ずりばいはいつからする?何か月から始めるかの目安や練習方法を紹介

「赤ちゃんはハイハイをする前にまず、ずりばいをする」と聞いており、「いつからするかな?」と心待ちにしている保護者の方も多いかもしれません。

この記事では、赤ちゃんは一般的にはいつからずりばいをはじめるとされているのか、ずりばい前後の赤ちゃんの運動発達の過程、赤ちゃんがなかなかずりばいをしない場合に手助けとなりうる方法について説明します。

赤ちゃんの発達が気になる場合に相談できる機関もあわせて紹介していますので、参考にしてください。

ずりばいはいつからするのか

ずりばいはいつからするのか

ここではずりばいという行動や、一般的にずりばいがはじまることが多いとされている時期について説明します。

ずりばいとは?

ずりばいとは、赤ちゃんがうつぶせの状態で、床にお腹をつけながら、手の平や足の裏で床を押して前後に這って進む動作のことです。

 

ずりばいは、「ハイハイ」の代表的な種類の一つであると考えられています。

「ハイハイ」という動作には、厳密には、ずりばいのほかにも以下のような種類があるとされています。

  • よつばい:お腹を床から離して、手のひらと膝で床を押して移動する動作
  • 高ばい:よつばいの状態から、膝を床から離し、手のひらとつま先で床を押して移動する動作

一般に「ハイハイ」という言葉は、「よつばい」のことを指して使われることが多いようです。

ずりばいはいつからする?

一般的な目安としては、赤ちゃんはずりばい、よつばい、高ばいの順にハイハイができるようになることが多いとされています。

ずりばいが始まる時期の目安について、統一された見解があるわけではありません。

機関や文献などにより、目安としている月齢が異なります。

 

しかし多くの場合、生後6か月~8か月の間に始まることが多いとされています。

 

ただし乳幼児期の発達については、身体的な条件や生育環境の違いなどにより、赤ちゃん一人ひとりの個人差が大きいとされています。

 

このため、一般に目安とされている時期よりも早くずりばいをはじめる赤ちゃんもいれば、遅い時期にはじめる赤ちゃんもいます。

 

また、「ずりばい」「よつばい」「高ばい」をせず、「シャフリング」と呼ばれる移動の動作から、つかまり立ちへと移行する赤ちゃんもいます。

ずりばいとハイハイの違いとは?

ずりばいと、俗に言われる「ハイハイ」(よつばい)の違いは、「移動するときに、お腹が床についているかどうか」という点です。

ずりばいではお腹が床についたままの状態で移動しますが、よつばいではお腹が床から離れ、手のひらと膝だけで床を押して移動します。

 

また、動作の目的も異なるとされています。

ずりばいの主な目的は、周囲の探索であると考えられています。

 

赤ちゃんがずりばいをはじめることの多い生後6~8か月ごろは、運動面の発達により手が使えるようになることもあいまって、「触ってみたい」「 関わってみたい」という意欲が高まり、探索活動が活発になる時期であるとされています。

そしてずりばいも、赤ちゃんの探索意欲の表れとしての行動の一つであると考えられます。

 

一方、よつばいでは、移動が主な目的となります。

このため、保護者の方などが「おいで!」と呼ぶと、よつばいをしながら呼ばれた方向へ移動してくる赤ちゃんも多いでしょう。

 

しかし、赤ちゃんがずりばいをしているときは、呼んでも来ないことも多いかもしれません。

ずりばいの兆候はある?

赤ちゃんがずりばいをはじめる兆候として、「うつぶせの姿勢で、手足をバタバタ動かす」という動作があります。

この動作は、「移動したい」という気持ちの表れであるとされます。

 

動いている手や足で床を押したとき、体の重心が移動してバランスが崩れるため、赤ちゃんは再び手や足で床を押して、バランスを取ろうとします。

 

この動きの繰り返しが、ずりばいにつながっていくと考えられています。

ずりばい前後の発達過程

ずりばい前後の発達過程

赤ちゃんの運動能力は、一般の目安としては、以下のような順に発達していくとされています。

 

ただし前述のように、赤ちゃんの発達では個人差が大きいことが知られています。

また、発達の「順番」として挙げられている、ある動作を飛ばして発達していく赤ちゃんも珍しくありません。

 

