「この子にはできない」と親も諦めていたことが次々にできるように! 将来的な自立への道筋も見えてきた
2024年01月20日公開 | LITALICOジュニア編集部
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パーソナル
プロフィール
Rくん
年齢:10才
ジュニア歴:1年
困りごと
- 気持ちや行動の切り替えが難しい
- 質問に答えても、同じ質問を繰り返す
通ってからの変化
- 時間や予定に合わせ、切り替えられるように
- 相手を思いやる言葉が出るようになった
- 「ヘルプサイン」が出せるようになった
体験授業で感じた「期待感」
LITALICOジュニアに通うことにしたきっかけから教えてください。
息子には知的障害があるのですが、漢字も読めるし、数字も苦手ではありません。ただ、学校ではどうしても、得意を伸ばすことより、苦手を平均まで上げて「みんなと同じようにできるようになること」に重点が置かれます。
学校以外の場所で、算数や国語の学習を進められたら、将来の就職の可能性も高まるのではないかと考えて、LITALICOジュニアの体験授業に申し込みました。
体験授業のときの印象はいかがでしたか?
LITALICOジュニアのことは以前からインターネットなどで知っていたものの、知的障害のある子は対象外ではないかと思い込んでいたんですね。体験授業の日は、息子がちゃんと授業を受けられるかと、私のほうが緊張。でも、そんな心配は杞憂でしたね。とくに授業のあと、先生が「ヘルプサインを出せるようにしていきましょう」と提案してくださったのには、目から鱗でした。
確かにこの子の将来を考えたら、算数や国語よりも先に、困ったときに助けを求める力をつけることのほうが大切。先生の言葉にハッとして、ぜひここに通いたいと思いました。体験のときから、「何かが変わりそう」という期待感がありましたね。
新しい視点を得て、やりとりの幅が広がった
お母さまにとっても新しい気づきがあったのですね。
もう気づきの連続です。家庭ではどうしていいかわからなかったことも、先生に分析していただくと、まったく新しいアプローチが見えてきて。たとえば、息子は同じ質問を何度も繰り返すことがあったんですね。
「明日は学校?」と聞いてくるので「うん、明日は学校だよ」と答えると、また「明日は学校?」と繰り返す。私にはその理由がわからなかったのですが、先生は「Rくんは明日の学校の有無を聞きたいのではなく、明日の学校は行きたくない、と伝えたいのかもしれません」と指摘してくださって。
言いたいことはあるけれど、それをうまく言葉にできない。それって、自分の英語学習を思い返すと納得。ヒアリングはなんとかできても、喋ろうとするとぴったりくる単語が出てこないことってありますよね。息子は、日本語でいまそういう段階にいるんだとわかって、膝を打つ思いでした。
子育てのなかで感じていた疑問が、すっと解けたのですね。
そうなんです。息子が口にしている言葉は、本当に彼が伝えたいこととは違うかもしれない、という視点を持つようになって、息子との接し方の選択肢も広がりました。
それまでは「この子にはこういうことはできないんだ」と諦めてしまっている部分が多かったんです。でも、やり方を工夫すればできるようになることがたくさんあるってわかって。言い方を変えたり、絵や文字で伝えたり、LITALICOの授業を通して私も学んでいます。
授業の見学や先生からのフィードバックで、印象的だったエピソードがあったら教えてください。
通い始めてまもないころ、今よりずっと切り替えが苦手で、その日はペーパーの課題に取り組もうとしなかったんです。すると、先生がプリントに大好きな電車の絵を描いてくださいました。それだけで、息子が急にやる気に! モニター越しに見ていて、びっくりしましたね。
少しの工夫でもこんなに変わるんだって。授業では、私たち親では思いつかないようなアプローチでさまざまなことにチャレンジさせてもらっています。今までわかってあげられなかった「本当はこんなことがやりたい!」という息子の気持ちも、だんだんと見えるようになってきました。
切り替えがうまくなり、言葉での表現力もアップ!
