ADHDの検査や診断の方法は?何科の病院に行けばいい?利用できる支援や制度も解説します

子どもがじっとしていられなかったり、忘れ物やなくし物が多く、もしかしたらADHDかもしれないと思ったことはありませんか?

 

ADHD(注意欠如・多動症)とは、発達障害のひとつで、「不注意」や「多動性・衝動性」といった特性がみられます。

 

最近よく耳にする障害名ではありますが、ADHDかもしれないと思ったときに、どこで検査を受けられるのか、検査にはどれくらいの費用がかかるのか、ご存じない方も多いのではないでしょうか?

 

本記事では、ADHDかもしれないと思ったときに何科の病院に行けばいいのか、検査や診断の方法などについて解説します。

 

※この記事内では「ADHD(注意欠如・多動症)」を「ADHD」と表記します。

ADHDの検査や診断の方法は?

ADHDの検査や診断の方法は?

ADHDの診断を受けることを決めた場合、どのような内容の検査を受けることになるのか気になる方も多いのではないでしょうか?

 

ここでは、ADHDの検査方法や診断の基準などについて解説します。

ADHDの診断方法

ADHDの診断に関しては、単独で診断ができるような確立した医学的検査はなく、問診や行動観察、心理検査などを通して総合的に行われます。

 

問診では、これまでの生育歴・既往歴・家族歴や、子どもが自宅や学校でどのような生活を送っているのかなどの聞き取りがされます。

 

ADHDで見られる不注意や集中力の低下などの症状は、自閉スペクトラム症(ASD)やほかの発達障害、また、うつ病などの精神疾患でも見られることがあります。

 

そのため、ほかの発達障害や精神疾患が原因ではないか、ほかの発達障害が併存していないかという視点で考えていくことも必要です。

 

そして、先ほどお伝えした通り、ADHDの診断は、問診や検査などさまざまな方法から総合的に判断されるので、診断できるのは医師に限られます。

 

診断を受けたいと思ったら、医療機関を受診する必要があります。

ADHDについての相談や検査を受けたい場合の受診先については、後ほど詳しくご紹介します。

ADHD診断基準

ADHDの診断基準として用いられるものに、アメリカ精神医学会が作成するDSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版』)があり、厚生労働省のページでは以下の5つの条件を満たしたときに、ADHDと診断されると記述されています。

  1. 「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
  2. 症状のいくつかが12歳以前より認められること
  3. 2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
  4. 発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
  5. その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

また、DSM-5には、「症状を4歳以前の非常に多様な正常範囲の中から区別することは困難」と記載されています。

 

つまり4歳以前では、典型的な発達の範囲の中でも個人差が大きく、それがADHDに起因するものか判断することが難しいということになります。そのため、4歳以降、小学校の年代で診断されることが多いようです。

ADHDの検査方法

ADHDの検査は、以下のような方法が必要に応じて行われます。

 

検査内容は受診する医療機関によって異なります。

質問用紙法による評価スケール

質問用紙を使って、一貫した指標で行動を評価していきます。

 

現在日本で使用されているADHDの評価尺度は「ADHD-RS」「Conners 3 日本語版」「Conners Adult ADHD Rating Scale(CAARS 日本語版)」があります。

 

それぞれの特徴は以下の通りです。

 

ADHD-RS

  • ADHDの診断基準に沿った不注意、多動性‐衝動性に関する18項目を4段階で評価される
  • 学校版と家庭版に分かれていて、年齢別に基準となる点数が設定されている

Conners 3 日本語版

  • 親用、教師用、本人用の3種類がある
  • ロングバージョンは親用110項目、教師用115項目、本人用99項目の質問で構成
  • ショートバージョンはそれぞれ41項目の質問で構成

Conners Adult ADHD Rating Scale(CAARS 日本語版)

  • 18歳以上の成人が対象
  • 本人用と家族用の2種類があり、66項目の質問で構成

知能検査・発達検査

子どもの全体的な発達水準を把握し、得意不得意などの発達のバランスを客観的に見るために、知能検査・発達検査が行われる場合もあります。

 

その際にでよく使われているのは以下の3種類です。

  • ウェクスラー式知能検査(WISC-Ⅳ、Ⅴ)
  • ビネー式知能検査(田中ビネーⅤ)
  • 新版K式発達検査

 

あくまで、子どもの認知や知的発達などを把握する目的で用いられるので、この検査のみではADHDなどの発達障害の有無を判別するものではありません。

 

知能検査・発達検査は、診断の補助的なものであり、それ以外の情報も併せて総合的に判断していくことになります。

 

また、知能検査・発達検査は医療機関などでも受けることができ、「子どもの状態を把握したい」「子どもに適した関わり方を知りたい」場合などにも用いられることがあります。

 

発達が気になる子どもの学習塾・幼児教室を運営するLITALICOジュニアでも知能検査・発達検査をおこなっています。

 

LITALICOジュニアの知能検査・発達検査では、検査の結果から考えられる子どもに必要なご家庭での対応方法や重点課題などを含めた報告書をお渡しし、具体的にご説明します。

ADHDかもと思ったときは何科の病院に行けばいい?

