「どうせやってもできないし、、、」学習障害の傾向があり、自信を失っていた。そんな息子が短期間で成績アップしたカギは「彼の特性」に注目することでした。
2023年07月31日公開 | LITALICOジュニア編集部
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プロフィール
Aくん
年齢:10歳
ジュニア歴:1年2ヶ月
困りごと
- 算数の問題を理解するのがむずかしい
- 人の話を最後まで聞かずに自分の話を始めてしまう
- 言いたいことをうまくまとめて伝えられない
通ってからの変化
- 自分に合った問題の解き方がわかった
- 相手の話を最後まで聞けるようになった
- 頭の中で情報を整理して話せるようになった
勉強ができないことで自信をなくしてしまっていた
LITALICOジュニアを利用することになったきっかけを教えてください。
息子が小学2年生のとき、夏休み前の個人面談で「息子さんには学習障害があるんじゃないでしょうか」と担任の先生から指摘を受けたんです。同時に、WISC(知能検査)を受けることもすすめられました。検査の結果、Aは知的障害はないものの、短期記憶が苦手で、能力のデコボコが大きいことがわかりました。以前から「勉強ができないな」とは思っていたのですが、結果を見て正直なところ寝耳に水という感じでしたね。
先生に結果を伝えると、特別支援学級に通うことをすすめられました。それから、息子と2人で通級と特別支援学級を見学しに行ったんです。息子は通級には抵抗がなかったのですが、特別支援学級の方は行きたがらなかったんですよ。
私も、息子がクラスにいることで授業の進行に遅れが生じたり、お友達の中で浮いたりしているわけではないし、本人が望んでいない転籍をさせることに対して「本当にこの子のためになるのかな?」と悩みました。「息子のようなグレーゾーンの子はどうしたらいいんだろう」と考えた結果、たどり着いたのがLITALICOジュニアだったんです。小さいお子さん向けの教室というイメージがあったので、「学習障害の傾向がある小学生でも見てもらえるのかな?」と思いながらも、アセスメントからお願いしたのが始まりでした。
Aくん自身は当時、勉強や学校生活について何か困っている様子はありましたか?
特別支援学級をすすめられたことで気持ちが不安定になってしまったようでした。「勉強やってもできないし…」と、ネガティブな発言をしたり、家でも些細なことで大泣きしたりすることも増えました。
アセスメントの結果に納得
最初にLITALICOジュニアに来ていただいた時の印象はどうでしたか?
先生がみなさん優しく接してくださったので、息子は居心地がよかったようで「楽しい!」と言っていました。それから、座席がパーテーションで囲われていて周りから様子が見えづらい環境も本人の安心感につながったようです。
通ってみようと思った決め手は何だったのでしょうか?
正直、すごく悩んだのですが、義理の母が「この子の将来のための投資だと思ったら安いものよ」と背中を押してくれたことと、「何もしないで後悔するのなら、お金を掛けて何かしてあげたいな」という気持ちもあって、入会を決めました。当初は家庭教師も検討していたのですが、値段があまり変わらなかったので、せっかくなら発達特性がある子どもの指導経験も豊富な、専門的な教室がいいかなと思ったんです。
教室では、最初に学習計画をたてるためのアセスメントを受けたのですが、先生が面談で息子の特性を丁寧に説明してくださったんです。その内容にとても納得感があって、「やっぱり専門的なところは違うんだな」と思いましたね。「音に敏感」とか「目で追うのが苦手ですね」みたいな説明でした。保護者に対しても、家で簡単にできることを教えてくださいました。LITALICOジュニアは、息子だけじゃなく、保護者自身も子どもへの接し方などを学べる場所なんだなと思い、通塾を決めました。
読解力がついたことで、自信が生まれた
LITALICOジュニアに通い始めて、一番Aくんが変化したと感じたことはありますか?
一番成長を感じた教科は国語です。苦手な算数を克服するために、まず問題の読解力をつける練習から始めることを先生に提案いただいたんです。
どうすれば問題が解きやすくなるのかも、先生が一緒に考えてくださいました。長文の問題を読んでいる間にその内容を忘れてしまっていることがわかり、問題を解きながら少しずつ文章を読み進めていく方法を試したところ、それがしっくりきたみたいです。
通い始めてから半年ほどで本人に合ったやり方を見つけていただいて、国語の力がグンと伸びましたね。通知表の成績は通い始める前に「CCB」だったのが「BBB」になったんですよ。
<授業で書いた”1日の出来事”について教えてくれるAくん>
他の教科についてはどうですか?
国語ができるようになったことで、息子自身も前向きな気持ちで勉強に取り組めるようになりました。苦手な算数も、問題の読解力が伸びたことで自信がついてきたようですし、3年生から始まった社会は意外と楽しくやっています。以前は「できないし…」というネガティブな発言が多かったのですが、やればできることが理解できて、それが自信につながっているのかなと思っています。
学習面以外で、何か変化が感じられたことはありますか?
