過集中とは?困りごとの対策例や発達障害に関する相談先も紹介します

一度何かに集中してしまうと、声をかけても気づかなくなってしまうほど没頭してしまうことを「過集中」と呼ぶことがあります。

 

「集中する対象が勉強ならいいけれど、なぜゲームばかりに没頭してしまうの? 」と思う保護者の方もいらっしゃるかもしれません。さらに、たとえ勉強に集中しているのであっても、食事も眠るのも忘れてしまうほどとなっては、子ども自身の健康が心配です。

 

本記事では、なぜ「過集中」の状態になってしまうのか、また対策についてご紹介します。

過集中とは?

過集中とは?

「過集中」とは、文字通り集中しすぎることを意味します。そもそも「集中する」とは、ある活動や物事に注意を集めることをいいます。慎重にしなくてはならない作業には不可欠なことで、適切に集中できることは大切な力です。

 

集中しているときには、ひとつのことに大きく注意が向いているために、他の刺激や周囲の様子に目が向きにくくなります。ただ、ある程度の集中であれば、他の刺激や周囲の様子に対しても無意識に注意を払っているものです。

 

例えば集中して本を読んでいるときでも、自分の名前を呼ばれたら気づいたりします。それが、集中の度合いがより深まると、名前を呼ばれても気づかないといったことが起こるでしょう。

 

このように、深い集中が頻繁に起きることによって、困りごとにつながる場合などもあります。

過集中とADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)との関係は?

過集中は、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)のある子どもによく見られると言われることがあります。

 

過集中とは、その活動やものに集中したり、没頭したりすることで、「約束を忘れてしまう」「疲れ切ってしまうまで続けてしまう」など、何かしらの困りが生じる状態を示すことばで、症状の名称ではありません。

 

ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)のある子どもに見られる特性のひとつである「同じことをし続けたい」「切り替えがうまくできない」「感覚の過敏さ、鈍感さから疲れなどの感覚を感じてやめたり、周囲からの働きかけにうまく反応できないことがある」などによって、結果として過集中につながりやすい面があります。

 

つまり、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)の特性として過集中があるわけではなく、それぞれの発達障害の特性の結果として起こることがあるというだけであり、これが必ずしも発達障害のサインというわけではありません。

過集中による困りごととは?

過集中による困りごととは?

それでは実際に、過集中によってどのような困りごとが起こる可能性があるのかご紹介します。

時間制限を忘れてしまう

集中している間は、時計を見ることはしないし、周りの人が「そろそろ終わりにしたら」と声をかけても聞こえません。次の予定のために気持ちを切り替えることもむずかしくなります。

没頭するあまり社会的なルールが守れない

集中したまま気づかずに危険なところに足を踏み入れてしまうことがあります。また、自分がしたいことが最優先となるため、邪魔する人を無意識に押しのけたりと、社会的なルールを破ってしまうことがあります。

健康を害してしまう

家族からの「ごはんよ」「もう寝なさい」と言う周りの声も聞こえないため文字通り寝食を忘れてしまうことがあります。その結果、低血糖や栄養不足、睡眠不足になり、体調を崩す原因になることがあります。

 

体力が尽きるまで集中してしまうため、ぐったり疲れて何もできない、ということが起こります。

興味関心がないことは一切できない

過集中の一方で、興味や関心のない物事には見向きもしないという面があります。

 

好きなゲームは過集中、苦手な科目の宿題はやらなくてはいけないとわかっていても手がつかない、というわけです。

集中していることをじゃまされると感情的になってしまう

自分がしたいことを邪魔されるとものすごく怒ったり泣いたりします。「おしまいにしよう」と言った人に対して暴力的になることもあります。

 

ただ、冷静になったときには、「ひどいことをした」と理解ができ、後悔することもあります。

集中できることの強みとは?

集中できることの強みとは?

