コミュニケーション障害とは?特徴や原因、症状、治療方法などを解説します

「幼稚園や学校で友達とうまく話せない」「同年代の子どもと比べて言葉を覚えるのが遅い」など、子どもの言葉やコミュニケーションについてお悩みの保護者の方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、医学上の診断名として使用されるコミュニケーション障害に関して、特徴や原因、子どもがコミュニケーション障害かも?と思ったときの相談先などについて解説します。

コミュニケーション障害とは?

コミュニケーション障害とは?

医学上の診断名として使用されるコミュニケーション障害を、DSM-5※では「コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群」と分類されています。

 

コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群とは、言葉を扱って他者とコミュニケーションをとることに困難が生じる疾患群で、

 

  • 語彙が乏しい
  • 文章を組み立てることが難しい
  • 流暢にスラスラと話すことが難しい
  • 状況や相手によってコミュニケーションの方法を変えることが難しい

 

などの日常生活のコミュニケーションに困難が生じている状態のことを言います。

 

※DSM-5とは

アメリカ精神医学会が作成している精神疾患の診断・統計マニュアル第5版。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の頭文字をとって「DSM」と呼ばれています。

 

DSM-5について詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

コミュニケーション障害の種類とは?

コミュニケーション障害は言葉を扱って他者とコミュニケーションをとることに困難が生じる「疾患群」と説明しましたが、コミュニケーション障害に種類はあるのでしょうか?

 

DSM-5では下記の5つを「コミュニケーション症群 / コミュニケーション障害群」の障害として分類しています。

 

  • 言語症/言語障害
  • 語音症/語音障害
  • 小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害
  • 社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害
  • 特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害

 

聞き慣れない障害名もあるかと思いますが、それぞれの特徴や症状に関してはのちほど詳しく説明します。

コミュニケーション障害の原因とは?

コミュニケーション障害の原因は、現状はっきりとわかっていないと言われています。

 

しかし、社会的コミュニケーション症/社会的コミュニケーション障害には、家族に発達障害などのコミュニケーション障害のある方がいる場合も多いという報告もあります。

 

ただし、重要なのはコミュニケーション障害の原因を探るというよりは、コミュニケーション障害の症状や特徴が、どのような時にどのような形で現れるのかを特定し、日常生活を過ごしやすくしていくための対策(環境調整など)をとっていくことが大切です。

コミュニケーション障害の特徴・症状は?

コミュニケーション障害の特徴・症状は?

コミュニケーション障害の特徴や症状をDSM-5の「コミュニケーション症群 / コミュニケーション障害群」の5つの分類別に紹介します。

言語症/言語障害

言語症/言語障害は、同年代の子どもに比べて言語能力が低く、話すことや書くことなどの習得や使用に困難が続いている障害です。

 

言語がある程度発達し、個人差が少なくなってくる幼少期以降に診断されることが多いと言われています。

 

具体的には以下のような特徴や症状があります。

 

  • 同年代の子どもよりも語彙が少ない(限られている)
  • (学校や保育園での出来事など)一つの出来事に対して順序良く説明することが苦手
  • 短く単純な言葉を使うことが多い

語音症/語音障害

語音症/語音障害は、正しい発音に困難がある障害で、脳性まひや口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)、難聴、頭部外傷などによる症状ではないものです。

 

言語発達に個人差があるため、症状の始まりを明確にいつからと断定することはできませんが、幼少期が多いと言われています。

 

「学校で教科書の音読がうまくできない」「友だちとのコミュニケーションがうまくいかない」など困りごとから気づく場合もあります。

小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害

小児期発症流暢症/小児期発症流暢障害は吃音(きつおん)とも呼ばれる障害です。

話しはじめの言葉に詰まったり、言葉がすらすら出てこないなどの症状があります。

 

症状の出方にはさまざまな種類がありますが、具体的には以下のような症状が例としてあげられます。

 

