「単語はよく知っているけれど、話を理解できていないこともある」言葉が達者なはずの息子がお友だちに手を出してしまっていた理由が、LITALICOジュニアのおかげで分かりました。
2023年09月26日公開 | LITALICOジュニア編集部
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目次
プロフィール
Yくん
年齢:7歳
ジュニア歴:3年
困りごと
- 友だちに手が出てしまう
- 言葉で気持ちを伝えることが苦手
- 不安感が強く癇癪やパニックになることがある
通ってからの変化
- 友だちに手が出ることがなくなった
- 言葉で自分の気持ちを伝えられるようになった
- 見通しを立てることで落ち着いて行動できるようになった
保育園からの指摘で、発達支援の必要性に気づいた
Yくんの成長や発達に関して気になり始めたのはいつ頃からだったのでしょうか。
保育園で年少クラスに上がった頃から、「今日は〇〇ちゃんを叩きました」「今日は〇〇ちゃんとトラブルになりました」などと先生から頻繁に報告を受けたことがきっかけでした。
家でも気に入らないことがあると騒ぐことはありましたが、まだ3、4歳くらいであればそれくらい普通のことだと思っていたんです。一人歩きや発語も早かったですし、それまでの検査で指摘されたこともなかったので、発達支援が必要だとは考えたこともありませんでした。
でも、後になって保健師さんに乳児期のことを聞かれて、なかなか寝なかったりずっと抱っこしていないといけなかったりしたことを思い出しました。今になって考えてみると、息子は乳幼児期から不安感が強かったんだと思います。
保育園の先生からの指摘を受けたあとは、親だけではどうにもできないなと思って園のカウンセラーさんに話を聞いてもらっていたんです。そのときにLITALICOジュニアのことを知りました。
実は、区の児童発達支援センターにも通い始めていたのですが、頻度が月1回だったので息子は全然慣れなくて。いつも緊張している様子でした。ちょうどそのタイミングでLITALICOジュニアの教室に空きが出たと連絡をいただいたので、通い始めることになりました。
言葉は達者だけど、理解できていないことも。先生の見立てに納得
LITALICOジュニアに通い始めてからのYくんの様子はいかがでしたか?
体験のときは緊張していて、私からずっと離れなかったと思います。ほとんど話もしていなかったですね。慣れてくると困った行動をとることがあるのですが、初めての場所でそういうことは絶対にしないんです。とにかく“いい子”になってしまうので、正直「日常生活での困りごとは先生に伝わるだろうか?」と心配になっていました。
最初の頃のYくんは普段とは少し違う振る舞いだったのですね。それでも通わせてみようと思われたのはなぜだったのでしょうか?
やっぱり1対1の個別で、プロの方の目で息子を見てもらいたかったというのが一番大きいですね。実際に息子を見てくれた先生からは、「言葉はよく知っているけれど、理解できていないこともある」と言われて驚きました。言葉が達者だったので、理解できていると私が思い込んでいたんです。それによって、息子を不安にさせてしまったこともあったかもなと思いました。
丁寧に見通しを伝えることで、パニックが減った
授業ではどのようなことをされましたか?
もともと気持ちや感情を言葉で表すことが苦手だったので、その練習をしました。いろいろな表情をしたイラストを見て、どんな気持ちかを言葉にする練習です。
また、授業の中では先生が数字やイラストを使って見通しを立ててから進めてくれていました。それがすごく良かったみたいで、家でも事前に見通しを伝えるようになりました。
<授業では、Yくんが好きな飛行機に関連したオリジナル教材も使用>
見通しを伝えることで、Yくんにはどのような変化があったのでしょうか。
以前は外出先で癇癪を起こしたり、パニックになったりすることがありました。それで、私も外出時は緊張するようになってしまって。でも今考えると、次にどこに連れて行かれるのかわからなくて、不安になっていたんだなと思います。「あと20分したら出かけるよ」と突然伝えることもあったので。私自身、予定は親が知っていればいいと思っていたんです。
だけど、子どもにもちゃんと伝えておいて理解してもらうってすごく大切なことなんですよね。LITALICOジュニアの先生にも「Yくんは理解できることが増えてきていますよ」と言ってもらったので、とにかく伝えるだけ伝えようと思って、事前に予定を伝えるようにしました。
「明日は病院に行くよ」と伝えると、「なんで?」と聞かれることもあります。そのときも誤魔化さないで、難しい言葉であってもちゃんと伝えるようにしました。そうすると、わかってくれるんです。不安がなくなったからか、スムーズに動けるようにもなりました。
自分の気持ちを言葉で伝えられるように
LITALICOジュニアに通われた当初はお友だちとのトラブルもあったようですが、その点はいかがでしょうか。
LITALICOジュニアに通い始めてから1年くらいたったときに、保育園の先生から「お友だちとの関わりで、手が出ないように一生懸命頑張っていますよ」と言われました。相手を殴っちゃいけないということは、その時点で理解していたんだと思います。
年長になった後は、友だちとのトラブルがぐっと減りましたね。LITALICOジュニアの授業の中で、登場人物がさまざまな行動をする動画を見て善悪の判断をする練習をしたので、それも良かったのではないかなと思います。視覚からの情報だったので、理解もしやすかったみたいです。
保育園では自分から手を出すことはなくなり、逆に、喧嘩をしている友だちを見ると仲裁に入るようになりました。先生も、タイマーを使って「あと⚪︎分だよ」とか「⚪︎時までやるよ」などと見通しを伝えてくれるので、落ち着いて過ごせるようになりました。
Yくんの様子を見ていて、一番変化したなと感じるのはどのようなところですか?
