試し行動とは、子どもが大人を試す目的でとる「大人を困らせる行動」のことです。

 

子どもがこのような行動を繰り返すとき、保護者の方は「子どものわがまま」だと思ってしまうかもしれません。しかし、実際にはただ「わがまま」なだけでなく、「何が、どこまで許されるのか」を試している場合もあります。

 

この記事では、試し行動の例や子どもが試し行動をとる理由、試し行動への対応方法や、子育て全般について相談できる機関について説明します。

試し行動とは

「試し行動」という言葉に統一された定義はありませんが、一般に、子どもが「よくないことだ」とわかっていながらわざとおこなう行動を指して使われる言葉です。

 

ただ、判断するのは難しいのですが、子どもは「わざとやっている」という自覚がないままに大人を困らせる行動をとっている場合もあります。

 

試し行動の内容や程度は子どもや状況により異なりますが、暴言、周囲の人を叩く、物を投げる、食べ物をこぼすなど、大人を困らせる行動です。

 

試し行動はまた、保護者や教員など、身近な大人に対してとる場合が多いとされます。

子どもが試し行動をとる理由

子どもの試し行動には、さまざまな理由があると考えられています。

 

子どもは大人を困らせる行動をわざととることで、「何を」「どこまで」しても許されるのか、そしてどこからが怒られるのかという「相手の許容の限界」を確認しているという考え方があります。

 

このことから、試し行動は「リミット・テスティング(Limit Testing)」とも呼ばれます。

 

また、試し行動には「自分がどんなことをしても、相手は自分を受け入れてくれるのか」という、相手の自分への愛情を確認する意味もあるとされます。

 

しかし試し行動の背景には複数の要因が重なっている場合もあるため、特定の理由を断定することが難しい行動であるといえます。

子どもの試し行動は愛情不足が原因?

子どもが試し行動をとるとき、周りの大人は対応に困ったり「愛情不足なのか?」と悩んでしまうことがあるかもしれません。

 

しかし試し行動は、子どもが「自分は愛されている」という自信を得て、大人との信頼関係を築いていくための重要な過程であると考えられています。

子どもの試し行動にはどう対応する?

子どもの試し行動の理由はさまざまに異なるため、理由に応じた対応をとる必要があります。

 

一般には、試し行動に対しては以下のような対応が望ましいとされています。

頭ごなしに叱らない

試し行動を子どもがとるとき、つい叱りたくなるかもしれませんが、頭ごなしに叱るような対応は逆効果であると考えられています。

 

子どもがさらに不安になり、試し行動が悪化する可能性もあるためです。

 

「試し行動をしているんだな」と受け止め、その背後にある子どもの心理を理解しようとすることが大切です。

社会的に許容されない行動は制止

頭ごなしに叱らないとはいえ、試し行動が他者や自分を傷つける行為、物を壊すなどの社会的に許容されない行為である場合は、制止する必要があります。

 

しかしこの場合も、子どもが試し行動をとる心理を理解したうえで接することが重要です。

 

制止するのはその行為であり、子どもの心の動きを否定するのではないことを念頭に置いて「気持ちを伝えるには、別のやり方もあるんだよ」ということを伝えられるといいでしょう。

愛情を示し続ける

子どもが試し行動をとるときだけでなく、普段から子どもに「どんなことをしても、あなたが大好き」と、言葉や態度で伝え続けます。

 

それでも、試し行動が続くこともあるかもしれません。

 

「何に不安を感じているのか」「どの程度の愛情を受け取ると安心するのか」は、子どもにより異なるためです。

 

根気よく愛情を伝え続けて、子どもが心から「受け入れてもらえた」と感じて安心感を持てるようになると、子どもは「安心感にもとづいた感情の表現や行動」をすることが可能となります。

 

子どもが安心感を持てるようになるにつれ、試し行動は減っていくでしょう。

「先の見通し」を持たせる

子どもによっては、以前と環境が変わった場合などには先の見通しが持てないことから不安になり、試し行動につながっている可能性もあります。

 

このような場合は、子どもが「先の見通し」を持てるように気を配るといいでしょう。

 

例えば、なるべく安定したルーティンのある生活を保つことで子どもは「起こることの予測」ができるようになり、安定した気持ちで過ごせるようになっていくと考えられます。

 

また、いつもと異なる予定がある場合は、事前にその旨を子どもに伝えておきます。

 

子どもはあらかじめ「起こること」がわかり、心の準備をすることができます。

子育てに悩んだときの相談先

試し行動だけでなく、育児全般において不安なことや悩んでいることがある場合は、以下の機関に相談することができます。

医療機関(小児科)

小児科の中には育児相談を受け付けていたり、子育て相談外来を設けているところもあります。

 

子どもの試し行動への対応がわからない場合や試し行動が激しい場合、子どもの言動が「試し行動」なのか、それとも別の要因から起こっているのか判断がつかない場合などにも相談することができます。

児童相談所

児童相談所は18歳未満の子どもに関するさまざまな相談に応じており、子育てにまつわる悩みや不安などの相談にも対応しています。

自治体の子育て相談窓口

多くの自治体が、子育てについて相談できる窓口を設けています。

 

お住まいの自治体の情報をご確認ください。

LITALICOジュニア

LITALICOジュニアでは、発達が気になる高校生までの子どもを対象に学習塾や放課後等デイサービスを運営するほか、保護者の方を対象に「ペアレントトレーニング」プログラムも提供しています。

 

ペアレントトレーニングとは、子育ての悩みを解決するコツや工夫を学び、家庭で実践できるよう保護者の方をサポートするプログラムです。

 

ご家族だけで受講できるため、個別性の高い情報も安心してご相談いただけます。

 

子どもの試し行動の背後にある心理がわからないときや、試し行動への対応に迷う場合などにもぜひご利用ください。

試し行動についてまとめ

子どもが大人を困らせる行動をとる「試し行動」には、根気よく対応することが大事だとされています。

 

しかし時には対応方法がわからなくなったり、なぜ「試し行動」が起こるのか、「試しているのではなく、別の要因で適切な行動がとれなくなっているのではないか?」と悩む場合などもあるかもしれません。

 

このような場合は相談機関などを利用して、子どもに合った対応方法を見つけてください。

 

LITALICOジュニアでも、保護者の方をサポートする「ペアレントトレーニング」プログラムを提供しています。

 

ぜひお気軽にお問い合わせください。