LITALICOジュニアに通い始めて、1年になりますね。お母さまが最もRくんの成長を感じるのはどんなところですか?
いちばんの成長は、気持ちの切り替えが上手になってきたことでしょうか。入塾当初は、授業が終わったあとも「帰らない!」とグズっていましたが、今では自分から「さようなら」と先生にあいさつができるようになりました。
授業では、切り替えの練習のために時間を決めてタブレットでゲームをするのですが、ちゃんと時間がくると自分でスイッチを切って、先生に渡せるようになったのも大きな成長です。
すばらしいですね!教室以外でも、切り替えのスキルは身についていると感じますか?
好きなことを終わりにしたくなくて泣く、ということはほとんどなくなりましたね。家でも「出かけるよ」と声をかけると、テレビを消して準備をしています。
通い始めて6〜7カ月たったころから、日常のさまざまなシーンで、切り替えがじょうずになっていることを感じられるようになりました。
当初の目標だった「ヘルプサインを出せるようになる」という課題については、いかがですか?
授業でもいろんな表現を学んでいて、最近では、言葉も急激に増えています。「〜〜だから〜〜したい」といった理由をあらわす表現もできるようになりました。
ずっと2語文が中心だったので、理由を伝えてくれるようになってぐっとコミュニケーションがとりやすくなりましたね。授業でも「わからないから教えて」など、ヘルプを伝えられるようになっています。子どもらしいおもしろい発言もいろいろ出てくるようになって、ほっこりできる時間も増えました。
自立する将来を目指して一歩ずつ前進
Rくんにとって、LITALICOジュニアはどんな場所でしょうか?
自分の思いを理解してくれる人がいる、安心できる場所かな、と思います。私たち親が「これはこの子にはできない」と諦めてしまっていることに対しても、新しいアイデアで取り組んでくださる。本人のなかには「先生になら伝わる!」という信頼感があると思います。
ご両親にとってのLITALICOジュニアは、どんな場所ですか?
新しい視点に気づかせていただける場所です。おかげで私も夫も、子どもへの接し方がすごく変わりました。
言葉で伝わりにくいときは絵や文字で見せられるようにと、夫の発案で家のあちこちに小さなメモ帳をおくなど、工夫しています。まだまだ試行錯誤ですが、夫婦ともに共通認識を持てたことは、すごくよかった!
ゆっくりとでも着実に成長していて、こうやってひとつずつステップをクリアしていけば、本人ももっと生きやすくなると思えています。
入塾前は不安もあったとお話くださいました。同じように迷っている方に向けてメッセージがありましたら、お願いします。
障害の有無にかかわらず、お子さんとの接し方に悩んでいるお母さん、お父さんも多いと思います。親だけでは、どうしたらいいかわからないこともたくさんありますよね。そんなとき、LITALICOジュニアの先生から「こんなアプローチもありますよ」という選択肢をもらえたら、きっと親子ともに変われるんじゃないか、と思います。うちがまさにそうでした。
私の場合は、新しい接し方を示してもらうだけでも心がラクになって、悩みやストレスもぐんと軽くなりました。まずは一度、子育て相談所ぐらいの気軽な気持ちで、お話を聞いてみるのもいいと思います!
先生からのコメント
入塾して1〜2カ月は、思い通りにならないと教室を飛び出したり、かんしゃくを起こすこともあったRくん。自分の思いをどう伝えたらいいかわからなくて、もどかしかったのだと思います。Rくんのなかには豊富なボキャブラリーがあるものの、その言葉を使ってどのように自分の気持ちや考えを伝えていくかの経験が不足していたのだと思います。
まずは大好きな電車を切り口に、言葉で表現する練習や切り替えの練習などにチャレンジ! 徐々に電車以外のボードゲームや遊びも取り入れ、興味関心の幅も広げてきました。
言葉で気持ちを伝えようという意欲が高まり、いろいろな表現も身についていますね。
これからもRくんにとっての最適なコミュニケーションの取り方を常に考え、いっしょに成長していきたいと思っています。