- 文部科学省 不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実 ~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/07/25/1382195_1.pdf - 文部科学省 小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う 民間の団体・施設に関する調査
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tyousa/__icsFiles/afieldfile/2015/08/05/1360614_02.pdf - 文部科学省 教育支援センター(適応指導教室)整備指針(試案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06042105/001/006/001.htm - フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説(発達ナビ)
https://h-navi.jp/column/article/35026124
文責:兵頭朋行
監修者:博士(障害科学) 野口晃菜
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