場面緘黙(選択性緘黙)とは?どこに相談すればいい?原因や発達障害との関連性も解説します のイメージ画像

場面緘黙(ばめんかんもく)の特徴は、家では家族と会話できるのに、学校や幼稚園・保育園のような「特定の場所」では友達と話せないといった症状が見られることです。

 

選択性緘黙(せんたくせいかんもく)とも呼ばれています。

 

もしも、子どもが幼稚園や学校など、特定の場所や場面でのみ話せず困難や苦痛を抱えている場合、場面緘黙かもしれません。

 

しかし「本当に場面緘黙の症状なのだろうか?」や「なにがきっかけで発症するのだろう?」など、疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、場面緘黙(選択性緘黙)の原因や症状、治療方法や相談先について解説していきます。

場面緘黙(選択性緘黙)とは

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場面緘黙(ばめんかんもく)とは、家の中などでお話ができるのに、社会的場面(幼稚園・小学校など)では、上手く話せない症状が続く状態のことで、医学的には「不安症群」に分類されます。

 

ここでいう「場面」とは、「場所」だけでなく、「その場にいる人」や、「活動内容」の要素を含んでいます。例としては、「家では、親やきょうだいと雑談できるのに、クラスメイトや先生を前にするとまったく話せない」などが挙げられます。

 

また、「大人しい」や「恥ずかしがり屋」などの性格によりあまり話さない場合との違いとして、「話せない症状が続いている期間」や「リラックスできるはずの場面で話せるかどうか」などで区別されています。

場面緘黙(選択性緘黙)発症率

場面緘黙(選択性緘黙)の発症率は、調査データによって異なります。

 

国内でおこなわれた大規模な調査(小学生約14万7千人を対象)では、0.21%という数字が報告されています。おおよそ、500人に1人の割合です。

 

ちなみに、場面緘黙(選択性緘黙)の情報を提供している「かんもくネット」のリーフレットには、「出現率は0.1%~0.5%でやや女子に多い」と記載があります。

 

また、場面緘黙(選択性緘黙)を発症するのは、幼児期の2~5歳の頃が多いと言われていますが、中には小学校や中学校に入学してから症状が現れる場合も見られます。

場面緘黙(選択性緘黙)を発症しやすい時期

場面緘黙(選択性緘黙)を発症しやすい時期としては、入園・入学・引っ越しや転校など、環境が変わり、不安が高まるタイミングが挙げられています。

 

「教室で先生から強く叱責された」などの出来事がきっかけとなることもありますが、とくに特定のきっかけがないこともあります。

 

また、必ずしも変化の時期に生じるとは言い切れず、学年や年度の途中から場面緘黙(選択性緘黙)の症状が見られる場合もあります。

場面緘黙(選択性緘黙)の名称について

アメリカ精神医学会の「DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)」の日本語版(2014年発行)では、「場面緘黙」ではなく、「選択性緘黙」という名称が使われています。

 

しかし、「選択性緘黙」という言葉には、「話さないことを選んでいる」ようなイメージがつくことから、誤解を生む恐れがあるとして、日本場面緘黙関連団体連合は2018年に、和訳を「場面緘黙」に変更するよう、求める要望書を提出しています。

 

※DSM-5には、精神疾患の国際的な診断基準が記載されています。

場面緘黙(選択性緘黙)の原因

場面緘黙(選択性緘黙)の原因やメカニズムについては、まだはっきりとはわかっていません。

 

単一の原因によるものではなく、本人がもともと持っている不安になりやすい気質に加えて、心理学的要因や社会・文化的要因など、複数の要素が影響しているのではないかと考えられています。

 

また、過去には場面緘黙(選択制緘黙)のすべてがトラウマに関連づけられていたこともありますが、現在ではほとんどの子どもに関係しないことがわかっています。

 

