1歳半健診の内容とは?必要な持ち物や健診の流れを解説します

1歳半健診というと、「赤ちゃんの健康や発達の状態について、何か指摘されるかもしれない」と少し不安に思う保護者の方もいるかもしれません。

 

実際には、1歳半健診は赤ちゃんの成長をサポートする制度であり、保護者の方が普段の育児で気になっていることなども相談できる場でもあります。

 

この記事では、1歳半健診の目的や内容、必要な持ち物や準備などについて解説します。また、再診査や1歳半以降の乳幼児健診についても説明していますので、参考にしてください。

1歳半健診とは?

1歳半健診とは?

1歳半健診は、正式名称を「1歳6ヶ月児健康診査といいます。名称の通り、1歳6ヶ月になった赤ちゃんの健康状態を総合的に確認する制度です。

 

1歳半健診と3歳児健診は、「母子保健法」という法律が市区町村に実施を義務づけている「法定健診」です。このため、原則として無料で受けることができます。

 

1歳半健診の受診は、義務ではありません。

しかし、赤ちゃんの発育や発達の状態を診てもらうだけでなく、普段の育児で気になっていることを医師や保健師などに相談できる機会でもあるため、2020年度の受診率は95.2%と高くなっています。

なお、法定健診のほかにも、市区町村がさまざまな時期の赤ちゃんを対象として独自に健診をおこなっている場合があります。

 

対象時期は市区町村により異なり、3ヶ月児健診や4ヶ月児健診、9ヶ月児健診や10ヶ月児健診、5歳児健診などがあります。

 

また、市区町村が実施する健診のほかにも、小児科の診療所などで、かかりつけ医が独自に実施している健診もあります。

 

赤ちゃんや子どもに対しておこなわれる健診は、法定健診と自治体が独自におこなう健診をあわせて「乳幼児健診」と呼ばれています。

1歳半健診の目的とは?

1歳半に達する時期には、運動機能が発達してひとり歩きができるようになったり、言葉を盛んに話すようになったり、感情表現もできるようになったりと、心身の発達がより著しく現れてきます。

 

このため、1歳半より前の健診では赤ちゃんの体の様子の確認が主な目的であるのに対し、1歳半健診では、赤ちゃんの体と心の両方の発達の様子を確認することが目的とされています。

 

またこの時期には、脳性麻痺や精神遅滞、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害やてんかん、視覚や聴覚の異常などが発見されやすいとされています。このため、これらの疾患や異常を早期に発見し、適切な治療や支援につなげることも1歳半検診の大切な目的です。

 

さらに、1歳半健診に限らず乳幼児健診のもう一つの大切な目的は、赤ちゃんの様子や生活習慣などについて、保護者の方が気になっていることに対して助言や情報提供をおこなうことです。

 

乳幼児健診では、医師や保健師、栄養士などが保護者の方の育児相談に応じてくれます。

 

育児について相談できる人が周りにいなかったり、迷っていることがある場合などには、ぜひ1歳半健診をはじめとする乳幼児健診を活用してみてください。

1歳半健診を受けるまでの流れとは?

1歳半健診は法定健診であるため、該当する年齢のすべての赤ちゃんが対象です。

赤ちゃんが1歳6ヶ月になる1ヶ月前ごろの時期に、健診の日時や場所などが記載されたお知らせが自治体から郵送される場合が多いようです。

 

母子保健法は、1歳半健診の対象を「満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児」と定めています。

このため1歳半健診を受けられる期間は、「満1歳半になった日から、2歳になる前日まで」ということになります。

ただし自治体により、受けられる期間に幅がある場合もあります。

 

乳幼児健診には、市区町村の保健センターや保健福祉センター、役所などの公共の施設で集団で受ける「集団健診」と、医療機関で個別に受ける「個別健診」とがあります。

1歳半健診についても、集団健診で実施しているのか、個別健診で実施しているのかは自治体により異なります。

 