ここに挙げている発達の過程は「この時期までに、この動作をしているべき」というものではなく、「一般的な目安として参考になるもの」と考えてください。

寝返り

赤ちゃんがあおむけに寝た状態からどちらか一方向へ転がり、体の下になった腕が抜けて、うつぶせの状態になる動作のことです。

 

寝返りは、赤ちゃんが生まれた後にはじめて全身を動かす運動です。

一般には、生後6か月ごろから寝返りをはじめる赤ちゃんが多いとされます。

お座り

生後7か月ごろになると、お座りができるようになる赤ちゃんが多いとされます。

 

お座りをしはじめたばかりの赤ちゃんは、手を床について体を支えることもあります。

やがて腰がしっかりしてくると、赤ちゃんはお座りをしてもひっくり返らなくなり、手の支えなしでも座っていられるようになっていきます。

ずりばい

ずりばいは、赤ちゃんがうつぶせの状態で、床にお腹をつけたまま、手の平や足の裏で床を押して前後に動く動作です。

 

ずりばいは、生後6か月~8か月ごろからはじめる赤ちゃんが多いとされています。

お座りと同時期にずりばいをはじめる赤ちゃんもいれば、お座りよりも先にずりばいをするようになる赤ちゃんもいます。

ハイハイ

一般に「ハイハイ」と呼ばれることの多い「よつばい」は、生後9か月ごろからはじめる赤ちゃんが多いとされています。

 

よつばいができるようになると、今度は膝を床から離し、手のひらとつま先で床を押して移動する「高ばい」と呼ばれる動作をするようになります。

 

この時期には同時に、つかまり立ちができるようになる赤ちゃんも多いとされます。

やがて「つたい歩き」をするようになったり、支えなしでも立っていられるようになります。

 

1歳半ごろまでには、ひとりで歩けるようになっている赤ちゃんが多いとされています。

ずりばいの練習方法

ずりばいの練習方法

前述のように、乳幼児期の発達は個人差が大きいことが知られています。

赤ちゃんがずりばいをなかなかはじめない様子であっても、発達には個人差があることをふまえて、保護者の方が赤ちゃんの自然な発達を見守ることが大切です。

 

一方で、手足の動きを手助けしたり、赤ちゃんの注意をうながしたりすることで、赤ちゃんの自然な発達をサポートする効果が期待できると考えられています。

 

ここでは、ずりばいの動作の手助けとなると考えられている方法を紹介します。

赤ちゃんと保護者の方の両方にとって、負担にならない程度に練習してみてください。

ずりばいの練習では安全対策をする

ずりばいの練習をおこなう際は、安全対策を十分におこなってください。

例えば、赤ちゃんの周囲にある物などを片付けて、赤ちゃんが十分に動き回れる空間を確保します。

 

また、ずりばいやハイハイをはじめた赤ちゃんは、慣れてきたころに突然、以前より速いスピードで進みはじめることがあります。

このため、部屋にある硬い物には柔らかい素材でできたカバーをつけておいたり、床に物を置かないようにして、赤ちゃんがぶつからないようにしておきます。

 

練習中は保護者の方が赤ちゃんから終始目を離さず、赤ちゃんが無理な姿勢になっていないか、転びそうになっていないかなど、安全面に気を配るようにしてください。

うつぶせに慣れさせる

前述のように、ずりばいの前兆として、うつぶせの姿勢で手足をバタバタさせる動作がみられることがあります。

このため、ずりばいをなかなかしない赤ちゃんは、まずうつぶせの姿勢に慣れることからはじめるとよいでしょう。

 

ただしこの練習は、赤ちゃんが寝返りができるようになっている場合、かつ赤ちゃんが起きているときにおこなってください。

赤ちゃんが寝返りできない場合や寝ている際は、うつぶせの姿勢では窒息が起こりうるためです。

 

1日に1~2回ほど、赤ちゃんがうつぶせで遊ぶ機会をつくります。

 

