保健所と保健センターの違いとは?それぞれの役割を解説します

保健所と保健センターは、どちらも地域の保健対策を担う公的機関です。

 

しかし名称や業務内容が似ており、健康や子どもの心配ごとなどについて相談したいことがある場合、どちらに相談してよいのかわからない方もいるでしょう。

 

特に、保健センターは乳幼児健康診査や予防接種などで利用したことがあっても、保健所にはなじみが薄い方も多いかもしれません。

 

そこでこの記事では、保健所と保健センターの違い、保健所と保健センターそれぞれの業務内容や利用方法について説明します。

保健所と保健センターの違い

保健所と保健センターの違い

保健所と保健センターは、どちらも「地域保健法」という法律にもとづいて設置されている公的機関です。

 

双方とも地域の保健対策を担いますが、互いに役割分担をし、連携しながら総合的に保健衛生行政を実施しています。

 

保健所は「行政機関」としての色合いが強く、業務内容は地域により異なるものの、基本的には直接の対人保健サービスはおこないません。

ただし、保健所には都道府県の設置する保健所と市や特別区が設置する保健所とがあり、後者は対人保健サービスもおこなっている場合があります。

 

一方保健センターは、住民にとってより身近で利用頻度の高い保健サービスを提供する機関です。

 

保健所との違いは、保健センターは市区町村レベルでの健康づくりの場であり、対人保健サービスを業務の基本とする点です。

 

保健センターでは妊婦健診や両親学級、母子健康手帳の交付や乳幼児健康診査、発達相談など、子どもの保護者の方々にとって身近なサービスも提供しています。

保健所とは?

保健所とは?

保健所は、地域住民の健康や衛生を支える公的機関です。

地域住民の健康を支える広域的・専門的・技術的な拠点としての位置づけを持ちます。

 

都道府県、政令指定都市、中核市、特別区が設置しており、全国に468ヶ所あります。(2022年4月1日現在)

自治体によっては、「福祉保健事務所」「厚生センター」などの名称である場合もあります。

保健所の役割とは?

地域保健法には、保健所の14の事業が定められています。

保健所は、専門的で幅広い領域の業務をおこないます。自治体により異なりますが、主な業務は以下です。

 

医事

・病院、診療所などの開設許可などの受付

・医療に関する相談の受付

 

食品衛生

・食品関係施設の営業許可などの受付

 

環境衛生

・理容、クリーニング、旅館などの許可届出の受付

・住居衛生に関する相談

 

薬事

・薬局、薬店の許可などの受付

・薬剤師の免許申請の受付 

 

狂犬病予防・動物愛護

・飼い犬の登録、狂犬病予防注射済票の交付

・飼い犬、飼い猫の行方不明、保護情報の受付

 

母子保健

・母子保健に関する医療助成 施策の企画・調整 

 

栄養

・飲食店、惣菜店の栄養成分表示店指定、相談

 

感染症予防

・感染症に関する調査・指導

・予防接種に関する調整

 

精神保健福祉

・精神保健福祉手帳関係

 

健康危機管理

・健康危機発生時の情報収集、市民への情報提供、医療体制の確保

保健所に配置されている職員は?

保健所長は、原則として医師であることが定められています。

 

保健所の規模によっても異なりますが、そのほかには保健師や薬剤師、栄養士や精神保健福祉士などが配置されています。

保健センターとは?

保健センターとは?

保健センターは市区町村が設置する公的機関で、全国に2,432ヶ所あります。(2022年4月1日現在)

地域における母子保健や老人保健などの拠点としての位置づけを持ち、地域住民が直接受ける健康づくりに関するサービスの提供を業務の中心としています。

 

保健センターと保健所の関係は自治体により異なり、保健センターが保健所の一部門となっている場合もあれば、保健センターが保健所とは異なる部局に設置されている場合もあります。

 

また、保健センターが福祉事務所と統合されて「保健福祉センター」という名称になっている地域もあります。

保健センターの役割とは?

保健センターには、市区町村における地域保健対策の拠点としての役割があります。

 

保健センターの業務内容も地域により異なりますが、主に以下のような業務をおこなっています。

 

母子保健

・乳幼児健康診査

・妊産婦・乳幼児などの健康相談

・自立支援医療 (育成医療)給付の申請受付、未熟児の養育医療給付申請受付など

生活習慣病予防

・肝炎ウイルス検査、がん検診、成人歯科検診、骨密度測定などの実施

・受動喫煙対策

 

特定疾病

・保健師による個別相談

・申請手続き

 

予防接種

・BCG接種

 

健康相談・ 栄養指導

・医師・保健師による個別相談

・栄養教室や栄養相談

 

精神保健福祉相談

・精神科医や精神保健福祉相談員などによる個別相談

・自立支援医療(精神通院)申請書の受理

・精神障害者保健福祉手帳の交付

・障害者福祉サービス申請書の受理

性感染症・エイズ相談

・医師・保健師による個別相談

・クラミジア・梅毒・エイズ検査

・B型・C型肝炎検査

発達相談

保健センターでは1歳半健診などの乳幼児健康診査をおこなっていますが、発達に心配のある子どものさまざまな相談も受け付けています。

子どもの言葉や行動、体や手先の動かし方など、発達について気になることを相談することができます。

 

相談の形式は保健センターにより異なりますが、保健師や医師、栄養士や作業療法士などが電話や面談、家庭訪問による相談に応じています。

 

多くの場合は相談できる日時が決まっており、予約制となっています。

 

相談を希望する方は、お住まいの地域の保健センターに問い合わせてみてください。

保健センターに配置されている職員は?

保健センターに勤務する職員の中心は、保健師です。

そのほかには医師や看護師、助産師や歯科衛生士、栄養士や理学療法士などが配置されています。

保健所と保健センターの違いについてまとめ

保健所と保健センターの違いについてまとめ

保健所と保健センターは、どちらも地域保健法にもとづいて設置されている、地域の保健対策を担う機関です。

 

保健所は専門的で幅広い業務をおこなうのに対し、保健センターは住民にとって身近で利用頻度の高い保健サービスを提供します。

 

保健センターは、乳幼児健康診査などで利用したことのある方も多いかもしれませんが、発達に関する相談も受け付けています。

 

子どもの発達について相談したい場合は、お住まいの地域の保健センターの利用方法を確認してみてください。

子どもの発達が気になる場合の相談先

児童発達支援事業所や幼児教室・学習塾を運営するLITALICOジュニアでは、発達が気になる子どもへの発達支援の提供もおこなっています。

 

無料相談もおこなっていますので、子どもの発達について気になることがある場合は、お気軽にご相談ください。