このため、1歳半健診を受けられる時期と場所については、お住まいの自治体から届くお知らせの記載を確認するようにしてください。

1歳半健診の内容

1歳半健診の内容

1歳半健診の内容は、「一般健康診査」と「歯科健康診査」に分かれます。

一般健康診査の内容は、以下のように定められています。

(4) 項目等

ア 一般健康診査の項目は次のとおりとする。

① 身体発育状況

② 栄養状態

③ 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無

④ 皮膚の疾病の有無

⑤ 四肢運動障害の有無

⑥ 精神発達の状況

⑦ 言語障害の有無

⑧ 予防接種の実施状況

⑨ 育児上問題となる事項(生活習慣の自立、社会性の発達、しつけ、食事、事故等)

⑩ その他の疾病及び異常の有無

 

引用:厚生労働省『○「乳幼児に対する健康診査の実施について」の一部改正について

 

また、歯科健康診査については、「歯および口腔の疾病および異常の有無について行うものとする」と定められています。

 

具体的には、身長や体重の測定などによる身体的発育の確認や、精神発達や運動機能の確認、胸部や腹部、鼻や皮膚、四肢などの診察があります。また、眼と耳の診察とともに視覚と聴覚の確認もあります。

 

そのほかにも以下のような点を主なポイントとする診察がおこなわれることが多いようです。

問診

赤ちゃんの生活全般にわたる普段の様子を聞かれます。

コミュニケーションの様子

赤ちゃんが意味のある単語を2・3語程度話しているか、相手の言うことを理解している様子がみられるかなど、赤ちゃんのコミュニケーションの様子についての質問があります。

動作の理解の様子

「バイバイ」や「ちょうだい」など、意味を含んだ動作を赤ちゃんが理解し、使えている様子があるかを確認します。

頭部の状態

頭囲や頭蓋骨の形、大泉門(だいせんもん)の様子などを確認します。

大泉門(だいせんもん)は、頭頂部より少し額側の場所にある、骨と骨のすき間です。

多くの赤ちゃんは1歳半ごろまでに大泉門が閉じるとされているため、閉じ具合を確認します。

ひとり歩きの様子

赤ちゃんがひとりで歩く様子を観察し、運動機能の発達の様子を確認します。

手や指の発達の様子

赤ちゃんが積み木やおもちゃなどを指でつまんで持ち上げたり、重ねたりする様子を観察し、手や指の発達の様子を確認します。

指さしの様子

絵本や絵カードに描かれている犬などや、体の一つの部位を示して「ワンワンはどれ?」「お口はどこ?」などと赤ちゃんに問いかけ、赤ちゃんが指さしをして応えるかどうかを観察します。

歯科健診

歯の生え具合や唇の閉じ具合、舌の動きや位置、虫歯の有無などを診察します。

また、歯磨きの仕方の指導などもおこなわれます。

 

ただし、赤ちゃんの発達の順序や速度は一人ひとり異なります。

ここで挙げられている動作などを赤ちゃんができなくても、過剰に心配する必要はない場合もあります。

 

また前述のように、1歳半健診の目的は、疾患や異常が見つかった場合に早期の治療や支援につなげることや、保護者の方への助言や情報提供をおこなうことでもあります。

必要であれば専門の機関につなげてもらえますので、不安な場合は相談してみてください。

赤ちゃんが普段している動作をしない場合は?

1歳半健診では、赤ちゃんの動作を観察するなどの方法で診察がおこなわれます。

しかし赤ちゃんは、健診会場という普段とは異なる環境では緊張してしまったり、機嫌の具合などによって、普段はしている動作でも健診時にはしないことがあります。

 

この場合は、普段家でしている動作の様子を医師などに伝えるとよいでしょう。

1歳半健診に必要な持ち物や準備は?

1歳半健診に必要な持ち物や準備は?

