じっとしていることが苦手で、集団に参加することも難しかった娘ー気持ちをコントロールする力を身につけ、落ち着いて行動できるように!
2024年08月20日公開 | LITALICOジュニア編集部
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そんなWちゃんは、年中の始めからLITALICOジュニアの児童発達支援の利用を開始し、少しずつ自分の気持ちをコントロールする力を身につけていきました。今では、衝動的な行動が減り、保育園や外出先でも落ち着いて過ごせるようになったWちゃん。集団の場では、持ち前の社交性を発揮しながら友だちと楽しい時間を過ごしています。
今回は、Wちゃんのお母さまに、教室に通い始めたきっかけやWちゃんとご家族に起きた変化について伺いました。
目次
プロフィール
Wさん
年齢:5歳
ジュニア歴:1年3ヶ月
困りごと
- 保育園で、急に教室から飛び出すことがあった
- 集団活動への参加が難しかった
- こだわりが強く、気持ちの切り替えも苦手だった
- 勝ち負けのあるあそびが苦手だった
通ってからの変化
- 衝動的な行動が減った
- 集団活動に参加できるように
- 見通しを立てる力がついた
- 自分の感情をコントロールできるようになった
じっとしていられず、集団行動への参加が難しかった
Wちゃんには、どのような困りごとがあったのでしょうか?
2歳半頃、保育園の先生からは「教室から飛び出してしまう」「じっと席に座り続けることができず、立ち歩いてしまう」といった問題行動について報告を受けることが増えました。
クラスでの集団行動では、周りの友だちとは別のことをしたり、「私はまだこれをやりたいの」とかんしゃくを起こしたりすることも少なくありませんでした。
お母さまがWちゃんと過ごしている時、大変だと思う瞬間はありましたか?
こだわりの強さや衝動的な行動によって、子育てに難しさを感じることはありました。
一緒に買い物に行った時には、一瞬でも手を離すと走ってどこかに行こうとしたり、好きなものが置いてある場所からなかなか離れようとしなかったりするので、スーパーに連れていくのも億劫になってしまい、買い物の時には毎回腰が重かったです。
そうだったのですね。LITALICOジュニアにWちゃんを通わせようと思ったきっかけはありますか?
娘が年少の時、地域の療育センターで開かれていた8ヶ月間の療育プログラムに週1で通っていました。そのプログラムが終了した後、家の近くで通える発達支援事業所がないか探していたところ、インターネット検索でLITALICOジュニアを見つけたんです。
初めて見学に来てくださった時のWちゃんのご様子はいかがでしたか?
初めての場所にもかかわらず、娘は最初からとてもリラックスしていて、すんなりとクラスに溶け込んでいました。たくさんおしゃべりをしたり、時々おどけたりもしながら、普段通りの様子で活動に参加していたのでホッとした記憶があります。
授業が終わった後、娘が清々しい顔で「楽しかった」と言ってくれたので、これなら通わせられると思いました。
見通しを立てるトレーニングと成功体験を重ねた
LITALICOジュニアに通い始めた後、教室ではどんなことに取り組みましたか?
3名の小集団でおこなうクラスに参加しながら、まずは見通しを立てるトレーニングに取り組みました。授業が始まると、先生はいつも何をどんな順番で取り組むのかを説明してから活動に移ります。授業中も先生は「時間になったらこれができるよ」といった声かけをしてくださっていました。
最初はじっと席に座っていられなかった娘のために、先生は「きちんと座っていられたら1ポイントもらえる」というポイント制度も取り入れてくださいました。きちんと座っていられた時には、娘の大好きなハートマークを紙に描いて、たくさん褒めてくださっていたのが印象的です。「じっと座っていられるのはいいことなんだよ」と、楽しみながら自然とルールを身につけられたのが娘にとってはよかったのだと感じています。
まずは、見通しを持つことやルールを学んでいったのですね。授業の中で、ほかにも何か印象に残っていることはありますか?