例えば、保護者の方があおむけに横になって赤ちゃんを胸の上でうつぶせになるように乗せ、その状態をしばらく維持します。

赤ちゃんがうつぶせの姿勢に慣れてきたら、顔を持ち上げたり、上手に休んだりするような動作がみられることがあります。

おもちゃを見せる

赤ちゃんがうつぶせの状態になっているときに、お気に入りのボールなどのおもちゃを、赤ちゃんの目の前に置いて見せます。

 

赤ちゃんはおもちゃを取りに行こうとして、「前に進もう」としはじめるかもしれません。

ずりばいやハイハイをして見せる

さまざまな研究から、赤ちゃんは周りの人の行動を見て真似をしようとすることがわかっています。

 

このため、保護者の方がずりばいやハイハイをして見せると、赤ちゃんが真似をしようとする可能性もあります。

足裏を支える

赤ちゃんがうつぶせの状態になっているときに、赤ちゃんの足の裏を保護者の方が手で支えて、赤ちゃんが自発的に蹴るのを待ちます。

 

赤ちゃんにとって床を足で蹴る練習になるとともに、ずりばいはしているけれど後ろに下がってしまう場合にも、前へ進む感覚を養う練習になります。

発達が気になる子どもの相談先

発達が気になる子どもの相談先

赤ちゃんの発達には個人差があるため、なかなかずりばいをはじめない場合でも、必ずしも過剰に心配する必要はない場合もあります。

 

しかし、保護者の方が不安になっていたり、発達面でずりばい以外にも気になることがあるような場合は、以下の機関に相談してみることもできます。

小児科

小児科は「病気になったときに受診するもの」と思うかもしれませんが、赤ちゃんの発達で気になることがある場合や、どこに相談してよいかわからないような場合にも相談することができます。

まず、かかりつけの小児科に相談してみてください。

子ども家庭支援センター

子供家庭支援センターは18歳未満の子どもや子育て家庭のさまざまな相談に応じる機関で、発達についての相談も受け付けています。

 

地域によりセンターの名称や相談方法などが異なる場合があるため、お住まいの地域の情報を確認してみてください。

保健センター

多くの市区町村に設置されている保健センターでも、子どもの発達についての相談を受けつけています。

センターによっては相談に予約が必要な場合もあるため、相談の際はお住まいの地域の保健センターの情報を確認してください。

また、保健センターでおこなわれる乳幼児健診の際に相談してみてもよいでしょう。

児童相談所

児童相談所は、原則として18才未満の子どもに関するさまざまな相談に応じ、援助をおこなうことを目的とする機関です。

児童福祉司や医師、保健師などが在籍しており、相談に応じています。

 

赤ちゃんの発達が気になる場合も、相談することができます。

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、障害のある子どもやその家族に対し、援助や助言をおこなう地域の中核的な支援機関です。

 

障害のある子どもが日常生活などに適応できるためのプログラムの提供などをおこなう機関ですが、その専門性を活かして、地域の障害のある子どもやその家族からの相談にも応じています。

 

赤ちゃんの発達が気になる場合でも、相談することができます。

LITALICOジュニアの児童発達支援

LITALICOジュニアでも、発達が気になる子どもを対象とする児童発達支援事業をおこなっています。

 

児童発達支援事業は児童福祉法に基づくサービスの一つで、障害名の有無に関わらず、発達の遅れが気になる子どもも利用することができます。

LITALICOジュニアでは、一人ひとりの発達段階や特性に合わせた支援計画を策定し、子どもの成長をサポートしています。

 

無料オンライン相談もおこなっていますので、赤ちゃんの発達について気になることがある方や、児童発達支援の利用にご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

ずりばいはいつからする?のまとめ

ずりばいはいつからする?のまとめ

ずりばいは、赤ちゃんが床にお腹をつけながら前後に這って進む動作のことです。

一般的には、生後6か月〜8か月ごろからずりばいをはじめる赤ちゃんが多いとされています。

 

赤ちゃんの発達では個人差が大きいため、目安とされている時期にずりばいをしていなくても、過剰に心配する必要はありません。

負担にならない範囲で、ずりばいの動作の手助けなどを実践してみるとよいでしょう。

 

また、ずりばいをしないこと以外にも発達が気になるような場合には、この記事で紹介した機関のうち、相談しやすい機関に相談してみるのもひとつの方法です。