一方でショックな出来事の後に急激に話ができなくなったり(トラウマ性緘黙)、身体的虐待や精神的虐待がある場合、場面緘黙や場面緘黙に似た状態を示すこともあり、それぞれ分けて支援について考える必要があります。

場面緘黙(選択性緘黙)の症状

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場面緘黙(選択性緘黙)の主な症状は、冒頭でお伝えした通り、「家の中などでは話せるのに、特定の状況において、声を出して話せない状態が続く」ことです。

 

ただし、症状の出方は人によって異なり「家の中にいても、家族以外とは話せない」や「友達とは話せるけれど先生とは話せない」など、さまざまです。

 

また、感情表現がとぼしかったり、動作がしにくいなどの特徴が見られる場合もあります。

場面緘黙(選択性緘黙)の特徴

場面緘黙(選択性緘黙)の特徴は子どもによっても異なるため、ここでは例をご紹介します。

 

  • 親やきょうだい以外とまったく話せない
  • 声を聞かれることや注目されることが怖い
  • 表情がとぼしく、自分の気持ちを出しにくい
  • 決まった台詞(音読など)なら話せる
  • 特定の友達とは小さな声で話せる
  • 動きがぎこちなくなる
  • 人の目が気になってしまう など

 

場合によっては「わざと話さない」「話したくないだけ」と思われてしまうこともあります。

 

しかし、本人は「話したくても話せない」のであり、自分の意思で声を出さないわけではありません。そのため、クラスメイトなど周囲の人に理解してもらうことがとても重要です。

場面緘黙(選択性緘黙)と似ている障害

場面緘黙(選択性緘黙)の「声が出ない」という症状は他の障害でも見られることがあります。

 

例えば、ショックな出来事の後に生じる「トラウマ性緘黙」や、思春期や更年期の女性が発症しやすいと言われている「失声症」などが挙げられます。

 

どちらも、場面緘黙(選択性緘黙)とは異なるため、区別して考えましょう。

場面緘黙(選択性緘黙)の診断と治療

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場面緘黙(選択性緘黙)の診断基準と治療方法について、解説していきます。

場面緘黙(選択性緘黙)の診断基準

DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)によると、場面緘黙(選択性緘黙)の基準は下記5つです。

 

  1. 他の状況(家など)では話しているのにもかかわらず、話すことが期待されている他の状況(学校など)において、話すことが一貫してできない
  2. その障害が、学業上、職業上の成績、または対人的コミュニケーションを妨げている
  3. その障害が、少なくとも一ヶ月以上続いている(学校の最初の一ヶ月だけに限定されない)
  4. 話すことができないことは、その社会的状況で求められている話し言葉の知識、または、話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない
  5. その障害は、コミュニケーション障害(吃音症など)では、うまく説明できない。また、自閉スペクトラム症や統合失調症など、他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない

 

上記にあてはまる場合は、場面緘黙(選択性緘黙)の可能性があります。

 

実際に場面緘黙(選択制緘黙)の診断ができるのは医師になりますので、上記の症状に当てはまり、症状が気になる方は児童精神科や心療内科などを受診いただければと思います。

場面緘黙(選択性緘黙)の治療方法

場面緘黙(選択性緘黙)の症状は、適切な対応をすることで改善できると言われています。

 

本人にとって不安が低い場面から、少しずつチャレンジしていき、徐々に話したり、活動に参加したりできる状況を増やしていく「行動療法」が効果的との報告もあります。

 

しかし、無理に人前で話すことを練習させるのではなく、まずは、学校の支援を受けながら、本人が「安心できる環境づくり」をおこなうことが重要です。

 

サポートの例としては、授業の中で一人ずつ音読をする場合「先生と一緒に読む」や「指名しないようにする」などが挙げられます。

本人の希望をしっかりと聞いてあげたり、状況によって家族や支援機関と連携しながら対応していくようにしていただければと思います。

 

また、場面緘黙(選択性緘黙)は、学校教育においては「情緒障害」に分類されています。

 

情緒障害は「特別支援教育(困りごとの症状に合わせた指導を受けられる)」の対象となるため、希望する場合は、特別支援学級に通ったり、一部の時間のみ通級指導教室に通い場面緘黙(選択性緘黙)に関する指導を受けたりすることができます。

 

ただし、治療の進め方や必要としている支援は人によって異なるため、専門家に相談しながら、本人の気持ちを尊重し、治療をしていくことが大切です。

場面緘黙(選択性緘黙)はどこに相談すればいい?

