ASD(自閉スペクトラム症)とは?特徴や原因、チェックリストをご紹介します
ASD(自閉スペクトラム症)は脳の機能障害により、日常生活でさまざまな困りごとが生じる発達障害のひとつです。
「コミュニケーションが苦手」「こだわりが強い」などの困りごとがあり、「うちの子、ASDかも?」と思われている保護者さまもいらっしゃるかもしれません。
ASDは、特性に合わせた支援を受けることで、日常生活での困りごとを減らすことができるといわれています。
この記事では、ASDの特徴・特性やASDのあるお子さまとの接し方などについてご紹介します。
ASD(自閉スペクトラム症)とは
ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られる発達障害の一つです。
診断名について
2022年発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりましたが、従来、世界保健機関(WHO)の定めた国際疾病分類(ICD)やアメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)では、広汎性発達障害というカテゴリーの中で自閉症、アスペルガー症候群という診断が位置づけられていたため、診断時期によっては、アスペルガー症候群、広汎性発達障害と診断されている方もいらっしゃいます。今後自閉症という名称での診断は少なくなることが予想されますが、自閉症は現在も耳にする名称であり、また発達障害者支援法などの法律や文部科学省などでは使用されています。
過去の診断名であるアスペルガー症候群、広汎性発達障害については以下の記事をご覧ください。
ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
ASD(自閉スペクトラム症)は、ほかの人との気持ちの共有や会話のやりとりが難しい、表情から気持ちが読み取れないなどの「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と常同的な行動や、特定の音や光など感覚刺激への偏った反応など「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)の原因
ASD(自閉スペクトラム症)の原因にはさまざまな説がありますが、まだ特定はされておりません。生まれつきの脳機能障害であると考えられ、親のしつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではありません。
ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さまによく見られる行動チェックリスト
ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さまによく見られる困りごとをご紹介します。
このチェックリストは目安であり、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を確定するものではありません。
ただ、もし下記のチェックリストの特性や困りごとに当てはまるものが多く、長期にわたって日常生活や学校生活に支障が出ている場合は、相談機関に相談をしてみるのがいいでしょう。
社会的なコミュニケーションや対人関係について
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他者と適切な距離感で接することが難しい
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他者と感情や興味を共有したりするのが難しい
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相手の話に反応したりするのが難しい
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アイコンタクトや身振りなどのボディランゲージなどの非言語的手段を適切に用いたコミュニケーションが苦手
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状況に合わせた行動ができない
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他の人と遊んだり友達を作ったりするのが苦手
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他の人に興味を持つことが少ない
行動、興味、または活動の限定された反復的な行動パターンについて
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おもちゃを一列並べたり、物を叩いたりするような、単調で繰り返す動きをする
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言葉を真似して繰り返す
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独特な言い回しをする
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少しの変化でも強い不安を感じる
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環境が変わるのがとても苦手
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思考における柔軟性がない
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毎日同じ道を通ったり、同じ食べ物を食べることにこだわる
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一般的でない物に強く興味を持ち、それに没頭する
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特定の物事に異常に固執する
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痛みや温度に無関心に見える
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特定の音や触感に強く反応する
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物を過剰に嗅いだり触ったりする
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光や動きに強い興味を持ち、熱中して見る
現れる特性や困りごとは年齢や環境によっても異なるので、サポートもお子さま一人ひとりに合わせておこなうことが大切です。
また、特定の困りごとがあっても、困りごとが困りごとにならない、もしくは強みになるような環境を整えることができるかもしれません。
ここで、発達が気になるお子さん向けの教室「LITALICOジュニア」で大事にしている、「個と環境へのアプローチ」という考え方を紹介します。
【個と環境へのアプローチとは?】
お子さまへのアプローチとしては、特性や成長ステップにあわせた最適な支援をおこなうために、お子さまの感覚や行動の特徴、獲得スキルなどを専門のスタッフが分析するアセスメントを実施し、お子さまのステップに合わせた学習計画を立てて指導をおこないます。そして、お子さまの「楽しい!」を大切にし、お子さま自身が自発的に「やりたい!」「知りたい!」と思えるように授業を進めていきます。
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環境へのアプローチとしては、ご家庭でのお子さまとの関わり方をお伝えしたり、学校と連携し、お子さまの様子を共有し合い課題の優先順位をつけるなどしてお子さまの過ごしやすい環境づくりをしています。さらに、お子さまの特性に合わせてお子さまが「スキルを獲得しやすい」環境に整えて授業をおこなっています。たとえば、不安で落ち着かないお子さまには、授業内容をホワイトボードに貼って見通しをつけるなどの対応をしています。
LITALICOジュニアでは、お子さまの感覚や行動の特徴、獲得スキルなどを専門のスタッフが分析するアセスメントを実施しています。感覚の特徴を知ることで、お子さまへの接し方や環境調整の仕方が分かるため、スムーズに生活するためのサポートがしやすくなります。
ASD(自閉スペクトラム症)かもと思ったら?
