衝動的な暴力やイライラに対処する方法を学び、自分を客観視できるように
2023年06月28日公開 | LITALICOジュニア編集部
スタンダードコース
児童発達支援
放課後等デイサービス
パーソナルコース
パーソナル
現在中学2年生のYくんは、LITALICOジュニアに通い始め、お母さまも驚くほどの成長をとげたといいます。利用開始から現在までのYくんの歩みを、お母さまに伺いました。
目次
プロフィール
Sさま・Yくん
年齢:13歳
ジュニア歴:9ヶ月
診断名:ADHD
困りごと
- 衝動的に物を振り回したり、暴力を振るうことが多々あった
- 感情のコントロールが苦手
- 言葉で気持ちを説明できない
- 「なぜいけないか」の理由が納得できず、受け入れられない
- 公共交通機関利用時に、じっとしていることが出来ない
通ってからの変化
- 暴力や棒を振り回すなどの問題行動が激減
- 気持ちや行動を自己分析できるようになった
- 問題解決にむけて、親子間でも建設的な会話ができるように
- 電車乗車時に静かに過ごすことができるように
突発的な暴力や危険行動が重なり、医療機関を受診
LITALICOジュニアの利用前、Yくんにはどんな困りごとがありましたか?
長男は、小さなころから道に棒が落ちていれば必ず拾って振り回すような子でした。落ち着きがないのも個性のひとつと捉えていました。ただ、だんだん大きくなって力もついてくると、大人でも制止するのが難しいことも増えてきました。
でも、本人に悪気があるわけではないんです。楽しいから、やりたいから、というのが息子の正直な気持ちだったと思います。「ダメだよ」と注意されても、その理由に納得がいっていなかったんですね。なぜ押さえつけられなければならないのか、かえって反発するばかりでした。
LITALICOジュニアを利用することになった経緯を教えてください。
小学校5年生のとき、学童の先生を怪我させてしまって……。そのとき、学童の先生から発達障害の可能性を指摘され、医療機関を受診しました。
診断名はADHD。ただ、ADHDだとわかったからといって、具体的にどう対応すればいいのかはわからないんですよね。病院のカウンセラーとお話しても、どこかマニュアル通りの指導に終始しているように感じてしまって。問題行動をやめさせるために子どもを押さえつけたり、型にはめるような指導では、息子が反発することは目に見えていました。どこに相談したらいいかもわからず悩んでいたとき、心理学の専門家である知人から紹介してもらったのがLITALICOジュニアでした。
LITALICOジュニアの帰り道はいつも笑顔
LITALICOジュニアを選んだ決め手は、どんなところでしたか?
まず、一人一人の個性に合わせた指導が行われている点に深く共感しました。理論に基づきながらも、その子の個性に合わせたアプローチがされていて、それは体験授業後に「楽しかった!」と言って出てきた息子の表情からもわかりました。私も指導員の先生にたくさんの質問をぶつけましたが、そのひとつひとつに明確な答えを返してくださり、ここなら子どもも楽しみながら幅広い対応法を学んでいける、と確信できました。
短期集中型であることもポイントでしたね。通うことが目的ではなく、期限内にその子がめざす目標を達成していける場所だ、と感じられたんです。通塾期間が決まっていて、トータルの費用があらかじめ分かることも、親としては安心でした。
LITALICOジュニアに通塾中のYくんの様子はいかがでしたか?
「今日は行きたくない」「面倒くさい」と言い出して、親子ゲンカになることもありました。それでも、時間になって「もう行くよ!」と言って家を出ると、カルガモの子のように私の後ろをついてくるんですよ。そして授業が終わると、行き渋っていたのが嘘のように明るい笑顔で楽しく会話をしながら帰れるんです。ケンカをしても、嫌なことがあっても、足が向く場所になっている、というのはすごいなと常々感じていました。
それはなぜかと考えると、ここでは絶対に自分を否定されることがないんですよね。どんな行動でも、どんな気持ちでも、まず一度認めて、受け入れてくれる。それが息子にとってとても居心地がよかったんだと思うんです。親はどうしても、問題行動を軌道修正してほしくて、まず注意が先行しがち。家庭でも認めてもらう体験が不足していたかもしれないと、気付かされました。きっと「自分の言うことを誰もちゃんと聞いてくれない」という苦しさがあったんじゃないかなと思います。私自身もペアレントトレーニングを受け、息子との向き合い方は大きく変わりました。
自分を客観的に分析し、気持ちを言葉で表現できるように
ペアレントトレーニングのなかで、とくにお子さまとの向き合い方でヒントになったことはありますか?
