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ADDは、以前使用されていた診断名です。特性として注意力が途切れやすいことや、衝動性が強いことが挙げられ、家庭や学校などで困りごとが生じてしまうことがあります。

 

ADDは現在では不注意優勢型ADHDと診断されることが多いですが、診断名にかかわらず特性や困りごとはその子どもひとり一人で異なってきます。

 

ADDや不注意優勢型ADHDの困りごとを解消していくには、子どもの特性に合った環境調整などの対応や、支援機関などを活用して行くことが大事です。

 

この記事では、ADDや不注意優勢型ADHDの症状に診断基準、ADHDに変わった経緯などを紹介します。

ADDとは?

ADDとは、不注意と衝動性によって家庭や幼稚園、学校などで困りごとが起こる状態像や特性のことです。

 

ADDのある方の困りごととしては、以下のようなことがよく挙げられます。

 

  • 忘れ物が多い
  • 集中力が続かない
  • スケジュール管理が苦手
  • 整理整頓が苦手

 

ADDは過去に使用されていた診断名で、現在では「ADHD」という診断名に変わっているため、新たにADDと診断されることは基本的にありません。

ADDとADHDの違いは?

ADDからADHDに診断名が変更になったと記載しましたが、ADDとADHDで異なる点を見ていきます。

 

ADDとADHDの違いとして「多動性」が挙げられます。

 

多動性とは英語で「Hyperactivity(ハイパーアクティビティ)」といい、じっとしていることが苦手で、すぐに動きたくなる特性のことです。

 

ADHDに診断名が変更になった際に、不注意だけでなく多動性が重要視されるようになったため、このような診断名に変わっていきました。

 

診断名は変わりましたが、ADDとADHDは近い部分もあります。

 

ADHDの中には3つのタイプがあり、

 

  • 不注意優勢型
  • 多動性-衝動性優勢型
  • 混合型

 

と分類されています。

 

ADDはこの中で「不注意優勢型ADHD」に近いといわれています。

 

この記事内で紹介する特性や診断基準は、この不注意優勢型ADHDのものとなっております。

ADDの診断名の変遷

先ほども記載したように、ADDという診断名が現在はADHDへと変わっています。

 

ADDの診断名はアメリカ精神医学会が出版している『DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)』の改訂に沿って変更されてきました。

 

ADDという診断名が最初に使われたのは、1980年に出版された『DSM-Ⅲ』からです。そこから1987年に改訂された『DSM-Ⅲ-TR』までADDという診断名が掲載されていました。

 

しかし、『DSM-Ⅲ-TR』が出版され、ADDという診断名がなくなった後も、しばらくは医師からADDと伝えられることがありました。

 

これはDSMとはまた別の、世界的な疾病分類である『ICD(国際疾病分類)』にADDという定義が残っていたからです。

 

ICDはWHO(世界保健機関)が作成した分類で、こちらは1990年の改訂までADDという定義が載っていました。

 

ADDはこのような変遷をたどり、ADHDと変わっていきました。

ADDの原因は?

ここでは現在の診断名であるADHDの原因について紹介します。

 

ADHDの原因についてはまだ明確にはわかっていませんが、現在では脳内の神経伝達の偏りによるものではないかと考えられています。

 

ADHDのある子どもの脳では、前頭葉や線条体と呼ばれる部位のドーパミンという神経伝達物質において何らかの機能障害があり、その影響で不注意などの特性が現れると考えられています。

 

少なくともこれまで言われてきたような、保護者の子育てに原因があるという考えは現在では否定されています。

ADDの特性

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この章では、不注意優勢型ADHD(旧ADD)のある子どもに見られる特性について紹介します。

 

不注意優勢型ADHD(旧ADD)の共通する特性として、不注意と衝動性がありますので、それぞれ見ていきます。

不注意

不注意特性とは注意力が途切れやすく、集中を保つことが苦手なことです。

 

よくある不注意特性としては、

 

  • 忘れ物が多い
  • よく物をなくす
  • 周りのことに気が散りやすい
  • 見落としが多い
  • 整理整頓が苦手

 