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場面緘黙(選択性緘黙)に関する相談先としては、子育てを支援している下記の機関が挙げられます。基本的には、どの機関も地域ごとに設置されています。

 

  • 保健センター
  • 子育て支援センター
  • 児童相談所 など

 

さらに、場面緘黙(選択性緘黙)をサポートしている民間の団体もあります。

例えば「かんもくネット」では、場面緘黙(選択性緘黙)に関するわかりやすい資料を公開したり、保護者や本人に向けて情報を発信したりしています。

場面緘黙と発達障害の関連性について

場面緘黙(選択性緘黙)の症状が見られる子どものなかには、発達障害の特性がある子どももいらっしゃいます。

 

発達障害には下記3つの種類があります。

 

  • 自閉スペクトラム症(ASD)→対人関係の困難さや限定された行動や興味がある
  • 注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)→不注意や多動性、衝動性がある
  • 学習障害(LD)→知的発達に遅れはないものの、読み書きや計算に困難がある

 

発達障害がある場合は、場面緘黙(選択性緘黙)の治療を受けるだけでなく、特性に合わせたサポートが必要であるため、発達障害を支援している機関へ相談しましょう。

発達障害のある子どものための支援機関

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発達障害のある子どもや家族のための、支援機関としては「発達障害支援センター」や「児童発達支援センター」などが挙げられます。

 

その他、発達の気になる子どもが通える教室も含めて、順番にご紹介していきます。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある子どもやその家族を支援する機関です。

 

医療や教育、保健や福祉、労働などの関係機関と連携しつつ、発達障害に関するさまざまな相談にのったり、必要に応じて助言をしたりしています。

 

ただし、支援内容の詳細は発達障害者支援センターごとに異なります。

まずは、国立障害者リハビリテーションセンターの「発達障害者支援センター・一覧」ページから、自宅付近にあるセンターを見つけて、詳細をチェックしてみましょう。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、障害のある子どもを身近な地域でサポートする機関です。

 

子どもたちは、センターに通い、日常生活における基本的な動作や、自活に必要な知識や技能を学ぶことができます。

 

また、児童発達支援センターのなかには、子どもが放課後や夏休みなどの長期休暇中に通える「放課後等デイサービス」を提供しているところもあります。

発達の気になる子どもが通える教室

発達の気になる子どもが通える幼児教室や学習支援教室も活用できます。

 

例えば、LITALICOジュニアでは、0歳~18歳の子どもに向けて、発達支援の学びを提供しています。まず、発達が気になるといっても、「言葉の遅れが気になる」や「同年代の子よりも学習が苦手」など、状況は子どもによってさまざまです。

 

そのため、LITALICOジュニアは、一人ひとりの特性に合わせた学び方と環境を重要視し、子どもの未来の可能性を広げられるようサポートしています。

 

体験教室や資料請求も受付しているため、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

場面緘黙(選択性緘黙)のまとめ

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場面緘黙(選択性緘黙)は、まだ原因やメカニズムが明確になっていないものの、適切な治療を受けることで、症状が改善すると言われています。

 

もしも、子どもに場面緘黙(選択性緘黙)の症状が見られた場合、「しばらく様子を見る」のではなく、なるべく早めに医療機関へ相談するようにしましょう。

 

また、保健センターや子育て支援センターなどの機関も合わせてご活用ください。

 

 

参考文献