  • 音の繰り返し「あ、あ、あのね」
  • 引き伸ばし(伸発):「あーーーーのね」
  • 言葉を出せずに間があいてしまう(難発、ブロック):「・・・・あのね」

 

幼少期に症状が始まることが多く、小児期発症流暢症を抱えている子どもの80〜90%が6歳までに発症していると言われています。

 

吃音(きつおん)に関して詳しく知りたい方は以下の記事も参照してください。

社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害

社会的コミュニケーション症/社会的コミュニケーション障害は、言語を扱う基礎的能力は十分にあるにもかかわらず、社会的状況に応じたコミュニケーションに困難さが生じている状態を指します。

 

具体的には以下のような特徴があります。

 

  • 友だちや家族と挨拶や雑談をすることが難しい
  • 冗談などのユーモアや比喩の理解が難しい
  • 状況や相手に合わせてコミュニケーションの方法を変えることが難しい
  • 相槌をうつことが難しい
  • 相手の気持ちに配慮した会話が難しい など

特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害

特定不能のコミュニケーション症とは、上記の4つのコミュニケーション障害の特徴や症状に当てはまるものはあるものの、完全に診断基準を満たさない場合に分類されることがあります。

コミュニケーション障害の治療方法とは?

コミュニケーション障害の治療方法

コミュニケーション障害の治療法はこれであると一概に言えるものはありません。

 

ただし、前述したDSM-5の「コミュニケーション症群 / コミュニケーション障害群」の5つの分類ごとに、このような治療法が考えられるという観点から、手段の一つとして紹介します。

言語症・語音症の場合

言語聴覚士による言語療法(発音や発声の機能のトレーニング)がおこなわれることがあります。

小児期発症流暢症(吃音)の場合

言語聴覚士による言語療法以外に、子どもの吃音が出やすい状態を周りが理解をして、環境調整をおこなったり、カウンセリングや認知行動療法などをおこなうことで症状をコントロールすることができるかもしれません。

社会的(語用論的)コミュニケーション症の場合

SST(ソーシャルスキルトレーニング)といった、コミュニケーションや社会生活で役立つスキルを向上させるトレーニングをおこなうことで社会的状況に応じたコミュニケーションを習得することができるかもしれません。

 

SSTに関して詳しく知りたい方は以下の記事を参照してみてください。

LITALICOジュニアでは、コミュニケーション障害や対人関係にお悩みのある子どもや保護者に教室やオンラインでSSTを提供しています。

 

気になる方はどのような支援内容なのか、子どもに合っているか?などまずはお気軽にご相談ください。

コミュニケーション障害かもと思ったときは?

コミュニケーション障害かもと思ったときは?

コミュニケーション障害の症状や特徴などを見て、子どもがコミュニケーション障害かも?と思った方もいるのではないでしょうか?

 

ここでは、コミュニケーション障害かもと思ったときの受診先を紹介します。

病院は何科を受診すればいいの?

コミュニケーション障害かも?と思ったら、まずはかかりつけの小児科に相談してみることをおすすめします。ただし、専門的な診断ができないことも多いため症状の説明をして、近くの専門の病院を紹介してもらいましょう。

 

また、最初から専門医を受診されたい場合は、コミュニケーション障害がDSM-5では、発達障害(神経発達症群/神経発達障害群)の一つとされているので、発達障害の診療ができる以下のような病院を受診されるといいでしょう。

 

  • 児童精神科
  • 小児神経科
  • 発達外来
  • 大学病院(総合病院)

 

大学病院(総合病院)の場合、児童精神科・小児神経科・発達外来・耳鼻咽喉科など同じ院内にさまざまな診療科がある場合があり症状によって病院を変える必要がないので、迷った場合には大学病院(総合病院)を受診してみるのもいいかもしれません。

子どものコミュニケーション障害で相談できるところは?

子どものコミュニケーション障害で相談できるところは?