自分の気持ちや感情を言葉で伝えられるようになったところだと思います。以前は嫌なことがあると、泣いたり、騒いだり、外に出て行こうとしたりすることが多かったのですが、今は「僕は嫌だ」と言葉で伝えてくれたり、自分の部屋に入ったりすることが増えました。気持ちが落ち着くと、「入ってきていいよ」と言って自分の気持ちを話してくれます。相手に対して手が出てしまうこともなくなりました。
あとは、私自身が意識的に「教えてくれてありがとう」と息子に伝えるようになったことも影響したかもしれません。これはペアレントトレーニングを受けたときに教えてもらったんです。
息子が何か話してくれたときに、「そうだったんだ」と言う前に、まずは「教えてくれてありがとう」と伝えると、「言ってもいいんだ」と感じてくれるようです。驚いたのは、友だちに手が出てしまったときでも自分から言ってくれるようになったことです。学校や学童の先生からだけではなく、息子の口から出来事や感じたことを聞けるようになったのは大きいですね。
授業の中で過去の出来事を話す練習をしてくれていたので、それも良かったんだと思います。息子の話を先生がとても辛抱強く聞いてくれて、話を引き出してくれていました。息子は自分の話を聞いてくれることが嬉しかったんだと思います。
親だけで抱え込まなくていい。専門家のサポートが安心感に
ペアレントトレーニングを受けて、印象的だったことはありますか?
息子の現状をわかった上で、どうしたらできるところを伸ばしていけるのかを具体的に教えてもらえたのは良かったです。親としてはどうしてもできないところに目が向いてしまうのですが、ペアレントトレーニングを受けて「できるところもたくさんあるんだな」と感じました。
何より、親だけで抱え込まなくてよくなったことで、気持ちが楽になりました。LITALICOの先生には普段からいろんな悩みの相談をさせてもらっているのですが、「よくあることですよ」とは言わず、ちゃんとこちらの話を聞いてくれるんです。正直、私の方が悪かったかなと思うような出来事を話したときも、否定せずに聞いてくれるので、安心していろんな話をすることができました。
小学校の入学に向けて、何か準備したことはありますか?
安心して小学校に入学できるように、小学校しっかり準備プログラムを受けました。事前に小学校での過ごし方を体験することで、息子も私も不安が小さくなりましたね。
特に良かったのは、机から少し距離が離れたところに先生がいる状態で、わからないことがあるときや発表するときに手をあげる練習です。息子はわからないときに「わからない」と言えなくて泣いてしまうことがあったので、その練習ができたことで安心感に繋がったのではないかなと思います。
あとは、給食当番の模擬体験もさせてくれました。給食着を着て配膳することは、親ではなかなか教えることができないですよね。食べるときにも、息子は「好き嫌いなく全部食べないと」と自分にプレッシャーを与えてしまうタイプです。LITALICOジュニアの先生からは「食べられなくなったら、無理して食べなくてもいい」と今の学校のルールを教えてもらえたのも良かったですね。小学校しっかり準備プログラムは、不安感が強い子には特におすすめしたいプログラムです。
LITALICOジュニアに通われてから3年が経ちますね。振り返ってみていかがですか。
子どもの発達について専門的な知識を持たれている先生ばかりだったので、安心して頼ることができました。息子のサポートだけではなく、親のサポートもしてくれたのは大きかったですね。先生に話を聞いてもらえて、共感してくれたり的確なアドバイスをもらえたりすることは家族の支えになっています。
また、息子の状態に合わせた目標を立ててくれて、それを半年に1回面談をして振り返る機会がありました。どうしても目標を立てたままだとそのまま流れていってしまいますが、半年ごとに確認できたことは良かったですね。半年前に困っていたことが、今は全く困っていないと気づくこともあります。そうやって振り返ることで、成長を実感することができました。
先生からのコメント
最初の頃のYくんは、発言することが苦手な様子がありました。嫌なことがあってもそれを口に出すことはほとんどなく、無理をしている側面もあったのではないかなと思います。
これから小学校に入学することを考えると、自分の気持ちを伝えることや助けを求めることは、より必要なスキルになってきます。それができることで、Yくん自身が苦しさを感じることが減っていくと思ったので、自分の話をする場面を授業の中で多く取り入れました。
まずはこの1週間のことを話してもらう時間を十分につくることで、「なんでも話していいんだ」と感じてもらえるような環境をつくりました。それを続けていくと、「嫌だ」という気持ちも含めて徐々に自分から発言することが増えていったなと感じます。それに伴い、衝動的な行動を取ってしまうことも減っていきました。LITALICOの授業でやったことをご自宅でも実践して下さったこともよかったのだと思います。
私自身、Yくんやご家族に出会って学ばせていただくことが多くありました。Yくんにはパイロットになりたいという夢があるので、将来を見据えつつ、これからも一緒に勉強していきたいと思っています。