LITALICOジュニアに通う以前の娘は、勝ち負けのあるあそびが苦手でした。集団の中では、何かの順番を決めるためにじゃんけんをする場面も少なくありませんよね。しかし、娘は「負けるのが嫌だから」という理由で、じゃんけんに参加できなかったんです。
LITALICOジュニアの先生は、そんな娘に対して「負けても大丈夫だよ」「今度は勝った人から始めるんじゃなくて、負けた人から始めよう」と負けることへの拒否感を和らげるための言葉をかけ続けてくださいました。また、娘が嫌な気持ちになった時、どうすれば気持ちを落ち着けられるのか、その手段を一緒に探してくださいました。
先生が根気よく前向きな声かけを続けてくださったおかげで、娘は「負けても意外と楽しかった」「みんなで遊べてよかった」というちょっとした成功体験を積むことができました。
自分の気持ちをコントロールできるようになり、衝動的な行動が減った!
LITALICOジュニアに通い始めた後、保育園でのWちゃんのご様子に変化はありましたか?
LITALICOジュニアでのトレーニングを重ねるうちに、保育園で勝手に離席をしたり、教室の外に飛び出してしまったりすることは、ほとんどなくなりました。席を立ちたくなった時も、先生に「トイレに行ってきます」のように、一声かけられるようになったと聞いています。
また、自分が何を苦手と思うのかをしっかりと理解し、言語化できるようにもなりました。やりたくないことがある時には、保育園の先生に「私はこれが苦手でやりたくないから、ここで見ていてもいい?」「ここまでだったらできそう」のように、言葉で自分の気持ちや希望を伝えています。「嫌だな」「苦手だな」と思うことでも、とりあえずできるところまでは参加してみようという前向きな気持ちも出てきたと感じています。
ご自身で先生と交渉できるなんて、すごいですね!勝ち負けへのこだわりについてはいかがですか?
いまだに「負けたくない」という気持ちはあるようですが、自分の気持ちを落ち着ける方法を学んだことで、少しずつ勝ち負けのあるあそびにも参加できるようになってきました。
最近では、保育園でじゃんけんをする場面で、おまじないを唱えるように「負けても大丈夫だからやってみよう」と言うこともあるみたいです。あそびに負けてしまった時に悔しがることはありますが、以前のように激しく泣くことはなくなりました。
負の感情と上手く向き合えるようになったのですね。お買い物に連れて行くのが大変というお話がありましたが、外出先でのご様子に変化はありましたか?
買い物中、勝手にどこかへ走っていってしまうことがなくなりました。この変化については、本人の成長はもちろん、私たち家族の声かけの仕方が変わったことも大きく影響していると感じています。
たとえば、スーパーに到着したら「今日はこの順番で回るよ」「ここには行かないよ」と伝えたり、「買い物が終わったら本屋さんで1冊本を買おう」とご褒美を用意したりします。すると、娘は次に何をするのか見通しを持てるため、落ち着いて行動できるんです。こういった声かけの方法や関わり方は、すべてLITALICOジュニアの先生から学んだものなんですよ。
娘の特性に合わせた最適なサポート方法が分かった
先生の声かけやアドバイスの中で、ほかにも参考になったものがあれば教えてください。
LITALICOジュニアの先生は、娘が勝手な行動をしても、決して否定的な言葉をかけることはしません。まずは「Wちゃんはこれがやりたいんだね」と、娘の気持ちに共感を示したうえで「でもこうしたらもっといいんじゃないかな?」と提案してくださるんです。
「自分の気持ちを理解してもらえた」という実感があれば、子どもって意外とすんなり気持ちを切り替えられるものなんですよね。先生の声かけや関わり方を見ていると、親の気持ちを押しつけるのではなくて、まずは子どもの気持ちを一度受け止めることが大切なのだと感じます。
WちゃんをLITALICOジュニアに通わせるようになってから、お母さまご自身にはどんな変化がありましたか?
これまでの私は、娘のできないことばかりに注目しては「もっとこれができたら」「あれもやってほしい」と考えてしまいがちでした。
しかし、LITALICOジュニアの先生は、娘の様子をよく観察していて、いいことをした時にはそれがどんなに些細で当たり前なことでもたくさん褒めてくださるんです。そんな先生の姿を見ていると「娘のことを大事にしてくれている」とうれしくなるだけではなく、私ももっと娘のいいところを探して褒めていかなきゃと思えます。
LITALICOジュニアに通い始めてからは、娘が今できていることに目を向けて、認めようという意識が強くなりましたね。
素晴らしい気付きですね!では、お父さまからの声かけや関わりに何か変化はありましたか?