などが挙げられます。

衝動性

衝動性は、感情や欲求をコントロールできず、思いついたことをすぐに実行してしまうことなどがあります。

 

よくある衝動性特性としては、

 

  • 思ったことをそのまま話す
  • 待つことが苦手
  • 質問が終わる前に答え始める
  • すぐにかっとなってしまう
  • 席にじっと座っていることが苦手

 

などがよく見られます。

二次障害

以上のようなことは子どもがわざとしているわけではなく、ADHDの特性によるものです。

 

しかし、特性ということが周囲から理解されず、本人が思い悩むことで自己肯定感が下がることにもなりかねません。

 

そうすると、頭痛、食欲不振、不眠のような体の不調や不登校や引きこもりなど二次障害と呼ばれる状態になることがあります。

 

そのため不注意や衝動性などの特性がある際は、子どもの自己肯定感が下がらないような、適切なかかわり方を心がけることも大事です。

不注意優勢型ADHDの診断基準

ここでは不注意優勢型ADHD(旧ADD)の診断基準を『DSM-5』をもとに紹介していきます。

 

まずADHDの診断基準は以下に記載する内容を、専門医が検査や問診などをもとに診断します。

 

その中で、ADHDの中でも不注意の項目が多く見られた子どもが、不注意優勢型ADHDと判断されます。

 

診断基準としては、家庭や学校など2つ以上の環境で不注意、多動-衝動性が見られ、それらによってコミュニケーションや学校などで困難を生じていることが挙げられます。

 

詳細について、参考までに厚生労働省のサイトに掲載されている診断基準を載せておきます。

 

以下にADHDの診断基準を簡単に説明します。

 

1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること

 

2.症状のいくつかが12歳以前より認められること

 

3.2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること

 

4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

 

5.その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと



引用:
e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」

 

診断の流れについては、この後の章で紹介します。

子どもに不注意・衝動性が見られる場合は?

子どもに不注意や衝動性がみられる場合に、どのように対応したらいいでしょうか。

 

この章ではADHDなのではと思ったときに、子どもの特性とうまく関わっていくための方法と専門医の診断を受ける流れを紹介します。

環境調整

環境調整とは、家庭や学校などの環境を子どもの学習や生活がしやすいように周囲の環境を整えることです。

 

例えば周りが気になって集中が途切れる子どもには、家庭では「外が見えないようにカーテンをする」、学校では「一番前の席にして、他の生徒の動きが視界に入らないようにする」などによって視覚的な刺激を減らして、集中を保てるようにします。

 

他にもなくしものが多い子どもには、紛失防止タグ(スマートタグ)を使う。スケジュール管理が苦手な子どもには、スマホのTODOアプリを使う、なども環境調整になります。

ペアレント・トレーニング

ペアレント・トレーニングは、保護者向けの子育て支援プログラムで、子どもに対する上手なしかり方や褒め方、具体的な困りごとへの解決方法などを学ぶことができます。

 

子どもが学習や生活をしやすいような環境調整を家庭で行おうとするときに、自分の子どもに合った関わり方を学べるペアレントトレーニングは有効です。

 

ペアレントトレーニングでは、親の養育スキルの向上やストレスの軽減 、子どもの適応的な行動の獲得、問題行動の改善に効果が認められていて、最近では厚生労働省でもペアレントトレーニングの推進が行われています。

 

ペアレント・トレーニングを提供している機関によって異なりますが、診断のない子どもの保護者さまも受けられるプログラムがあります。

 

LITALICOジュニアでもペアレントトレーニングを提供しています。

 

子育てのイライラを軽減し、自分も子どもも楽しくできるヒントがたくさん詰まっている考え方をお伝えしています。

 

気になる方はお気軽にお問い合わせください。

専門医の診断を受ける

子どもに不注意や衝動性がみられて、環境調整や関わり方の工夫を行っても困難があったり、ADHDなのかもしれないと感じた際は、専門医の受診をすることが大事です。

 

不注意や衝動性が見られたとして、その原因を専門家以外には見分けることが困難です。

 

原因によって適切な対応も異なってきますので、しっかりと医師のもとで診断を受けるようにしましょう。

 