Aには、会話相手が話をしている途中で唐突に自分の話を始めてしまう癖があったんです。また、話をする時に主語がなかったり、思い付いた順に話をしたりするので、話を聞く方は頭を使わないと理解がむずかしくて、私も息子と会話をした後には疲れてしまっていました。
でも、教室に通い始めてから3ヶ月くらいで、先生の話をちゃんと聞くことができるようになったんです。それから、教材の表を見ながらではありますが、5W1Hに沿って順序立てて話ができるようになったとも感じます。
家でも、今までよりも何を言ってるのかがわかるようになったし、人が話しているときに突然自分の話を始めることはなくなりました。会話の流れを意識しながら、それまでの相手の話に関係している内容で発言できるようになりましたね。
親子のコミュニケーションがスムーズになった
お母さまとのコミュニケーションや関係性にも影響はありましたか?
勉強ができないというストレスからか、家で癇癪を起こすこともよくあったのですが、今では私に当たることも少なくなりました。
LITALICOジュニアに通う前は、私が息子に対して何か注意をしてもとにかく反発してくるので、だんだん言い合いのような感じになってしまうこともありました。
私が自宅で息子の勉強を見ることもあったのですが、言ったことをすぐに忘れてしまうので「何でわからないの?」とついケンカ口調になってしまうこともあったんです。でも、LITALICOジュニアで先生とコミュニケーションの練習を始めてから、息子が「ママが怒ってばかりだと嫌だ」「教えるときには怒らないで」と自分の気持ちをちゃんと伝えてくれるようになったんですよ。
私の方も「何でできないんだろう」と思うことがあったとしても、それを頭ごなしに言ってはダメだということが理解できました。伝えたことを忘れてしまうのは仕方ないことで、忘れる度にまた教えればいいのかなと割り切れるようになりました。
Aくんとのかかわり方について先生からアドバイスをもらうことはありますか?
はい。先生は私の些細な不安も親身になって聞いてくださるので、とても頼りにしています。相談をすると「こうした方がいいのでは?」と日常生活のなかで簡単にできることをアドバイスしてくださるので、自分にとっても勉強になる場所だと感じています。
具体的に先生にどのような相談をされたのか、教えていただけますか?
息子は、宿題があることを私に隠しがちだったんです。私には「学校の先生と放課後にやって先生に出してきた」と言うのですが、学校では先生に「家でやったけど忘れちゃった」と伝えていたようで「1ヶ月も忘れるのはおかしい」と先生から電話がかかってくることもありました。
宿題をする前に遊び始めてしまうことについて、いくつか解決策を教えていただいたのですが、そのなかでも、先に30分ゲームをして遊びたい気持ちを落ち着かせてから宿題をするという方法が彼には合っていました。
他にも、日常的な困りごとへの解決策を提案していただけるのでありがたいですね。
親子にとってかけがえのない場所
Aくんにとって、LITALICOジュニアはどのような場所なのでしょうか?
癒される場所であり、大事でかけがえのない場所になっています。息子はLITALICOジュニアの先生が大好きなんです。先生たちは、息子が何を言っても、一度受け止めてから接してくださるんです。そこがいいのだろうと思います。LITALICOジュニアに行った日は気持ちが落ち着いていて、幸せオーラが出ているんですよ。(笑)
現在、Aくんの学校でのご様子はいかがですか?
この春で小学4年生になりました。通常学級に在籍しながら週に2回通級を利用しています。
今まで1年2ヶ月ほど通ってくださった率直な感想をお聞かせいただけるでしょうか?
本当に通わせてよかったですし、通わせる価値がある場所だと思います。LITALICOジュニアのおかげで成長できたことはもちろんですが、教室で過ごす時間が息子にとって本当に大切な時間になっているんです。
先生には、とにかく本当に感謝しかないですね。息子が心の拠所を見つけてくれたのが本当に嬉しくて。素直に大人に自分の気持ちを伝えられなかった息子が、先生に自分をさらけ出せているのは、全部を受け止めてくれる先生のおかげだと思っています。
最後に、LITALICOジュニアに通うか迷われている方にメッセージをお願いします。
LITALICOジュニアは、単に勉強を教えてくれるだけではなく、例えば自分の気持ちの伝え方のように、日々を過ごしていくうえで大事なことを学べる場所だと思います。小学校生活で悩んでいるお子さんでも大丈夫だよ、と伝えたいですね。
先生からのコメント
通い始めた頃は「とにかく自分の話がしたい」という気持ちが強いAくんでしたが「人の話を最後まで聞こう」という行動目標に向かって一緒に取り組み、相手の話を静かに聞けるようになりました。今は相手の話に対して自分がどう思ったかを伝える練習をしています。
学習については、最初の頃はプリント提示したときに「やだー」という反応でしたが、先生と一緒に同じ教材を解いていくという進め方にしてからは、解いてくれるようになりました。Aくんはゲームや電車が好きなので、算数の文章問題を電車の題材にする工夫もしました。
これからも、とても素直で、難しいと思うことはちゃんと理由をつけて説明しようとしてくれるAくんのよさを活かしつつ、彼自身がコミュニケーションや学習で困っていることを一緒に解決していきたいです。Aくんができたことをお母さまが褒めてくださるとき、Aくんは「褒められた」とすごく嬉しそうな様子なので、引き続きご家族と私たちでAくんの成功体験をたくさん積んでいけたらいいですね。