「刺激が多いと落ち着かない」という娘の特性への理解が深まったことで、夫は「これが目の前にあると気が散っちゃうから、しまっておこう」「隣の部屋に行こう」といったように、環境整備に協力してくれるようになりました。
LITALICOジュニアに通い始めてからは、夫婦で「手を離しても買い物できるようになったね」「かんしゃくを起こさないで落ち着いて過ごせたね」といった日々の変化を共有する習慣もできました。こうして2人で話をすることで、より娘の成長を実感できるようになりました。
娘の成長をより前向きに捉えられるように
2024年4月のサービスリニューアルによって、クラスの人数が増え、1回あたりの支援時間が延長されました。お母さまはこの変化について、どのように感じていらっしゃいますか?
より保育園での集団生活に近い環境で過ごすようになったことで、園生活で発生する困りごとを見つけていただきやすくなったと感じています。
周りの刺激に左右されやすい特性のある娘の場合、これまでの個別や少人数の授業では、普段の困りごとが表に出ないことも多かったんです。LITALICOジュニアではできることが、園では上手くできないことも少なくありませんでした。
そのため、集団の場で発生する困りごとを先生の目で見ていただき、その場でどんなアプローチが有効なのかを専門的な視点で考えていただけるようになったのは、すごくありがたいことです。
娘も、環境の変化に対して特に拒否感はないようで、送迎のタクシーに乗れることや、おやつの時間があることを喜んでいますよ。
メリットを感じていただけていて、何よりです。現在、LITALICOジュニアにお子さまを通わせるかどうか悩まれている読者の方もいらっしゃるかと思います。読者の方に何かアドバイスがあればお願いいたします。
子どもを発達支援事業所に通わせようと思った時、必要な手続きやその流れが分からないことから、なかなか一歩を踏み出せない方も多いと思います。実際に私も、複雑な手続きが必要なのではないかという思い込みから、しばらく行動を起こせずにいました。
しかし「とりあえず教室を見学してみよう」と、思いきってLITALICOジュニアを訪ねたところ、スタッフの方が利用に必要な手続きについて分かりやすく丁寧に教えてくださいました。今振り返れば、1人であれこれ悩まずに最初から相談すればよかったなと思います。
もしも、当時の私と同じような悩みをお持ちの方がいらっしゃれば、まずは気軽に教室見学に行ってみることをおすすめします。きっとお悩みに対して何か助けになる情報を得られると思いますよ。
最後に、先生にメッセージをお願いいたします。
LITALICOジュニアの先生には、とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。娘の成長をより前向きに、そして冷静に捉えられるようになったのは、先生方のおかげだと思っています。
LITALICOジュニアの先生は、娘だけではなく、家族のことも理解して優しく寄り添ってくださる私たちの心強い味方です。何か困ったことが起きても、私たち家族だけで抱え込まなくていいのだと思えることで、本当に心が楽になりました。これからも一緒に娘の成長を見守っていただけるとうれしいです。
先生からのコメント
教室の友だちに対して「何かしてあげたい」という気持ちを持っているWちゃん。お話をすることや、友だちのお名前を覚えることも得意で、集団の場では積極的に周りのお子さまと関わろうとしたり、教室に通い始めたばかりの友だちに「こっちに並ぶんだよ」「こうやってやるんだよ」と教室のことを教えてあげる姿も見られます。
集団行動への参加が難しいという困りごとがあったWちゃんですが、実は集団の場はWちゃんにとって得意なことを発揮できる場でもあります。そのため「さっきはとても頑張っていたね。次はこれも頑張ってみよう」のように、Wちゃんのよい面を褒めつつ、ご本人が前向きな気持ちで課題に向き合えるような声かけを意識しています。
今後は、就学後の環境変化も意識し、さまざまな場面を想定した会話の練習や友だちとの関わり方を一緒に楽しく勉強していけたらと考えています。Wちゃんが自信を持って生活していけるよう、今後も近くで成長を見守っていきたいです。