集団行動やコミュニケーションが苦手で自分の世界に入り込んでいた息子が、「自分にもできる」と積極的にコミュニケーションを取るまでに成長
2023年08月17日公開 | LITALICOジュニア編集部
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そんなKくんのお母さまに、LITALICOジュニアを利用されるまでの経緯とこれまでの変化を伺いました。
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目次
プロフィール
Kくん
年齢:14歳
ジュニア歴:8年
診断名:自閉スペクトラム症
困りごと
- 他人に対する恐怖心があった
- 集団行動が苦手
- 自発的に挨拶や「ありがとう」が言えない
- 相手の話に割り込む、周りの状況を見ずに話しかけてしまう
通ってからの変化
- 他人への恐怖心が薄れた
- 積極的に周りに話しかけられるように
- 気持ちをコントロールするのが上手になった
- 自己肯定感が高まった
集団行動やコミュニケーションが苦手だった
LITALICOジュニアを利用することになったきっかけを教えてください。
息子がまだ幼稚園児の頃、自閉スペクトラム症であることがわかったんです。小学校入学前に、学校でうまくやっていけるかどうかに少し不安があったので、当時通わせていた幼児教室の先生に相談したところ、発達障害専門の塾に通うことをおすすめされました。そのときに紹介されたのがLITALICOジュニアさんだったんです。年長の12月に教室に連絡をし、翌年1月に体験授業を受けてからすぐに通い始めました。
当時、具体的にはどのような困りごとがあったのでしょうか?
Kは、集団行動やコミュニケーションが苦手だったんです。幼稚園でも、積極的にお友だちと一緒に遊ぼうとせず、1人で本を見たり、おもちゃで遊んだりしている時間が長くて。どこか集団の中で孤立しているような感じがありました。
みんなが座って歌ったり手あそびをしたりしているときでも、Kは落ち着いて座っていられず、立ち上がっては部屋の中をうろうろして、まるで自分だけの世界に入り込んだようにポツンと1人で別の場所にいたんですよ。
Kくんが初めてLITALICO ジュニアに来られたときは、どのようなご様子でしたか?
落ち着いて安心しているように見えました。Kは新しい環境への恐怖心が強く、不安になりやすいんです。当時は、慣れない場所に行くとすぐに嫌がって泣きじゃくっていたのですが、LITALICOジュニアの教室ではそんな様子がまったくみられなくて。少し不安な表情ではあったのですが、先生の話もちゃんと聞こうとしていたので驚きました。
当時を振り返ってみると、幼稚園では、自分が理解できない言葉がたくさん飛び交うので、話がわからなくて苦しかったと思うんです。でも、LITALICO ジュニアでは、先生が自閉スペクトラム症の特性をよく理解したうえでKに合わせたわかりやすい話し方をしてくれたので、それがよかったんだと思います。
自発的に挨拶や「ありがとう」が言えるように
授業では、どんなことに取り組んだのでしょうか?
教室に通い始めるまで、Kは周りが促さないと挨拶や「ありがとう」が言えなかったんです。そこで、LITALICOジュニアの先生が学校や家庭でのいろいろなシチュエーションを描いたイラスト入りの教材を使いながら「こんな場面ではどうするんだっけ?」「こういうときはありがとうって言うんだよ」と繰り返しわかりやすく教えてくださいました。
お母さまはペアレントトレーニングにも参加されていたそうですね。
はい。ペアレントトレーニングでは、子どもの褒め方や叱り方について、例えば「だめ」「やめて」のようなネガティブな言葉ではなくて「こうしてほしいな」と直してほしいポイントを伝えた方がいいといった具体的なアドバイスをいただきました。それを家庭でも実践するようにしていました。
教室に通い始めてから、周りの人との関わり方に変化はありましたか?
本人から自然と挨拶や「ありがとう」の言葉が出るようになりました。学校の先生から「今日は友だちに『ありがとう』と言えていました」と聞いたとき、LITALICO ジュニアで教えてもらったことがちゃんと生かされているんだなと思いました。また、自分の気持ちがはっきり伝えられるようになり、嫌なものは嫌と意思表示ができるようにもなりました。LITALICO ジュニアでの練習の積み重ねによってソーシャルスキルが身に付いていったと感じます。
それは素晴らしいですね。
LITALICO ジュニアの先生は息子が言葉をなかなか発さなくても、言葉が出てくるまで辛抱強く待ってくださったり、できたことを「よくできたね」と褒めてくださったりもしました。そのおかげで、他人に対して恐怖心のようなものを抱いていたKが、学校でも少しずつ周りの人とのかかわりを持てるようになってきたんです。
自分の気持ちをコントロールする力もついた
中学校に入学した後のKくんのご様子はいかがでしたか?
自分から積極的に周りとコミュニケーションが取れるようになりました。その反面で、相手の状況をまったく考えずに、とにかく話したいことや見てもらいたいものがあれば、人の話に割り込んでしまうことも増えてしまい、それが新たな課題になったんです。
そうだったのですね。LITALICO ジュニアでは、そうした課題に対してどんな取り組みをしたのでしょうか?