子どもがコミュニケーション障害かもと思ったときの相談先を以下に紹介します。

 

コミュニケーション障害の特徴・症状は?の章でも紹介した通り、コミュニケーション障害による困りごとはさまざまで子どもの状況や保護者の状況に応じて相談先は異なるかと思います。

保育園・幼稚園・学校の先生に相談

子どもがコミュニケーション障害かもと思ったら、まずは子どもや保護者の身近なところから相談してみましょう。

 

保育園・幼稚園・学校には巡回支援専門員という、発達障害などに関して専門の知識を有する相談員が巡回し、職員や保護者に対し、助言などの支援をおこなっています。

 

相談することで、必要な支援を紹介してくれるだけでなく、子どもにとって身近な保育園・幼稚園・学校においてコミュニケーション障害のある子どもが生活しやすくなるような環境設定もできるかもしれません。

児童相談所

子どもに関するさまざまな悩みごとについて、相談に応じ、その子どもに適した援助をおこなう機関です。

ソーシャルワーカー(児童福祉司、相談員)、スーパーバイザー(査察指導員)、児童心理司、児童指導員、セラピスト、医師、保健師などさまざまな職種の方が働いています。

地域子育て支援センター

乳幼児やその保護者が交流を図る場所で、子育てにかかわる相談や情報の提供、助言などの援助をおこなっています。

 

地域の子育て支援拠点は、規模はさまざまですが全国で4,000箇所以上あり、お住まいの身近なところに設置されていることが多いと言われています。

 

それぞれの役割やどのようなところにあるかは以下の参考リンクをご参照ください。

育児相談電話

育児相談電話は、保健師・元保育園長など専門の先生方が乳幼児や妊婦を対象に、子育てについての悩みを聞き、アドバイスを提供する電話相談です。

 

平日10:00~16:00(12:00~13:00は除く)まで無料で電話相談が可能なので、コミュニケーション障害以外にも乳幼児の子育てに悩むことなどあれば活用してみてください。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある方(児・者)の支援を総合的におこなう施設です。

令和4年4月現在、全国に97箇所あり、医療・福祉・教育機関などと連携し、発達障害のある本人やご家族のさまざまな相談にのり、助言指導をおこなっております。

 

お住まいの地域の事業所は、以下の参考資料よりお調べください。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、障害のある子どもに、日常生活の基本的な知識や技能などをトレーニングし、集団生活への適応などその子どもに必要な支援をおこなう通所施設です。

 

子どもへの支援はもちろん、利用される家族からの相談に乗ったり、地域(学校・保育園や幼稚園)へのサポートなどをおこなっており、地域の中核的な支援機関としての役割を担っています。

 

地域の情報も児童発達支援センターに集まっていることが多く、まずはここに相談してみるといいでしょう。

指導実績2万人以上のLITALICOジュニア

LITALICOジュニアでは各地で児童発達支援、放課後等デイサービス、幼児教室・学習塾を展開し、コミュニケーション障害を始めとする、発達の気になる子どもへのサポートをおこなっております。

 

お住まいのお近くに教室がないなど、通うことが難しい場合は、自宅から利用できるオンライン教室も運営しております。

 

子どもの発達障害やコミュニケーション障害に関する無料相談もおこなっておりますので、お悩みがあればまずは専門スタッフにご相談ください。

コミュニケーション障害のまとめ

コミュニケーション障害のまとめ

医学上のコミュニケーション障害とは、「言語障害・語音障害・小児期発症流暢障害・社会的(語用論的)コミュニケーション障害・特定不能のコミュニケーション障害」といった、5つの障害群のことを言います。

 

またその症状・特徴・治療法はさまざまで、原因も現状はっきりとはわかっておりません。

 

子どもが「友達とうまく話せない」「同年代の子どもと比べて言葉を覚えるのが遅い」からといって、一概にコミュニケーション障害とはいえず、言葉の発達や人の話し方には個人差があります。

 

保護者の方は、子どもの個性と成長を見守りつつ、その子に合ったコミュニケーションを試みていきましょう。

 

それでも、子どものコミュニケーションに心配な方はこちらの記事で紹介したような相談先や医療機関に相談してみてください。

参考文献