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アスペルガー症候群とは?高機能自閉症との違いや特徴・接し方

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群は、古い診断名(ICD-10。DSM-Ⅳではアスペルガー障害と表記)で、現在は自閉症スペクトラム障害(DSM-5)に含まれる障害です。
対人関係の障害やパターン化した興味や活動という自閉症の特徴はありつつ、言葉の発達や知的発達に遅れが見られないことが特徴です。類似のものに、高機能自閉症というものがありますが、こちらは診断名ではなく、主に教育の領域で使われる言葉で、知的発達の遅れのない自閉性障害を指します。
アスペルガー症候群の特徴としては、遠まわしな表現や比喩を使った表現、表情やしぐさから相手の感情を読み取ることに困難さがあるため、自分の話ばかりしてしまったり、相手が傷つく言葉を悪気なく伝えてしまったりするなどの困りごとがあると言われています。
その他にも、一度決まったルーティンが崩れたり、新しい環境へ適応が必要になったりするなど変化に対する抵抗が強くあるとも言われています。

知的発達や言語発達の遅れがないため発見が遅れやすい

アスペルガー症候群は知的発達や言語発達の遅れがないため、幼少期からアイコンタクトの少なさや気持ちの共有がしにくいといったコミュニケーションの取りにくさは感じつつも、発達的な課題があることに気づかれにくいところがあります。また表面的な言語的コミュニケーションを取ることができ、学力的にも問題が生じていない場合もあるので、大人になるまで分からなかったという方もいます。

アスペルガー症候群の原因

アスペルガー症候群の原因ははっきりと分かっていませんが、素因としては先天的な遺伝的要因にあるのではないかと考えられています。それが胎児期や出生後に脳や心身が発達する中でさまざまな環境要因と相互に影響し合って脳機能障害として発現すると言われています。

最近は、発達が気になるお子さまへの早期療育をおこなう例が増えてきています。早期から介入し療育をおこなうことで、特性自体を治療することは難しいものの、いじめ、不登校、抑うつなど二次的な問題を予防することがきると言われています。

発達が気になる子どもへの早期療育

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群には大きく分けて「コミュニケーションの困難」「対人関係の困難」「こだわりが強い」という3つの困難さがあります。また、その他の特徴として「感覚の偏り」や「運動のぎこちなさ」といったものがあります。

コミュニケーションの困難

会話は表面上問題なくできるのですが、行間を読むことが苦手です。言葉をそのままの意味で鵜呑みにしてしまう傾向があるため、人の発言を勘違いしやすく、傷つきやすい面があります。
具体的な特徴としては、曖昧なコミュニケーションが苦手だったり、言い方のキツい不適切な表現をしてしまうことがあります。また複数の人がいる場面だと誰に対して発言しているのか分からなかったり、相手や環境の変化に気づかないことがあります。

対人関係の困難

場の空気を読むことや相手の気持ちの理解やそれに寄り添った言動が苦手な傾向があります。そのため、場にそぐわなかったり、自己中心的と思われたり、相手を傷つけたりするような発言をして、周囲の人からひんしゅくをかうことがあります。そのような理由から対人関係を上手に築くことが難しくなることがあります。

こだわりが強い

いったん興味を持つと過剰といえるほど熱中し、他のことが目に入らなくなったり、自分の興味のあることをずっとしゃべり続けるといった傾向があります。また、法則性や規則性のあるものを好み、異常なほどのこだわりを見せることがあります。その法則や規則が崩れることを極端に嫌う傾向があるので、マイルールにこだわって、自分が決めた予定が変更になったりすると混乱することもあります。一方、この特性は逆に強みとして活かすこともでき、興味のある物事に関しては、たくさんの情報を記憶したり、説明したりすることができます。

感覚の偏り

視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚という五感のどれかが非常に過敏である「感覚過敏」が多く見られ、感覚に対する強いこだわりがある場合があります。例えば、服の肌触りや匂いにこだわっていつも同じ服を着たがったり、ザワザワした職場や教室で過ごすことに苦痛を感じたりする場合があります。また食事などでも偏食があったり、においの強いものが食べられないといったことがあります。

運動のぎこちなさ

体をうまく動かすことや、手先を使った細かい動きが苦手なことが多いことがあります。また、相手の動きを真似することも苦手なことが多いので、スポーツの技術習得に時間がかかることがあります。

アスペルガー症候群によく見られる行動リスト

  • 相手の反応や状況を察することが難しい

    表情や声のトーンなどから、相手の気持ち、感情を読み取ることが難しい。

  • 発言が一方的

    交互に話すことができず、自分の関心のある話をし続ける。

  • 大人との会話を好む

    同年代よりも、自分に合わせて会話を進めてくれる大人の方が、ストレスなく会話をしやすい。

  • 言葉の裏の意味や曖昧な表現が分からない

    皮肉を言われても分からない。「最近どう?」と言われたときに何を聞かれているか分からない。

  • 特定のものやことがらにこだわる

    想像力をめぐらすことが苦手なために、ちょっとした変化も不安や緊張を感じやすく、いつも通りであることにこだわることがある。

  • ものの形や図柄が変わらないものを好む

    駅名や国旗の名など。自分なりのルールに則ってミニカーを並べる、などの遊びを好むことも。

  • 同じ動作を繰り返す

    体を揺らす、クルクル回るなど。また、ルールに対して柔軟に対応するのではなく、厳密に守ろうとする。

※リストは行動の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。

LITALICOジュニアで実施する心理検査では、全体的な発達水準を把握し、お子さまの得意・不得意などの発達のバランスを客観的に見ることができます。

アスペルガー症候群の大人と子どもの症状の違いは?