ADHDかもと思ったときは何科の病院に行けばいい?

子どもがADHDかもしれないと思ったときに、どういった病院に行けばいいのかわからないという方向けに、ADHDについての相談や検査を受けたい場合の受診先をご紹介します。

 

18歳以下の子どもの場合は、小児科や児童精神科、発達外来で診てもらえる場合が多いです。

 

大学病院や総合病院などを受診する場合は、事前にかかりつけ医に相談しておくと受診がスムーズとなることがあります。

 

ADHDを診てもらえる医療機関が見つからないという場合には、地域の保健センターに相談してみるといいでしょう。

ADHDの検査にかかる費用はどれくらい?

ADHDの検査にかかる費用はどれくらい?

ADHDの検査方法は、上記でお伝えしたようにさまざまな方法があり、どのような検査を受けるか、保険診療か保険対象外かなどによっても費用が異なります。

 

また、診断書などの文書を作成してもらう場合は、別途費用がかかることもあります。

 

詳しくは、受診する医療機関に問い合わせて確認しましょう。

ADHDと診断された場合に利用できる支援や制度は?

利用できる制度や支援を上手に活用しながら、周囲の人が子どもの個性や能力、希望などを理解した上で、その子に合ったサポートをしていくことが大切です。

 

ここでは、ADHDと診断された場合に利用できる支援や制度についてご紹介します。

障害者手帳の取得

ADHDと診断されたら、「精神障害者保健福祉手帳」の対象となる場合があります。

 

知的障害を伴う場合は「療育手帳」の対象となる場合があります。

 

自治体により異なる場合もあるので、お住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。

 

障害者手帳を取得すると、以下のようなサービスを受けることができます。

  • 医療費の助成
  • 各種税金の軽減
  • 公共交通機関の割引
  • 就職時に障害者雇用への応募が可能

障害の等級や手帳の種類によって、受けられる支援やサービスの内容が異なるので、詳しくは各自治体の福祉担当窓口へお問い合わせください。

 

また、ADHDの診断を受けたからと言って、必ず障害者手帳の取得が必要なわけではありません。

 

受けたい支援やサービスがあるかなど、それぞれの状況に合わせて、手帳の取得を検討するのがいいでしょう。

ADHDと診断されなかった場合でも利用できる支援や相談先は?

ADHDと診断されなかった場合でも利用できる支援や相談先は?

診断基準に満たず、ADHDと診断されなかったという場合でも、子ども自身が日常生活で生きづらさを感じている場合もあります。

 

そこで、「ADHDと診断されなかったけど、生活のしづらさを感じている」「診断はうけていないけど相談したい」というような方のために、利用できる支援や相談先をご紹介します。

児童発達支援・放課後等デイサービス

診断は必須ではないですが、ADHDのある子どもは、児童発達支援・放課後等デイサービスで支援を受けることができます。

 

児童発達支援・放課後等デイサービスは、障害のある子どもを対象とした通所支援のひとつです。

 

児童発達支援は未就学児を対象とし、放課後等デイサービスは小学校に入学する6歳から18歳までの就学児の子どもを対象としています。

 

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、日常生活や社会生活を円滑に営めるように、ソーシャルスキルトレーニングや生活動作のトレーニングなどさまざまな支援を受けることができます。

 

児童発達支援や放課後等デイサービスに通い、必要なスキルが身に付くことで、日常生活での困難さが起こりにくくなるといわれています。

 

児童発達支援・放課後等デイサービスを利用する際には、各自治体で発行される「通所受給者証」が必要となります。

 

受給者証の取得には、医師などから発達支援を受ける必要性を認められることが必要です。そのときにADHDなどの診断書があると、その必要性が認められやすい場合があります。

 

利用を希望する場合には、自治体の福祉担当窓口などに、サービスを利用したい旨を相談してみましょう。

保育所等訪問支援

保育所等訪問支援は、保育園や幼稚園、小学校など、子どもが普段通っている施設に支援員が訪問し、集団生活へ適応するためのサポートをします。

 

ADHDなどの特性により集団生活で困りごとのある場合、環境を調整することで過ごしやすくなることもあります。

 

