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成長事例

ASD(自閉スペクトラム症)のお子さま(4歳/幼稚園・保育園・年中)の成長の様子 「 癇癪の原因は反抗期? 」

4歳、少し早めの反抗期? 幼稚園に入園してから増えた癇癪

4歳、少し早めの反抗期? 幼稚園に入園してから増えた癇癪

ずっとYoutubeで電車の動画を見て、車掌さんのアナウンスを繰り返すことが大好きなともや君(仮名) 。

トミカで遊ぶのも大好きで、いつも家では、夢中になってプラレールとトミカを組み合わせて遊ぶ4歳(年中)の男の子です。

幼稚園に入園してから、先生に「自分の好きな遊びに夢中で、集団活動に参加できない」「友だちに手が出る」など、言われるようになりました。

いままでは、「すこしこだわりが強いけれど子どもはそんなものだから」とおおらかに考えていたお母さん。プレ保育・プレ幼稚園の時から、周りの子とすこし違う様子が気になってはいました。

入園をしてから、お母さんも「もっと朝の仕度など、自分でできるようになってほしい」「時間を守って動けるようになってほしい」と思い、ともや君への声かけも増やしていきました。

ともや君は、「やだやだ」と言うことも増え、例えば、Youtubeの動画を見ている時に、ご飯の声掛けをしても無視をしたり癇癪を起こしたりするので、お母さんは、反抗期かな? とともや君への対応に困っていました。

ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの特徴と困り感

幼稚園の先生に相談したらところ、発達相談に行ってみては?と促され、区の発達相談窓口に行き、ASD(自閉スペクトラム症)と診断が出ました。

ともや君は、自分のペースを好み、自分の好きな活動は何度も繰り返し行ったり、いつまでも遊び続ける傾向があります。その時に声をかけても、聞こえていないようです。

幼稚園でも、その行動は出ていて、みんなで手遊びをしたり、紙芝居を見たりする時も、一人でおもちゃ箱のところで、トミカやプラレールで遊び続けていました。

友だちも一緒にトミカで遊んでいる時は、友だちが「貸して」と言っても反応しなかったり、友だちが遊んでいるトミカを勝手に取ったりしていました。

自分が使っていないトミカを、友だちが使おうと持っていくと、無理やり取ろうとして、友だちを押すこともあります。

朝の仕度も、目に入ったもので遊んでしまい、一人だと進まないので、お母さんが「早く!」と手伝おうとすると、「やだ!」と言って、大声を出したり、泣いて癇癪を起こしたりします。

幼稚園も必ずいつも同じ道で通い、たまに別の道で帰ろうとすると、そこでも癇癪を起こし、お母さんの手を強く引っ張って、いつもの道で帰ろうとします。

幼稚園前までは、お母さんと2人でスムーズに過ごしていただけに、最初は、お母さんは少し早い反抗期が来たんだと思っていました。

しかし、専門の機関に相談をした結果、人との関わりやこだわりの強さがあり、柔軟に応対ができないのだと知り、お母さんはショックを受け、発達支援を専門とした教室 LITALICOジュニアに問い合わせました。

どのような接し方や指導が大切なのか

一番困っていることは「友だちとのおもちゃの貸し借り」と「思い通りに行かない時に起こる癇癪」でした。

LITALICOジュニアでは、まず初めにともや君の好きな活動の中で、貸し借りの練習をしました。興味のない活動よりも、好きな活動をとおして練習をすることで、早くスキルを身につけることができます。

ともや君にとって「貸す」という概念が不明確だったので、一度貸してしまうとおもちゃがずっと戻ってこないで、自分はもう遊べなくなるという不安がありました。

まずはタイマーを5秒セットして、5秒間だけ先生が電車で遊び、ともや君はタイマーを見て待ち、5秒経つと先生は電車を「貸してくれてありがとう」と言って、ともや君に返しました。

 

そのやりとりを、初めは5秒、だんだん10秒、30秒、1分と長くしていき、「貸しても、おもちゃはまた戻ってきて、また遊べるんだ」という経験と、貸した後に先生に「貸してくれてありがとう」「お兄ちゃんだね」とハイタッチをする、という嬉しい経験をたくさんすることで、貸す行動が増えてきました

また思い通りにならないと、すぐに大きい声を出したり、泣いたりしていたので、その練習もおこないました。 好きな活動と興味のない活動を交互にプログラムの中に入れていき、興味のない活動の時には、「●●やりたい」と言う練習をして、それが言えたら、好きな活動をする、ということを繰り返しました。

そうすることで、ともや君の中で、やりたくない、という気持ちの表現が、泣いたり、大声を出す、以外にも「やりたい」と言葉で伝えるという方法が増え、その方法のほうが、自分の要求が通りやすいという経験をしました。

ともや君のこれまでの行動は、「反抗期」ではなく、他にやり方を知らなかったことによって、ともや君なりの行動として起きていたのです。

癇癪(かんしゃく)が減り、言葉で要求を伝えられるように

癇癪(かんしゃく)が減り、言葉で要求を伝えられるように

LITALICOジュニアに通って半年経ち、ともや君は自分から友だちに「どうぞ」とおもちゃを貸せるようになり、友だちにおもちゃを借りる時は「ありがとう」と言えるようになりました。

自分が嫌だと思った時には、泣いたり大声を出すことはなくなり、「●●がしたい」「○○がほしい」と言葉で伝えることができるようになり、お母さんや周りも、ともや君の気持ちが分かり、対応しやすくなりました。

お母さんは「以前の癇癪がひどく、反抗期のような態度は、今はほとんど見られなくなり、家ではとても関わりやすくなりました」と笑顔でお話してくれています。

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