ASDを含む発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは十人十色です。そのため、発達障害の特性を「自分勝手」「わがまま」「困った子」などと捉えられ、誤解を受けやすい面があります。そうして、日常生活でうまくいかないことに落ち込み、気分障害(うつ)を発症するといった二次障害を発症する場合があります。
子どもが困っている様子に気づいたらすぐに相談をし、支援を得られる状況を作ることが大切です。困っている状況が長く続かないようにサポートを得ましょう。
早期から介入し療育(発達支援)をおこなうことで、お子さまに必要なスキルを獲得したり、過ごしやすい環境設定を知ることで、社会生活を送りやすくなり、いじめ、不登校、抑うつなど二次的な問題を予防することができると言われています。
ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さまとの接し方
ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さまと接するときには以下のような工夫をすることで、そのお子さまの生きづらさをやわらげることができます。
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1簡単な言葉で、統一した言葉かけをする
「ちゃんと座って」「そこに置いて」などの曖昧な表現を使うと混乱しやすくなります。簡単な言葉でゆっくりと話すように心がけましょう。
「前を向いて座ろう」「机の上に置いて」など短い言葉で、具体的に伝えましょう。また繰り返し同じことを伝えたいときには伝え方を統一しましょう。 -
2落ち着ける環境を用意する
苦手な音が聞こえる場所や見えるものがたくさんある場所では絶えず刺激を受けてしまいます。静かなスペースを用意したり、壁や机の上がスッキリとしている、物が置かれている場所にはカーテンをつけるなどして気が散らないようにしましょう。
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3興味の幅が広がるような工夫をする
同じ遊びをしているときに、無理に別の遊びをさせる必要はありません。いつもの遊びをしてから、他の遊びにも誘ってみましょう。
たとえばいつもミニカーを1列に並べて遊ぶ場合には、車の絵本を一緒にみたり、駐車場に見立てた箱を用意しそこまで車を動かす遊びをするなど、今興味のあるものから少しずつ、興味の幅を広げていきましょう。 -
4スケジュールや手順を視覚的に伝える
変化に不安を感じやすい場合は、今後の見通しや自分のやることが目に見えると安心します。
「今日はプールのあと公園に行くよ」などの音声よりも、文字や絵の方が理解しやすいため、活動や手順は文字や絵、写真を使って流れを一覧にして見せてあげると安心することができます。
また、いつ始まるのか、いつ終わるのかを感じ取ることが苦手なお子さまもいます。その際にも目に見える方法で始まりと終わりを伝えましょう。例えば、歯をみがき終わる時間を砂時計をつかって知らせます。
※上記は接し方の一例です。必ずしもすべてのお子さまに該当するとは限りません。
緒方 広海
公認心理師 / 臨床心理士
発達障害は個別性が高いので上記の接し方が上手くいく子もいれば、そうでない子もいます。発達障害のあるお子さまへのサポートは、いろいろと試しながらひとり一人のお子さまにあった関わりを探していくことが大切なので、保護者さまの今までの関わりもとても参考になります。おひとりで考えるのが難しくなってきた場合は周囲の方や相談機関、LITALICOジュニアなどを活用して、一緒に考えてもらえると良いかと思います。
LITALICOジュニアの授業プログラムの例
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泣いて要求を通そうとする
4歳の困りごとほしいお菓子を買ってくれないなど、 自分の思い通りにならないと泣いて駄々をこねます。もう少し…
ほしいお菓子を買ってくれないなど、 自分の思い通りにならないと泣いて駄々をこねます。もう少しがまんができるようになってほしいです。
- プログラム例
- 気持ちや要求を言葉で伝える経験を増やす