ADHDの診断は専門医が行います。専門医がいる医療機関については、お住まいの保健センターや児童発達支援事業所、かかりつけの小児科などに相談してみましょう。

 

ADHDの診断では、心理検査などとともに子ども本人だけでなく家族への問診も行われます。また、他の発達障害との区別や併存を確認するため、基本的には一度ではなく何度か通うことになります。

 

問診の際にはこれまでどう育ってきたのかという成育歴や、現在の家庭や幼稚園、学校などでの様子を聞かれます。以下のような記録を用意しておくといいでしょう。

 

  • 母子手帳
  • 保育園や幼稚園の連絡帳
  • 通知表
  • 担任の先生の記録
  • 子どもの書いたノート

 

他にも医療機関によって持ち物が異なりますので、予約する際に確認し準備をしておきましょう。

薬物療法

薬物療法は、服薬することでADHDの特性によって現れる症状を和らげようとする方法です。

 

現在日本で認可されている薬は、コンサータ、インチュニブ、アトモキセチンとメチルフェニデート、グアンファシン(小児のみに適応)などです。

 

いずれも医師から処方される薬であり、飲み方にも注意が必要なため、必ず医師と相談の下で服薬するようにしましょう。

発達障害のある子どものための支援機関

発達障害のあるお子さまのための支援機関のイメージ画像

ここではADHDなどの発達障害のある子どもの相談や、サポートが受けられる支援機関を紹介します。

子育て支援センター

子育て支援センターは原則的に乳幼児の子どもと、その保護者同士の交流や、子育てに関する相談などができる機関です。

 

子育て支援センターでは保育士や看護師などの、育児についての専門的な知識を有するスタッフが従事しており、発達に関する相談も行うことができます。

 

あくまで相談という位置づけで、ADHDの診断などになると専門の医療機関の紹介などをしてくれることがあります。

 

地域によっては、子ども家庭センターや子ども家庭支援センターなどの名称で呼ばれている場合もあります。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、子どもから成人まで、ご本人やその家族を総合的に支援することを目的とした機関です。

 

子どもとその保護者に対して、相談支援として幼稚園や学校などで困っていることの相談に応じることや、必要に応じて他の支援機関や医療機関の紹介を行っています。

 

また、発達支援として知的発達や生活スキルに関する発達検査の実施や、子どもひとり一人に合わせた支援計画の作成なども行っています。

児童発達支援センター

児童発達支援センターとは、療育の必要があると認められた子どもに日常生活や集団生活への適応のための訓練を行う通所型の支援機関です。

 

福祉型と医療型があり、ADHDなど発達障害のある子どもは主に福祉型を利用することになります。

 

児童発達支援センターと同様に、障害のある子どもやその家族に対する支援を行う通所施設として、児童発達支援事業所があります。

 

LITALICOジュニアでも、児童発達支援や放課後等デイサービスを行なっています。

 

ADDの子どもをはじめとする一人ひとりのニーズや特性に合わせて学習やソーシャルスキルアップをメインとした授業で子どもの成長をサポートをしています。

 

無料相談も受付しているため、子どもの発達について相談したい方や児童発達支援の利用にご興味がある方、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この他にも、ADHDなど発達障害のある子どもへの支援機関はあります。

 

どの支援機関に行くといいのか迷ったときは、お住いの市区町村の障害福祉窓口(地域によって名称は異なることがあります)や、学校のスクールカウンセラーやソーシャルワーカーなど比較的身近で相談をすると、保護者の話を聞いたうえで支援機関を紹介してくれます。

ADDのまとめ

ADDのまとめのイメージ画像

ADDは、不注意と衝動性によって家庭や幼稚園、学校などで困りごとが起こる状態像や特性のことです。また、ADDは以前に使用されていた障害概念であり、現在では不注意優勢型ADHDと診断名が変わっています。

 

診断名も大事ですが、子どもによって特性は異なりますので、一人ひとりに合った環境調整や支援をしていくことが困りごとを減らして行くために重要です。

 

ご家庭だけで解決しようとせずに、支援機関など子どもを適切にサポートができる環境を整えていきましょう。

参考文献

  • 監修者

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。