支援員による訪問で、よりいい環境設定の提案や子どもが安心して過ごすことができる環境を、園・学校の先生方と一緒に考え、サポートすることもできます。

 

保育所等訪問支援を利用する際には、各自治体で発行される「通所受給者証」が必要となるので、希望する場合は自治体の福祉担当窓口にお問い合わせください。

学校で受けられる支援

学校で受けられる支援として、スクールカウンセラーや特別支援教育コーディネーターへの相談などがあります。

スクールカウンセラー

スクールカウンセラーは、子どもが学校で困っていることや悩んでいることなどについて相談にのってくれます。

 

子どもだけでなくその保護者や、教員からの相談にのったり助言をすることもあります。

 

学校や地域などによってさまざまですが、週に数日程度決まった曜日時間に学校にいるという形が多いようです。

特別支援教育コーディネーター

特別支援教育コーディネーターは各学校や園に配置されており、特別支援教育の推進の役割を担っています。

 

具体的には、以下のような仕事をしています。

  • 校内委員会の企画・運営
  • 関係諸機関・学校内関係者との連絡・調整
  • 保護者からの相談窓口

 

特別支援コーディネーターは、学校での子どもの様子が気になるときや支援内容を相談したいときの相談先としても活用することができます。

 

例えば、発達の気になる子どもへの配慮や支援、特別支援学級への移籍についてなどを相談することができます。

 

スクールカウンセラー、特別支援コーディネーターと相談する中で、子どもが学校で生活しやすくなるために配慮を受ける必要がありそうな場合に受けられる支援があります。そうした支援のことを「合理的配慮」と言います。

 

合理的配慮とは、学校などの社会生活において平等に参加できるよう、一人ひとりの障害の程度や必要性に応じておこなわれる配慮のことです。

 

公的機関や事業者は、何らかの対応を必要としているという意思を伝えられたときには、負担が重すぎない範囲で対応することが求められています。

 

ADHDのある子どもへの合理的配慮として、以下のようなものがあります。

  • 集中して作業ができるように、机に仕切りをする
  • 口頭だけでは忘れてしまうことがあるので、指示は紙に書いて渡す
  • 気持ちが落ち着かないときに使える、クールダウンをするための別室を用意する

どのような配慮が必要かは、子ども一人ひとりによって異なります。

 

担任の先生やスクールカウンセラー、特別支援コーディネーターなど学校関係者に、子どもが過ごしやすくなるための配慮について相談できるといいでしょう。

保健センター

保健センターでは、母子保健をはじめ、成人・老人保健や予防接種などさまざまなサービスが提供されています。

 

保健師、看護師、栄養士などが配置されており、子育ての相談に乗ってもらうこともできます。

子育て支援センター

子育て支援センターは、主に乳幼児の子どもとその保護者が自由に利用でき、交流を深める場所です。

 

基本的に予約は不要で、気軽に遊びに行くことができ、子育てについての不安や悩みを相談することができます。

LITALICOジュニアのご利用もご検討ください

LITALICOジュニアでは、福祉サービスとして自己負担1割程度で利用できる児童発達支援・放課後等デイサービスの他に、幼児教室・学習塾も運営しています。

 

幼児教室・学習塾は、福祉サービスを受けるための受給者証が取得できないという方でも通所いただくことができます。

 

生活する上で、「集中が難しい」「落ち着きがない」「忘れ物が多い」など、子どもが困る場面はたくさんあると思います。

 

そこでLITALICOのジュニアでは、学習やソーシャルスキルなどさまざまな視点から子どもの困りごとにアプローチします。

 

ADHDの子どもや発達障害の特性があるが、診断基準を満たさないグレーゾーンと呼ばれる子どもへの指導事例も豊富にあります。

 

無料相談もおこなっておりますので、ぜひ一度ご相談ください!

ADHDの検査・診断についてのまとめ

ADHDの検査・診断についてのまとめ

ADHDのある子どもは、授業中、集中することが難しかったり、落ち着きがなくそわそわしてしまう、忘れ物が多いなどの特性があり、叱られることが多くなり、子ども自身も生きづらさを感じてしまうことがあります。

 

しかし、子どもが過ごしやすいように環境を調整したり、特性に合った学びの機会をつくることで、特性による困難さは軽減されると言われています。

 

子どもの発達が気になる場合は、検査や診断を受けることも視野に入れ、特性や得意不得意をしっかり理解した上で、子どもに合ったサポートをしていくことが大切です。

 

LITALICOジュニアでは、無料相談を行なっています。

 

まず何からはじめたらいいかわからないといった方にも、発達支援に関する情報提供や子どもの状況に合わせたご提案をしているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

参考文献