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始めにロールプレイングを通して、 言葉を使った「気持ちや要求の伝え方」 を練習します。 つぎにゲームをおこない、 負けそうになったり、 自分のル ールを通したくなったりしたら、練習していたことを促し、 言葉で伝える 成功体験を増やします。
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一方的なコミュニケーションが多い
小学1年生の困りごと自分の好きなことに関しては親も止められないくらい一人で話し続けてしまいます。 興味のないことだと、…
自分の好きなことに関しては親も止められないくらい一人で話し続けてしまいます。 興味のないことだと、指示を聞いて行動したり、
友だちや先生とコミュニケーションを取ったりすることが難しいです。- プログラム例
- 質問や会話のレパートリーを増やす
- 集中できる環境に整える
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会話の中で、 あいづちをうったり、 適切なコメントや質問をする練習や、 短い話の中でポイントとなることを意識して聞き取る練習をおこないま す。 お子さまの興味のあることを通して、 指示の聞き取りを学びます。
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自己管理が難しい
中学生の困りごと自分の予定や宿題などの管理が出来ておらず、このまま社会に出て大丈夫だろうかと心配しています。…
自分の予定や宿題などの管理が出来ておらず、このまま社会に出て大丈夫だろうかと心配しています。
- プログラム例
- 自分を知り、セルフサポートの方法を考える
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自分の性格、得意不得意など、「自分を知る」ワークブックを進めていきます。自己認知を十分におこなったうえで、「セルフサポート」の方法を考えていきます。例えば、生活の中で、自分の困り度に順位をつけ、順位の高いものから、その困りをどのように解決していくかを具体的に考えていきます。あとは週ごとに実践して、振り返りをおこない、自分で考えた行動が定着していくように練習をしていきます。
そのひとりのストーリー
LITALICOジュニアに通っているお子さまの成長ストーリーをご紹介します。
お子さまの発達でお困りならLITALICOジュニアへ
LITALICOジュニアでは、ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さまの指導実績が豊富で、コミュニケーションが苦手、環境の変化が苦手、こだわりが強いなど、子ども一人ひとりの困りごとや性格、特性に合わせてオーダーメイドで指導を行っています。
体験授業では、一人ひとりに合わせた授業が体験でき、利用したらどんなふうに成長するかイメージがわかります。
お子さまの発達に関してお悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。
【参考資料】
- 主な発達障害の定義について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm - 発達障害者支援法
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/shienhou_2.pdf - 自閉症の原因は?遺伝する確率はあるの?(LITALICO発達ナビ)
https://h-navi.jp/column/article/159 - 自閉症とは?(発達ナビ)
https://h-navi.jp/column/article/104
*書籍
『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』日本精神神経学会/監修、医学書院/刊
『ICD-10 精神科診断ガイドブック』中根允文・山内俊雄/監修、中山書店/刊
『特別支援教育 第4版―インクルーシブな共生社会をめざして』姉崎弘/監修、大学教育出版/刊
『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』田中康雄/監修、西東社/刊
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