誰かにお話ししたいとき、まずは「ちょっと話してもいいですか?」と声をかける練習をしました。それからは、学校でも担任の先生に「ちょっと話していいですか?」と言えるようになったんです。家に帰ってきた後、私が「ちゃんと言えたね」と褒めるのですが、それが息子にはとてもうれしいことだったようです。もっと褒められたいという気持ちからか、私にも「お母さん、ちょっといいですか?」と話しかけてきたりもしました(笑)
K自身も、状況に合わせた話し方がわからなくて困っていたのですが、LITALICO ジュニアの先生に「こういう場面ではこんな話し方をするといいよ」というパターンを1つずつ提示していただきながら練習を積み重ねていくうちに、話すことに自信がついてきたようです。
コミュニケーションスキルがさらに伸びたのですね。最近は、どのようなことに取り組んでいますか?
Kは、自分の気持ちをうまくコントロールできないことがあります。例えば、私が授業後にLITALICO ジュニアの先生とお話ししているときに、自分に目を向けてほしくて話が終わるのを待てないこともあるんですよ。それを改善するために、「10数えるまで待ってみよう」という練習を授業の中で取り入れていただきました。その結果、イライラする気持ちを抑えながら待てるようになってきました。
それから、教室に置いてあるお気に入りのおもちゃであそびたいとき、そのおもちゃが他の授業で使われていて使えない場合がありますよね。そういうとき、以前は「どうしてもこれじゃなきゃダメ」というこだわりの強さがあったんです。でも、先生が他のおもちゃを2つくらい用意して「これとこれはあるけど、どちらかで遊べるかな?」という声かけの仕方をしてくださるようになってから1ヵ月月足らずで気持ちを切り替えるのが上手になりました。
家庭や学校とのコミュニケーションを大切にしてくれるから安心できる
LIALICOジュニアに通ってよかったと思えるポイントはありますか?
まず、学校や家庭と連携してしてくださるところです。LITALICO ジュニアの先生が小学校でのKの様子を見に来てくださったうえで、LITALICO ジュニア・家庭・学校の三者それぞれの役割を考えてくださったんです。それがきっかけで、私は家庭でできることを一生懸命がんばれましたし、学校も常に彼の様子を教えてくれました。
ご家庭や学校とも連携が取れていると、よりよいサポート体制が築けそうですね。
はい。一方的な指導ではなくて、保護者や学校の先生とコミュニケーションを十分に取りながら、Kの状況に合わせた指導内容を作り上げていただいたのはとてもありがたかったです。
Kくん自身は、LITALICOジュニアの先生のことをどう思っているのでしょうか?
KはLITALICO ジュニアの先生のことをすごく信頼しているし、大好きなんです。先生が提案してくれたことに対しては、最初に「嫌だな」と感じても、まずはその通りにやってみようとするんですよ。そして実際にやってみると、「そんなに嫌じゃないかも」という気持ちに自分自身で気が付きます。不得意なものやこだわりがあることでも、渋々やってみることを続けるうちにいつの間にか克服できたという経験が、本人にいい影響を与えていると思います。
褒められることで自信や原動力が生まれた
KくんがLITALICO ジュニアに通ってから一番成長したと思うのはどのようなところですか?
真っ先に思い浮かぶのは自信ですね。Kはとにかく褒められるのが大好きな子なので、信頼している先生に褒められることで「自分にもできる」という自信が生まれ、もっと褒めてもらえるようなことをしようという気持ちも芽生えます。その積み重ねによっていつの間にか成長していったような気がします。LITALICOジュニアの先生だけでなく、ほかの大人や学校のお友だちにも認めてもらいたいようで、その気持ちを原動力にしてがんばっています。
お母さまご自身について、ここが変わったと感じることはありますか?
以前は、子育てや子どもとの接し方にとても悩んでいたんです。Kに障害があることがわかってから数年間ぐらいは、周りの子たちと比べて「何でうちの子はできないんだろう」と考えてつらい気持ちになることもありました。LITALICOジュニアでは、家庭での困りごとや伸ばしてほしいポイントを丁寧に聞いてくださったうえで授業を進めてくださるだけでなく、家庭でできることも具体的に提案してくださるので、それが私にとって大きな助けとなりました。
それは何よりです。心境面では、何か変化はありましたか?
LITALICO ジュニアに来れば、Kのことをよく理解してくださり、適切な指導をしてくださる先生がいるという安心感から、だんだん気持ちが前向きに変化していきました。周りと比較するのはやめようと思えたんです。
みんなにとって当たり前のことが我が子にとっては当たり前ではありません。でも、少しずつできるようになってきたときはとても嬉しいんですよ。当たり前の尊さを理解できるようになった今は、彼の成長を先生と一緒に共有しながら、前向きな気持ちで楽しんでいます。
先生からのコメント
Kくんは自分の気持ちをコントロールするのが苦手なところがありました。通い始めた当初は自分が「やりたい」と思ったことを我慢できない、じっとしていられないような様子が見られました。その課題に対して、小学校低学年のときにはちゃんとルールを守れたときに褒める、中学年のときには具体的なコミュニケーション方法を伝えるといったように、成長に合わせた支援をしてきました。Kくんのすごいところは、支援員が伝えたことをちゃんと記憶して、身に付けたスキルをしっかり普段の生活の中で発揮できるところ。学期ごとにコミュニケーションに関する新しい目標を設定するのですが、次の学期になる頃には学んだスキルがしっかりと定着しているんです。今では何かをやりたい衝動とも上手に付き合えるようになってきました。LITALICO ジュニアや学校と積極的に情報共有をしてくださったお母さまにもとても感謝しています。Kくんとは、これまで2人で一緒に成長してきたという感覚があるので、これからも一緒に楽しみながらスキルアップしていけたらうれしいですね。引き続き周りの人がKくんをサポートしてくれるような環境づくりのお手伝いもしていきたいです。