1歳半健診の当日に持参する物は、市区町村から送られてくるお知らせに記載されていることが多いようです。

基本的には、以下のようなものを持参するとよいでしょう。

必ず持っていくもの

  • 自治体からの健診のお知らせ
  • 問診票や受診票(自治体からのお知らせに同封されている場合)
  • 母子健康手帳
  • 健康保険証
  • 乳幼児医療証

あるとよいもの

  • 替えのおむつ
  • バスタオル
  • お気に入りのおもちゃ
  • 飲み物(ミルクやお茶など)
  • おやつ
  • 着替え
  • 筆記用具

診察の際に赤ちゃんは裸になることもあるため、待っている間に体を包むバスタオルなどがあるとよいでしょう。

 

また、待ち時間がある場合に備えて、替えのおむつや飲み物、おやつやお気に入りのおもちゃなども持参するとよいかもしれません。

 

筆記用具も持参すると、健診やアドバイスの内容を保護者の方がメモすることができます。

1歳半健診の事前準備

問診票や受診票には、必要事項をあらかじめ記入しておいてください。普段から気になっていることがあれば、自由記入欄に書いておいてもよいでしょう。

母子健康手帳にも、必要事項を記入しておきます。

 

問診票や受診票、母子健康手帳に記載されている項目は、診察する医師にとって重要な情報となります。

 

また、当日の赤ちゃんの服装は前開きの服など、診察の際に脱ぎ着がしやすい服がよいでしょう。

1歳半健診で「様子見」と言われた場合はどうしたらいい?

1歳半健診で、医師などから「様子を見ましょう」と言われることがあります。この場合、不安になってしまう保護者の方も多いかもしれません。

 

しかし「様子見」とはあくまでも「現時点では判断がつかない」ということであり、すぐさま「問題がある」ということではありません。

 

このため「様子を見ましょう」と言われた場合は、「なぜなのか」を説明してもらいましょう。

 

また、「いつまで、何の様子を見ればよいのか」ということや、普段の生活で気をつけておいた方がよいことなども具体的に聞いておくとよいでしょう。

1歳半健診のその後について

1歳半健診のその後について

1歳半健診を受けた後におこなわれる乳幼児健診には、以下のような健診があります。

1歳半健診の再診査

1歳半健診の結果、「より詳しく診査した方がよい」と思われる項目がある場合は、再診査の案内がおこなわれます。

乳幼児健診の再診査は、「精密健康診査」と呼ばれます。

 

再診査では、医療機関や児童相談所などにおいて、専門医や児童心理司などによる精密検査がおこなわれます。

 

1歳半健診で再診査を案内されると、不安になってしまう保護者の方もいるかもしれません。しかし再診査を案内される場合でも、必ずしも疾患が疑われているわけではありません。

 

前述のように赤ちゃんによっては、1歳半で多くの赤ちゃんがおこなうとされている動作を普段はしているのに、健診会場では緊張や機嫌の具合などによりしないこともあります。

また、一般に1歳半ごろにおこなうとされている動作であっても、赤ちゃんによっては後から現れてくることもあります。

 

したがって、再診査の案内があってもこの段階で不安になりすぎず、気になることなどをメモしておき、再診査の際に医師などに聞いてみるとよいでしょう。

1歳半以降の健診

1歳半健診の後におこなわれる健診は、法定健診であれば「3歳児健診」があります。

 

3歳ごろの時期は、体と心の両方で大きく発達が進む時期です。このため3歳児健診では、総合的な診察に加えて心理相談などもおこなわれることがあります。

また、食事や歯磨きなどの生活習慣や、集団生活の様子などについても相談することができます。

 

さらに法定健診以外にも、独自に2歳児健診や5歳児健診をおこなっている自治体もあります。

1歳半健診の内容についてまとめ

1歳半健診の内容についてまとめ

1歳半健診は法律が市区町村に実施を定めている健診で、1歳6ヶ月になった赤ちゃんの健康状態を確認する制度です。

 

1歳半健診に限らず、乳幼児健診はまた、保護者の方の育児のサポートをおこなう場でもあります。

「赤ちゃん」から「子ども」へと移行しつつある時期におこなわれる1歳半健診は、赤ちゃんの発育の状態を診てもらうだけでなく、普段の育児で気になっていることを医師や保健師などに相談できるよい機会です。

 

気になることなどは事前に母子健康手帳などに書き出しておき、1歳半健診の際になんでも遠慮なく相談してみてください。

 

発達が気になる未就学の子どもを対象に児童発達をおこなっているLITALICOジュニアでは、0歳の子どもからその子にあわせた支援をしています。

 

「言葉の遅れが気になる」「人見知りが激しい」など、子どもについて気になることがあれば、無料で相談もできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。