アスペルガー症候群の症状は大人と子どもでは多くの部分で共通しており、大きな違いはあまりありません。子どものころからの症状が大人になっても持続していくと考えられています。
子どもの頃はコミュニケーションや対人関係の困難さから友達がなかなかできなかったり、ずっと同じことにこだわったり運動ができないことをからかわれたりして、いじめの対象などになることがあります。しかし、子どもの頃は周囲の大人からのサポートなどがあったり、学校内で求められることが決められた授業に出席したり、勉強や宿題をこなすというルーティンでこなせる作業であることから、彼らの特徴が上手くはまれば症状があまり問題にならない場合もあります。
しかし、大人になると就職活動や仕事において上司や部下、同僚などとの間でコミュニケーションを求められる機会が増えます。また職場によっては場の空気を読んだり、相手の発言の裏にあるものを推測したりするスキルも求められますが、それらは苦手としているところなので、元々持っていた症状が問題として生じる機会が増えることになります。そのため、大人になってはじめて対人関係の問題に悩み、医療機関を受診して診断を受けるという人もいます。

アスペルガー症候群の子どもとの接し方

  • 1見てすぐ分かる環境に整える

    漠然とした空間や時間の把握が難しい場合に、目で見て理解することが得意なお子さまには、イラストや写真を使って、手順や1日のスケジュールを明確にしたり、空間を目的に合わせて仕切ることで、何をする場所なのか分かりやすくしたりすると、行動しやすくなることがあると言われています。

  • 2指示は短く具体的に

    「ちゃんと」や「きちんと」などのあいまいで抽象的な伝え方だと、人によって定義が異なり、特にアスペルガー症候群・高機能自閉症のあるお子さまには分かりづらいと言われています。例えば、「きちんと片づけてね」ではなく、「車を箱に入れて」と具体的に伝えるとお子さまが取り組みやすくなります。その他にも、「走らない」など否定的な伝え方ではなく、「歩こう」のように肯定的な伝え方だと何をしたらいいかが分かりやすくなります。

  • 3注意を引いて、事前に伝える

    コミュニケーションを取るときに、口頭のみで伝えると、聞いていなかったり、聞こえていても注意が向いていないときがあります。そのため、肩を叩く、目を合わせてから話すなど、注意を引く工夫をすることで、伝えたいことを確実に伝えることができます。

  • 4できる行動に着目し、できない行動は事前・事後の関わりを工夫する

    対人コミュニケーションに困難さを感じるのは、どのように行動したりコミュニケーションを取ったりしたらよいかが分かりづらいためです。そのため、関わる側が、どのような行動をとったらよいかをその子にとって分かりやすく示すことが大切です。
    また、うまく行動できた時は、直後にほめるなど、その子にとってうれしいと感じる場面を増やすことで行動の定着が促されると言われています。その子がいまできていることをほめたり、ハードルが高い行動を促すときは、段階的にできるように関わり方を工夫したりして、周りとスムーズにコミュニケーションを取れるようサポートしていきます。

※リストは接し方の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。

アスペルガー症候群の指導例

LITALOCOジュニアでは、一人ひとりに合わせた支援・指導を様々なサービスを通じて行っています。
下の動画では利用者様の声、ご利用までの流れ、動画での教室体験などを行っています。

アスペルガー症候群の治療

現在のところ、アスペルガー症候群の症状を根本的に治療することはできません。しかし、トレーニングによって本人のコミュニケーション能力を高めたり、周囲からのサポートによって困難さを減らすことはできます。子どもの頃に受けるそういったアプローチのことを「療育(発達支援)」と呼んでいます。「療育(発達支援)」とは言葉や身体機能など発達に遅れの見られる子どもについて、生活への不自由をなくすよう専門的な教育支援プログラムにのっとり、トレーニングをしていくことを言います。また、大人になってからはSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)と呼ばれる対人関係をうまくおこなうための社会生活技能を身につけたり、障害の特性を自分で理解し自己管理をするためのトレーニングを受けることがあります。
また、対人関係などの悩みにより眠れなくなったり、抑うつ的になったりした際には、それらの二次的な症状を緩和させるために薬物療法が用いられることがあります。ただ、薬には副作用やその人ごとに合う合わないがあります。そのため低年齢の子どもの場合はより慎重に進めるべきという専門家もいます。主治医の先生と信頼関係を築き、よく相談した上で服薬していけるとよいでしょう。

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記事まとめ

アスペルガー症候群にはさまざまな症状がありますが、その症状には個人差があります。早期にそれらの特性に気づき、一人一人に合った環境をつくること、苦手なことの対応方法を工夫して、特性を強みとしながら、その人らしい生き方を考えていきましょう。

【参考資料】

*書籍
『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』日本精神神経学会/監修、医学書院/刊
『ICD-10 精神科診断ガイドブック』中根允文, 山内俊雄/監修、中山書店/刊
『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』田中康雄/監修、西東社/刊

監修者:LITALICOジュニア 児童発達支援事業部 チーフスーパーバイザー/公認心理師/臨床心理士 緒方広海

※「自閉症(自閉性障害)」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」は、2013年に改訂された『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)で、「自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症」という診断名に統合されましたが、一方で、まだまだ耳にすることも多い名称であるため、この記事では「アスペルガー症候群・高機能自閉症」を中心に記述しています。

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