ASD(自閉スペクトラム症)のお子さま(5歳/年長)の成長の様子 「 癇癪(かんしゃく)を起さない予防法とは? 」
利用教室:LITALICOジュニア中目黒教室(パーソナルコース)
ゲームがやめられず癇癪(かんしゃく)
アニメと体を動かすことが大好きなユウ君(仮名)
いつも、暇さえあれば、お母さんのスマホを使ってアニメのゲームをやっています。
家に帰ってくるとすぐ「ゲームやらせて」と言うユウ君。お母さんは、帰宅後、ご飯の支度や弟の面倒で大忙しなので、「15分だけね」と時間を決めて、スマホを渡しています。
実際、スマホでゲームをしている時のユウ君は、静かに一人で遊んでいるので、お母さんは助かっています。
ですが、「15分たったから終わりだよ」、「ごはんできたよ、食べなさい」と声をかけても反応はなし。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断がでているユウ君は、スマホゲームをやるのはいいけれど、終わらせることがとても難しかったのです。
ストップウォッチを使っても「あとちょっと」と言って、効き目もありません。
結局、お母さんはいつもスマホを取り上げなければならず、ユウ君は大声を上げて、ものを投げるなど、癇癪を起します。
スマホゲーム以外でも、ユウくんは、自分が思ったとおりにいかない時、癇癪を起こし、我慢をすることができません。
家にいるときは、お母さんも癇癪が収まるのを待てますが、外出先では「おやつを買って」「おもちゃ買って!」と大声を出したり、泣きわめいたりし、周りの迷惑になってしまうので、ユウくんの好きなおやつを買ったり、おもちゃを買ったりしてしまいます。
癇癪が起きない予防的なアプローチとは?
LITALICOジュニアでは、癇癪そのものを抑えるアプローチではなく、癇癪が起きない予防的なアプローチを行いました。
なぜかというと、癇癪は一度起こしてしまうと、そのあとに対処するのは大変だからです。癇癪が起きる前に予防し、癇癪ではない方法で自分の思いを伝える方法を練習していきます。
まずユウ君の授業で取り入れたのは、見通しの提示です。授業中、ユウ君のことを観察してみると、ユウ君がやっているゲームには「ステージクリア」があり、「3分たったから終わり」と時間で区切られても、ステージの途中なのでなかなかやめることができないようでした。そこで、時間ではなく、「○個クリアしたら終わり」という見通しを作り、ゲームに取り組むことですんなり止めることができました。初めは、好きな程度が中程度のゲームから、クリアしたらやめる練習を行い、やめることができたら、「約束守れて、お兄ちゃんだね!」「えらいね!」と褒めます。これを繰り返していくことで、「約束を守る」という行動がどんどん増えてきました。
ご家庭でもこの練習を取り組んでいただき、癇癪も起こさず、スマホゲームを止めることができるようになりました。
外出先での癇癪の対応として、LITALICOジュニアの授業で「トークンシステム」を導入。
それは、お手伝いをするごとにシールがたまり、5枚たまるとご褒美がもらえる、というシステムです。初めは授業を始めると、すぐに「ねーねーゲームやろう!」と言って、なかなか課題に取り組めませんでしたが、5回約束を守ったらゲームという、ユウ君もわかりやすいルールとご褒美シールのシートを目に見える形で用意することで、「いつゲームするのか」見通しも立ち、課題に取り組めるようになりました。そして、約束の課題に最後まで取り組めたら、ユウ君が大好きなゲームをご褒美でやるようにしました。そうすることで、「約束を守る」という行動も増えました。
ご家庭でもこの「トークンシステム」を取り入れ、「5枚たまったら、おやつを買う」という分かりやすいルールができたことで、毎回スーパーに行くごとにおやつをねだるのではなく、お約束を5回守ったらおやつを買う、という見通しも立ちました。ユウ君はスーパーで癇癪を起さなくなりました。
癇癪が減り、約束を守れるように
ユウ君自身の成長は、「約束を守る」ようになったことと、癇癪がかなり減ったことです。まだ癇癪を起すことはありますが、LITALICOジュニアに通う前に比べて、格段と減りました。
それは、癇癪そのものに対応していくのではなく、ユウ君にわかる形で「見通し」を提示する方法を、LITALICOジュニアとご家庭で実践することで、「ゲームを終わらせる」「約束を守る」という行動を起こしやすくしたり、それができたときにユウ君にとってうれしいご褒美や言葉がけをすることで、行動を定着するアプローチを行ったからです。
ご家庭でもこのような実践はできるので、ユウ君だけでなく、お母さんもいろいろな工夫ができるようになりました。
癇癪(かんしゃく)の原因やアドバイスをご紹介
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