このように困りごとが起こる過集中ですが、集中力があるということは「強み」にもなります。緻密で正確さが必要となる作業は、集中力が高くないとできないので、社会に出てからの評価にもつながります。

 

では、過集中の強みはどういったものがあるのかご紹介します。

周囲の「雑音」をシャットアウトすることができる

集中すると、どんなに周りがうるさくても、誘惑が多い場面でも、余計な情報を一切シャットダウンして物事に取り組むことができることもあります。

高い能力を発揮する

集中力を発揮することで、目標を速いスピードで達成できる場合があります。例えば、ほかの人が3時間かかることを1時間で終わらせることができ、より多くの成果を生み出すことになります。

このように集中力を発揮することで得た成果によって、周囲からの評価も上がるでしょう。

勉強に集中することができれば学校の成績が上がるし、ゲームなら大会で優勝して賞金を得るかもしれません。「すごいね」「よくできたね」というほめ言葉をもらうことにもつながります。

 

また、強い集中力によって自分が好きなことを専門的に深められることができれば、それがその人の個性となるでしょう。

例えば「植物の名前なら○○くんに聞くとわかる」「あのゲームなら○○ちゃんにかなうものはクラスにいない」といったように、集中した結果、他の人にはないほどの情報やスキルを身につけることができ、その子の大切な個性へと成長していきます。

 

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過集中への対策の例

過集中への対策の例

このように過集中は、困りごとがある一方で、集中力をコントロールすれば大事な個性を育てることができるでしょう。では、そのためにはどのような対策をすればいいでしょうか。

スケジュールを立てて確認する

子ども本人と話し合いながらスケジュールを立てて、確認する習慣をつけましょう。

まず健康管理に大切な、睡眠時間、食事の時間を確保して、「好きなことに集中していい時間」を決めて約束します。一方的に決めつけないことで納得することが大切です。

アラームをうまく使って時間管理

決めたスケジュールをこなすためには、時間管理が大切です。

 

集中していると時計を見なくるという場合には、時計やスマートフォンのアラーム機能を活用する方法があります。例えば30分経過ごとにアラームを鳴らして休憩をとる、寝る時間になったら鳴るようにするといった設定をしていきます。

 

このときに大切なのは、子ども自身がアラーム設定をする、自分で決めるということです。 

過集中になっていることをやさしく気づかせる

こうしてスケジュールを決めたり、アラームを使ったりと工夫をしても、過集中になると無視してしまうという場合には、やはり周りの大人が声をかけたり、優しく肩をたたいて知らせることが必要です。

 

このときに、大人が一方的に決めたことに従わせるという姿勢ではなく、子どもと一緒に考えたルールであることが活きてくるでしょう。

うまくいかなくても叱らない

気持ちの切り替えがうまくできない子どもの場合、ルールを決めてもうまく守れないことがあります。

 

周りの大人は、うまくいかなくても大丈夫ということを伝えて、少しずつ集中力をコントロールできるように声をかけてあげましょう。

 

うまく切り替えができたらほめて、できなくても叱らないことが大切です。

注意欠如・多動症などの発達障害のある子どもに関する相談先は?

過集中になりやすい子どもの場合、その特性を見守り、適切な対策をもって、その子らしさを育てることが大切です。

 

ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)など発達障害があるかもしれないと思われる場合には、以下のような場所で相談してみるといいでしょう。

 

  • 保健センター
  • 子ども家庭支援センター
  • 発達障碍者支援センター
  • 児童相談所

 

そのほかにも、お住まいの自治体の福祉課の窓口で相談すると支援機関を紹介してもらえることがあります。

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LITALICOジュニアは各地で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営しています。

 

LITALICOジュニアでは、発達障害の診断があってもなくても、その子らしい個性を見守りながら、できることを伸ばしていく、一人ひとりに合った指導をおこないます。

 

子どもの過集中や、「同じことをし続けたい」「切り替えがうまくできない」「周囲からの働きかけにうまく反応できないことがある」など子どもの困りごとについて無料の相談も受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

過集中のまとめ

過集中のまとめ

過集中は、「強み」となる力でもあります。一方で、集中しすぎて心身ともに疲れきってしまうということが心配されます。

 

その子らしく元気に、好きなことを思い切りできるように育てるためには、過集中をはじめ、子どもの特性についての理解と知識をもった専門スタッフがいる「居場所」が必要です。

 

もしも子どもの過集中でお悩みの場合は、LITALICOジュニアでもご相談をお伺いしていますのでお気軽にお問い合わせください。