クレーン、無表情…4歳になっても「ママ」と呼ばれず。6歳の今、二語文で話せるまでに
2024年01月16日公開 | LITALICOジュニア編集部
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そんなKくんは、4歳でLITALICOジュニアの利用を開始してから急成長。自分の気持ちを言葉にしようとする様子がみられるようになり、通塾開始から3か月で言葉が出始めるという大きな変化がみられました。1年2か月が経過した今では、2語文で自分の要求を伝えられるようになりました。
今回はKくんのお母さまに、利用開始からこれまでの変化について伺いました。
プロフィール
Kくん
年齢:6歳
ジュニア歴:1年2か月
困りごと
- 声を発することがほぼない
- 言葉をほとんど話さない
- 周りの人への興味や関心が薄く、人とあまり目を合わせない
- 初めて見るものに対して拒否反応があった
通ってからの変化
- 表情が豊かになった
- 他者意識が高まり、コミュニケーションを楽しめるように
- 日常的に使う名詞や動詞で組み合わせた2語文を話すように
言葉を使ったコミュニケーションができなかった息子
Kくんにはどのような困りごとがあったのでしょうか?
発語が遅れていて、4歳になっても「ママ」すら言うことができなかったんです。言葉で自分の欲求をうまく伝えられないせいか、何かしてほしいことがあるときは、私の手を使って物を指したり、ほしいものを取らせようとしたりするクレーン現象もみられました。
普段から表情の変化が少なく、ポカーンとした顔をしていることが多かったり、周りの人やおもちゃなどにもあまり興味を示さず、人と目を合わせようとしなかったりすることも気になっていました。
そうだったのですね。LITALICOジュニアに通い始める前から集団療育の教室にも通われていたそうですね。
はい。幼稚園のサポート枠や集団療育にも通っていました。しかし、集団療育の教室で主に行われていたのは、お友達との関わり方や守るべきルールなど、社会生活を営むうえで必要な知識と習慣を身に付けることを目的とした取り組みでした。
他の子は集団の療育に通うことで言葉が出てくる子も多かったので、うちの子も療育に通っていれば自然と言葉が出てくるかもしれないと期待していたのですが、息子が言葉を話すことはありませんでした。
LITALICOジュニアのこと知ったきっかけはありますか?
ある日、通っていた幼稚園の園長先生から「身辺自立を目指す療育のほかに、言葉に特化したトレーニングを受けてみるのはどうですか?」と提案を受けたんです。その当時は、言語訓練というものがあること自体知らなかったので「そんなトレーニングがあるのか」と思いましたね。それからいろいろと調べてたどり着いたのがLITALICOジュニアでした。
体験授業を受けてくださったときのKくんのご様子はいかがでしたか?
息子は初めての場所に対する警戒心が強いほうなので、初めて教室に入った時にも不安そうな顔をしていました。すぐに私の手を引っ張って外に出ようとしたので、「大丈夫かな?」と思ったのですが、その様子を見た先生がおもちゃを使ってうまく息子の気持ちを切り替えてくださったんです。普段は結構人見知りで、興味の幅も狭い息子が最後まで体験授業に参加することができたので、その後も通ってみようと思いました。
声すら発さなかった息子が、2語文を話すように!
教室では、どのようなことから取り組まれたのでしょうか?
まずは人と目を合わせる練習をしました。最初のほうは、先生が息子とのやりとりの中で「目だよ」と声かけしてくださっていましたね。トレーニングを続けるうちに、息子は少しずつほかの人へ興味を持つようになり、先生の顔もちゃんと見るようになりました。
発語については、いきなり言葉を話させようとするのではなく、まずは自分の意志を伝えるためのジェスチャーを身に付けました。言葉で「ちょうだい」と言う代わりに手を叩くんです。先生が「ほしいときは、パッチンだよ」と繰り返し教えてくださり、息子がパッチンと手を叩けた時にはおもちゃをもらえて遊ぶことができます。「おもちゃがほしい時にパッチンをしたら、本当にもらえた」という成功体験によって、教室に通い始めて1か月後くらいに息子は自ら手を叩いて意志を伝えてくれるようになりました。
少しずつ段階を踏みながらトレーニングしていったのですね。その後、Kくんが言葉を話す様子はみられましたか?
教室に通い始めてから3~4か月後くらいでしょうか、だんだんと言葉のようなものが出てくるようになりました。身体を動かす遊びをしているとき、テンションが上がった勢いで話すことが増えてきたんです。
きっと、席に着いた状態で「〇〇って言おうね」と促すような授業では、こんなに早く言葉が出てくることはなかったと思っています。LITALICOジュニアの先生は、子どもの「楽しい」という気持ちを引き出しながら、自然と言葉を話したくなる環境をつくってくださるので、それが息子に合っていたのかな、と。
短期間でできることが増えたのですね!現在はどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?
今は2語文を話すためのトレーニングに取り組んでいます。例えば「お菓子ちょうだい」や「お菓子開けて」と伝えられるように練習しているのですが、これが結構難しいんです。動詞だけでも一応意味は通じてしまうので、お菓子を食べたいときには「開けて、開けて、開けて!」のように動詞だけ連呼するようになってしまって。「お菓子開けて」とちゃんと言えた時にだけ、お菓子をあげるといった練習もしています。
少し前までは、2語文なんて夢のまた夢という感じだったので、短期間での成長ぶりに驚いています。ちゃんと「お菓子ちょうだい」と言えることもあって、そんなときにはとてもうれしい気持ちになりますね。
Kくんの言葉が出てきたことで、お母さまとのコミュニケーションに何か変化はありましたか?
