近年、子どもの教育において「非認知能力」への注目が高まっています。しかし「子どもの非認知能力を伸ばそう」と思っても、非認知能力とは具体的にどのような能力なのか、イメージがつきにくい保護者の方も多いのではないでしょうか。 この記事では、非認知能力とはどのような力なのか、非認知能力が高い人の特徴や子どもの非認知能力を伸ばす方法、そして育児について悩んだときの相談先を紹介します。

近年、子どもの教育において「非認知能力」への注目が高まっています。しかし「子どもの非認知能力を伸ばそう」と思っても、非認知能力とは具体的にどのような能力なのか、イメージがつきにくい保護者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、非認知能力とはどのような力なのか、非認知能力が高い人の特徴や子どもの非認知能力を伸ばす方法、そして育児について悩んだときの相談先を紹介します。

非認知能力とは

非認知能力とは

「非認知能力」についてはさまざまな定義があり、統一された定義は現在までのところありませんが、心の性質のうち、「認知能力」以外のものすべてを指すと考えることができます。

「認知能力以外の力」であるため、広い範囲の能力が含まれます。そのために、「何を」「どこまで含むか」によっていろいろな定義がなされていたりします。

 

その中の一つがOECD(経済協力開発機構)の定義で、「社会情動的スキル」「ソフトスキル」などと呼ばれることもあります。

具体的には、非認知能力(社会情動的スキル)として以下の力が挙げられています。

  • 目標を達成する力
  • 他者と協力する力
  • 感情をコントロールする力

非認知能力は、個人差は大きいものの、とくに1歳頃から5~6歳頃の「幼児期」に著しく発達するとされます。

また学童期や思春期にも非認知能力が発達していき、さらに大人になった後も非認知能力は伸ばすことが可能だと考えられています。

 

非認知能力は認知能力と関連し、相互に作用しながら育っていくとされています。

ある活動の中には、「認知」に関する面と「非認知」に関する面の両方が必ず含まれているためです。

非認知能力が注目されている理由

非認知能力が注目されている理由

これまでの社会では、非認知能力よりも認知能力を評価基準として採用することが多い傾向にありました。

 

一方で心理学の分野では、すでに1900年代前半から「人の幸せや社会への適応などには、認知能力以外の心の性質も大きく関わっているのではないか」と考えられていました。

 

そして非認知能力は近年、とくに幼児教育の分野で注目されています。

注目されるようになったきっかけには、2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン氏の研究「ペリー就学前教育プロジェクト」などの、数々の研究があります。

 

ペリー就学前教育プロジェクトの結果から、2つの重要な指摘がなされました。1つ目は、就学前教育がその後の人生に大きく影響を与えることです。2つ目は、幸せや社会的成功を実現するには、就学前教育において認知能力だけでなく、非認知能力を育むことも重要だという指摘がなされました。

 

「教育において、どのような非認知能力を、どのように伸ばしていけばいいのか」ということについてはまだ確立されておらず、世界中でさまざまな試みがなされている段階です。

 

しかしこれからは、社会や生活が急速に変化していき、将来の変化を予測することが困難な時代になるといわれています。

このような時代を生きていくうえでは、「変化に対応する力」として非認知能力が重要となると考えられています。

 

例えば、不測の事態が起こった場合には「その事態を解決しよう」という意欲や、問題に取り組む際のねばり強さ、そして他人と協力する力などの非認知能力が求められるでしょう。

非認知能力が高い人の特徴

非認知能力が高い人の特徴

OECDの定義による「社会情動的スキル」(非認知能力)が高い人は、以下のような特徴があると考えられます。

目標を達成する力に優れる

OECDは、「目標を達成する力」には忍耐力や意欲、自己制御や自己効力感などの要素が含まれるとしています。

 

自己制御とは、自分の欲望や感情をコントロールして、自分の行動を調整する能力であるといえます。

また自己効力感とは、あることについて「自分はそれができる」と認識している、つまり自分の可能性について認識している状態のことです。

他人と協力する力に優れる

「他人と協力する力」には、社会的スキルや協調性、信頼と思いやりが含まれます。

 

社会的スキルとは、いい人間関係をつくり、維持するための能力のことです。

感情をコントロールする力に優れる

「感情をコントロールする力」には、自尊心や自信などの要素が含まれます。

 

自尊心とは、自分自身に対しての肯定的評価がある状態のことです。

そして自信とは、「自分の能力や価値を信じている状態」といえるでしょう。

子どもの非認知能力の成長を支える方法

子どもの非認知能力の成長を支える方法

「子どもの非認知能力を伸ばしたい」とお考えの保護者の方もいらっしゃると思います。

そこでここでは、子どもの非認知能力の成長を支えるような関わり方の例をご紹介します。

肯定的な言葉かけをする

ひとつのことができるたびに「できたね」「えらいね」「よかったね」などと肯定的な言葉をかけるようにすると、子どもの自己肯定感を育むことができるといわれています。

 

また、子どもが「もっとやろう」「がんばろう」と感じて、意欲が育つこともあるでしょう。

非認知能力を発揮しやすい機会をつくる

「どのような非認知能力を伸ばしたいか」を考え、子どもが自然に非認知能力を発揮できるような機会を日常に見つけていけるといいでしょう。

 

お家の中で「お片付け係」などの役割を任せ、できたらノートに「できた」の花丸やご褒美シールなどを張るといった工夫は、子どもの達成感や役割を担う責任感をおぼえる機会になるかもしれません。

 

また公園に行ってほかの子どもと遊ぶ機会をつくったり、近隣のイベントに子どもと一緒に参加することで、社交性や協調性、コミュニケーションの力を学んだり、発揮したりする機会になるかもしれません。

遊びの中の機会を利用する

遊びの中で、非認知能力を使うような機会をつくることもできるかもしれません。

 

例えば「家族」や「お店屋さん」などのごっこ遊びや、人形やフィギュアを使ってストーリーをつくりながら遊ぶことは、想像を広げる機会になるかもしれません。

 

また積み木遊びや砂山遊びなどで新しいものをつくることが、創造する力を発揮する機会になるかもしれません。

 

無理にさせるのではなく、そのような機会をつくることが大切です。その中で、できたことをほめたり共有したり、一緒に楽しんだりすることで学びが広がっていくことが考えられます。

育児について迷ったときの相談先

育児について迷ったときの相談先

非認知能力の伸ばし方など、子どもの発達や育児についてどうしたらいいのか知りたいときや悩んだときは、以下の機関に相談することができます。

  • 小児科
  • 保健センター
  • 自治体の子育て相談窓口

発達が気になる子どもの学習塾

LITALICOジュニアは、発達が気になるお子さまを対象に、児童発達支援や放課後等デイサービス、幼児教室や学習塾を運営しています。

対象年齢は0歳からで、一人ひとりの特性や成長のステップなどに合わせて個別の指導計画を作成し、最適な学びを提供しています。

 

無料相談もおこなっていますので、子どもの発達などについて気がかりなことがある場合は、お気軽にご相談ください。

非認知能力についてまとめ

非認知能力についてまとめ

非認知能力とは「認知能力」以外の能力のことで、目標を達成する力や他人と協力する力、感情をコントロールする力など、幅広い範囲の能力が含まれます。

 

個人差はありますが、非認知能力はとくに幼児期に発達し、さらに学童期や思春期以降も発達していくと考えられています。

日常の中で、子どもの非認知能力を育むような関わり方を工夫してみてください。

 

また子どもの発達について気がかりなことがある場合には、この記事で挙げた相談先のほか、LITALICOジュニアの無料相談もご利用いただけます。

ぜひお気軽にご相談ください。