子どもの自己主張が強くなってくるイヤイヤ期は、「成長する過程のひとつ」とわかっていても保護者の方にとっては、大変だと感じる時期でもあります。
「子どものイヤイヤ期にはどう対応すればいいの?」や「イヤイヤ期はいつまで続くの?」などの疑問や不安を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回はイヤイヤ期とはどのようなものか、イヤイヤ期が起こりやすいと言われている時期や、対応方法についても解説していきます。
イヤイヤ期とは?
「イヤイヤ期」とは、子どもの「イヤ」や「ダメ」などの自己主張が強まっている時期を指して使われることの多い言葉です。まずは、イヤイヤ期の子どもに見られる特徴や、イヤイヤ期が起こる原因についてご紹介します。
イヤイヤ期の特徴とは?
イヤイヤ期の子どもは、日常のあらゆる場面で「イヤ」や「ダメ」「嫌い」などの拒否をしたり、なんでも自分でやりたがったり、希望通りにならないと大声で泣きわめくことがあります。
イヤイヤ期には、例えば以下のような言動がみられます。
- 歯磨きを嫌がる
- お風呂に入るのを嫌がる
- ベビーカーに乗ることを嫌がる
- 親の選んだ靴を履くことを嫌がる
- 順番に並ぶことを嫌がる
- ご飯を食べたがらない
- 時間になっても家に帰ろうとしない
- 外出先でおもちゃを買って欲しいと泣き叫ぶ など
また、「自分でパジャマのボタンを留めると主張していたのに、結局やってもらいたがる」などやると言ったのにやらないパターンも見られます。
その他、好き嫌いが激しくなったり、こだわりが強くなったりと、イヤイヤ期のバリエーションやその度合いは子どもによってさまざまです。
イヤイヤ期はなぜ起こる?
イヤイヤ期が起こる理由については、脳の「前頭前野」が十分に発達していないことが関係しているのではないかと言われています。
「前頭前野」は、感情や行動を抑制する働きを持っているため、この場所が発達していないと、湧き上がる欲求や衝動を上手く抑えることができません。
子どもにとって、1歳半頃は「自分は一人の人間である」ということに気付き始め、2歳になる頃には脳や体も成長し、ますます自己主張が強くなっていきます。
一方、「自分はこうしたいんだ」という気持ちがあっても、まだ言葉で伝えたり、体を上手くコントロールしたりすることがスムーズにできないこともあります。
このような、自分の思いを表現できなかったり、やろうとしても自分の力でやりたいことができなくてイライラしたりする状況が、イヤイヤ期の言動につながっているとも考えられます。
イヤイヤ期はいつからいつまで続くの?
一般的に、イヤイヤ期は1歳半頃から3歳頃まで続くと言われています。
とくに、2歳頃はイヤイヤ期の真っ盛りとなることも多く、「魔の2歳児」という言葉があるほどです。ちなみに、海外には「恐怖の2歳(テリブル・ツー)」という言葉があることからも、イヤイヤ期が世界共通のものであることがわかります。
イヤイヤ期の対応はどうすればいい?
イヤイヤ期の子どもの対応をするときに、意識したいポイントについて解説します。
気持ちを代弁してあげる
イヤイヤ期の子どもが泣きわめいたり、かんしゃくをおこしたりしている場合は、保護者の方が本人の気持ちを言葉にしてあげましょう。
例えば、子どもが「イヤだ」と言っているときは、「イヤなんだね」、靴を上手く履けなくて泣いているときは「自分で履きたかったんだよね」と、代弁することで、子どものなかでぐちゃぐちゃになっている気持ちが整理されやすくなります。
また、保護者が子どもの気持ちを言葉にすることは、「自分のことを否定せずに受け入れてくれている」「わかってくれている」という、子どもの安心感にもつながります。
気持ちを代弁するといっても、難しく考える必要はありません。まずは、子どもの行動を良くみて、「もし自分が子どもと同じ状況だったらこう感じる」と思ったことを伝えられるといいでしょう。
さりげなくサポートする
イヤイヤ期に心掛けたいポイントのひとつは、子どもの「自分でやりたい」という気持ちをしっかりと受け止めてあげることです。そして、「イヤイヤ」につながりそうな場面を想像し、スムーズに挑戦しやすい環境に整えておきます。
例えば、下記が挙げられます。
- 一人で靴を履きたいけど、左右がわからなくて靴が履けない→靴に「右・左」のシールを貼っておく
- 一人で手を洗いたいけど、まだ背が低くて難しい→踏み台を用意する・タオルを手の届く場所に置いておく
- 一人で着替えたいけど、引き出しに手が届かない→子どもの服を引き出しの一番下にしまっておく など
