子どもが2歳頃になると、運動機能が発達してきたり、主体性や好奇心なども高まってくると同時に、お喋りもできるようになってくるとされています。
一方で、自分の子どもが周りの子どもに比べてあまり喋らない場合は、保護者の方は不安になってしまうかもしれません。
そこでこの記事では、2歳の子どもの言葉の発達の目安について説明します。2歳児が喋らないときに考えられる原因や、言葉をうながすために家庭でできる工夫、子どもの発達が心配なときに相談できる機関についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
2歳児の言葉の目安
一般には子どもが2歳になると、語彙が増えたり、単語と単語をつなげて話すようになるなどといわれています。
一方で、2歳になっても子どもがあまり喋らない場合は、ほかの子どもとつい比べてしまい「うちの子は大丈夫なのかな?」と不安になる保護者の方もいるかもしれません。
そもそも、2歳の子どもは一般に、どのくらい喋るものなのでしょうか?
ここでは、2歳の子どもの言葉の発達の目安について説明します。
2歳前後の言葉の発達の目安
2歳前後では、以下のような言葉の発達がみられるようになるとされています。
- それまでよりもはっきりと発声するようになる
- 語彙が増えてくる
- 自分のことを名前で言い始めたり、保護者や友だちの名前を覚えて呼ぼうとする
- 「おはよう」「バイバイ」など、簡単なあいさつができるようになる
- お喋りが盛んになる
- 質問に答えることができるようになる
- 「二語文」を話し始める
二語文とは、意味のある2つの単語をつなげて話すことです。
二語文の例では、「ごはん いや」(ごはんは食べたくない)などの拒否や要求を伝える場合や、「ワンワン いた」などの状態を伝える場合などがあります。
しかし、幼児期の言葉の発達にはかなりの個人差があるといわれています。
2歳ではあまり喋らなかったものの、3歳を過ぎてから急速に喋りはじめる場合もあります。
このため、2歳頃にあまり喋らないことがすぐさま「言葉の遅れ」に結びつくわけではありません。
2歳児が喋らない原因は?
子どもの言葉の発達では、一般の「目安」はあるものの、個人差が大きいことがわかっています。
このため、2歳を過ぎてもあまり喋らないとしても、それがその子の発達のペースなのかもしれません。
その一方で、何らかの原因があって言葉が遅れている場合もあります。
2歳を過ぎても喋らない原因には、以下のような原因が考えられます。
耳の聞こえ
言葉を覚えていく第一歩は、「音声の入力」であるとされています。
次に音声をまねて表出する段階があり、最後に言葉の意味や概念を理解することで「言葉」を獲得していくと考えられています。
難聴がある場合は、第一段階の「音声の入力」がうまくいっていないために、言葉の発達が遅れていることが考えられます。
重度の難聴は早い時期に気づかれることが多い一方、中等度以下の難聴では発見が遅れることがあります。
難聴がある場合は、言葉の発達が遅いこと以外にも、普段から聞き返しが多かったり、呼んでも気づかないことが多いなどの様子がみられることがあります。
性格など個人差による
性格や環境などによっては、あまり喋らないこともあります。
子どもが言葉を喋るようになるまでの過程では、周囲の環境や人との関わりの中で、人に対し「伝えたい」という気持ちがまず育ちます。
そして成長とともに発声発語器官が発達してきたときに、言葉となって表出するようになるとされています。
しかし、「人に対して何かを伝えたい」という気持ちが少ない子どももいます。
このような場合には、言葉の発達が遅れることがあると考えられています。
さらに、特に原因がみあたらないが、言葉を喋るのが一般の目安の時期よりも遅れている子どももいます。
このような子どもは「レイトトーカー」と呼ばれます。
発達障害
発達障害では、症状の一つとして言葉の遅れがみられることがあります。
しかし言葉の遅れがあっても、必ずしも発達障害があるというわけではありません。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつき脳機能の発達に偏りがあることで生まれる特性のために、日常生活において困りごとが生じている状態のことです。
