ADHD(注意欠如・多動性障害)のお子さま(5歳/年長)の成長の様子 「 褒めてよい行動を増やす 」
落ち着きがなく、わがままばかりで小学校生活が不安

「もう年長なので、あと1年の間に、小学校生活をきちんと送れるようにしたい」というお母さまのお問い合わせがありました。
ひなと君(仮名)で、知的に遅れはありませんが、ADHD(注意欠如・多動性障害)※とアスペルガーの傾向があります。お母さまからのご相談としては、「とにかく落ち着きがなく、何回注意をしても同じことを繰り返して、言うことを聞かない。わがままで、お友だちが断ってもしつこく遊ぼうと言う。このままだと、学校の決まったルールも守れず、友だちの中でも孤立していくのではないか」というものでした。
初めて教室に体験に来たひなと君は、教室の椅子にのぼってジャンプしたり、「お菓子が食べたい」とお母さまにわがままを言い、もらえるまで言うことを聞かない様子でした。お母さまがとても疲れていることが分かりました。
※ADHDは以前「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」に変更されました。
褒めることで自己肯定感を高め、よい行動を増やす
まずは、ひなと君の行動観察から始めました。「言うことを聞かない」「わがまま」の理由が何なのかを探します。
ひなと君の場合は、ADHDの特徴でもある多動であることで、周囲の話がひなと君に届かなかったり、約束は理解しているものの、衝動でその約束を破ってしまうことが多く見られました。
そのため、周囲からはいつも怒られていて、ひなと君の自己肯定感は低く、気持ちが不安定な状態が続いていることで、妥協ができなかったり、わがままを通そうとしたりする様子が見られました。このようなお子さまの場合は、とにかく最初は褒めることに徹します。「今できていることから褒める」のです。
ひなと君は、言うことを聞かない場面やわがままな場面が目立ってしまいますが、よく観察してみると、きちんとお母さまとの約束を守っている場面や、友だちに譲っている場面もあります。まずは、その「できていること探し」をして、「発見したら褒める」ということを、お母さまも一緒に実践しました。24時間ずっと、言うことを聞かない、わがままを言っているお子さまはいません。
LITALICOジュニアの授業の中でも、お母さまの声がけでも、「座っていて、落ち着いていてお兄さんだね」とか、「お母さんとのお約束のとおり、くつをそろえて置いていて、お母さん嬉しいな」と言い続けました。
そうすると、どんどんひなと君のよい行動は増えていきました。
LITALICOジュニアに来ても、椅子の上にのぼらずに座っていられるようになって、友だちとの活動場面でも、「どうぞ」と譲る場面も増えてきました。
ペアレントトレーニングでご家庭でもできることを学ぶ
LITALICOジュニアの授業をお母さまがモニター越しに見てくださることで、お母さまもひなと君の隠れた褒めポイントを見つけることができたり、声掛けの仕方や褒め方も真似て、ご家庭で少しずつできるようになってきました。またペアレントトレーニングを受けていただくことで、忙しいお母さまのできる内容をスモールステップで実践する工夫も見つけることができました。
ひなと君は、言うことを聞かない場面やわがままを言う場面で注意されることよりも、言うことを聞いている、わがままを言わない場面で褒められることが増えたので、よい行動を自分からするようになりました。
よい行動をしているときに、具体的に褒められることで、「何をすると褒められるのか」ということも、今までよりよく理解することができたのです。
お母さまも、ひなと君にどのように接すると、自分も楽に過ごせるのか、コツをつかむことができるようになってきて、今では、とても褒め上手なお母さまになっています。
お困りになる場面もまだあるそうですが、その都度LITALICOジュニアの先生に相談したり、ペアレントトレーニングの内容を思い出しながら、ひなと君への関わりを考え実践しているそうです。
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