このように、子どもが「自分でできた!」という達成感を味わえるように、少しだけ先回りして、さりげなくサポートしてあげましょう。
うれしい行動を褒める
正しくできたことに目を向けて褒めることも、イヤイヤ期における対応方法のひとつです。
例えば、子どもが食事中に食べ物を投げていると、「やめなさい」と叱りたくなるのは、保護者として当然のことです。しかし、場合によっては、子どもが「パパやママがかまってくれた」と思い、同じ行動を繰り返してしまうこともあります。
このようなときに、子どもが好きなメニューを用意して、食べ物を投げずに完食できたら「投げずに食べられてえらい!」と褒めることで、子どもが「投げるよりも、投げない方が、自分を見てもらえる」と理解し「次は投げないでおこう」と学んでくれる可能性があります。
上記はほんの一例ですが「正しい行動をたくさん褒めてあげるうちに、してほしくない行動が減っていく」というのは、子育てにおいてよく見られるパターンと言えるでしょう。
悩んだときは積極的に相談する
子どものイヤイヤ期によって、保護者の方が疲れてしまうのは無理もないことです。
だからこそ、悩んだときはパートナーや両親など、身近に相談できる方がいる場合は相談してみるといいでしょう。
また、イヤイヤ期などの子育てに関する悩みを受付している施設を活用する方法もあります。
「こんな些細なことで相談できない」「他の親たちも通っている道だから我慢しなくてはいけない」などと思う必要はまったくありません。ストレスを溜め込まないためにも、一人で抱え込まず、積極的に他の人の力を借りるようにしましょう。
イヤイヤ期などの子育てに関する相談先は?
子どものイヤイヤ期に関する悩みや、育児への不安があるときに、相談できる施設をご紹介します。
自治体ごとの相談窓口
各自治体は、子どもに関する相談を受付している窓口を設置しています。
例えば、東京都港区には「子ども支援センター(みなとキッズサポートセンター)」と呼ばれる施設があります。
名称はさまざまですが、どの施設でも子育てに関する悩みを聞いてもらえます。
もちろん、イヤイヤ期の子どもについて相談することも可能です。
ただし、開いている時間帯や、電話対応の有無などは施設ごとに異なっているため、まずは施設の公式サイトや、自治体のWebサイトで詳細をチェックしてみましょう。
保健センター
保健センターは、母子保健法に則り、保健師が子育てに関するお悩みを聞いてくれます。
乳幼児健診のほか、妊娠中の方や出産前後の方、新生児や未熟児の子どもがいる方に対して、医師、助産師、保健師が家庭を訪問し、健康の保持や日常生活全般に関する指導もおこなっています。
児童相談所
児童相談所は、児童福祉法に基づき、各都道府県ごとに設けられている機関です。
児童相談所には、児童福祉司や児童心理司、保健師、医師などの専門のスタッフがいるため、イヤイヤ期に関して、専門的な視点からアドバイスをもらうこともできます。
児童相談所の場所は、厚生労働省のWebページ「全国児童相談所一覧」で確認しましょう。
子育てホットライン「ママさん110番」
子育てホットライン「ママさん110番」は、日本保育協会が運営している電話相談窓口です。
子どもの両親や祖父母など、育児をしている方が、保健師や元保育園長などのスタッフへ、匿名で育児の悩みを相談することができます。(1人30分程度)
ただし、相談そのものは無料でできますが、通話料は発信した方の負担となります。
よりそいホットライン
よりそいホットラインは、誰もが利用できる電話相談窓口です。
子育てに関することだけでなく、自分のことや家族のこと、お金のことや仕事のことなど、さまざまな悩みを聞いてもらえる点が特徴です。
よりそいホットラインは24時間受付しており、電話の場合は通話料無料で利用できるため、誰かに悩みを話したいときは、気軽に活用してみましょう。
イヤイヤ期についてまとめ
子どもの自己主張が強くなる時期に見られるイヤイヤ期は、成長の証でもあります。
そのため、周囲の方は「気持ちを代弁する」や「さりげなくサポートする」などの対応をしながら、イヤイヤ期の子どもを見守ってあげましょう。
また、保護者が子どものイヤイヤ期に振り回されて、ストレスを溜めないことも大切です。
もしも、子どものイヤイヤ期に悩んだら、身近な方、もしくはイヤイヤ期の困りごとについて相談できる施設を積極的に活用しましょう。
各地で児童発達支援・幼児教室を運営するLITALICOジュニアでも、子どものイヤイヤ期など子どもについてのお悩みのご相談を受け付けています。
「子どもが言うことを聞いてくれなくて困っている」「子どもとどう接していいかわからない」などお悩みがある方はぜひお気軽にお問い合わせください。