発達障害にはASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)、知的障害(知的発達症)などの種類があります。
これらのうち、ASD(自閉スペクトラム症)では、言葉の遅れがみられることがあります。
しかしASD(自閉スペクトラム症)がある場合は言葉の遅れだけでなく、ほかにもASD(自閉スペクトラム症)の特性がみられることが多いでしょう。
ただし、ASD(自閉スペクトラム症)がある場合でも2歳頃に診断するのは難しく、確定的な診断ができるのは3〜4歳頃が多いとされています。
2歳児が喋らないときのトレーニング
言葉は、日々の生活における体験を通して育っていくと考えられています。
ここでは、2歳児があまり喋らないときに、家庭でできる言葉をうながすための工夫を紹介します。
ただしあまりに熱心にトレーニングしようとすると、子どもは喋ることを「楽しくない」と感じてしまうかもしれません。
子どもにとっても保護者の方にとっても負担にならない範囲で、楽しく練習することを心がけてみてください。
刺激となる体験を増やす
子どもの興味や関心を広げるために、刺激となる体験を積み重ねましょう。
砂場で遊ぶ、花の香りを感じながら水やりをする、長靴を履いて水たまりで遊ぶなど、五感が刺激されるような楽しい体験をしていくと良いでしょう。
そして、「 楽しい!」「できたよ!」「 これはイヤ」など、体験から生まれる感情を言葉にするよう、うながしてみてください。
人との関わりを大切にする
言葉はコミュニケーションの手段であり、人と関わる中で育っていきます。
保護者の方などが子どもと一緒に楽しく遊びながら、子どもが安心して話せるような状況をつくってみてください。
「上手にできたね!」「これはちょっとイヤだったね」などと、子どもの気持ちを汲むような声かけをすることで、子どもは「親に理解してもらえている」という安心感を持つようになります。
保護者の方と遊びなどの体験を共有して楽しむ中で、安心して気持ちを伝えあえる関係性を育てていくことが、子どものコミュニケーションの力を育てていくことにつながります。
2歳児が喋らないときの相談先
言葉の発達では個人差が大きいため、2歳頃になってもあまり喋らない様子であっても、それがその子の発達のペースである場合もあります。
しかし、「あまり喋らない」ということ以外にも発達面で気になることがある場合は、以下の機関に相談することができます。
- 小児科
- 小児耳鼻科
- 児童家庭支援センター(子ども家庭支援センター)
- 保健センター
- 児童相談所
- 自治体の子育て相談窓口
- 児童発達支援センター
言葉の発達をサポートするLITALICOジュニア
LITALICOジュニアでは、発達が気になる子どもを対象として、児童発達支援事業を行っています。
対象年齢は0歳からで、言葉の発達をうながす指導では以下のような例があります。
- おもちゃを使い、「クルクル」「ドンドン」など、おもちゃの動きや音に関連する言葉を発して、子どもが興味を持ち真似をする言葉を探しながら、言葉の数を増やしていく
- 子どもが好きなものを見せて、それを得るために「ちょうだい」と言うようにうながす など
また、無料オンライン相談も行っています。
子育てや発達についての悩みや心配なことがある方は、お気軽にご相談ください。
2歳児が喋らないときのまとめ
2歳の子どもが一般に「目安」とされている通りに喋らない場合でも、 必ずしも「言葉の発達が遅れている」とは限りません。
幼児期の言葉の発達では個人差が大きく、一般の目安とされている時期を過ぎてから急激に喋りだす子どももいるためです。
2歳の子どもがあまり喋らないため心配な場合は、言葉以外にも発達において気になる点があるかどうかを観察してみてください。
また、LITALICOジュニアでは無料でオンライン相談を行っています。
2歳の子どもがあまり喋らないことで悩んでいる方は、ぜひお問い合わせください。