いちばん困っていた「物を振り回す」「手が出てしまう」ということに対して、どのように対応すればいいか質問したことがあります。そのとき、暴力をやめさせようとするのではなく、それに替わるものを与えるのがいい、と教えていただいたことは目からウロコでした。たとえば、人を叩く代わりに、「布団をなぐる」「大きな声を出す」「ボールを強く投げる」の3つから選ばせる。それができるようになったら、もっと周囲に迷惑をかけない選択肢にステップアップする。ちょっとだけ背伸びの選択肢を与えていく、という具体的な対応法は、家庭でも取り組みやすかったです。
ほかにも、公共交通機関利用時に、体を大きく動かしたり、大声で話し出したり、動き回ったりとじっとしていることができないという困りごとに対して、体を動かす等の動きは「大好きなルービックキューブで遊ぶことで落ち着かせる」大声で話し出す動きは「音楽を聞いて気を紛らわせる」といった息子に合った対処法をペアレントトレーニングや授業後の振り返りなどで見つけることができました。
現在の Yくんの様子はいかがですか?
衝動的に暴力に頼ることはほとんどなくなりました。周囲の人からも「すごく変わったね」と言ってもらえるくらい、目に見えて成長しています。自分自身を客観的に分析して、「こういうときには、こういうふうに行動しようと思う」と話すことも。感情をコントロールし、言葉で自分の気持ちを説明することもできるようになりました。
すばらしいですね! 親子関係でも変化を感じることはありますか?
親子ゲンカは減りましたね。以前は、息子の衝動的な行動に対して、「どうしてそんなことするの!」と頭ごなしに叱ってしまうことも多かったんです。でも、そう言われても、息子自身も自分の気持ちを言葉にできないから、反発して、ケンカになって……。今は、まず息子がイライラしたり、嫌だったりしたことを受け入れて、「それがいやだったんだね」と言えるようになりました。ふたりで「じゃあどうしようか」と、前向きな会話ができるようになったことは大きな変化ですね。
あとは、お互いにヒートアップしてしまったときにも、クールダウンタイムとしてお互いに離れた場所で過ごしてから「さっきは、〇〇してごめんなさい」と言い合えるようになりました。
「相談できる場所」ができた安心感が子育ての支えに
Yくんが卒業後、妹のAちゃんもLITALICOジュニアを利用されたんですよね?
そうなんです。娘は内弁慶で自分の意見を言うのが苦手なタイプで、すぐに自分を責めてしまうところがありました。環境の変化も苦手で、少しでも新しいことがあるとおどおど。兄とはまったく違う課題がありました。
Aちゃんの現在の様子はいかがですか?
娘も想像以上の飛躍をとげました! お友だちもたくさん増えて、自分の意見もしっかり言えるように。委員会活動では副委員長をつとめたりするようになりました。 「どうせ私なんか」という自己否定がなくなって、前向きな行動が増えたことはうれしい驚きです。
人との関わりの中で必ず発生する意見の相違があったときには、折衷案や代替案を出して言い争いを避ける方法も習得しました。
Yくんも Aちゃんもそれぞれに課題にとりくんで、大きく成長されましたね。お母さまにとってのLITALICOジュニアはどんな場所ですか?
子育てで困ったとき、どうしたらいいかわからないとき、相談できる場所です。LITALICOジュニアでは、どんな問題行動にもしっかりと向き合って一緒に解決に取り組んでくれました。ペアレントトレーニングや授業後の振り返り、アンケート用紙に記入するなどいろんな手段で相談できることもとてもありがたかったです。
LITALICOジュニアにつながることで、私自身がすごくラクになりました。子どもたちはふたりとも、通い始める前に設定した目標をさらに超えて大きく成長してくれて、ここで親子ともにたくさんのものを得ることができたと感謝しています。
発達障害だけではなく、思春期の子どもへの配慮もあったので、子どもたちも最後まで楽しく通えたのだと思います。
先生からのコメント
Yくんは通所当時、感情コントロールが難しく衝動的に行動してしまったり、邪魔をされたと感じると手がでてしまうことがありました。
授業では、状況判断と他者理解、気持ちの発散の練習などをしました。今では自分の気持ちを言葉で説明したり、感情のコントロールもできるようになりましたね。
お母さまもペアレントトレーニングに一生懸命取り組んでくださいました。学んだことを行動に移してくださったからこそ、お子さまのご成長に繋がったと感じています。
授業の振り返りの時間では、授業でできたことを伝えるととても喜んでくださり、その様子を見て私も嬉しく思っていました。
これから先、環境が変わることもたくさんあると思います。そんなとき、親子でしっかり相談できるのがSさま家族の強みですね。家族皆さまでコミュニケーションをとりながら、楽しく過ごしていってほしいなと思います。