一番の変化は、私の顔をよく見てくれるようになったり、愛情表現をしてくれるようになったりしたことです。以前は私と目を合わせたり、笑ってくれたりすることも少なかったのですが、最近は私の顔をじーっと見て「チュー」「ぎゅー」としてくれるようになりました。まだ「ママ大好き」のように言葉で伝えることはできないものの、態度で示してくれること自体が今まで経験のなかったことなので、子どもから初めてプレゼントを受け取ったような気持ちです。わが子とやり取りができるようになったことも本当に嬉しく思っています。
息子との関わり方に自信が持てるように
LITALICOジュニアの利用を開始してから、お母さまご自身の心境に変化はありましたか?
はい。息子のことで困ったことがあった時にすぐ相談できる場ができたことで、安心して子育てができるようになりました。今までは、自分なりにどうしたらいいのかを考えてみたり、インターネットで調べた情報を参考にしたりしていました。インターネットには正しくない情報や息子には合わない方法も掲載されているので、「本当にこれでいいのかな」と自信が持てないことも多かったんです。LITALICOジュニアの先生は息子のことをよく理解してくださっているので、「こういうときには、こうした方がいい」と困ったときの対応方法を具体的にアドバイスいただけて助かっています。教室でのことだけではなくて、幼稚園や家庭での困りごとについてもよく相談させていただいているんですよ。
同じ発達障害でも、一人ひとりに違った特性があります。LITALICOジュニアの先生は、アセスメントをもとに息子の特性を細かく分析したうえで個別の対処方法を考えてくださるので、アドバイスにも納得感があります。これはパーソナルコースに通ってよかったと思うポイントの一つでもあります。
お母さまが特に「参考になった!」と感じたのはどのようなアドバイスでしたか?
目からウロコだったのは、静かにしていなければいけない場面で、息子が大きい声を出してしまうことを相談した時にいただいたアドバイスです。よくあるアドバイスのパターンとしては、「ほかの場所に連れて行って落ち着いてもらう」「おもちゃなどで気を引いて静かにさせる」などが挙げられると思います。でも、先生からのアドバイスは「大きい声で叫ぶのはダメだけど、これくらいの声だったらいいよ」と、実際に声のボリュームを提示してあげるというものでした。
いくら「ダメ」と言っても、何がダメなのかが理解できていなければ伝わらないのだというご指摘に、ハッとしましたね。それ以降は、注意をした後に声が小さくなったタイミングで褒めてあげたり、「それならいいよ」と伝えたりするようにしました。子どもが困った行動をするとき、親はつい「ダメ」という言葉を使ってしまうものですが、子どもが理解しやすい表現を使うようにすればいいのだと知ることができたのは私にとって大きかったです。
特性に合わせた指導が短期間の成長につながった
「LITALICOジュニアに通ってよかった!」と思うポイントがあれば教えてください。
LITALICOジュニアに通い始める前は、いろいろなことを試しても言葉がなかなか出てこなかったので「これも息子の特性だから仕方ない」と半ば諦めかけていたんです。でも、教室で週に1度のトレーニングを始めると、驚くほどすぐに言葉が出るようになりました。
先生は、息子の様子を細かく観察したうえで、短期目標と長期目標、さらにその目標を達成するためにどのようなことに取り組んでいくのかといった具体的な計画を立てて、それを毎回の授業の中で実践してくださいます。ここまで細やかなサポートをしていただけて、短期間で成果につながるような場所は他にはないと感じています。もし、同じことで悩んでいる方がいらっしゃれば、LITALICOジュニアに通うことをおすすめしたいです。
ありがとうございます。最後に、担当の先生にメッセージをお願いいたします。
息子がこの1年間で成長できたのは、先生のおかげだと思っているので本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
教室で先生とお話しする時間は、私たち保護者の心の支えにもなっています。発達障害がある子を育てていると、「この関わり方でいいのかな?」「これが正しいのかな?」と悩むことがとても多いんです。以前は、なかなか周りに相談できる人がいなくて、孤独を感じる瞬間もありました。今では、困ったことがあれば気軽に先生に相談できるのでとても心強いですし、先生のアドバイスや励ましのお言葉に、いつも背中を押してもらっています。息子にとっても私にとっても先生の存在は大きく、継続して利用させていただくことにしました。これからも引き続き息子のことを見守っていただけるとうれしいです。
先生からのコメント
教室に通い始めた当初は、他者への興味関心が薄かったKくん。体験授業の時には、音の鳴るおもちゃを見せても興味を示さず、天井や壁を眺めていました。発声方法が分からないのか、声を出すことも少ない様子でした。
教室では他者との関わりを楽しみ、興味の幅を広げるための取り組みからスタートしました。さまざまな遊びを試す中で、Kくんが最初に興味を持ったのはシャボン玉。吹き具の先から出てくる瞬間のキラキラと輝くシャボン玉を、夢中になって見ている様子をヒントにして、似た要素を持つおもちゃや遊びを取り入れながら少しずつ興味の幅を広げていきました。
一番の課題だった言葉については、まずは息を吐いたり声を発したりする練習に取り組み、慣れてきたら今度は聞こえた音を真似する練習といったように、徐々にステップアップ。好きなものや日常的に使う言葉を一つずつ覚え、今では「ボール貸して」「ドア開けて」などの2語文も自発的に話すことが増えてきました。
興味関心の幅が広がったことで以前よりも表情が豊かになったKくん。相手をからかうようないたずらをすることも増えてきましたが、これも他者意識がしっかり芽生え、相手の表情を観察できるようになった証拠です。ユーモアのあるKくんとの授業は毎回楽しく、「今日は一体どのようなことをしてくれるんだろう?」と期待しながら指導をさせてもらっています。これからも、保護者さまと一緒に「これができるようになった!」という喜びを共有しながら、一緒に楽しい時間を過ごせたらと思っています。