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成長事例

ADHD(注意欠如多動症)のお子さまのお子さま(4歳/年中)の成長の様子 「 環境を整えることで不注意を改善 」

ADHD(注意欠如多動症)で不注意・不器用さを改善したい

ADHD(注意欠如多動症)で不注意・不器用さを改善したい

はやとくん(仮名)は、ADHD(注意欠如多動症)※の診断を受けている年中さんです。現在幼稚園に通っていますが、みんなで歌を歌ったり、座って先生の話を聞いたりしている最中、外の音や人の動きに気を取られるなど、不注意な様子がよくみられました。ボーっとしていることも多く、先生が「はやとくん、今はみんなで遊ぶ時間だよ」と声を掛けると、自分に声をかけられていることには気付くものの、すぐに集中力が切れてしまい、自分の気になったことに気を取られてしまいます。

また、はやとくんは手先も不器用なため、はさみや鉛筆をうまく持てず、工作に取り組むことや字を書くことも嫌がります。これから年長、小学生にあがるにあたり、お母さまははやとくんの不注意なところと、不器用さを心配していました。

以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事ではADHD(注意欠如多動症)と記載しています。

環境を整えることで不注意な行動が改善

LITALICOジュニアでは個別授業で、はやとくんが不注意となる要因をアセスメント(分析)し、手先の不器用さに対する取り組みも授業で取り入れました。
すると、教室の壁に貼ってある掲示物や時計、窓の外からの景色や音に気を取られ、人の話を聞くことや何か作業に取り組むことに不注意になっていることがわかりました。はやとくんは集中していないから不注意だったのではなく、目や耳からの情報を取り入れやすい特性だったために、不注意となっていたのです。そこで、教室を窓のない別室に変更し、教室にあった棚や掲示物を隠し、時計も視界に入らないように環境を整えました。椅子を引きずるときにはできるだけ音が出ないように、椅子の脚に布をつけて防音対策を行いました。このように、集中してほしい話の内容や見て欲しいものに集中できるよう環境を整えたところ、不注意な行動が減りました。
また、お母さんが心配していた不器用な点については、はさみやえんぴつがうまく使えなかった失敗体験が原因で、最初は授業でも取り入れることが難しい状態でした。そこで、紐をおもちゃの穴に通していくゲームや、折り紙をちぎって貼り絵を作るところから、指先の細かい運動ができるプログラムに取り組みました。徐々に、のりやクレヨンなどの文房具にも慣れていき、はさみやえんぴつを使って工作を指導員と一緒にやっていくことで、自分もはさみやえんぴつを使えるんだという自信を持てるようになりました。

 

はやとくんは、ADHD(注意欠如多動症)の特性で「不注意だ」「不器用だ」とお母さまや先生から思われていましたが、それらは「環境がはやとくんに合っていなかった」「自分は不器用だと思っていた」ことが背景にある要因だったということがLITALICOジュニアでわかりました。
環境を適切なものに設定し、できないことを無理にさせるのではなく、楽しみながら取り組み自信をつけていくことが、はやとくんに合った成長方法でした。
これから学年が上がるにつれ、集団でみんなと一緒に集中しないといけない場面や、勉強で文字を書く機会も増えていく時期なので、お母さまもLITALICOジュニアの指導員の関わり方を真似し、家でもはやとくんに対し工夫して声掛けするようになりました。

 

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